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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

世界のどん底で愛をさけぶ神獣

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世界のどん底で愛をさけぶ神獣

リアクション

■纏う鎧を剥がし、今の姿をさらけ出せ!(2)

「あのマゾ騎士め。クロノスは俺のハーレムの女だ、手を出すな」
 死 雲人が背中の羽を広げ、空へと羽ばたく。地上ではクロシェルが不機嫌そのものといった様子で唾を吐き捨て、ファラムートが苦笑を浮かべていた。
「あのクソッタレはブッ殺す」
「まぁまぁ、落ち着け。性格に大いに難があるのはおぬしも似たようなものじゃろ」
 クロシェルがキッ、とファラムートを睨みつけるが、ファラムートは涼しい顔で魔法を唱え、サラマンダーに立ち向かう雲人へ援護射撃を行う。
「マゾ騎士よく聞け! クロノスもリンアレルもファラムートも俺のハーレムの女達だから渡さんし、傷つけさせない」
「やっぱりブッ殺す」
「まぁまぁ」
「ふっ、ファラムートも照れやがって」
「めんどくさい奴じゃのぅ。さっさと一撃くれてこい!」
 ファラムートに叱咤されつつ、しかしその間に雲人は周囲に魔力のこもった羽根を展開していた。
「マゾ騎士よ、お前はクロノスに無関心にされている。だが俺は既にクロノスの関心を引いている!」
 指差した先、チラチラと地上の様子を伺っていたクロノスは自分のことを言われてサッ、と引っ込む。
「……それがなんだというのだ!!」
 指摘されたサラマンダーは吠えたが、明らかに動揺していた。
「……効いたな」
「あぁ、今のは効いたな。ああいうところはよく見ておる。尤も、女性の視線に敏感なだけかもしれぬが」
 ファラムートが評価した先で、いくつもの爆発が生じた。


