イラスト

シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

世界のどん底で愛をさけぶ神獣

リアクション公開中!
世界のどん底で愛をさけぶ神獣

リアクション

■歪められた使命に燃える『獄炎の騎士』を鎮めよう!(2)

 辺りに生じた無数の小さな氷の刃から逃れるため、火の悪魔たちが散開する。
「今だ!」
 再び合流されるのを防ぐため、橘 樹が火の悪魔の一体を標的に、拳大の氷のつぶてを作って撃ち出す。防ぎ切れないと判断した火の悪魔は武器を振るって氷のつぶてを破壊するが、負担が大きかったようで次の行動に移ることができなかった。
「くっ!」
 続けざまに飛んできた氷のつぶてを、不利な体勢で迎撃することになった結果、つぶてを破壊することはできたものの武器を一時的に失ってしまう。迎撃するための手段を失った火の悪魔は三発目の氷のつぶてを身体に受ける結果になり、彼を守っていた鎧が壊され、メラメラと燃える内側が露わになった。
(中身はあんなふうになっているのか……。
 今から撃つ魔法が効くかどうかわからないけど、試してみる価値はある……!)
 その露わになった部分目掛けて、一筋の白い炎の筋が飛ぶ。
「ふん! 火を司る我らに火の魔法が効くはずが――」
 ない、と言おうとした火の悪魔の身体ががくり、と崩折れる。
「確かに火の魔法だけど、毒の効果もあるんだよね」
 ぐぬぬ、と苦悶の表情を浮かべる火の悪魔から、反撃の兆候は見られない。集中攻撃で弱らせたこともあるかもしれないが、毒は効き目があるとわかり、戦術に幅を持たせられるようになった。
(ストイックに生きてきた分、搦め手には弱いのかな?)
 そんなことを思いながら、樹が次の標的へ向けて行動を開始する。


(ノーマがリンアレルのために動くわきゃねーし、奴の狙いは十中八九、クロノスだろうな。何をするつもりかまではわからねーが……)
 魔機を駆り、上空から戦場を見下ろしていた龍造寺 八玖斗が険しい視線を、この場では傍観者に徹することにしたようであるノーマへと向ける。
(悪魔のボスを取って代わって、人間相手に大戦争起こす気か。はたまたクロノスだけが狙いか)
 今後、クロノスの力を弱めるような行いは、極力避けた方がいいだろうなと肝に銘じた八玖斗は、視線を火の悪魔へと切り替える。
「ま、どこまでやれるか分からんが。
 祝福された返礼としてあんた等の仲間、返そうとする手伝いはさせてもらうぜ」
 神獣たちに認められた証であるペンダントを握りしめ、首にかけてからしっかりと狙いを定め、圧縮した空気を砲台から打ち出す。
「ぐはぁ!」
 横合いから攻撃を受ける形になった火の悪魔が、身体をくねらせた格好で大きく吹き飛ばされた。
「お次はド派手にいくぞ。ビビるんじゃねえぞー」
 空中で旋回し、再度目標の上空にやってきたところで、複数のジェムを共鳴させ縦に貫く衝撃波を生み出す。
「固まるな! 散開しろ!」
 攻撃が直線的であることを悟った火の悪魔の一体が指示を飛ばし、被害を軽減するべく行動に移す。
「と、思うだろ? ところがどっこい」
 パチン、と指を鳴らせば衝撃波の軌道が変わり、回避した直後の火の悪魔たちを襲う。
「こういった芸当もできるんだぜ。……ついでだ、ぐーたらな奴に挨拶しにいくか」
 戦場をさんざん掻き乱した八玖斗が、塔の上から地上の様子を見ていたクロノスに警戒しつつも近付き、まったりとした曲を聞かせる。
「わわっ!?」
 たいそう驚いた素振りを見せたクロノス、今頃は足元に大量の猫が見えていることだろう。


