みんなでレッツ犯罪!? バビフェス開催!
リアクション公開中!
リアクション
五右衛門は対戦相手のアイドルたちとのライブを楽しみつつあった。
しかし、バビプロはこの事態に黙っていなかった。
「五右衛門、何をしているんだ! お前の目的を忘れるな!」
「そうだ! この場所に何のために来ているか忘れたなんて言わせないぞ!」
ギャラリーから、そしてステージの上からバビプロのアイドルたちが五右衛門をそちら側に引き戻そうと働きかける。
その声やパフォーマンスに、五右衛門の心はぐらついているようだった。
「あたしは……この会場で……強盗殺人を……そうだよねぇ、そうだった」
揺らぎかけていた心も、仲間の声に引き戻されてしまう。
完全に犯罪ライブをやめさせるにはさらに強い働きかけが必要に見えた。
(これではまだ…強盗殺人が起こってしまいますわ。いいでしょう、受けて立ちますわ)
【頑健ウーマン】ロレッタ・ファーレンハイナーは体を張って五右衛門に立ち向かう事にした。
誰かが一度標的にならなければならないと思ったのだ。
(観客に死傷者が出るかもしれないなんて耐えられませんわ。ならばいっそ……強盗殺人される側になって、食い止めてしまいましょう。五右衛門様、いかがかしら? ねらうなら……強盗殺人しがいのある相手がよろしいのではありませんこと?)
ゴージャスな金の装飾のある衣装を着たロレッタは天帰扇を翻しながら、高貴な振る舞いで五右衛門の目の前を歩いた。
狙うなら、自分を。
そう挑発するロレッタに五右衛門が近づいていく。
「へぇ……いい服着てるじゃないの、それは五右衛門様がいただいたぁあ!!」
「引っかかりましたわね。そうはいきませんわ」
飛びかかってきた五右衛門にロレッタが翳したのは「神々のイエローカード」である。
五右衛門の頭上にはべんっ、と大きな金盥が降ってきた。
「窃盗失敗は盗賊の名折れでしょう。さぁ、かかっていらっしゃいませ!」
「まっ、待ちやがれ!」
ステージに上り、ダンスパフォーマンスを始めるロレッタを五右衛門が追う。
ロレッタはステージ上で五右衛門の動きをすばやくかわしながら、赤と黄色の花火が乱れ咲かせ、五右衛門に向けて繰り出した。
「五右衛門様は、どうしてこんな過激な芸能を司ることになったのでしょうか? わたくしでよければお話聞きますわよ?」
会話をして時間を稼ごうとするロレッタだが、五右衛門の手元には小刀があり、この試みは危険に見えた。
この様子を見ながら死 雲人は鼠小僧に「どうしたい?」と問いかけた。
「あいつは闇を背負ってる。助けてほしいか?」
「も、もちろんでゲス雲人さん! あんな姉貴、これ以上見たくねえでゲス! 助けてくだせえ!」
「なら行こう。花子もそこで見てろよ?」
ステージに出ていく雲人に、木 花子が「頑張ってください、雲人先輩」と声をかける。
アポロンズフィールドで光のステージを展開した雲人は、タミュラス・ショルダーリラを奏で、五右衛門に向けて音を奏で始めた。
(強盗殺人を広める? これで悪役気取りか? ならば五右衛門、俺はお前の心に『絶望』を広めてやろう。俺はハーレムを芸能界に認めさせる。そのためにも、お前と戦わなければならない)
そして、雲人は仕掛ける。
(孤独と飽きとの繰り返しの絶望だ。犯罪を行おうと考える程、お前の絶望が増加するようにな!)
