みんなでレッツ犯罪!? バビフェス開催!
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リアクション
3.問いかけるYOUR HEARTS、畳み掛けるHOT SOUNDS
『芸能界の皆さま、こんにちは!』
ブレッシングマイクを手にした空花 凛菜は、どこか気品のある立ち振る舞いをしながらステージに立った。
犯罪抑止――特に窃盗等の抑止のためにアピールするのは、平凡で、平穏で、平安な日常だ。
『芸能界での初めてのライブでドキドキしています。ですが、このドキドキをエネルギーに変えて頑張ろうと思います。よろしくお願いします!』
犯罪パフォーマンスをするバビプロのアイドルや事務所関係者も自分を見ている。
内心ハラハラしていたが、凛菜は頑張ってステージに立ち続けた。
『私は、普通の平凡で取りとめのない日常生活がとても好きです。そんな「日常」を大切に思う気持ちを込めて歌います!』
スポットマイソングの光を集め、歌うのは「平穏Max!」だ。
犯罪によって簡単に奪われてしまうかもしれない――日常。
それはとても価値がある存在だ。
あるいは “大気”のように、仮に失くして初めて重要さに気付く類のものかもしれないと凛菜は思う。
(犯罪行為は沢山の“大切なモノ”を壊してしまいます。だから、私の歌を観客の皆さんの心に留めてもらえるように……真心を込めて歌わせていただきます)
多くの人々の心に届くよう、凛菜は精一杯ステージを務めたのだった。
『どうもー! アメリカンマシュマロ体型のデブドル、深郷由希菜です! 俺のライブも聞いていってくださいな!』
ブレッシングドレスを身に着けた深郷 由希菜が拡声器で会場に向かって声を張る。
『リア充爆発は俺も思う! だけど「本人たち、もしくは周囲もだけど攻撃する」ってのはいけません! ダメでーす!』
選挙の演説のように呼びかける由希菜。
だがあくまでこれは、ライブの前フリである。
「ぽめぽめ、一緒に楽しもうね!」
そう、傍らの星獣に呼びかけると、由希菜はオルトシルフィードを呼び出し、ステージの上に風を起こしながら『大切な人』を歌う。
『そもそも、「リア充」は恋人たちを指すだけのものじゃないものです! 「気持ちの刃」は「祝いの演武」に! 「羨望の大砲」は「祝砲」に! あなただって「誰かの大切な人」なんだから! そうじゃないっていうなら俺が大事に思います!』
曲の合間にそう呼びかける由希菜の頭上にはエタニティシャインの光の花が弾ける。
そして、観客の笑いをとることも忘れなかった。
『あ、ごめん! 拡声器でびっくりしちゃった? そうじゃない? よしよししてあげるよ? 大丈夫?』
由希菜は驚いている観客に近づき、抱き寄せる。
会場には大爆笑が起こった。
クラリティクライマックスの効果もあり、会場は大いに盛り上がっているようだ。
『どや! 俺の懐は体型的な意味かつ物理的に大きいぞ! おいたしなきゃ他のみんなも飛び込んできてもいいのよ! えっ、何? 本気で来る?! びっくりだわー!』
暖かな笑いと歓声に包まれ、由希菜はステージを終えた。
『ねぇ、ゴエモンさん、なんでそんなに泥棒とか、酷いことしてたのか、わたし知ってるよ』
本郷 聡美はブレッシングマイクを手に五右衛門に向けて呼びかけた。
『ゴエモンさん、昔の偉い人のひどいことから守るために、盗んだりしてたって。だから、悪いことでいい人を傷つけるんじゃなくて、悪いことをしても、悪い人だけを退治すればいいんだよ!』
優しい心を、五右衛門に取り戻して欲しい。
その思いを込めて、聡美はライブを開始する。
『ね? これでひどいことし放題でしょ? 悪い人を退治するためだもん! だからほら、一緒に未来をつかもうよ!』
五右衛門は黙って何かを考えているようだった。
その体から出るノイズはまだ消えてはいない。
しかし、アイドルたちのライブに影響され、少しずつ変化しているように見えた。
昔はよかった なんて大人達は言うけれど 今の時代だって素敵だと思わない? 今の若い人は なんて大人達は言うけど 若い私たちも頑張ってるもん! 歴史を学んで今がある。 人生学びの連続よ!
