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リアクション
【1-2】
様々なフードが売られている露店からは次々とおいしそうな匂いが立ち込め、どこも大繁盛だった。
全て回りきるためには、一体どのくらいの時間が必要なのか──まるで見当もつかない。
「どれもこれも美味そうだな。サクラは何が食べたい? 俺はそうだな…ケバブが気になるな」」
人混みの中、はぐれてしまわないようにと龍崎 宗麟が八重崎 サクラの手を握った。
「う、うーんと、そうだなー……あ、牛串ある! おじさん、牛串1本頂戴!」
焼きたての牛串を渡されたサクラが財布を出そうとして、両手が塞がっていることに気づく。
「まいどありー」
いつの間にか会計を済ませてくれていた宗麟は、サクラの顔を覗き込んだ。
「サクラ、熱いから気をつけて」
「ありがとう……」
すぐ近くにあった露店でケバブも買って、サクラも宗麟も満足そうだ──その間、2人の手はずっとつながれたまま。
「牛串はこの噛んで味が染み出してくる感じがいいんだよねー。あ、あっちのソーセージ盛りもおいしそう──」
色々と目移りするサクラに、
「このケバブ、程よい辛さとボリュームで満足だな。サクラも食べるかい? あはは、さすがに俺の食べかけは渡さないぞ。実はもうひとつ買ってあるからどうぞ。」
そう言って、宗麟がケバブを勧めてくれた。
「それじゃあ……早速、一口もらうね?」
不意に、サクラは宗麟の口元に手を伸ばし、口の脇に付いてたソースを指でそっと拭って舐めた。
「ん、ほんとだ美味しい!」
サクラのちょっとしたサプライズに面食らった宗麟だったが、
「サクラのも美味しそうだな…良かったら一口くれないかい?」
「じゃあ牛串の残りと交換!」
サクラと楽しい時間を過ごせたことに「ありがとう」と、素直に感謝の気持ちを伝えた。
まさに【オーサカ満喫】。
そんな束の間のひと時を楽しむ2人。
──同じ頃、アーヴェント・ゾネンウンターガングと合歓季 風華もヴルストを頬張ろうとしていた。
「はい、熱いから気をつけてくれ。ウィンナーのような味と思ってくれればいい」
息を吹きかけて冷ましてやりながら、風華にヴルストを渡す。
初めてのヴルストをめずらしそうに見つめて、風華は早速食べてみる。
あらびきの皮がとてもおいしく、なかなか好みの味付けだ。
一緒に添えてあったザワークラウトもどこかなつかしい味が口の中に広がり、風華は一口一口を大事そうに噛みしめる。
「ふるさとのお味もこのような?」
「ああ──いつか一緒に行こう、きっと気に入る」
頷いた風華は、ヴルストと一緒に購入したジンジャーソーダをアーヴェントに勧めた。
「これは香りや風味が心地よく、飲みやすいので私は好きです」
「うっ……炭酸はちょっと」
アーヴェントの意外な一面を見た風華は、思わずくすっと笑みを浮かべた。
こんな何気ない当たり前のやりとりがとてもいとおしく、心地よく感じているのがお互いに何も言わなくても分かる。
それは、空気感がいつもと違うから──。
「ナゴヤの覇権、勇者のお姿。心より、心よりお祝いを」
「ありがとう、皆の応援があったからさ。──きっと、もうすぐ何かが起こる。自分達がどうにかしなければな」」
「そうですね。どうか、こんなお祭のような時をできるだけ長く守れるよう……」
ふと、何を思ったのかアーヴェントが立ち止まる。
どうやら、着ていたコートを先ほど腰掛けた場所に置き忘れてきたらしい。
「すまない、取ってくる」
そう言ったアーヴェントの背中に向かって、
「このような穏やかさを、私はいつより感じて……」
胸の奥に宿る穏やかなものに、風華は想いを馳せた。
いつまでも風華の深い瞳にある煌めきを見つめていたかったアーヴェントだったが、今までコートを忘れるなんて一度もなかったことに気づく。
それほど、彼女と過ごすことに夢中になっていたのだ。
「恋って、落ちるものなんだな」
空に向かってぽつりと呟く。
はっきりと口に出すことで、その想いは確かなものへと変わった。
「では、帰ろうか」
「はい。また来ましょう……きっとまた」
アーヴェントと腕を組んだ風華。
──2人は再び、ゆっくりと歩き出した。
「か~~~~~、どこもかしこもあっちぃあっちぃな。チキショー」
焼き鳥の串をくわえながら、カップルたちを横目で見ていたシン。
「あの、シンさん……」
隣で小さく声を出したよもぎの熱い眼差しに気づき、ぽっと顔を赤らめる。
「お、おう。俺は今のとこフリーっつーかなんつーか」
「──その串、ちゃんとゴミ箱に捨ててくださいね?」
「……へ?」
子供をたしなめるように言ったよもぎは、ナズナの手を引っ張ってクレープ屋へと向かっていった。
「単細胞、ここに見参~」
シンの隣を通り過ぎる時、ナズナが「いーっ」という顔をしてみせる。
