決戦の日、スターフォールの奇跡
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星獣たちの暴走を止めろ! バトル編 1
スターフォール周辺を散開するアイドルたちは、行く先々で遭遇した星獣たちとバトルを繰り広げる。
ステージから離れた場所で暴れている星獣たちは、どの星獣も荒々しく凶暴な星獣たちだ。
「俺達で星獣達を止めるのぜ」
天導寺 朱は星獣メロディカオオヘビを【ゲイルワイバーン】で竜へと変化させ、【カオスメタモルフォーゼ】で一心同体となる。
「うーん、出来ればレア星獣を見付けたかったけど、そう簡単には出てきてくれそうにないんだぜ」
レア星獣を探して空から辺り一帯を見渡してみるが、それらしい姿は見当たらない。
代わりに、唸り声をあげながら暴れるクマの姿をした星獣を発見した。
「レアじゃなくたって充分危険なんだぜ」
朱は、クマの星獣に向かって滑空し、【ブリザードブレス】を正面から吹きつけ、クマの視界を塞ぐ。
突然前が見えなくなり、危険を察知したクマは、しかし逃げるでもなく、方角も分からないまま、気配を頼りに朱に鋭い爪で攻撃してくる。
朱はクマの攻撃を飛んでかわしつつ、【ポラリス・ツヴァイヘンダー】の峰打ちを狙うが、クマの巨体には威力が弱すぎる。
「……仕方ないんだぜ」
朱は刃を構え、切れ味鋭くなった【ポラリス・ツヴァイヘンダー】で立ちあがったクマの腹部を斬りつける。
急所に深い傷を負ってたまらずよろめいたクマの背後に回り、今度こそトドメとばかりにその後頭部を峰打った。
意識を失ったクマは音を立ててその場に倒れ、横たわった巨体は程なくして結晶化した。
「さあ、この調子でどんどん倒していくんだぜ」
朱は再び空へと舞いあがり、次の星獣を探すのだった。
リリィ・エーベルヴァインは星獣の群れに囲まれていた。
【ペット☆フレーク】を使ってレア星獣を誘き出そうとしたら、近場にいた星獣たちを一気に誘き寄せてしまったのだった。
「行くよ、トランペットイヌ」
リリィは星獣トランペットイヌの頭を軽く撫で、オオカミの星獣の群れに向かって【グラウンドアタック】を繰り出させる。
もとから、リリィはオオカミの姿の星獣を狙って行くつもりだったのだ。
その対策なら、考えてある。
トランペットイヌの攻撃による衝撃波で怯んだオオカミたちを、個別に【智者のサーベル】で斬り伏せて行く。
ワシの姿の星獣による空からの攻撃は、【アーククリスタル】で防ぎながら、反撃のタイミングを伺う。
「空にとばれたら面倒くさい。だから下にいる間に倒す」
攻撃の為に滑空し、ワシの星獣が近づいてきたところで、リリィは【ダークネス】を放った。
周囲を侵食する闇がワシの姿の星獣を捉え、地上へと引きずり落とす。
もがくワシの姿の星獣にサーベルを突き立てると、星獣は結晶へと姿を変えてコロリと地面に転がった。
「さて、トランペットイヌ。お疲れ様、少し、休んでて」
襲い掛かって来た星獣の群れをほぼほぼ結晶化し終えたリリィは、少しの間その場でトランペットイヌを休ませる。
餌の匂いを嗅ぎつけた星獣たちが、再びやってくるまでそうは時間がかからないだろう。
「少し多く撒きすぎたか……」
リリィは未だ周囲に散らばっている【ペット☆フレーク】を横目に、溜息を零した。
「見つけた! シャルル、アイツからだ!」
行く手にサイの姿をした星獣を見付けた狩屋 海翔は、【ゲイルワイバーン】で有翼の竜へと変化させた星獣メロディカオオヘビの【シャルル】と突撃する。
サイの星獣の方も海翔に気付き、角を振り回しながら襲い掛かってくる。
シャルルが真空の刃で、サイの星獣の攻撃を牽制。
その隙に、サイの星獣の脇に回った海翔は、【ラン&スラッシュ】で【彗星のエムシ】による一刀両断を試みる。
攻撃の手数を少なくするのは、星獣たちを無駄に苦しめたくはないからだ。
「ちっ……浅いか……」
振り被った攻撃が、固い皮膚に弾かれる。
