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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

みんなでレッツ犯罪!? バビフェス開催!

リアクション公開中!
みんなでレッツ犯罪!? バビフェス開催!

リアクション

2.湧き上がれMOVE、心溶かすLIVE

(駿くん……芸能界にあってなお輝きを失わぬ冷然たる態度と眼鏡の反射。はぅ。好き)
 トラックのステージの上でDJポリスを続ける橘 駿の姿に、狛込 めじろは見とれていた。
 犯罪者たちを止めるには、全員を駿の信者にし、彼に帰依させるしかない――めじろはそう考えた。
(芸能神だかなんだか知りませんけど、神ってのは駿くんのことです。真の救い、真の喜び、人の子の平和とは、駿くんの下にあって、陽の光のように遍く民に降り注ぐもの……!)
 橘 駿――a.k.a.DJ SHUNが治安維持をするならば、手伝わねば女が廃る。
 そこで、めじろは彼のライブを盛り上げに徹することにした。
(駿くんを信じ、敬い、従い、愛する事がアタラクシア。駿くんこそが新世界の神であることは疑いようのない事実でしょう!)
 木漏れ日コントラバスを手にしためじろは、駿のライブを邪魔しないよう、アコースティックベースの低く落ち着いた演奏で音楽に厚みを持たせるよう音を奏でる。
 一筋の光明をその身に受けながら、彼への盲信にも似た信仰を心の昂りに変えて……。
 頭上のエタニティシャインの花火が鮮やかに弾けていたのは、めじろの極まったその信仰心の反映か、それともそれが観客達の心に反響させた結果なのか……それは音楽の神のみぞ知るのかもしれない
(大体、マナーとか良識とか、好意を持つ相手に嫌われないように身に付けるものです! 駿くんという救い主が現界していることを知らしめれば、自ずと人は彼の言うことをちゃんと聞くいい子な子犬ちゃんになれるはずですね? そうですね!)
 めじろはそう思いながら、†ブラックルミロザリオ†を振り乱し、駿への愛を全身全霊で体現するのだった。

「あくまき! ばびへす? の悪事を取り締まるっすよ! このまま放っては置けないっす!」
 緑青 木賊はライブの行われているステージの付近で、トランペット犬のあくまきを連れ、警備にあたった。
 ステージ上では仲間のアイドルたちがノイズを払えるよう、懸命にライブを行っているが、自分たちもステージ下で動かなければ、この事態を打開できないかもしれない。
(らいぶによって犯罪の抑止になるとはいえ、いつ暴力的な者が襲いかかって台無しになるかはわからないっす! それに、らいぶに集中しておる者は、きっと無防備になっちゃうっすよね!)
 仲間にはライブに集中してもらい、犯罪者たちをステージに上がらせないようにしなければならない。
 木賊はあくまきの頭に大きく頑丈な漆黒の角を生やすと、近くの者を攻撃させ、取り押さえた。
 しかし、犯罪者達の数が多い。
 そこで今度はウラエウスの葬律を奏で、犯罪者達の視界を妨害し、動きを奪った。
「暴力も窃盗もその他諸々も、多くの者を悲しませる行為なれば。めっ! であるっすよ! あくまき、このままライブを無事に終わらせるっす!」
 木賊の思いに応え、あくまきは水圧カッターを繰り出し、犯罪者達がステージに近づくのを阻止する。
 こうして2人は最後まで全力を尽くしたのだった。

「あなたの宝ものは、なんでしたか? ぜひ…おもいで話と一緒に教えて下さい」
鬼才のオルゴールでどこか懐かしいメロディーを奏でながら、鮫谷 此白は相手にそう呼びかける。
「ええ、もちろん分かっています。ですが、大人からしたら、取るに足らないようなものでかまわないんです。…けれど自分にとっては、世界でたった一つの逸品だった、そんなお宝が…ありませんでしたか?」
 お気に入りのぬいぐるみ、花の冠、綺麗な鳥の羽、或いは誰かに貰った、大切な贈り物だったかもしれない。
 話して欲しいと此白は呼びかける。
「親に……捨てられてしまったんだけどね」
 1人の男が語り始める。
 彼がノイズに侵されかけているのを見抜いた此白は、オルゴールの曲調を切ないものに変化させた。 
 相手の宝もののイメージがその旋律に盛り込めるように……。
(ここが、頑張りどころです…ノイズに飲まれてしまってはだめですから)
 オルゴールのスノードームの中が、相手の方の心を揺さぶるような情景へ変わりゆく事を期待しながら、此白は相手の話に心を集中させた。
 話が終わると、此白は群雄割拠行進曲に乗せて、歌を口ずさんだ。
(これはあなたと、世界に二つとないあなただけの宝もののおもいで…その、かけがえのないを尊さを綴った歌です。どうか、お聴きください) 
 今聞いたばかりの話を曲に乗せ、エタニティシャインを交えて此白は歌う。
 悲しい思い出を打ち明けてくれた彼が、勇気づけるようにと。
(あなたの大切なものは、盗んで手に入るものではなかったでしょう?)
 此白はそう、歌で語りかける。
 その手には、何かの白い繭「サトーさん」があった。
(たとえどんなに些細なものでも、盗んだものが誰かにとっての特別な宝ものかもしれないでしょう? …それを奪い、悲しませる権利なんて誰にも無いのです)
 歌を歌いながら、此白は相手の目をじっと見つめた。
(それに…何かを盗んで手に入るのは、既に与えられてしまった「誰か」にとっての価値だけ。折角なら、自分だけが価値を与えられる…そんな、世界でたったひとつしかない宝ものをもう一度捜してみませんか? あなたの思いを受けて輝く…この世で一番のお宝を)
 相手に歌を届け終えると、此白はまた別の誰かを探して歩き出す。
(歌が、お客様の心に響いて…泥棒なんてしないぞって気持ちになって貰えたら嬉しいですね、サトーさん?)

