みんなでレッツ犯罪!? バビフェス開催!
リアクション公開中!
リアクション
ステージに立つバビプロのアイドルたちに向かって勝負を仕掛ける者がいる一方、そのライブに影響されて犯罪に走る者を止めようと働きかけた者たちもいた。
天地 和もその1人である。
「リーチ!」
「ま、まさか!」
「やっ…やられたぁ!」
ざわつく会場内に響くのは何故か、ジャラジャラという雀牌の音と、雀卓を囲む人々の声であった。
和は立直(リーチ)スピナーを手に「打て、宇宙雀士!」を歌いながら、完全に彼らを操っている。
「さあ、もうひと勝負いこうよ! キミたちが盗みを芸術だと呼ぶのなら、わたしから麻雀で勝利を盗みとってみよー!」
「ま、まだやるの…?!」
「んー? だって、キミたちはスリや泥棒の志願者でしょ? これから犯罪ムーブメントを起こそうとしてる人たちが、まさか麻雀の勝利は盗めないって認めるのかな~?」
雀牌をきりながら、和はそう言って場の者たちを挑発する。
実はさっきの勝負、麻雀ライブに乗じて若干の「イカサマ」を紛れ込ませたのだが……プレイしていた者たちは気づかなかったらしい。
(さて今度は、ちょっと気持ちよくさせてあげようかな)
アッパーコントロールを仕掛け、勝たせたり負けさせたりしながら和は「ライブ」を続ける。
「くーっ!? やっぱりプロが相手じゃ連勝は難しいかぁ…! だけど諦めないよっ! 最後にもうひと勝負!」
場が大いに盛り上がり、相手が大いに夢中にいるのを和は感じていた。
(魅せるイカサマは素敵な犯罪芸術、でしょ? じゃあ、最後は必殺……「燕返し」!)
手牌が一気に入れ替わり、勝負がひっくり返る大イカサマが発動。
驚く対戦相手たちを見て、和はけらけらと楽しそうに笑っていた。
「この五右衛門様のライブを邪魔してくれちゃって……そろそろ黙ってもいられないよねぇ」
観客が自分たち以外のライブに注目し始めたのを見て、五右衛門を始めとするバビプロのメンバーは焦り始めていた。
彼らは楽器やマイクを手に、強行に犯罪ライブを再開しようとする。
だが、渋谷 柚姫はそこに乱入するようにしてステージに降り立った。
『この世に正義がある限り、悪が栄えた試しなし……かかって来い、悪党ども!』
ブレッシングマイクを手にした柚姫は、スポットライトの光を浴びながら、ステージ上に大きく足を広げて立つ。
そして右足を前に出すと、ステラブレードを振りかざし、バビプロのアイドルたちを「カモン、ヴィランズ」と挑発した。
歌うのは、アンチテーゼ・ノイズに乗せたヒーロー物やロボットアクションアニメのような熱い曲であった。
「ちょっとちょっと? 剣なんて持ち出して、どういうつもり?」
柚姫の荒っぽいステージを見て、バビプロのアイドル達は真っ向勝負を挑まれたと感じたらしい。
五右衛門が数枚のコインを手の上でトスしながら柚姫に近づいてきた。
「まさかお前…この五右衛門様に喧嘩を売ろうっていうの?」
ピン、と投げられた金色のものが柚姫のマイクに跳ね返る。
ステラブレードを構えてそれを防ぎながら、柚姫は「違うよ」と言った。
『かかって来いってそういう意味じゃないよ。演出…だから、アイドルなんだから歌で勝負しようよ、ってこと』
「ふーん?」
ちゃらちゃらとコインを弄び、「まぁいいけど」と言って五右衛門はバビプロのアイドルたちのところへ戻っていった。
そんな中、相沢 涼は女装し、ステージ下の男性たちを挑発し始めた。
『リア充爆発、なんてやめませんか? やめてくれたら……私がデートしてあげます♪』
青と白の長いリボンが付いたハンドマイクを手に、暖かな光の中でそう声をかける涼を見て、大勢の男達が沸き返る。
どうやら女装とは気づいていないらしい。
(自分から進んで女装なんかしたくないけど……これもバビロン芸能事務所の野望を阻止するため! だから今回も一肌脱いで……いや、一肌着るべきなんだ)
そう自分に言い聞かせながら、涼は笑顔で観客にアピールすることに努め、「スイートドリーム」を歌い続ける。
恋心を聴く者たちの心に抱かせるように……。
涼の背後にはやがて、喫茶店の風景が浮かび上がる。
(私はれっきとした男性……でも、今だけの幻という事で、いいですよね?)