歪んだ音を繰り出し、五右衛門へと働きかける雲人のステージの周囲にはスモークのようにもやがかかる。
そして五右衛門は、たった1人で孤独な真っ暗な空間に立ち、足元には幾つかの校長マスコットがあるのみ、という異様な幻想空間に飲み込まれた。
「なっ、なにこれ! 何なのこのへんなぬいぐるみ! 暗いし狭いし、なんかあとすっごくシュールなんだけどっ!」
五右衛門は「出せー! 出せー!」と騒いでいる。
さらに雲人はノイズを払うライブを行いながら、ウェイクフレンドで大量の校長マスコットを操り、五右衛門へとけしかけた。
「わははははは! 狭いし、暗いし、そしてだんだん飽きてくるだろう! 皆がお前を嘲笑っているぞ!」
アポロンズフィールドの幻想の中にいる五右衛門は自分を笑う観客の声を聞いていた。
そして、飛びかかってくる校長マスコットを攻撃する度に「復讐だ、復讐だ」という恨みの念を受けた。
「あ、あの雲人先輩……ちょっとかわいそうです、これは流石に」
最後は花子のそんな声を聞き、雲人はライブを終えた。
だが、五右衛門はこれによりかなりのエネルギーを消耗したようだ。
「おやちょうどいい。そのまま、私のライブも観てくれたまえ」
キング・デイヴィソンはぐったりしている五右衛門の前に立った。
『五右衛門、君のノイズはちょっと危険過ぎる。アイドルらしく、ライブで決着をつけようじゃないか』
真っ白なスポットライト・ドレスの効果で自分の周囲に光を集めながら、キングはネプチューンエコーを手にする。
そしてステージに立ち、「W FISSION」を歌い始めた。
観客の頭上には、シュネームジークの雪がはらはらと降り積もる。
白と黒 二つの姿はどこに見えるのだろう 進むべき道の先に
答えを探して まるでコインの裏表って皮肉っぽく言われるの
自分の歌を聞いている五右衛門を、キングは挑発的に見つめる。
(分かるか。この曲は相反する二つ、どちらも大切だということを歌う曲だ。それから「正しくあろうとする心」……それが今の君たち、バビプロにはないものだ。このライブで君に伝えよう)
曲がサビに入る前に、キングはエタニティシャインの光をステージに溢れさせた。
そして、手にしていた小さな銀貨を弾き、五右衛門を挑発する。
(これは君の銀貨だろう? 実演なら私にやってみせなよ)
五右衛門は迷っていた。
だが、バビプロのアイドルたちは「やってしまえ!」とその背後から五右衛門を煽る。
その声に操られるように立ち上がり、五右衛門はキングに飛びかかった。
「そいつは……あたしのだ!」
ステージに血が飛び、振りかざされた小刀はキングの肩に浅く刺さった。
観客の悲鳴が響く。
しかし、やってしまってから事の重大さに気づいたのだろう。
五右衛門の手は震え、血のついた小刀がステージに落ちた。
(あたし…あたしは…)
(おいおい、泣き出さないでくれたまえよ? これくらい、大したことはない)
キングは苦痛を堪えながら、五右衛門に微笑みかけた。
(それに、ライブは終わっていないんだ。まだ曲は、ここからだろう?)
アポロンズフィールドの光のステージに五右衛門を乗せ、キングはそのまま浮かび上がる。
そして観客と五右衛門の心に語りかけるように歌声を響かせた。
本当はきっと ビー玉見たいにひとつ交差してるはず 二つはひとつ
どちらが合ってる? なんてない ただ心が求めるまま 誰かのため それが正くあること
(君は自分の為でなく、貧しい人の為に泥棒をしていたのだろう? 皆の為に心が正しくあろうとして君を動かしたんだ、違うか?)
キングはライブを通し、そう五右衛門に語りかけたのだった。
五右衛門の心がぐらついている。
その時、頭上には一機のミニ飛行艇が近づいていた。
「準備はいいか、鼠小僧」
「もちろんでゲス! それでは始めるでゲスよ八玖斗さん!」
龍造寺 八玖斗の飛行艇に乗った鼠小僧は、観客と五右衛門の頭上に小判を降らせる。
そして飛行艇に注目が集まる中、八玖斗がライブ開始を宣言した。
「さあ、本物の石川五右衛門様と鼠の推参だっ!」
盗賊風衣装に身を包んだ八玖斗が鼠小僧と共にステージに降り立つ。
五右衛門は「本物とはどういう事だ」と声を上げた。
「石川五右衛門はこのあたし……!」
「ふーん? そんなこと言って、お前は全部の五右衛門に会ったのか? お前を気に食わない五右衛門も居るだろ」
八玖斗はひるまずにハッタリを決め込んだ。
「偉ぶる強きを挫き、世の中をスカッとさせるのが石川五右衛門。本物なら弱い奴らに手は出さねえよな?」
違うのか?