食い込んでしまった刃を咄嗟に引き抜くと、海翔はサイの星獣から後ろに跳ねるようにして距離を取った。
「アンタらに恨みも何もないけど、これからアンタらを恨むやつが出てくるかも知れねぇ――――悪いな、ここで止めさせてもらう!!」
角による攻撃を避けながら、海翔は【スマッシュストライク】による重い一撃を放つ。
流石に衝撃を受けたサイの星獣の体が傾いたところで、「シャルル!」と頭上に向けて海翔の鋭い声が飛ぶ。
真空の刃を放ってすぐに追撃の体勢に入っていたシャルルは、即座にサイの星獣に空からの体当たりを決めた。
「コンテストの試合とは違ってやりにくいか? ……安心しろ、基本は俺がやってやるさ。後詰め、頼んだぜ」
サイの姿の星獣が結晶化したのを見届けると、海翔は労わるようにシャルルに声をかけた。
シャルルはその言葉に応えるように、首を縦に振る。
「大丈夫そうだな。よし、じゃあ次だ!」
満足そうに頷いた海翔は、より多くの星獣たちを倒す為、シャルルとスターフォール内を駆け巡るのだった。
界塚 ツカサと加賀 ノイは、二人で連携してオオカミの姿の星獣とワシの姿の星獣の対処に当たる。
「まずはこれで足止めさせてもらうよ」
ツカサがネネと名付けた星獣クラリネットネコの【ブリザードブレス】で、襲い掛かってくるオオカミとワシの姿の星獣たちの視界を妨げる。
「次は僕の番だよ!」
続いて、ノイがココと名付けた星獣クラリネットの【ミーティアインパクト】による衝撃波で、視界に続いて音による混乱で聴覚を奪う。
嗅覚で動けるオオカミの星獣はともかくとして、ワシの星獣の方は、一先ず時間稼ぎが出来るはずだ。
ワシの姿の星獣の動きを封じている間に、少しでも多くのオオカミの姿の星獣を倒す算段だ。
「ボスは……っと、あいつかな?」
オオカミの姿の星獣の群れの先頭に立つ星獣を見止めたツカサは、ネネを呼び寄せる。
「小さなネコだと侮っていたら痛い目を見るよ?」
【ブレイズレオン】で炎を纏う獅子へと変化したネネは、群れのボスの星獣へと突撃する。
ツカサの思惑通り、ボスが襲われた所から、群れの陣形は崩れ始め、オオカミの星獣たちは散りじりになって駆け回っている。
ツカサがオオカミの姿の星獣と戦っている間に、ノイはワシの姿の星獣の方に攻撃を仕掛ける。
「派手に戦った方がいいようですし、ここは全力でやっちゃいましょう!」
カメラの向こうも意識して、ノイは ココの【リバースドミーティア】で、空にいるワシの星獣を光弾を放つ。
撃ち落とされたワシの姿の星獣が、地面に叩きつけられるようにして落ちると同時に結晶化する。
「こっちも行くよ、ネネ!」
ツカサは武器に宿った炎に周囲の炎を集約させ、【ブレイズレオン】の巨大な剣で、オオカミの星獣の群れを焼き払った。
「ここはもういいかな」
「そうですね。でもしばらく大技は使えないから、少し回復してから行きましょう」
二人が狙いを定めて攻撃を仕掛けるのは、基本は力は弱いが数が多い星獣だが、敵の方から襲ってくるとも限らない。
ノイは【アメちゃん】をツカサに手渡しながら、自身もそれを口に含む。
「ネネとココも……」
ノイは【ニンブルブレス】で星獣たちを癒し、少しばかりの休憩を終えると再びツカサと共に歩き出した。
千夏 水希は、あちこちで勃発している星獣たちとカオスブリーダーたちの戦いを見ながら、自然と彼らが避けている様な、別方向の場所を目指す。
今はコンテストの真っただ中、ここに集められているのは水希と同じく星獣たちと闘う力を持った者たちだ。
一般の星獣相手であれば、皆対処できるはず。
とすれば、より強力であるというレア物の星獣は、その彼らさえも逃げ出す方向――戦っている多くのカオスブリーダーたちとは反対の方向にいるはずだと当たりをつけた。
「――っ、居たか!」
水希の星獣クラリネットネコ【ベレス・フィーア】が突然その足を止め、草むらに向けて唸り声を上げる。
そこには、燃えるさかるマグマの炎を全身からほとばしらせるライオンが立っていた。