『こっちに来て♪ 私だけ見て♪』
 トラックステージに乗った芹沢 葉月は、スタンドマイクを撫でながら、わざとらしくスカートを翻し、観客を誘う。
『超えちゃいけない一線なら、一緒にその手前まで♪ あなたと行きたいな♪』
 チラチラ流し目を送ったり、誘うような仕草で歌いながら、葉月は光を自分へと集める。
 そうして存在感を強調する葉月はステージ用制服姿である。
 我ながら、結構な犯罪臭がするのではないか――葉月はそんな事を考えながら曲を口ずさむ。
(私知ってます、人はやるなって言われるとやりたくなっちゃうんです! 私もそうです! だけど、今は私だけを見てほしいんです!)
 トゥインクルノーツでステージを華やかに演出しながら、歌に合わせて光の音符の幻影を現出させ、葉月は観客を誘う。
 周囲に集まる観客の中には、いかにも犯罪者……という強面の者の姿もあったのだが。
(まあ、普通にステージの近くで大人しく見惚れててくれれば安全ですよね…)
 あわよくば、この場でファンも増やせるように。
 葉月は最後まで曲を歌いきった。
『ありがとうございました! ちょっと危ういセーフの方が、完全なアウトより楽しいと思うんです。私のこと応援してくれたら、刺激とドキドキを合法的にお届けできますよ! えへへっ』

 犯罪者たちを止めるため、トラック型ステージに乗った【Stargazer】新曲、「ハピネス☆エコー」を披露することにした。
(犯罪を促進させるようなライブが広まったら、この世界どころかボク達の世界……ううん、もっと違う世界まで影響を受けるかもしれない! それに影響された人達を助けるのもアイドルの務め、だよねっ!)
 明るく楽しいライブを創り上げよう。
 そう気持ちを新たにし神崎 凪穂はネプチューンエコーを手にすると、曲がはじまると共にバステトの癒しによって猫たちを呼び出し、にゃーにゃーというコーラスを加えて歌い始めた。
(犯罪促進ライブなんて、楽しいのは本人だけ……だから、もっともっと楽しいライブがあるって皆に気づかせましょう! 皆が上を向いて、思わず笑顔になってしまうキラキラなライブが、凪くんと私なら……『Stargazer』ならできるっ!)
 オリオンの光でアイスフィールドの氷の粒をきらきらとさせながら、篠宮 桜は凪穂と対になって踊る。
 全力で楽しみながら歌う2人に惹かれ、周囲には観客が集まり始めた。
(みんなが楽しめるようにするためには、まず桜さんとボクがいっぱい楽しまなきゃね!)
 ナチュラルサンシャインの明るい光と温かさで会場を包みながら、凪穂は桜と一緒に楽しそうに歌い踊る。
 その頭上には、エタニティシャインの光の花が輝いている。
『自分の心を信じて下さい! 1人1人の中に、光が──楽しい、嬉しい、そんなプラスな気持ちがあるんです!』
 ブレッシングマイクを手にした桜は、光に照らし出されながら観客へと呼びかける。
『ノイズに惑わされないで……あなた達は素敵な文化を、どこまでも広げていけるんだから!』
 この光に包まれたステージは、きっと皆の心に残るはず。
 そう信じ、凪穂と桜は歌い続けた。
『手を取り合おう、歌を奏でよう、皆!』
 そう呼びかけ、凪穂が観客を鼓舞する。
『犯罪や悪事じゃ出来ないこと、助け合って幸せの輪を広げること! ボク達にはそれができるんだよっ!』
 決して、犯罪ムーブメントなんて起こしてはいけない。
 もっともっと、この世界には楽しいことがあるんだから。
 その思いを込めて、凪穂と桜は歌う。
(歌は人を惑わすものじゃない、人を笑顔にするものなんだよっ! ボク達『Stargazer』ならそれができるはず! もう一度、一緒に飛ぼう、桜さんっ!)
 ライブの終わり、手を繋いだ凪穂と桜がジャンプする。
 すると、トラックの周囲に集まった観客からわっと大きな歓声が上がったのだった。
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