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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

みんなでレッツ犯罪!? バビフェス開催!

リアクション公開中!
みんなでレッツ犯罪!? バビフェス開催!

リアクション

「待て! お前達、今何をしようとした!」
 暴力沙汰の気配を感じた龍崎 宗麟は、にらみ合う2人の間に割って入った。
 今日はヒーロースーツではなく、私服である。
 どうやら、喧嘩が怒る一歩手前だったようだ。
「殴り合う気だったのか? なるほど、お前達は力が強い奴が正しいと思ってるようだな。なら、俺とやり合うか? ただ、俺は武器を使わせてもらうぞ」
 宗麟の手には、模造剣があった。
 それを見て、「喧嘩にそれはねえよ!」と慌てふためく2人の男。
 すると、宗麟はさらにこう言った。
「何だ? ズルいっていうのか? お前達、暴力をスポーツか何かと間違えてるのか。何でもありだろ。強い奴が正しいんだろ?」
 剣戟の声を響かせ、宗麟は威嚇するような動きを見せる。
「暴力に上も下もないんだ。暴力を振るう奴は皆、すでに負けている。誰にか? 自分の弱さにだ!」
 周囲の者たちにも聞こえるよう、宗麟は呼びかける。
 その声はアンチテーゼ・ノイズを含んでいた。
「お前達は皆、孤独だ。だって握り拳では握手ができないからな!」
 さらに宗麟は甘味 恋歌を指差す。
「お前達はここにいる恋歌が弱そうに見えたか? 違う! 恋歌はお前達の何万倍も強い! それは絆や愛の大切さを知ってるからだ。大切な仲間達と手を取り合い、いろんなものを作り上げてきたんだぜ。俺はそれをずっと見てきた…今の恋歌は最高に強いぞ!」
 オーバーチャームとブレッシングドレスを身に着けた恋歌は、ボリュームエフェクトに乗せて歌い始める。
 DF.スイートキーボードをお気に入りのマシュマロの感触設定にし、心を落ち着け、恋歌はエタニティシャインの光の下で宗麟の顔を見つめ、頷いてみせた。
(…リントヴルムのおかげで、怖い気持ちが和らぎました。もう大丈夫です)
 スムースバラディアに乗せて【ツヴァイ・リヒト】が披露したのはこんな歌だった。
 
 誰かを傷つけること
 それは本当に楽しいこと?
 上げた手を胸に当てて
 考えてみて

 皆 誰かの大切な人
 悲しむ人がいる

 誰かを傷つけるより
 大切にしよう
 手と手を繋いで
 友だちになろう

 一緒に歌って
 一緒に踊れば
 もっとずっと楽しいよ


 曲が終わると、宗麟がステージ上でくるん、とバク転を披露した。
 それと同時に、無重力状態にしたステージの上に宗麟と恋歌が浮き上がる。
「人の両手は誰かを殴るためにあるものじゃない。仲間と、友達と、大切な人と手を取り合うためだ!」
 恋歌と手を繋いだ宗麟は、フィギュアスケートのペア演技のように回転し、フィニッシュを決めた。

「その行為……悪いが止めさせてもらおう」
 堀田 小十郎は春風颯歩で人々の頭上を越えると、乱闘を起こしかけていた人々の間に割って入った。
 そしてシクレシィエンブレイスの影を伸ばし、暴れている者たちをすばやく捕獲する。
イザークスピカ、どうやら興奮しているようだ! 捕獲を手伝ってくれ!
「ああ、分かった。全く、ライブの真っ最中によくもここまで暴れてくれたものだな」
『そうですね。小十郎さん、こっちはボクとイザークさんに任せてください!』
 イザークの体からスピカの声も聞こえる。
 2人の協力を得て、小十郎は争いを治めにかかった。
(武を振るう……その意味をしかと噛みしめた上で、己が幻想〈ユメ〉を成すとしよう)
 どうやらこの乱闘は、窃盗をしようとした者同士の争いが原因で起きたようだ。
 標的とした「獲物」が被ったらしい。
 犯罪者が増えれば、そんな事も起きるのだ。
「窃盗に乱闘か……何を楽しいと感じるかは人の自由だ。…だがそれは、あのライブより本当に楽しいものか?」
 小十郎は取り押さえた者たちに問いかける。
 そしてそこに、睡蓮寺 陽介が「そうだぜ!」と割って入った。
「俺が本当のわくわくってやつを魅せてやるよ……小夜、俺らの芸能あいつらに届けるぜ!」
「はい、兄さん。誰かの笑顔を思えるような……そんなライブを皆に届けましょう……!」
 神獣覚醒で大きくなった幼生神獣「小狼丸」の背に乗り、睡蓮寺 小夜は空へと浮き上がる。
 陽介はロケットサラブレッドに乗り、その後を追った。
「犯罪は他人も、おめぇの人生も暗く閉ざす……そんなの、見過ごせねぇってな!」
 ME.ニンバスライトニングで真っ暗な空間を作り出し、陽介が演出するのは犯罪行為の結末の暗さである。
 その中で、小夜はクリアボイスを響かせ、小狼丸と共に歌い踊る。
(誰かが傷つくのは悲しいから……どうか、落ち着てください…)
 ネプチューンエコーを手に、小夜は歌う。
 そこに陽介がイリュージファイアワークスの光を弾けさせ、小夜のエタニティシャインの光の花火と共演させた。
(…誰かの笑顔を思える気持ちを、思い出してほしい…)
 誰かが傷ついたり、誰かのモノを盗ったりすることが楽しいと思うのは悲しいことだ。
 そんな悲しい思いを、人々に抱いてほしくはない。
 その気持を込め、小夜は歌う。
(観客は……2人のライブを観てくれているだろうか。私達の力で、止めることができるのだろうか)
 小十郎はそう懸念していたが、心配は要らなかった。
 争いは次第に治まり、人々は上を見上げていた。
 小夜と陽介のライブに聴き入っているのだ。
(…わくわくってのは互いに笑顔でなけりゃ嘘だ! それを伝えてぇよな!)
 陽介はライブを通じ、そう観客に語りかける。
(確かに、驚きやワクワクの中に楽しさがあるのは同感だがよ! それを得る為に犯罪に走るたぁ、本末転倒も甚だしいぜ!)
 会場では大勢のアイドルたちはノイズを払うために歌い、踊り、そして犯罪者を取り締まるために動いている。
 その思いが人々に通じ始めたのだろう。
 争っていた者たちもいつしかそれを忘れ、小夜と陽介のライブに魅入っている。
(もとはといえばこれもライブの影響……。人々に、世界に影響を与えてこその芸能人とはいうが…影響を与える者だからこそ、己の在り方には注意をしなければならい、という事か)
 小十郎はライブを見ながら、1人そんな事を思った。
 
 会場を支配していたノイズはやがて治まり、人々の様子も穏やかになった。
 こうしてアイドルたちは犯罪者たちのノイズを払い、その音とパフォーマンスを観客に届けることに成功したのである。
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