そう五右衛門を挑発し、八玖斗は周囲に氷の森を展開した。
「荒む心が誘惑で魔が差し、世知辛さに空気も凍える…」
舞を披露し始める八玖斗。
さらに、ボルテージが上がってきたところで舞に乗じて氷の木を破壊する。
「日頃の鬱憤爆発させて暴れて許されるのは喧嘩祭…さあ、祭の始まりだ!」
そう宣言し、八玖斗は鼠小僧と一緒になって「狂騒祭」を歌い踊る。
さらに歌詞の中にこんな言葉を紛れ込ませた。
「悪事なんてバレたら終わり 終わる覚悟無いなら 今宵この日のお祭り騒ぎ 世迷い事に耳貸す前に 全て忘れて踊り騒ぎっ!」
炎の衝撃波で観客を盛り上げながら、八玖斗はアンチテーゼ・ノイズを歌に乗せる。
そして最後は、猛獣の幻影を踊らせながら、天帰扇を高く放り上げた。
「祭の狂騒利用し 今宵の日輪と客の心も…」
光を放ち、落ちてきた扇が八玖斗の手へと戻る。
「盗んでやるぜ!」
会場に響き渡る歓声をバックに、八玖斗は不敵に笑う。
戸惑う五右衛門に対し、「この熱狂、超えれるか石川の?」と――。
(五右衛門の顔つきが変わってきたな……でもまだ、油断はできねえよな?)
春瀬 那智は夜会服――黒蝶の誘いを翻しながら、ステージ上に靴音のみを響かせる。
天帰扇を手にし踊るのはタップダンスだ。
(分かってるか? 世界中に犯罪が広まったら、お前らだって被害に遭うんだぜ? 俺たちのライブで、目、覚まさせてやるよ)
アンチテーゼ・ノイズに乗せて、那智はライブを開始する。
ノイズが薄まるのを待って、ジュヌヴィエーヴ・イリア・スフォルツァもステージに立った。
そして那智がステージ上にグルービィグラフィティによる「星の道」を描き出すのを待って、アポロンズフィールドで光のステージを浮かび上がらせた。
(アイドルは、皆さんに幸せを与えて、笑顔にできるとても素晴らしい存在なのですわ。それなのに悪いことを楽しむ世界にしようなんて……そんな悲しいこと、絶対にさせてはいけません)
ステージに立ち、ジュヌヴィエーヴはバビプロのアイドルたちを見つめる。
(世界中の皆様のためにも……何より、あの人たちご自身のためにも!)
ネプチューンエコーを手にジュヌヴィエーヴが歌うのは「Smile Magic」である。
笑顔を自分たちのライブに込めて。
ジュヌヴィエーヴは一音一音を大切に、歌声を響かせた。
(ライブを見た皆様が、わたくしや騎士様向けて下さる笑顔や応援で、わたくし達はもっともっと輝けるのです)
歌いながら、ジュヌヴィエーヴも観客に笑顔を返す。
その周囲では、幼生神獣の「ムジカ」も歌う。
(バビプロの方たちにも、この喜びを知っていただけますように)
ジュヌヴィエーヴが出現させたステージの上で、那智もダンスを踊りながらアンチテーゼ・ノイズを続けている。
そして、沸き返る観客とコール&レスポンスでコミュニケーションをとる。
「本番はこれからだぜ? ――Do you like Music?」
ニッと笑って那智はバビプロのアイドルたちの方を見た。
ムジカはそちらに近づき、ぐいぐいと彼らの服を引っ張った。
一緒に歌おうというのだ。
「皆様も、わたくしたちと“音”を“楽”しみませんか?」
ジュヌヴィエーヴがそう言って誘い、アポロンズフィールドのステージを彼らの方へと移動させる。
言われるがまま、アイドルたちはステージの上に乗った。
「よし、来たな! ……こっちの方が、ずっとワクワクして楽しいだろ?」