『自分がやったことの責任を、自分ではなく他人に被せる。……ハッ、それでよく騎士なんて名乗れるな?』
「デタラメを抜かすな! 奴を狙い撃て!」
 魔機に装着した楽器から、サラマンダーと火の悪魔を挑発する言葉を発して両者を引き離そうと試みた行坂 貫へ、炎を纏った弓が何本も射掛けられる。
「手荒い歓迎だな。ま、こっちに狙いを定めてくれるなら好都合……っと!」
 装甲が破壊される前に、貫は魔機を旋回させ射撃をかわしつつ、攻撃が途切れた瞬間を狙って圧縮した空気を砲台から撃ち込む。これは流石に見切られており避けられるが、この攻撃で火の悪魔の陣形は崩れた。
「崩したところに、さらに掻き乱す一撃を撃ち込む!」
 敵が体勢を立て直す前に、複数のジェムの共鳴が生み出す衝撃波を叩き込んでかく乱する。
「伏せろ!」
 次いで生じた小規模ながら確かな威力のある爆発の連鎖に、火の悪魔たちは地に伏せて耐える。爆発が落ち着き、身を起こした火の悪魔たちは上空に貫の姿が見えないことに気付いた。
「正面――うわぁ!」
 警告を発することができたのは、彼らが決して弱い騎士ではないことの証。しかしここは貫の行動が一歩上回り、飛び過ぎさまに放たれた剣の一撃は火の悪魔の一体に大きなダメージを与えた。爆発による衝撃で吹き飛ばされた火の悪魔は武器を取り落とし、鎧の一部を破壊された格好で倒れていた。
「やってくれたな!」
 上空へ逃げようとする貫に追撃の手が下されるものの、左右に身体をくねらせるようにして上昇する動きに狙いを定めきれず、仕留めることができなかった。


「引きこもりの護衛騎士に成り下がったサラマンダーより、拙者の方が強いと証明してみせるでござるよ!」
 白川 郷太郎が二振りの剣を抜き、火の悪魔と対峙する。
「む、その剣は……なるほど、大口を叩くだけのことはあるわけか。
 しかし騎士は退かぬが定め! 参る!」
 郷太郎がゾロールの剣を持っていることに、火の悪魔たちは彼を強者と認めつつも、気後れすることなく向かっていく。
「はなっからフルバーストでござるううう!!」
 郷太郎も真っ直ぐに立ち向かい、真正面から斬り合う。一太刀目を浴びせてから敵の反撃を避け、避けたところに反撃を浴びせて再び避ける。二刀とはいえ一度に四体の相手は厳しいと思われたが、武器や身体に嵐を纏いながら斬りかかるその様は、互角以上の戦いを演じる結果となった。
「とはいえ、流石に多勢に無勢、斬っても斬ってもキリがないでござるな。
 しからば……台風をもって一気に斬り伏せるでござるよ!」
 一旦間合いを取った郷太郎が、先程よりも強力な嵐を纏う。ゾロールの剣を高く掲げ、そこに秘められていた力を解放する。
「ゾロールよ、暴れ狂おうじゃないか!!」
 生前彼が最も得意とした大技、『暴剣』。四刀同時攻撃のためには刀が二本足りないが、それは手数を倍にすることでイコールとする。
「貴様らの命の灯火、吹き消してやるでござるよ!!」
「き、騎士は退かぬ――ぐわあああぁぁぁ!!」

 嵐が通り過ぎた後には、ボロボロになった火の悪魔たちがうずくまっていた。並の悪魔ならば致命傷となっただろうが、彼らは元神獣。一時的に戦闘不能となることはあっても、命を落とすまでにはそうそう至らない。
「うーむ、強力なのは確かでござるが、味方も巻き込むのが心配でござるな。
 何よりスカート剣士のスカート捲るのが一大危機でござる。細心の注意を払わないとでござるな……」
 倒した相手には目もくれず、郷太郎は今の技の問題点を気にしていた。
ページの先頭に戻る