「あの女──いつかブッ倒す!」
苦笑して、シンは焼き鳥の串をへし折った。
様々なフードが売られている露店からは次々とおいしそうな匂いが立ち込め、どこも大繁盛だった。
全て回りきるためには、一体どのくらいの時間が必要なのか──まるで見当もつかない。
「どれもこれも美味そうだな。サクラは何が食べたい? 俺はそうだな…ケバブが気になるな」」
人混みの中、はぐれてしまわないようにと龍崎 宗麟が八重崎 サクラの手を握った。
「う、うーんと、そうだなー……あ、牛串ある! おじさん、牛串1本頂戴!」
焼きたての牛串を渡されたサクラが財布を出そうとして、両手が塞がっていることに気づく。
「まいどありー」
いつの間にか会計を済ませてくれていた宗麟は、サクラの顔を覗き込んだ。
「サクラ、熱いから気をつけて」
「ありがとう……」
すぐ近くにあった露店でケバブも買って、サクラも宗麟も満足そうだ──その間、2人の手はずっとつながれたまま。
「牛串はこの噛んで味が染み出してくる感じがいいんだよねー。あ、あっちのソーセージ盛りもおいしそう──」
色々と目移りするサクラに、
「このケバブ、程よい辛さとボリュームで満足だな。サクラも食べるかい? あはは、さすがに俺の食べかけは渡さないぞ。実はもうひとつ買ってあるからどうぞ。」
そう言って、宗麟がケバブを勧めてくれた。
「それじゃあ……早速、一口もらうね?」
不意に、サクラは宗麟の口元に手を伸ばし、口の脇に付いてたソースを指でそっと拭って舐めた。
「ん、ほんとだ美味しい!」
サクラのちょっとしたサプライズに面食らった宗麟だったが、
「サクラのも美味しそうだな…良かったら一口くれないかい?」
「じゃあ牛串の残りと交換!」
サクラと楽しい時間を過ごせたことに「ありがとう」と、素直に感謝の気持ちを伝えた。
まさに【オーサカ満喫】。
そんな束の間のひと時を楽しむ2人。
──同じ頃、アーヴェント・ゾネンウンターガングと合歓季 風華もヴルストを頬張ろうとしていた。
「はい、熱いから気をつけてくれ。ウィンナーのような味と思ってくれればいい」
息を吹きかけて冷ましてやりながら、風華にヴルストを渡す。
初めてのヴルストをめずらしそうに見つめて、風華は早速食べてみる。
あらびきの皮がとてもおいしく、なかなか好みの味付けだ。
一緒に添えてあったザワークラウトもどこかなつかしい味が口の中に広がり、風華は一口一口を大事そうに噛みしめる。
「ふるさとのお味もこのような?」
「ああ──いつか一緒に行こう、きっと気に入る」
頷いた風華は、ヴルストと一緒に購入したジンジャーソーダをアーヴェントに勧めた。
「これは香りや風味が心地よく、飲みやすいので私は好きです」
「うっ……炭酸はちょっと」
アーヴェントの意外な一面を見た風華は、思わずくすっと笑みを浮かべた。
こんな何気ない当たり前のやりとりがとてもいとおしく、心地よく感じているのがお互いに何も言わなくても分かる。
それは、空気感がいつもと違うから──。
「ナゴヤの覇権、勇者のお姿。心より、心よりお祝いを」
「ありがとう、皆の応援があったからさ。──きっと、もうすぐ何かが起こる。自分達がどうにかしなければな」」
「そうですね。どうか、こんなお祭のような時をできるだけ長く守れるよう……」
ふと、何を思ったのかアーヴェントが立ち止まる。
どうやら、着ていたコートを先ほど腰掛けた場所に置き忘れてきたらしい。
「すまない、取ってくる」
そう言ったアーヴェントの背中に向かって、
「このような穏やかさを、私はいつより感じて……」
胸の奥に宿る穏やかなものに、風華は想いを馳せた。
いつまでも風華の深い瞳にある煌めきを見つめていたかったアーヴェントだったが、今までコートを忘れるなんて一度もなかったことに気づく。
それほど、彼女と過ごすことに夢中になっていたのだ。
「恋って、落ちるものなんだな」
空に向かってぽつりと呟く。
はっきりと口に出すことで、その想いは確かなものへと変わった。
「では、帰ろうか」
「はい。また来ましょう……きっとまた」
アーヴェントと腕を組んだ風華。
──2人は再び、ゆっくりと歩き出した。
「か~~~~~、どこもかしこもあっちぃあっちぃな。チキショー」
焼き鳥の串をくわえながら、カップルたちを横目で見ていたシン。
「あの、シンさん……」
隣で小さく声を出したよもぎの熱い眼差しに気づき、ぽっと顔を赤らめる。
「お、おう。俺は今のとこフリーっつーかなんつーか」
「──その串、ちゃんとゴミ箱に捨ててくださいね?」
「……へ?」
子供をたしなめるように言ったよもぎは、ナズナの手を引っ張ってクレープ屋へと向かっていった。
「単細胞、ここに見参~」
シンの隣を通り過ぎる時、ナズナが「いーっ」という顔をしてみせる。
「あの女──いつかブッ倒す!」
苦笑して、シンは焼き鳥の串をへし折った。