四つ星かるてっつリーダーとして、仲良く楽しく元気に明るく!――そんな思いを込めて。
五右衛門と観客に向けて、聡美は「過去から学んで未来をつかめ!」を歌いきった。
さあ今掴め 新しい 未来描くために!昔の人から学んでいこう 今新しい 世界へと 飛び立ち行こう この手で未来掴むため!
「リーニャさん、もう少しかもしれません。五右衛門さんのあの様子……明らかに最初とは違います」
【エンジェルネスト】の雨宮 いつきはリーニャ・クラフレットにそう声をかけた。
ここで頑張れば、五右衛門に影響を与えるノイズを払えるかもしれない。
そんな雰囲気が感じられたのだ。
「そうだねいつきくん! 天使さんライブ、最後まで頑張ろうね!」
メレティエレガントを身に着けたリーニャといつきは、背中に小さな翼を生やし、ステージに降り立つ。
2人のライブは、「芸能界の人々に、歌を以って天国へ行ける清い魂の育み方を啓蒙に来た天使」…という設定で行われるようだ。
そして、いつきがシュネームジークの雪を降らせ、リーニャが五右衛門に向けて語りかける。
「五右衛門さん! そんな独りよがりな面白さは、楽しさは! 絶対に広まんないんだよ! もう、分かったでしょ?」
五右衛門は何かいいたげな顔でリーニャを見ている。
もう少しだ。
そう思いながら、リーニャは言葉を続けた。
「強盗殺人なんてしたらどんどん犠牲が増えて…すぐに楽しんでる人より悲しんでる人のが多くなるの! だから私達のライブでそんな事を広めるのは阻止させてもらうの!」
「五右衛門さん聞いてください! 今日は僕達天使隊がワクワク笑顔を広めてあげます!」
いつきはエアロポルタティフの鍵盤を呼び出し、演奏を始める。
降りしきる雪が、リーニャのエタニティシャインの光できらきらと輝いていた。
(みんな、心を静かに落ち着けて。私達が、ノイズさんをなくしてキレイにしてあげる!)
木漏れ日ギターを奏で、リーニャは演奏で観客や五右衛門に語りかける。
そして、いつきもエアロポルタティフを演奏しながら歌声を響かせた。
(清い魂は笑顔に宿る。そして笑顔は笑顔を呼ぶのです。皆の笑顔を願って歌えば、僕もあなたも皆もハッピーです!)
――そうでしょう、五右衛門さん?
いつきが五右衛門の方を見ると、五右衛門は自分の中の何かと戦っているような雰囲気に見えた。
弟分の鼠小僧やアイドルたちの呼びかけにより「昔の自分に戻りたい」という思いが芽生えているのかもしれない。
だが、それを望まないバビプロのアイドルたちや事務所関係者もまた、「今の」五右衛門の仲間なのだ。
両者の板挟みになっているのである。
(リーニャさん)
(うん、そうだねいつきくん。ここからラストスパートだよ!)
おいで、といつきを誘い、リーニャはアポロンズフィールドの光のステージを出現させ、空へと浮かび上がらせた。
曲調が激しくなり、ライブが盛り上がっていく。
2人の頭上には、エタニティサンシャインの光の花が弾ける。
そしてステージは、五右衛門の方へとゆっくり近づいた。
「ねえねえ、五右衛門さん! 世界をもっと面白くしたいんでしょ?」
リーニャは五右衛門に手を差し伸べる。
「ならさ、ほら! 今からでも一緒に、皆を幸せに出来るライブしようよ!」
「あたしは……でも」
「しっかりしてください五右衛門さん! 思い出してください! あなたは『弱きを助け、強きを挫く』、そういう矜持を持ち合わせていたから、泥棒ではなく義賊と呼ばれていたんでしょう!」
いつきが五右衛門の手をぐいとつかみ、ステージへと引き上げた。
迷いを断ち切らなければならない。
そう、いつきは五右衛門を叱咤した。
「盗む事そのものに楽しみを見出していたのだとしても、あなたが一番楽しみにしていたのは市井の人々の笑顔なんじゃないんですか? 目を覚ましてください! 『弱きを挫き、強きが嗤う』ような事を、あなたがやっちゃいけないんです!」
世界を楽しくしたいという五右衛門の思いは間違っていない。
だから、一緒にその方法をこれから見つけていけばいい。
