決戦の日、スターフォールの奇跡
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星獣たちの暴走を止めろ! バトル編 2
ウサミ 先輩はあらぶっていた。
思えば最近は勝負事で、他の生徒達の後塵を拝す事が多くなってきた。
だがそれは、それだけ後輩達が育ってきたという事であり、その結果に満足していた部分も確かにあったのだ。
しかしそれは間違いだったと、ウサミ先輩は気付いた。
頂点を目指さずして何がアイドルか。
最強を目指してギラついていた過去に、今一度立ち返る時が来たようだ――と。
「世に覇者は一人!頂点に君臨するのは、このウサミ先輩ただひとり!」
咆哮するウサミ先輩は、星獣チェンバロウマの【兎王】に【恒星の鞍】で跨り、暴れる星獣たちの中を駆け抜ける。
「走れ兎王! 全てを蹴散らすのだ!」
【ブリザードブレス】で吹雪を起こし、前方に現われたハイエナの姿をした星獣たちの群れの視界を塞ぐ。
戦略は至ってシンプルだ。
動きが鈍った星獣たちを、馬上から【彗星のエムシ】の太刀を振り回し、次々と斬り伏せて行く。
「道を開けよ後輩共! 刃向かう者には容赦はせぬ!――むっ?」
ハイエナの群れの次に現れたのは、獰猛なクマの姿をした星獣だ。
しかもこちらも群れとまではいかないが、三体もいる。
「ふむ、これは手強いそうだ。だがしかし、逃げの選択肢などない!」
ウサミ先輩は【野生の息吹】で、身体能力を向上させ、理性を失った兎王と共に、クマの姿の星獣へと突撃する。
「勝負の基本は渾身の力で押す!押してダメでも更に押す!
討ち死に上等、ひたすらゴリ押す!押して押して押しまくるのだ!」
視界に暴れる星獣たちが映らなくなるまで、ウサミ先輩はひたすら戦い続けるのだった。
「レアな星獣はもしも出会えたとしても、マイニャには荷が重いよね……」
小羽根 ふゆは星獣クラリネットネコの【マイニャ】を連れて、あまり大きくなく、比較的戦いやすそうな星獣を探す。
マイニャ自身はふゆを守るという自負の故か、戦う気は充分なのだが、ふゆとしてはネコのままのマイニャには危険な戦いはして欲しくない。
(星獣をどうにかしたいって気持ちはたぶん私と同じ。でも――)
思わずふゆが足を止めると、突然マイニャが暴れ出し、ふゆの腕の中から飛び出し、一目散に高台の方へと駆けていく。
「あ、マイニャ、待って!!」
マイニャが高い位置から、威嚇の唸り声を上げると、周囲から一匹、二匹、と鋭い爪を持ったミミズクの姿の星獣が、木々の隙間から姿を現す。
星獣同士の強い反応が、マイニャのところへ星獣たちを引き寄せてしまったのだろう。
マイニャは多数の敵を相手にするのには向いていない。
ふゆは【エアブロウ】で星獣たちを牽制し、必死にマイニャに追いつくと【氷刃乱舞】で空を飛ぶミミズクの星獣たちを撃ち落とす。
そこに、マイニャがかぶりつき、首の急所に牙を突き立てトドメを刺し、結晶化させる。
その危なげない様子に、ふゆはホッと息をつく。
マイニャだって、立派な戦う星獣だ。
(信じていいんだよね、マイニャ!)
ふゆの全体攻撃からのマイニャの各個撃破で、ふゆたちは数をこなす戦い方で、暴れる星獣たちと次々と結晶化させていった。
小鈴木 あえかは今回の騒動の原因を探るべく、ファラムートと共に星獣たちが姿を現した方向とは逆方向を目指していた。
普段は絶対に姿を見せないようなレアな星獣までもが、ステージやスターフォールにまで出てきて、暴れたのは何故なのか?
本当に、暴れる目的で姿を見せたのか。
もしかすると、何かに追い立てられて逃げてきたのではないか……。
様々な疑問が浮かんでくるが、もしこれが誰かによって仕組まれたものであったのならば。
(とにかくこんな事を企む人にはお説教しなきゃです)
星獣同士の反応を嫌って、あえかは敢えて星獣ではなく【幼生神獣】を連れている。
ファラムートについて来てくれるよう頼んだのも、彼女が星獣を連れてはいないからだ。
そうやって、星獣たちとの闘いを極力避けながら、あえかは何か異変が起きてはいないか辺りを探って行く。
周囲に戦いの気配を感じ取れば【ホークアイ】で、戦いの正確な位置を探り、そこを避けて道を選ぶ。
「やっぱりあっちではオルトセブンスフォールになったりするんですか?」
無言で進むのも間が持たないので、ファラムートに話題を振ってみる。
「セブンスフォールは特にこのような現象は無いのう」
星獣たちとは逆方向に進んでいるので、戦場は遠ざかり、ファラムートの方もいささかのんびりと答える。
雑談を続けつつ、もうかなりの距離を進んで来た。
特に目立った異変も見つからず、やはり星獣たちが暴れる原因などなかったのだろうかと、あえかが諦めを感じ始めた時、急に辺り一帯に濃いノイズの気配を感じた。
「これはなんじゃ?」
「ファラムートさんも感じたんですね」
あえかは何か怪しい人影などはないかと、咄嗟に周囲を探るが、そのようなものは見当たらない。
「何かはわかりませんが、明らかに異常です。
これが星獣の過剰な暴走の原因だったのかもしれないですね……」
「どうするんじゃ?」
「ここに留まっていても仕方がありません。
一度戻って、皆さんに報告しましょう」
嫌な胸騒ぎを感じて、あえかは急いで元来た道を引き返すのだった。
ウサミ 先輩はあらぶっていた。
思えば最近は勝負事で、他の生徒達の後塵を拝す事が多くなってきた。
だがそれは、それだけ後輩達が育ってきたという事であり、その結果に満足していた部分も確かにあったのだ。
しかしそれは間違いだったと、ウサミ先輩は気付いた。
頂点を目指さずして何がアイドルか。
最強を目指してギラついていた過去に、今一度立ち返る時が来たようだ――と。
「世に覇者は一人!頂点に君臨するのは、このウサミ先輩ただひとり!」
咆哮するウサミ先輩は、星獣チェンバロウマの【兎王】に【恒星の鞍】で跨り、暴れる星獣たちの中を駆け抜ける。
「走れ兎王! 全てを蹴散らすのだ!」
【ブリザードブレス】で吹雪を起こし、前方に現われたハイエナの姿をした星獣たちの群れの視界を塞ぐ。
戦略は至ってシンプルだ。
動きが鈍った星獣たちを、馬上から【彗星のエムシ】の太刀を振り回し、次々と斬り伏せて行く。
「道を開けよ後輩共! 刃向かう者には容赦はせぬ!――むっ?」
ハイエナの群れの次に現れたのは、獰猛なクマの姿をした星獣だ。
しかもこちらも群れとまではいかないが、三体もいる。
「ふむ、これは手強いそうだ。だがしかし、逃げの選択肢などない!」
ウサミ先輩は【野生の息吹】で、身体能力を向上させ、理性を失った兎王と共に、クマの姿の星獣へと突撃する。
「勝負の基本は渾身の力で押す!押してダメでも更に押す!