一方のベレスも、【ビッグウォールボディ】の巨体に、【ブレイズレオン】で炎を纏い、頭には【漆黒の角】を生やしている。
今のベレスは、鋭い爪に強靭な筋力――その姿はまるで炎の魔神イフリートのように、水希の目には映る。
そしてそれは、マグマを纏うライオン姿の星獣の目にも、そう映っているに違いなかった。
水希を守るよう、マグマライオンと対峙したベレスは、隙を伺いつつ睨み合いながらぐるぐると回る。
と、マグマライオンが大きな口を開けて噛みついて来た。
「ベレス!」
水希は【アーククリスタル】でライオンの牙を防ぎ、火傷を気にせずに済むよう、既に古傷のある右腕で【アストラルグローブ】による牽制攻撃を仕掛ける。
急所である首回りと側面からの攻撃の防御は水希に任せて、ベレスは頑なに正面からマグマライオンに向かって行く。
「どうしても正面からの炎対決を制したいらしいね。
ま、いざとなればどんなに強い相手でも正面から戦わないといけないんだ。付き合うか」
ベレスの意図を組んだ水希は、ベレスが心置きなく戦えるよう、防御に徹する。
しかし、ここぞという時の隙は見逃さなかった。
ベレスの噛み付きがついに正面からマグマライオンを捉えた時、水希は【ブレイズレオン】で周囲の炎を巻き込み巨大な剣を創り出し、素早く斬り込んだ。
ベレスの重たい攻撃とは違い、スピードと軽さのある攻撃が、単調だった攻撃のテンポを崩し、マグマライオンの反応が一歩遅れる。
水希は【ブレイズレオン】の必殺の一撃でマグマライオンを追撃。
そこに、ベレスが突撃し、渾身の力で漆黒の角を突き立てた。
「トドメだ」
ベレスが倒れたマグマライオンを、その巨体で押し潰した。
ベレスはそのまま、マグマライオンの最後の激しい抵抗を必死に抑え込む。
「頑張れ、ベレス。お前の炎でマグマライオンの灯火を消してやれ」
水希も熱と炎による酸欠で意識を奪われそうになりながらも、【アストラルグローブ】でベレスを撫でながら、二体の燃える獅子たちの根競べを見守る。
やがて一際大きく燃え上がったベレスの炎が、炎を燃やし尽くしたマグマライオンの体躯を包み込み、残された炎の中には輝く結晶が煌めいていた。
スターフォール周辺を散開するアイドルたちは、行く先々で遭遇した星獣たちとバトルを繰り広げる。
ステージから離れた場所で暴れている星獣たちは、どの星獣も荒々しく凶暴な星獣たちだ。
「俺達で星獣達を止めるのぜ」
天導寺 朱は星獣メロディカオオヘビを【ゲイルワイバーン】で竜へと変化させ、【カオスメタモルフォーゼ】で一心同体となる。
「うーん、出来ればレア星獣を見付けたかったけど、そう簡単には出てきてくれそうにないんだぜ」
レア星獣を探して空から辺り一帯を見渡してみるが、それらしい姿は見当たらない。
代わりに、唸り声をあげながら暴れるクマの姿をした星獣を発見した。
「レアじゃなくたって充分危険なんだぜ」
朱は、クマの星獣に向かって滑空し、【ブリザードブレス】を正面から吹きつけ、クマの視界を塞ぐ。
突然前が見えなくなり、危険を察知したクマは、しかし逃げるでもなく、方角も分からないまま、気配を頼りに朱に鋭い爪で攻撃してくる。
朱はクマの攻撃を飛んでかわしつつ、【ポラリス・ツヴァイヘンダー】の峰打ちを狙うが、クマの巨体には威力が弱すぎる。
「……仕方ないんだぜ」
朱は刃を構え、切れ味鋭くなった【ポラリス・ツヴァイヘンダー】で立ちあがったクマの腹部を斬りつける。
急所に深い傷を負ってたまらずよろめいたクマの背後に回り、今度こそトドメとばかりにその後頭部を峰打った。
意識を失ったクマは音を立ててその場に倒れ、横たわった巨体は程なくして結晶化した。
「さあ、この調子でどんどん倒していくんだぜ」
朱は再び空へと舞いあがり、次の星獣を探すのだった。
リリィ・エーベルヴァインは星獣の群れに囲まれていた。
【ペット☆フレーク】を使ってレア星獣を誘き出そうとしたら、近場にいた星獣たちを一気に誘き寄せてしまったのだった。
「行くよ、トランペットイヌ」
