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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

決戦の日、スターフォールの奇跡

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決戦の日、スターフォールの奇跡

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星獣たちに想いよ届け! ライブ編 2


「大変な事態になる前に収拾をつけないと……。
 クリール、私たちも、星獣たちが鎮まってくれるよう頑張ってライブに励みましょう」

 空花 凛菜は星獣トランペットイヌの【クリール】を伴って、ステージに立つ。
 今日の観客は荒れ狂う星獣たちが相手だ。普段と勝手が違うとは言え、やることは同じだ。
(なんとなくこちらの話す内容、というか雰囲気は伝わりそうな気がします。多分)
 凛菜は出来るだけいつも通りに、マイクを手にする。

「星獣の皆さん、こんにちは!」
 大声で呼びかけてみるが、言葉通りに通じる訳ではない。
 それでも、何かステージが始まったということは理解した様子で、近くで暴れていた星獣たちが凛菜に興味を示し始める。
「従姉のお姉様が星空が好きで…よく星の話を聞いていて、私も星空にはすごく思い入れがあります。
 皆さんは星の化身だと感じます。そんな皆さんに、これからパートナーのクリールと一緒に星空の感動を伝えられたらよいな、と思っています。
 よろしければご覧ください!」

 凛菜は丁寧な挨拶を終えると、【シュテルンヴォルフ】を発動。
 星色の狼へと姿を変えたクリールとステージ一体に突如現れた満天の星空が星獣たちの興味を引く。
 凛菜はクリールのウタに合わせて、【クリアボイス】の清らかな歌声を重ねる。
 そうして、【風雅のクロスコード】を纏い、星獣たちの心に響くよう繊細な歌声を心がけながら、持ち曲「スターナイト☆トリップ!」を歌い上げた。
 凛菜とクリールのウタに共鳴した星獣たちは、感動した様子で鳴き声をあげる。
 最後まで心を籠めて歌い終えた凛菜は、礼儀正しくお辞儀する。
「クリール、お疲れさまです」
 共にステージに立ったクリールにまずは労わりの言葉をかけ、凛菜はステージを降りる。
 集まった中の星獣たちの多くは凛菜のステージに満足し、結晶化した。


「ライブを見て動きを止めるってことは、完全に理性を失ってるってわけじゃないのかな?」
 虹村 歌音はそんな期待を持って、暴れている星獣たちを見やる。
「それどころか、これがすべてアイドルのライブを見定めるための茶番なのかもしれんな」
 ウィリアム・ヘルツハフトは、思案するように顔をしかめた。
「まぁ、どちらにせよやることは変わらん。我々【リトルフルール】のライブを星獣たちに認めさせるだけだ」
 ウィリアムの迷いない言葉に、歌音も「うん!」と力強く頷く。
 そして、歌音はステージ脇に控えるメンバーのシャーロット・フルールを振り返った。
「行こう! シャロちゃん!」
 しかしシャーロットは、歌音の呼び掛けにすぐに反応することは出来なかった。
(ボクの願いは死んじゃったパパとママを蘇らせてもらう事……だけど……分かってる。
 そんな事、神様だってできない)
 それでも、シャーロットは願わずにはいられない。
 一番星の星獣に願えば、両親に今の娘の頑張っている姿を見てもらうことくらいは出来るのではないかと。

「シャロちゃん?」
 歌音が、心配そうにもう一度、シャーロットに声をかける。
「ん、こんな顔、ボクらしくないよね」
 シャーロットは沈み込んだ気持ちを震い立たせる為、パンッと自分の頬を両手で叩いた。
「にひひ、お待たせ。かのんちゃん」
 普段の調子を取り戻したシャーロットは、アレクス・エメロードとステージの真ん中に躍り出る。
「さぁ、今日も最高のフルールライブでおもてなし♪
 派手にいっくよ~、チョコちゃん☆」

 シャーロットは星獣メロディカカオヘビの【チョコちゃん】を【ドラゴンソング】と【ハミングウィング】で四足の羽根の生えたドラゴンのような姿へと変貌させる。
 そして、シャーロット自身も【おそろいショータイム】で背中に羽根と、頭にドラゴンの角を生やし、チョコちゃんと息の合ったダンスを披露する。
 そこに、アレクスが【箒星のサーベル】を振るい、星屑の光の演出を加えていく。
 シャーロットの【極光のクラヴィコード】の演奏とチョコちゃんの歌が同調し、ステージに光を集めて行く。
「お次はこいつだ。いくぜレオン!
 お前の全力を魅せてやれ!」
 アレクスの声に応じて、【概念上の星獣】として【ブレイズレオン】で炎のタテガミを持つ獅子へと姿を変えた、星獣クラリネットネコの【レオン】が分身。
 レオンに【ライトニングオーラ】で光を纏わせると、シャーロットの周りを駆け回らせ、アレクスはシャーロットの光のステージを更に輝かせる。
 
