エンジョイ! オルトカルテット!
リアクション公開中!

リアクション
【1-3】
橘 樹は、昔ながらの味わいがある屋台の中で汗を拭っては鶏の唐揚げを揚げ続けていた。
ただの唐揚げではない。
【スープストック】で新鮮なみかんジュースに鶏肉を漬け込むことで風味を増し、肉を柔らかく仕上げている。
しょうが醤油を染み込ませた味付けに加え、油もヘルシーな植物油を使用して衣がしつこくないように工夫を凝らした絶妙な一品。
「口に合うといいんだけど……」
しっかりと二度揚げした唐揚げは、見ているだけで食欲をそそる。
「ほう……唐揚げですか?」
屋台の前に颯爽と現れたのは、宇津塚 夢佳だ、
待ち人来たる──まさにそんな表現がぴったりだった。
「大好物ゆえ、是非一口」
「一口と言わず、たくさん食べてほしいな。だって……」
夢佳さんのために、心をこめて揚げたから。
その一言は面と向かって言えなかったが、
「美味しいといいんだけど……はい、あーん」
ピックに突き刺した揚げたての唐揚げを、思い切って夢佳の前に差し出す。
こんな体制で夢佳がやすやすと食べてくれるとは思わなかったが、もう無礼講だ。
「食べさせてくださると? ふふ、それもまた一興。──では、一口食べてみましょう」
「えっ……いいんですか?」
夢佳は微笑むと、樹の手を持って唐揚げを口の中に入れた。
サクサクした食感にじゅわっとした肉汁が広がっていったかと思うと、油っこさもない程よいうま味が舌の上にぽっと残る。
「──おや? これは、おみかんの香りでしょうか──?」
みかんが大好物な夢佳には、ほのかな柑橘の香りがすぐに分かった。
「とてもおいしいですよ。ありがとうございます、大変だったのでは?」
「いやー、これしき。ぜんぜん大丈夫なんで!」
夢佳に唐揚げを食べてもらえたのがうれしかった樹は、顔がずっと緩みっぱなしだ。
お返しだと言わんばかりに、今度は夢佳が樹に唐揚げを食べさせてやる。
「ゆ、夢佳さん一気に3つは無理って!!」
結局、樹と夢佳が2人で食べた唐揚げは、なんと1キロにも相当したのだった。
橘 樹は、昔ながらの味わいがある屋台の中で汗を拭っては鶏の唐揚げを揚げ続けていた。
ただの唐揚げではない。
【スープストック】で新鮮なみかんジュースに鶏肉を漬け込むことで風味を増し、肉を柔らかく仕上げている。
しょうが醤油を染み込ませた味付けに加え、油もヘルシーな植物油を使用して衣がしつこくないように工夫を凝らした絶妙な一品。
「口に合うといいんだけど……」
しっかりと二度揚げした唐揚げは、見ているだけで食欲をそそる。
「ほう……唐揚げですか?」
屋台の前に颯爽と現れたのは、宇津塚 夢佳だ、
待ち人来たる──まさにそんな表現がぴったりだった。
「大好物ゆえ、是非一口」
「一口と言わず、たくさん食べてほしいな。だって……」
夢佳さんのために、心をこめて揚げたから。
その一言は面と向かって言えなかったが、
「美味しいといいんだけど……はい、あーん」
ピックに突き刺した揚げたての唐揚げを、思い切って夢佳の前に差し出す。
こんな体制で夢佳がやすやすと食べてくれるとは思わなかったが、もう無礼講だ。
「食べさせてくださると? ふふ、それもまた一興。──では、一口食べてみましょう」
「えっ……いいんですか?」
夢佳は微笑むと、樹の手を持って唐揚げを口の中に入れた。
サクサクした食感にじゅわっとした肉汁が広がっていったかと思うと、油っこさもない程よいうま味が舌の上にぽっと残る。
「──おや? これは、おみかんの香りでしょうか──?」
みかんが大好物な夢佳には、ほのかな柑橘の香りがすぐに分かった。
「とてもおいしいですよ。ありがとうございます、大変だったのでは?」
「いやー、これしき。ぜんぜん大丈夫なんで!」
夢佳に唐揚げを食べてもらえたのがうれしかった樹は、顔がずっと緩みっぱなしだ。
お返しだと言わんばかりに、今度は夢佳が樹に唐揚げを食べさせてやる。
「ゆ、夢佳さん一気に3つは無理って!!」
結局、樹と夢佳が2人で食べた唐揚げは、なんと1キロにも相当したのだった。