リリィは星獣トランペットイヌの頭を軽く撫で、オオカミの星獣の群れに向かって【グラウンドアタック】を繰り出させる。
もとから、リリィはオオカミの姿の星獣を狙って行くつもりだったのだ。
その対策なら、考えてある。
トランペットイヌの攻撃による衝撃波で怯んだオオカミたちを、個別に【智者のサーベル】で斬り伏せて行く。
ワシの姿の星獣による空からの攻撃は、【アーククリスタル】で防ぎながら、反撃のタイミングを伺う。
「空にとばれたら面倒くさい。だから下にいる間に倒す」
攻撃の為に滑空し、ワシの星獣が近づいてきたところで、リリィは【ダークネス】を放った。
周囲を侵食する闇がワシの姿の星獣を捉え、地上へと引きずり落とす。
もがくワシの姿の星獣にサーベルを突き立てると、星獣は結晶へと姿を変えてコロリと地面に転がった。
「さて、トランペットイヌ。お疲れ様、少し、休んでて」
襲い掛かって来た星獣の群れをほぼほぼ結晶化し終えたリリィは、少しの間その場でトランペットイヌを休ませる。
餌の匂いを嗅ぎつけた星獣たちが、再びやってくるまでそうは時間がかからないだろう。
「少し多く撒きすぎたか……」
リリィは未だ周囲に散らばっている【ペット☆フレーク】を横目に、溜息を零した。
「見つけた! シャルル、アイツからだ!」
行く手にサイの姿をした星獣を見付けた狩屋 海翔は、【ゲイルワイバーン】で有翼の竜へと変化させた星獣メロディカオオヘビの【シャルル】と突撃する。
サイの星獣の方も海翔に気付き、角を振り回しながら襲い掛かってくる。
シャルルが真空の刃で、サイの星獣の攻撃を牽制。
その隙に、サイの星獣の脇に回った海翔は、【ラン&スラッシュ】で【彗星のエムシ】による一刀両断を試みる。
攻撃の手数を少なくするのは、星獣たちを無駄に苦しめたくはないからだ。
「ちっ……浅いか……」
振り被った攻撃が、固い皮膚に弾かれる。
食い込んでしまった刃を咄嗟に引き抜くと、海翔はサイの星獣から後ろに跳ねるようにして距離を取った。
「アンタらに恨みも何もないけど、これからアンタらを恨むやつが出てくるかも知れねぇ――――悪いな、ここで止めさせてもらう!!」
角による攻撃を避けながら、海翔は【スマッシュストライク】による重い一撃を放つ。
流石に衝撃を受けたサイの星獣の体が傾いたところで、「シャルル!」と頭上に向けて海翔の鋭い声が飛ぶ。
真空の刃を放ってすぐに追撃の体勢に入っていたシャルルは、即座にサイの星獣に空からの体当たりを決めた。
「コンテストの試合とは違ってやりにくいか? ……安心しろ、基本は俺がやってやるさ。後詰め、頼んだぜ」
サイの姿の星獣が結晶化したのを見届けると、海翔は労わるようにシャルルに声をかけた。
シャルルはその言葉に応えるように、首を縦に振る。
「大丈夫そうだな。よし、じゃあ次だ!」
満足そうに頷いた海翔は、より多くの星獣たちを倒す為、シャルルとスターフォール内を駆け巡るのだった。
界塚 ツカサと加賀 ノイは、二人で連携してオオカミの姿の星獣とワシの姿の星獣の対処に当たる。
「まずはこれで足止めさせてもらうよ」
ツカサがネネと名付けた星獣クラリネットネコの【ブリザードブレス】で、襲い掛かってくるオオカミとワシの姿の星獣たちの視界を妨げる。
「次は僕の番だよ!」
続いて、ノイがココと名付けた星獣クラリネットの【ミーティアインパクト】による衝撃波で、視界に続いて音による混乱で聴覚を奪う。
嗅覚で動けるオオカミの星獣はともかくとして、ワシの星獣の方は、一先ず時間稼ぎが出来るはずだ。
ワシの姿の星獣の動きを封じている間に、少しでも多くのオオカミの姿の星獣を倒す算段だ。
「ボスは……っと、あいつかな?」
オオカミの姿の星獣の群れの先頭に立つ星獣を見止めたツカサは、ネネを呼び寄せる。
「小さなネコだと侮っていたら痛い目を見るよ?」
【ブレイズレオン】で炎を纏う獅子へと変化したネネは、群れのボスの星獣へと突撃する。
ツカサの思惑通り、ボスが襲われた所から、群れの陣形は崩れ始め、オオカミの星獣たちは散りじりになって駆け回っている。