ライブに誘い、そう語りかけるいつきとリーニャの言葉は、五右衛門の心に深く染み入ったようだった。
『芸能界の皆さま、こんにちは!』
ブレッシングマイクを手にした空花 凛菜は、どこか気品のある立ち振る舞いをしながらステージに立った。
犯罪抑止――特に窃盗等の抑止のためにアピールするのは、平凡で、平穏で、平安な日常だ。
『芸能界での初めてのライブでドキドキしています。ですが、このドキドキをエネルギーに変えて頑張ろうと思います。よろしくお願いします!』
犯罪パフォーマンスをするバビプロのアイドルや事務所関係者も自分を見ている。
内心ハラハラしていたが、凛菜は頑張ってステージに立ち続けた。
『私は、普通の平凡で取りとめのない日常生活がとても好きです。そんな「日常」を大切に思う気持ちを込めて歌います!』
スポットマイソングの光を集め、歌うのは「平穏Max!」だ。
犯罪によって簡単に奪われてしまうかもしれない――日常。
それはとても価値がある存在だ。
あるいは “大気”のように、仮に失くして初めて重要さに気付く類のものかもしれないと凛菜は思う。
(犯罪行為は沢山の“大切なモノ”を壊してしまいます。だから、私の歌を観客の皆さんの心に留めてもらえるように……真心を込めて歌わせていただきます)
多くの人々の心に届くよう、凛菜は精一杯ステージを務めたのだった。
『どうもー! アメリカンマシュマロ体型のデブドル、深郷由希菜です! 俺のライブも聞いていってくださいな!』
ブレッシングドレスを身に着けた深郷 由希菜が拡声器で会場に向かって声を張る。
『リア充爆発は俺も思う! だけど「本人たち、もしくは周囲もだけど攻撃する」ってのはいけません! ダメでーす!』
選挙の演説のように呼びかける由希菜。
だがあくまでこれは、ライブの前フリである。
「ぽめぽめ、一緒に楽しもうね!」
そう、傍らの星獣に呼びかけると、由希菜はオルトシルフィードを呼び出し、ステージの上に風を起こしながら『大切な人』を歌う。
『そもそも、「リア充」は恋人たちを指すだけのものじゃないものです! 「気持ちの刃」は「祝いの演武」に! 「羨望の大砲」は「祝砲」に! あなただって「誰かの大切な人」なんだから! そうじゃないっていうなら俺が大事に思います!』
曲の合間にそう呼びかける由希菜の頭上にはエタニティシャインの光の花が弾ける。
そして、観客の笑いをとることも忘れなかった。
『あ、ごめん! 拡声器でびっくりしちゃった? そうじゃない? よしよししてあげるよ? 大丈夫?』
由希菜は驚いている観客に近づき、抱き寄せる。
会場には大爆笑が起こった。
クラリティクライマックスの効果もあり、会場は大いに盛り上がっているようだ。
『どや! 俺の懐は体型的な意味かつ物理的に大きいぞ! おいたしなきゃ他のみんなも飛び込んできてもいいのよ! えっ、何? 本気で来る?! びっくりだわー!』
暖かな笑いと歓声に包まれ、由希菜はステージを終えた。
『ねぇ、ゴエモンさん、なんでそんなに泥棒とか、酷いことしてたのか、わたし知ってるよ』
本郷 聡美はブレッシングマイクを手に五右衛門に向けて呼びかけた。
『ゴエモンさん、昔の偉い人のひどいことから守るために、盗んだりしてたって。だから、悪いことでいい人を傷つけるんじゃなくて、悪いことをしても、悪い人だけを退治すればいいんだよ!』
優しい心を、五右衛門に取り戻して欲しい。
その思いを込めて、聡美はライブを開始する。
『ね? これでひどいことし放題でしょ? 悪い人を退治するためだもん! だからほら、一緒に未来をつかもうよ!』
五右衛門は黙って何かを考えているようだった。
その体から出るノイズはまだ消えてはいない。
しかし、アイドルたちのライブに影響され、少しずつ変化しているように見えた。
昔はよかった なんて大人達は言うけれど 今の時代だって素敵だと思わない? 今の若い人は なんて大人達は言うけど 若い私たちも頑張ってるもん! 歴史を学んで今がある。 人生学びの連続よ!