「こうして見ていますと……いけないとは分かっているのですけど、這いつくばらせたい衝動に駆られますわね」
「ははは、そいつはいいな。無抵抗にした上で散々踏んでやりゃあいい。ファラムートもその役、似合うんじゃないか?」
「なっ! おぬし、儂をそのような目で見るとはなんたる不敬な!」
 ロレッタ・ファーレンハイナーの声にクロシェルが楽しそうに同意し、先程のお返しとばかりにファラムートを煽る。ファラムートもクロシェルの真意がわかったからこそ、怒りはするが本気ではなかった。
「さて、提案だがクロシェル、一緒に無茶をしないか?」
「いいぜ。元神獣だろうが手加減無しだ。妹を苦しめる奴の味方をする奴は、俺がぶっ潰す」
 アーヴェント・ゾネンウンターガングの提案をクロシェルが嬉々として受け入れ、ロレッタが表情を切り替えて二人の盾として振る舞うことを決意する。
「そう! リンアレルさんが倒れる原因を作ったクロノスさんに、私は文句を言いたいの!
 だから、その邪魔をするサラマンダーさんは、倒させてもらうの!」
 ぷんぷん、と怒りを露わにしたリーニャ・クラフレットがサラマンダーへ攻撃の意思をぶつけ、背中の羽を広げて空へと舞い上がる。それを合図にロレッタを先頭として、後ろにアーヴェントとクロシェルが続く。
「まずは貴様から撃ち落としてくれる――」
「あら、よそ見をしている暇がありますの?」
 上空からの攻撃を脅威とみたサラマンダーが、まずはリーニャから攻撃を行おうとするが、その間に距離を詰めていたロレッタが半ば強引にサラマンダーの意識に割り込み、注意を自分へと引きつける。
「サラマンダー様とわたくしは、同じ。守る者のために戦っています。
 守る者のために……根比べ、と参りましょう?」
「なるほど。……であるならば、拒否などできぬな!」
 サラマンダーの大剣を、ロレッタが盾で防ぐ。ただ防ぐだけでも熱波が襲いかかるが、ロレッタは涼しい顔を崩さない。そしてその間に、上空からリーニャが魔力を秘めた多数の羽根をサラマンダーへ向けて飛ばす。羽根は主にサラマンダーの鎧に取り付いて爆発を起こすが、流石に配慮したとはいえ交戦中、ロレッタも多少なりとも爆発の影響を受ける。
「くっ……根比べとはこういう理由か!」
「ええ、そうですの。わたくしは皆様の盾、皆様を置いて先に倒れるわけには参りません!」
 ロレッタの言葉の意味を理解したサラマンダーが苦悶の表情を浮かべ、そこにアーヴェントとクロシェルが斬り込む。
「ゾロール、力を貸してくれ!」
 アーヴェントの声に大剣が応え、嵐の力が宿る。およそ大剣とは思えない挙動で攻撃を繰り出しながら、先端にジェムの付いた剣の柄を振るい、カマイタチを呼び起こして刃の代わりとする。物理剣四刀による攻撃『暴剣』のアーヴェントカスタム版『暴剣』に、サラマンダーは気圧されていく。
「体勢を立て直すヒマすら与えねぇ!」
 たまらず飛び退き、炎をマントのようにかざしたサラマンダーに、クロシェルがぶつかるように斬り込む。炎を浴びて多少のダメージを受けるが、マントのように広がっていた炎がかき消え、辺りに散った。
「無理するな……とは、言えないか」
 先に目論んでいた行動を思い返し、アーヴェントが苦笑する。
「よーく狙って……ぜんしんぜんれー!」
 弓を射る構えで集中力を高め、リーニャが文字通り全身全霊の一撃をサラマンダーに向けて放つ。
「よし、行くぞ!」
「おう!」
 それを合図として、アーヴェントとクロシェルも駆け出し、途中で左右に分かれる。
「君のクロノスを守る行動、その為の努力。それすらも無駄だとは自分は思えない。
 ……だから自分は、クロノスの理論を認めない!」
 おそらくこの戦いを見ているであろうクロノスへ宣言するように言い放ってから、剣に神獣の怒りを込めた一撃を放つ。
「妹を苦しめた分、まずテメェが受けな!」
 クロシェルも重い一撃を繰り出し、サラマンダーの左腕の鎧を破壊することに成功する。ほぼ同時にアーヴェントの攻撃が右腕の鎧を破壊し、二人が飛び退いた直後にリーニャの『ウタ』が炸裂し、胴体の鎧はほぼ繋がっているだけといった状態になっていた――。


「ぐうぅ……!」
 散々に打ちのめされ、サラマンダーがついに膝を着く。流石に元神獣だけあって大した生命力だが、戦闘を継続する力はほとんど残っていないようだった。
「まったく、いいゴミ分――ご身分ね! こんなに心配してくれる仲間をほったらかして、他人の家に潜り込んで強引に自宅警備員なんか続けちゃって。今すぐにでも貴方の首根っこ引っ掴んで、嘗ての貴方の聖地に引き摺り出してやろうかしら!」
 頭上からかけられる声に、サラマンダーが呻き声と共に顔を上げ、険しい視線を向ける。――だがすぐに、視界に映った弥久 風花の姿を見て覇気を無くす。
「……その姿は……」
 サラマンダーの視線の先、風花は二本の足で立ってこそ居るが、全身が炎による負傷で覆われていた。
「貴方の誇りとやらは、誰を守るためかしら。人間をこんな姿にしてしまうことが、貴方の望みなのかしら」
「…………」
 しばらく言葉を無くしていたサラマンダーから、スウッ、と熱が引いていった。脚の部分の鎧と、ただ繋がっているだけだった胴体の鎧が地面に落ち、残すは頭部だけとなった。
「……今日までの失態は、全て私の弱さに依るもの。こんな無様な醜態を晒すくらいならば――」
「サラマンダー様! どうか思いとどまりください!」
 自ら死を選ぼうとしたサラマンダーを、かつての従者達がこぞって止めにかかる。
「貴方は今でも慕われてる、だったら、こんな穴倉の奥で燃え尽きるより、もう一度やり直してみたら?
 ほら、そんな重い鎧なんて脱いで、ウタでも聞いていきなさいよ」
 風花が一振りで、サラマンダーの兜を弾き飛ばした――。
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