ツカサがオオカミの姿の星獣と戦っている間に、ノイはワシの姿の星獣の方に攻撃を仕掛ける。
「派手に戦った方がいいようですし、ここは全力でやっちゃいましょう!」
カメラの向こうも意識して、ノイは ココの【リバースドミーティア】で、空にいるワシの星獣を光弾を放つ。
撃ち落とされたワシの姿の星獣が、地面に叩きつけられるようにして落ちると同時に結晶化する。
「こっちも行くよ、ネネ!」
ツカサは武器に宿った炎に周囲の炎を集約させ、【ブレイズレオン】の巨大な剣で、オオカミの星獣の群れを焼き払った。
「ここはもういいかな」
「そうですね。でもしばらく大技は使えないから、少し回復してから行きましょう」
二人が狙いを定めて攻撃を仕掛けるのは、基本は力は弱いが数が多い星獣だが、敵の方から襲ってくるとも限らない。
ノイは【アメちゃん】をツカサに手渡しながら、自身もそれを口に含む。
「ネネとココも……」
ノイは【ニンブルブレス】で星獣たちを癒し、少しばかりの休憩を終えると再びツカサと共に歩き出した。
千夏 水希は、あちこちで勃発している星獣たちとカオスブリーダーたちの戦いを見ながら、自然と彼らが避けている様な、別方向の場所を目指す。
今はコンテストの真っただ中、ここに集められているのは水希と同じく星獣たちと闘う力を持った者たちだ。
一般の星獣相手であれば、皆対処できるはず。
とすれば、より強力であるというレア物の星獣は、その彼らさえも逃げ出す方向――戦っている多くのカオスブリーダーたちとは反対の方向にいるはずだと当たりをつけた。
「――っ、居たか!」
水希の星獣クラリネットネコ【ベレス・フィーア】が突然その足を止め、草むらに向けて唸り声を上げる。
そこには、燃えるさかるマグマの炎を全身からほとばしらせるライオンが立っていた。
一方のベレスも、【ビッグウォールボディ】の巨体に、【ブレイズレオン】で炎を纏い、頭には【漆黒の角】を生やしている。
今のベレスは、鋭い爪に強靭な筋力――その姿はまるで炎の魔神イフリートのように、水希の目には映る。
そしてそれは、マグマを纏うライオン姿の星獣の目にも、そう映っているに違いなかった。
水希を守るよう、マグマライオンと対峙したベレスは、隙を伺いつつ睨み合いながらぐるぐると回る。
と、マグマライオンが大きな口を開けて噛みついて来た。
「ベレス!」
水希は【アーククリスタル】でライオンの牙を防ぎ、火傷を気にせずに済むよう、既に古傷のある右腕で【アストラルグローブ】による牽制攻撃を仕掛ける。
急所である首回りと側面からの攻撃の防御は水希に任せて、ベレスは頑なに正面からマグマライオンに向かって行く。
「どうしても正面からの炎対決を制したいらしいね。
ま、いざとなればどんなに強い相手でも正面から戦わないといけないんだ。付き合うか」
ベレスの意図を組んだ水希は、ベレスが心置きなく戦えるよう、防御に徹する。
しかし、ここぞという時の隙は見逃さなかった。
ベレスの噛み付きがついに正面からマグマライオンを捉えた時、水希は【ブレイズレオン】で周囲の炎を巻き込み巨大な剣を創り出し、素早く斬り込んだ。
ベレスの重たい攻撃とは違い、スピードと軽さのある攻撃が、単調だった攻撃のテンポを崩し、マグマライオンの反応が一歩遅れる。
水希は【ブレイズレオン】の必殺の一撃でマグマライオンを追撃。
そこに、ベレスが突撃し、渾身の力で漆黒の角を突き立てた。
「トドメだ」
ベレスが倒れたマグマライオンを、その巨体で押し潰した。
ベレスはそのまま、マグマライオンの最後の激しい抵抗を必死に抑え込む。
「頑張れ、ベレス。お前の炎でマグマライオンの灯火を消してやれ」
水希も熱と炎による酸欠で意識を奪われそうになりながらも、【アストラルグローブ】でベレスを撫でながら、二体の燃える獅子たちの根競べを見守る。
やがて一際大きく燃え上がったベレスの炎が、炎を燃やし尽くしたマグマライオンの体躯を包み込み、残された炎の中には輝く結晶が煌めいていた。