ターゲットに選んだ男の観客はみんな涼の歌に聞き惚れながら、2人きりでデートしているかのような幻想の中にいる。
どうやらこの試みは成功のようだ。
(リア充を爆発させようとする人達か…大概そういう人はモテないことに対する僻みがあるんだよね)
ライブを続けながら、涼はそんな事を考えていた。
(僕は何故か同性にばっかモテるから、女性にモテなくて辛いっていう気持ちも分からなくないかな。でも、自分がモテないからって、恋人居る人に八つ当たりするのは良くないよね…?)
その時、ステージの上空に何かの影がゆっくりと現れた。
現れたのは矢野 音羽のミニ飛行艇――そこには木 花子が一緒に乗り、歌声を響かせていた。
(花子さんありがとう。花子さんの歌声なら、きっと皆の心に響くと思うから心強いわ)
音羽はアンチテーゼ・ノイズに乗せ、運命の鍵盤を奏で続ける。
観客が盛り上がっていくと、飛行艇の周囲にはエタニティシャインの鮮やかな光の花が開き、会場を彩った。
(頑張り…ましょうね、音羽先輩。私も最後まで…歌い続けますから!)
花子は歌いながら、音羽にそう目で語る。
ゆっくりと飛行艇が飛んでいくその下では、白波 桃葉が鼠小僧と一緒にパフォーマンスで観客を盛り上げていた。
「さぁ、ここからよ鼠小僧! 私達のライブでノイズなんか吹っ飛ばしてやりましょう!」
「もちろんでゲス、桃葉さん! あっしらの熱い想いを五右衛門の姉貴たちに叩きつけてやるでゲスよ!」
鼠小僧がステージの前へと飛び出していく桃葉の背中を押す。
音羽の演奏と花子の歌に合わせ、激しいダンスを繰り出す桃葉の周囲には情熱的な炎が纏った。
(私達の役目は要するに、自分の好き勝手で犯罪するよりも楽しい、って思えるライブを魅せることでしょ?)
ダンスを踊りながら、桃葉はそんな事を考える。
そして自分の心をそのパフォーマンスに込め、さらに高まっていく情熱を観客に向けてアピールする。
(まぁ、私達だけで五右衛門のノイズが完全に払えなくても……せめて観客の心だけは完全に奪っちゃわないとね☆)
ライブの終盤、桃葉はステージを駆け回り、赤と黄色の花火が乱れ咲くド派手な演出で観客をさらに沸き返らせた。
さらに、バビプロのアイドル達がその様子に呆気にとられているのを見ると、ワンウィングスケボに乗った桃葉は一気に五右衛門の傍まで接近した。
(クライマックスよ、桃葉。頑張って!)
(桃葉先輩……いっちゃってください!)
上空の音羽と花子も見守っている。
さらに、ステージ上の鼠小僧はニヤリと笑う。
(姉貴…きっとびっくりするでゲスよ)
スケボが浮かび上がる数秒、五右衛門に近づけるだけ近づいた桃葉は、その目の前にぱぁん、と何かを破裂させた。
驚く五右衛門。
ステージ上には銀テープが飛び出し、きらきらと舞った。
(ねぇ五右衛門、1人で楽しい?)