討ち死に上等、ひたすらゴリ押す!押して押して押しまくるのだ!」
視界に暴れる星獣たちが映らなくなるまで、ウサミ先輩はひたすら戦い続けるのだった。
「レアな星獣はもしも出会えたとしても、マイニャには荷が重いよね……」
小羽根 ふゆは星獣クラリネットネコの【マイニャ】を連れて、あまり大きくなく、比較的戦いやすそうな星獣を探す。
マイニャ自身はふゆを守るという自負の故か、戦う気は充分なのだが、ふゆとしてはネコのままのマイニャには危険な戦いはして欲しくない。
(星獣をどうにかしたいって気持ちはたぶん私と同じ。でも――)
思わずふゆが足を止めると、突然マイニャが暴れ出し、ふゆの腕の中から飛び出し、一目散に高台の方へと駆けていく。
「あ、マイニャ、待って!!」
マイニャが高い位置から、威嚇の唸り声を上げると、周囲から一匹、二匹、と鋭い爪を持ったミミズクの姿の星獣が、木々の隙間から姿を現す。
星獣同士の強い反応が、マイニャのところへ星獣たちを引き寄せてしまったのだろう。
マイニャは多数の敵を相手にするのには向いていない。
ふゆは【エアブロウ】で星獣たちを牽制し、必死にマイニャに追いつくと【氷刃乱舞】で空を飛ぶミミズクの星獣たちを撃ち落とす。
そこに、マイニャがかぶりつき、首の急所に牙を突き立てトドメを刺し、結晶化させる。
その危なげない様子に、ふゆはホッと息をつく。
マイニャだって、立派な戦う星獣だ。
(信じていいんだよね、マイニャ!)
ふゆの全体攻撃からのマイニャの各個撃破で、ふゆたちは数をこなす戦い方で、暴れる星獣たちと次々と結晶化させていった。
小鈴木 あえかは今回の騒動の原因を探るべく、ファラムートと共に星獣たちが姿を現した方向とは逆方向を目指していた。
普段は絶対に姿を見せないようなレアな星獣までもが、ステージやスターフォールにまで出てきて、暴れたのは何故なのか?
本当に、暴れる目的で姿を見せたのか。
もしかすると、何かに追い立てられて逃げてきたのではないか……。
様々な疑問が浮かんでくるが、もしこれが誰かによって仕組まれたものであったのならば。
(とにかくこんな事を企む人にはお説教しなきゃです)
星獣同士の反応を嫌って、あえかは敢えて星獣ではなく【幼生神獣】を連れている。
ファラムートについて来てくれるよう頼んだのも、彼女が星獣を連れてはいないからだ。
そうやって、星獣たちとの闘いを極力避けながら、あえかは何か異変が起きてはいないか辺りを探って行く。
周囲に戦いの気配を感じ取れば【ホークアイ】で、戦いの正確な位置を探り、そこを避けて道を選ぶ。
「やっぱりあっちではオルトセブンスフォールになったりするんですか?」
無言で進むのも間が持たないので、ファラムートに話題を振ってみる。
「セブンスフォールは特にこのような現象は無いのう」
星獣たちとは逆方向に進んでいるので、戦場は遠ざかり、ファラムートの方もいささかのんびりと答える。
雑談を続けつつ、もうかなりの距離を進んで来た。
特に目立った異変も見つからず、やはり星獣たちが暴れる原因などなかったのだろうかと、あえかが諦めを感じ始めた時、急に辺り一帯に濃いノイズの気配を感じた。
「これはなんじゃ?」
「ファラムートさんも感じたんですね」
あえかは何か怪しい人影などはないかと、咄嗟に周囲を探るが、そのようなものは見当たらない。
「何かはわかりませんが、明らかに異常です。
これが星獣の過剰な暴走の原因だったのかもしれないですね……」
「どうするんじゃ?」
「ここに留まっていても仕方がありません。
一度戻って、皆さんに報告しましょう」
嫌な胸騒ぎを感じて、あえかは急いで元来た道を引き返すのだった。