ヴィクトリーフォールの紙吹雪を振り撒きながら、那智はディスコフライヤーで自分たちやバビプロのアイドルたちの姿を照らす。
そして最後は、天帰扇を高く打ち上げてライブを終えたのだった。
しかし、バビプロはこの事態に黙っていなかった。
「五右衛門、何をしているんだ! お前の目的を忘れるな!」
「そうだ! この場所に何のために来ているか忘れたなんて言わせないぞ!」
ギャラリーから、そしてステージの上からバビプロのアイドルたちが五右衛門をそちら側に引き戻そうと働きかける。
その声やパフォーマンスに、五右衛門の心はぐらついているようだった。
「あたしは……この会場で……強盗殺人を……そうだよねぇ、そうだった」
揺らぎかけていた心も、仲間の声に引き戻されてしまう。
完全に犯罪ライブをやめさせるにはさらに強い働きかけが必要に見えた。
(これではまだ…強盗殺人が起こってしまいますわ。いいでしょう、受けて立ちますわ)
【頑健ウーマン】ロレッタ・ファーレンハイナーは体を張って五右衛門に立ち向かう事にした。
誰かが一度標的にならなければならないと思ったのだ。
(観客に死傷者が出るかもしれないなんて耐えられませんわ。ならばいっそ……強盗殺人される側になって、食い止めてしまいましょう。五右衛門様、いかがかしら? ねらうなら……強盗殺人しがいのある相手がよろしいのではありませんこと?)
ゴージャスな金の装飾のある衣装を着たロレッタは天帰扇を翻しながら、高貴な振る舞いで五右衛門の目の前を歩いた。
狙うなら、自分を。
そう挑発するロレッタに五右衛門が近づいていく。
「へぇ……いい服着てるじゃないの、それは五右衛門様がいただいたぁあ!!」
「引っかかりましたわね。そうはいきませんわ」
飛びかかってきた五右衛門にロレッタが翳したのは「神々のイエローカード」である。
五右衛門の頭上にはべんっ、と大きな金盥が降ってきた。
「窃盗失敗は盗賊の名折れでしょう。さぁ、かかっていらっしゃいませ!」
「まっ、待ちやがれ!」
ステージに上り、ダンスパフォーマンスを始めるロレッタを五右衛門が追う。
ロレッタはステージ上で五右衛門の動きをすばやくかわしながら、赤と黄色の花火が乱れ咲かせ、五右衛門に向けて繰り出した。
「五右衛門様は、どうしてこんな過激な芸能を司ることになったのでしょうか? わたくしでよければお話聞きますわよ?」
会話をして時間を稼ごうとするロレッタだが、五右衛門の手元には小刀があり、この試みは危険に見えた。
この様子を見ながら死 雲人は鼠小僧に「どうしたい?」と問いかけた。
「あいつは闇を背負ってる。助けてほしいか?」
「も、もちろんでゲス雲人さん! あんな姉貴、これ以上見たくねえでゲス! 助けてくだせえ!」
「なら行こう。花子もそこで見てろよ?」
ステージに出ていく雲人に、木 花子が「頑張ってください、雲人先輩」と声をかける。
アポロンズフィールドで光のステージを展開した雲人は、タミュラス・ショルダーリラを奏で、五右衛門に向けて音を奏で始めた。
(強盗殺人を広める? これで悪役気取りか? ならば五右衛門、俺はお前の心に『絶望』を広めてやろう。俺はハーレムを芸能界に認めさせる。そのためにも、お前と戦わなければならない)
そして、雲人は仕掛ける。
(孤独と飽きとの繰り返しの絶望だ。犯罪を行おうと考える程、お前の絶望が増加するようにな!)