元いた場所に戻った桃葉は、対面のステージにいる五右衛門をじっと見つめた。
(1人で良いなら何で評価を気にしてんの? 人を傷つけ悲しませてまで評価欲しいのって、人に認めてもらいたいからじゃないの? 忘れないで。命を奪う相手にも大切な人が居るし、アナタにもアナタを大切に想ってくれてる人が居るの)
桃葉が鼠小僧を振り返ると、彼もまた複雑な表情で五右衛門の方を見つめていた。
天地 和もその1人である。
「リーチ!」
「ま、まさか!」
「やっ…やられたぁ!」
ざわつく会場内に響くのは何故か、ジャラジャラという雀牌の音と、雀卓を囲む人々の声であった。
和は立直(リーチ)スピナーを手に「打て、宇宙雀士!」を歌いながら、完全に彼らを操っている。
「さあ、もうひと勝負いこうよ! キミたちが盗みを芸術だと呼ぶのなら、わたしから麻雀で勝利を盗みとってみよー!」
「ま、まだやるの…?!」
「んー? だって、キミたちはスリや泥棒の志願者でしょ? これから犯罪ムーブメントを起こそうとしてる人たちが、まさか麻雀の勝利は盗めないって認めるのかな~?」
雀牌をきりながら、和はそう言って場の者たちを挑発する。
実はさっきの勝負、麻雀ライブに乗じて若干の「イカサマ」を紛れ込ませたのだが……プレイしていた者たちは気づかなかったらしい。
(さて今度は、ちょっと気持ちよくさせてあげようかな)
アッパーコントロールを仕掛け、勝たせたり負けさせたりしながら和は「ライブ」を続ける。
「くーっ!? やっぱりプロが相手じゃ連勝は難しいかぁ…! だけど諦めないよっ! 最後にもうひと勝負!」
場が大いに盛り上がり、相手が大いに夢中にいるのを和は感じていた。
(魅せるイカサマは素敵な犯罪芸術、でしょ? じゃあ、最後は必殺……「燕返し」!)
手牌が一気に入れ替わり、勝負がひっくり返る大イカサマが発動。
驚く対戦相手たちを見て、和はけらけらと楽しそうに笑っていた。
「この五右衛門様のライブを邪魔してくれちゃって……そろそろ黙ってもいられないよねぇ」
観客が自分たち以外のライブに注目し始めたのを見て、五右衛門を始めとするバビプロのメンバーは焦り始めていた。
彼らは楽器やマイクを手に、強行に犯罪ライブを再開しようとする。
だが、渋谷 柚姫はそこに乱入するようにしてステージに降り立った。
『この世に正義がある限り、悪が栄えた試しなし……かかって来い、悪党ども!』
ブレッシングマイクを手にした柚姫は、スポットライトの光を浴びながら、ステージ上に大きく足を広げて立つ。
そして右足を前に出すと、ステラブレードを振りかざし、バビプロのアイドルたちを「カモン、ヴィランズ」と挑発した。
歌うのは、アンチテーゼ・ノイズに乗せたヒーロー物やロボットアクションアニメのような熱い曲であった。
「ちょっとちょっと? 剣なんて持ち出して、どういうつもり?」
柚姫の荒っぽいステージを見て、バビプロのアイドル達は真っ向勝負を挑まれたと感じたらしい。
五右衛門が数枚のコインを手の上でトスしながら柚姫に近づいてきた。
「まさかお前…この五右衛門様に喧嘩を売ろうっていうの?」
ピン、と投げられた金色のものが柚姫のマイクに跳ね返る。
ステラブレードを構えてそれを防ぎながら、柚姫は「違うよ」と言った。
『かかって来いってそういう意味じゃないよ。演出…だから、アイドルなんだから歌で勝負しようよ、ってこと』
「ふーん?」
ちゃらちゃらとコインを弄び、「まぁいいけど」と言って五右衛門はバビプロのアイドルたちのところへ戻っていった。
そんな中、相沢 涼は女装し、ステージ下の男性たちを挑発し始めた。
『リア充爆発、なんてやめませんか? やめてくれたら……私がデートしてあげます♪』
青と白の長いリボンが付いたハンドマイクを手に、暖かな光の中でそう声をかける涼を見て、大勢の男達が沸き返る。
どうやら女装とは気づいていないらしい。
(自分から進んで女装なんかしたくないけど……これもバビロン芸能事務所の野望を阻止するため! だから今回も一肌脱いで……いや、一肌着るべきなんだ)
そう自分に言い聞かせながら、涼は笑顔で観客にアピールすることに努め、「スイートドリーム」を歌い続ける。
恋心を聴く者たちの心に抱かせるように……。
涼の背後にはやがて、喫茶店の風景が浮かび上がる。
(私はれっきとした男性……でも、今だけの幻という事で、いいですよね?)