四つ星かるてっつリーダーとして、仲良く楽しく元気に明るく!――そんな思いを込めて。
五右衛門と観客に向けて、聡美は「過去から学んで未来をつかめ!」を歌いきった。
さあ今掴め 新しい 未来描くために!昔の人から学んでいこう 今新しい 世界へと 飛び立ち行こう この手で未来掴むため!
「リーニャさん、もう少しかもしれません。五右衛門さんのあの様子……明らかに最初とは違います」
【エンジェルネスト】の雨宮 いつきはリーニャ・クラフレットにそう声をかけた。
ここで頑張れば、五右衛門に影響を与えるノイズを払えるかもしれない。
そんな雰囲気が感じられたのだ。
「そうだねいつきくん! 天使さんライブ、最後まで頑張ろうね!」
メレティエレガントを身に着けたリーニャといつきは、背中に小さな翼を生やし、ステージに降り立つ。
2人のライブは、「芸能界の人々に、歌を以って天国へ行ける清い魂の育み方を啓蒙に来た天使」…という設定で行われるようだ。
そして、いつきがシュネームジークの雪を降らせ、リーニャが五右衛門に向けて語りかける。
「五右衛門さん! そんな独りよがりな面白さは、楽しさは! 絶対に広まんないんだよ! もう、分かったでしょ?」
五右衛門は何かいいたげな顔でリーニャを見ている。
もう少しだ。
そう思いながら、リーニャは言葉を続けた。
「強盗殺人なんてしたらどんどん犠牲が増えて…すぐに楽しんでる人より悲しんでる人のが多くなるの! だから私達のライブでそんな事を広めるのは阻止させてもらうの!」
「五右衛門さん聞いてください! 今日は僕達天使隊がワクワク笑顔を広めてあげます!」
いつきはエアロポルタティフの鍵盤を呼び出し、演奏を始める。
降りしきる雪が、リーニャのエタニティシャインの光できらきらと輝いていた。
(みんな、心を静かに落ち着けて。私達が、ノイズさんをなくしてキレイにしてあげる!)
木漏れ日ギターを奏で、リーニャは演奏で観客や五右衛門に語りかける。
そして、いつきもエアロポルタティフを演奏しながら歌声を響かせた。
(清い魂は笑顔に宿る。そして笑顔は笑顔を呼ぶのです。皆の笑顔を願って歌えば、僕もあなたも皆もハッピーです!)
――そうでしょう、五右衛門さん?
いつきが五右衛門の方を見ると、五右衛門は自分の中の何かと戦っているような雰囲気に見えた。
弟分の鼠小僧やアイドルたちの呼びかけにより「昔の自分に戻りたい」という思いが芽生えているのかもしれない。
だが、それを望まないバビプロのアイドルたちや事務所関係者もまた、「今の」五右衛門の仲間なのだ。
両者の板挟みになっているのである。
(リーニャさん)
(うん、そうだねいつきくん。ここからラストスパートだよ!)
おいで、といつきを誘い、リーニャはアポロンズフィールドの光のステージを出現させ、空へと浮かび上がらせた。
曲調が激しくなり、ライブが盛り上がっていく。
2人の頭上には、エタニティサンシャインの光の花が弾ける。
そしてステージは、五右衛門の方へとゆっくり近づいた。
「ねえねえ、五右衛門さん! 世界をもっと面白くしたいんでしょ?」
リーニャは五右衛門に手を差し伸べる。
「ならさ、ほら! 今からでも一緒に、皆を幸せに出来るライブしようよ!」
「あたしは……でも」
「しっかりしてください五右衛門さん! 思い出してください! あなたは『弱きを助け、強きを挫く』、そういう矜持を持ち合わせていたから、泥棒ではなく義賊と呼ばれていたんでしょう!」
いつきが五右衛門の手をぐいとつかみ、ステージへと引き上げた。
迷いを断ち切らなければならない。
そう、いつきは五右衛門を叱咤した。
「盗む事そのものに楽しみを見出していたのだとしても、あなたが一番楽しみにしていたのは市井の人々の笑顔なんじゃないんですか? 目を覚ましてください! 『弱きを挫き、強きが嗤う』ような事を、あなたがやっちゃいけないんです!」
世界を楽しくしたいという五右衛門の思いは間違っていない。
だから、一緒にその方法をこれから見つけていけばいい。
ライブに誘い、そう語りかけるいつきとリーニャの言葉は、五右衛門の心に深く染み入ったようだった。