歪んだ音を繰り出し、五右衛門へと働きかける雲人のステージの周囲にはスモークのようにもやがかかる。
そして五右衛門は、たった1人で孤独な真っ暗な空間に立ち、足元には幾つかの校長マスコットがあるのみ、という異様な幻想空間に飲み込まれた。
「なっ、なにこれ! 何なのこのへんなぬいぐるみ! 暗いし狭いし、なんかあとすっごくシュールなんだけどっ!」
五右衛門は「出せー! 出せー!」と騒いでいる。
さらに雲人はノイズを払うライブを行いながら、ウェイクフレンドで大量の校長マスコットを操り、五右衛門へとけしかけた。
「わははははは! 狭いし、暗いし、そしてだんだん飽きてくるだろう! 皆がお前を嘲笑っているぞ!」
アポロンズフィールドの幻想の中にいる五右衛門は自分を笑う観客の声を聞いていた。
そして、飛びかかってくる校長マスコットを攻撃する度に「復讐だ、復讐だ」という恨みの念を受けた。
「あ、あの雲人先輩……ちょっとかわいそうです、これは流石に」
最後は花子のそんな声を聞き、雲人はライブを終えた。
だが、五右衛門はこれによりかなりのエネルギーを消耗したようだ。
「おやちょうどいい。そのまま、私のライブも観てくれたまえ」
キング・デイヴィソンはぐったりしている五右衛門の前に立った。
『五右衛門、君のノイズはちょっと危険過ぎる。アイドルらしく、ライブで決着をつけようじゃないか』
真っ白なスポットライト・ドレスの効果で自分の周囲に光を集めながら、キングはネプチューンエコーを手にする。
そしてステージに立ち、「W FISSION」を歌い始めた。
観客の頭上には、シュネームジークの雪がはらはらと降り積もる。
白と黒 二つの姿はどこに見えるのだろう 進むべき道の先に
答えを探して まるでコインの裏表って皮肉っぽく言われるの
自分の歌を聞いている五右衛門を、キングは挑発的に見つめる。
(分かるか。この曲は相反する二つ、どちらも大切だということを歌う曲だ。それから「正しくあろうとする心」……それが今の君たち、バビプロにはないものだ。このライブで君に伝えよう)
曲がサビに入る前に、キングはエタニティシャインの光をステージに溢れさせた。
そして、手にしていた小さな銀貨を弾き、五右衛門を挑発する。
(これは君の銀貨だろう? 実演なら私にやってみせなよ)
五右衛門は迷っていた。
だが、バビプロのアイドルたちは「やってしまえ!」とその背後から五右衛門を煽る。
その声に操られるように立ち上がり、五右衛門はキングに飛びかかった。
「そいつは……あたしのだ!」
ステージに血が飛び、振りかざされた小刀はキングの肩に浅く刺さった。
観客の悲鳴が響く。
しかし、やってしまってから事の重大さに気づいたのだろう。
五右衛門の手は震え、血のついた小刀がステージに落ちた。
(あたし…あたしは…)
(おいおい、泣き出さないでくれたまえよ? これくらい、大したことはない)
キングは苦痛を堪えながら、五右衛門に微笑みかけた。
(それに、ライブは終わっていないんだ。まだ曲は、ここからだろう?)
アポロンズフィールドの光のステージに五右衛門を乗せ、キングはそのまま浮かび上がる。
そして観客と五右衛門の心に語りかけるように歌声を響かせた。
本当はきっと ビー玉見たいにひとつ交差してるはず 二つはひとつ
どちらが合ってる? なんてない ただ心が求めるまま 誰かのため それが正くあること
(君は自分の為でなく、貧しい人の為に泥棒をしていたのだろう? 皆の為に心が正しくあろうとして君を動かしたんだ、違うか?)
キングはライブを通し、そう五右衛門に語りかけたのだった。
五右衛門の心がぐらついている。
その時、頭上には一機のミニ飛行艇が近づいていた。
「準備はいいか、鼠小僧」
「もちろんでゲス! それでは始めるでゲスよ八玖斗さん!」
龍造寺 八玖斗の飛行艇に乗った鼠小僧は、観客と五右衛門の頭上に小判を降らせる。
そして飛行艇に注目が集まる中、八玖斗がライブ開始を宣言した。
「さあ、本物の石川五右衛門様と鼠の推参だっ!」
盗賊風衣装に身を包んだ八玖斗が鼠小僧と共にステージに降り立つ。
五右衛門は「本物とはどういう事だ」と声を上げた。
「石川五右衛門はこのあたし……!」
「ふーん? そんなこと言って、お前は全部の五右衛門に会ったのか? お前を気に食わない五右衛門も居るだろ」
八玖斗はひるまずにハッタリを決め込んだ。
「偉ぶる強きを挫き、世の中をスカッとさせるのが石川五右衛門。本物なら弱い奴らに手は出さねえよな?」
違うのか?