ターゲットに選んだ男の観客はみんな涼の歌に聞き惚れながら、2人きりでデートしているかのような幻想の中にいる。
どうやらこの試みは成功のようだ。
(リア充を爆発させようとする人達か…大概そういう人はモテないことに対する僻みがあるんだよね)
ライブを続けながら、涼はそんな事を考えていた。
(僕は何故か同性にばっかモテるから、女性にモテなくて辛いっていう気持ちも分からなくないかな。でも、自分がモテないからって、恋人居る人に八つ当たりするのは良くないよね…?)
その時、ステージの上空に何かの影がゆっくりと現れた。
現れたのは矢野 音羽のミニ飛行艇――そこには木 花子が一緒に乗り、歌声を響かせていた。
(花子さんありがとう。花子さんの歌声なら、きっと皆の心に響くと思うから心強いわ)
音羽はアンチテーゼ・ノイズに乗せ、運命の鍵盤を奏で続ける。
観客が盛り上がっていくと、飛行艇の周囲にはエタニティシャインの鮮やかな光の花が開き、会場を彩った。
(頑張り…ましょうね、音羽先輩。私も最後まで…歌い続けますから!)
花子は歌いながら、音羽にそう目で語る。
ゆっくりと飛行艇が飛んでいくその下では、白波 桃葉が鼠小僧と一緒にパフォーマンスで観客を盛り上げていた。
「さぁ、ここからよ鼠小僧! 私達のライブでノイズなんか吹っ飛ばしてやりましょう!」
「もちろんでゲス、桃葉さん! あっしらの熱い想いを五右衛門の姉貴たちに叩きつけてやるでゲスよ!」
鼠小僧がステージの前へと飛び出していく桃葉の背中を押す。
音羽の演奏と花子の歌に合わせ、激しいダンスを繰り出す桃葉の周囲には情熱的な炎が纏った。
(私達の役目は要するに、自分の好き勝手で犯罪するよりも楽しい、って思えるライブを魅せることでしょ?)
ダンスを踊りながら、桃葉はそんな事を考える。
そして自分の心をそのパフォーマンスに込め、さらに高まっていく情熱を観客に向けてアピールする。
(まぁ、私達だけで五右衛門のノイズが完全に払えなくても……せめて観客の心だけは完全に奪っちゃわないとね☆)
ライブの終盤、桃葉はステージを駆け回り、赤と黄色の花火が乱れ咲くド派手な演出で観客をさらに沸き返らせた。
さらに、バビプロのアイドル達がその様子に呆気にとられているのを見ると、ワンウィングスケボに乗った桃葉は一気に五右衛門の傍まで接近した。
(クライマックスよ、桃葉。頑張って!)
(桃葉先輩……いっちゃってください!)
上空の音羽と花子も見守っている。
さらに、ステージ上の鼠小僧はニヤリと笑う。
(姉貴…きっとびっくりするでゲスよ)
スケボが浮かび上がる数秒、五右衛門に近づけるだけ近づいた桃葉は、その目の前にぱぁん、と何かを破裂させた。
驚く五右衛門。
ステージ上には銀テープが飛び出し、きらきらと舞った。
(ねぇ五右衛門、1人で楽しい?)
元いた場所に戻った桃葉は、対面のステージにいる五右衛門をじっと見つめた。
(1人で良いなら何で評価を気にしてんの? 人を傷つけ悲しませてまで評価欲しいのって、人に認めてもらいたいからじゃないの? 忘れないで。命を奪う相手にも大切な人が居るし、アナタにもアナタを大切に想ってくれてる人が居るの)
桃葉が鼠小僧を振り返ると、彼もまた複雑な表情で五右衛門の方を見つめていた。