そう五右衛門を挑発し、八玖斗は周囲に氷の森を展開した。
「荒む心が誘惑で魔が差し、世知辛さに空気も凍える…」
舞を披露し始める八玖斗。
さらに、ボルテージが上がってきたところで舞に乗じて氷の木を破壊する。
「日頃の鬱憤爆発させて暴れて許されるのは喧嘩祭…さあ、祭の始まりだ!」
そう宣言し、八玖斗は鼠小僧と一緒になって「狂騒祭」を歌い踊る。
さらに歌詞の中にこんな言葉を紛れ込ませた。
「悪事なんてバレたら終わり 終わる覚悟無いなら 今宵この日のお祭り騒ぎ 世迷い事に耳貸す前に 全て忘れて踊り騒ぎっ!」
炎の衝撃波で観客を盛り上げながら、八玖斗はアンチテーゼ・ノイズを歌に乗せる。
そして最後は、猛獣の幻影を踊らせながら、天帰扇を高く放り上げた。
「祭の狂騒利用し 今宵の日輪と客の心も…」
光を放ち、落ちてきた扇が八玖斗の手へと戻る。
「盗んでやるぜ!」
会場に響き渡る歓声をバックに、八玖斗は不敵に笑う。
戸惑う五右衛門に対し、「この熱狂、超えれるか石川の?」と――。
(五右衛門の顔つきが変わってきたな……でもまだ、油断はできねえよな?)
春瀬 那智は夜会服――黒蝶の誘いを翻しながら、ステージ上に靴音のみを響かせる。
天帰扇を手にし踊るのはタップダンスだ。
(分かってるか? 世界中に犯罪が広まったら、お前らだって被害に遭うんだぜ? 俺たちのライブで、目、覚まさせてやるよ)
アンチテーゼ・ノイズに乗せて、那智はライブを開始する。
ノイズが薄まるのを待って、ジュヌヴィエーヴ・イリア・スフォルツァもステージに立った。
そして那智がステージ上にグルービィグラフィティによる「星の道」を描き出すのを待って、アポロンズフィールドで光のステージを浮かび上がらせた。
(アイドルは、皆さんに幸せを与えて、笑顔にできるとても素晴らしい存在なのですわ。それなのに悪いことを楽しむ世界にしようなんて……そんな悲しいこと、絶対にさせてはいけません)
ステージに立ち、ジュヌヴィエーヴはバビプロのアイドルたちを見つめる。
(世界中の皆様のためにも……何より、あの人たちご自身のためにも!)
ネプチューンエコーを手にジュヌヴィエーヴが歌うのは「Smile Magic」である。
笑顔を自分たちのライブに込めて。
ジュヌヴィエーヴは一音一音を大切に、歌声を響かせた。
(ライブを見た皆様が、わたくしや騎士様向けて下さる笑顔や応援で、わたくし達はもっともっと輝けるのです)
歌いながら、ジュヌヴィエーヴも観客に笑顔を返す。
その周囲では、幼生神獣の「ムジカ」も歌う。
(バビプロの方たちにも、この喜びを知っていただけますように)
ジュヌヴィエーヴが出現させたステージの上で、那智もダンスを踊りながらアンチテーゼ・ノイズを続けている。
そして、沸き返る観客とコール&レスポンスでコミュニケーションをとる。
「本番はこれからだぜ? ――Do you like Music?」
ニッと笑って那智はバビプロのアイドルたちの方を見た。
ムジカはそちらに近づき、ぐいぐいと彼らの服を引っ張った。
一緒に歌おうというのだ。
「皆様も、わたくしたちと“音”を“楽”しみませんか?」
ジュヌヴィエーヴがそう言って誘い、アポロンズフィールドのステージを彼らの方へと移動させる。
言われるがまま、アイドルたちはステージの上に乗った。
「よし、来たな! ……こっちの方が、ずっとワクワクして楽しいだろ?」
ヴィクトリーフォールの紙吹雪を振り撒きながら、那智はディスコフライヤーで自分たちやバビプロのアイドルたちの姿を照らす。
そして最後は、天帰扇を高く打ち上げてライブを終えたのだった。