 ウサギやシマウマの姿をした星獣たちを中心に数多くの星獣たちが、シャーロットのド派手なステージに気を取られ、ステージ前に群がってくる。
 だが、まだレアな星獣は姿を見せていない。
 シャーロットは次の一手を放つ。
「さぁ、みんなこれを見るんだよ。
 チョコちゃん、飛っべ~♪」
 【フェアリーテイルプリンセス】でお姫様に変身したシャーロットは、【恒星の鞍】を付けたチョコちゃんに跨り、【ハミングウイング】で上空へと駆け昇る。
 それに合わせて、アレクスが【ふわふわサイクロン】で竜巻を起こす。

「走れレオン。
 もっと速く、もっと熱くだ。
 シャロを天高く導く嵐となれ!」
「フルール龍星群!!」
 竜巻に煽られ、チョコちゃんに乗ったシャーロットが空高く舞い上がったところで、【極光のクラヴィコード】は最高潮を迎え、天幕のような極光がステージを照らした。
 その眩い光に誘われたのか、群れる星獣たちの中に、恐竜型のレア星獣の姿があった。

「後はかのんちゃん! 宥めるのよろしくね☆」
「もちろん、任せて!」 
 極光が収まりつつあるステージに、【フロートアロマ】の甘く優しい歌声と香りが広がる。
 光のステージから、【はなのまい】で色とりどりの花のステージを創り出した歌音は、星獣フルートバードの【フルル】の歌声に合わせて、【コメットリュラー】を奏でる。
 歌音たちの落ち着いたバラードに、ウィリアムも星獣クラリネットネコの【クーラ】とのコーラスを合わせる。
「さあ、そろそろクライマックスといきますよ!」
「ああ。歌音の癒しの歌声が、星獣や観客の耳に届くよう、俺も精一杯頑張るとしよう」
 クーラには【水泡のヴェール】で癒しのパフォーマンスを披露してもらう一方で、ウィリアムは【爛漫のクロスコード】でパフォーマンスに華やかさを添える。
 ウィリアムが【ハピネスチャント】で歌音の歌のコーラス部分を歌えば、小鳥の星獣たちがそれに応えるように可愛らしく鳴いた。
 【ピッコロフェニックス】で不死鳥の姿へと変身したフルルは、ステージ上を優雅に飛び回りながら、【ふかふかの体毛】で毛玉を沢山飛ばす。
 ステージに満たされながらフルルの毛玉に触れた星獣たちは、その癒しに心を鎮め、結晶になっていく。
 しかしシャーロットのパフォーマンスによって集められた星獣たちの数は多く、【リトルフルール】のステージパフォーマンスは、その全てを結晶化するには及ばなかった。
 半数程度の星獣たちの結晶化には成功したものの、残りの星獣たちと、恐竜型のレア星獣は再び暴れ出してしまった。


 次のステージは、アーヴェント・ゾネンウンターガング合歓季 風華天草 燧からなる【トロイメライ】のステージだ。

 ステージに立つ前に、アーヴェントと風華は、共演を申し込むためリンアレルのもとを訪れていた。
「より多くの星獣を早く救わなければならない。その為に、君の力を貸してくれないか」
「お願いです。この場の命たちによき舞台をと。共に歌っていただけませんか?」
 真剣に願うアーヴェントの横で、【プリーストオーダー】を大事に胸に掲げながら、風華もリンアレルに頭を下げる。 
 アーヴェントにほのかな思慕を抱く風華としては、この時間さえも大切に思うが、ここはそんな思いも振り払い、一刻も早くリンアレルの協力が欲しい。
「分かりました。……協力はしますが、ライブで負けるつもりはありません!」
「勿論。ライブは皆ライバルだ。それと、……これは全くの私用になってしまうが……」 
 アーヴェントは、そこで言い難そうに一度言葉を切った。
「その……クロシェルは、生きて、いるのか?」
 もし彼が生きているのなら、一番星に願うのは、いつか彼から剣を学びたいということだ。
 そんな想いから、アーヴェントはリンアレルに期待を籠めて尋ねる。
「はい。今までどこでどうしていたのかは“まだ”教えてくれないのですが……確かに兄さんは生きています」
「ああ、そうか。なら良かった」
 リンアレルの言葉に安堵したアーヴェントは、クロシェルのフェスフェスで見た姿を思い出し、腰の剣に触れると、ステージへと足を踏み出した。

「話は済んだかい?」
 先行して【ホークアイ】と【コアチェック】で、レア星獣の居場所を探っていた燧が、アーヴェントたちと合流する。
「前のステージで現れたレア星獣が、未だステージの周辺をうろついてるんだ。
 あれなら正確に位置を捉えられると思う。行こう」
 燧はアーヴェント、風華、リンアレルを伴ってステージに立つと、空を見上げる。
「一緒に歌ってくれるかな? 皆のために……僕らのために」
 【スカイスイマー】で空を泳ぐ星獣コントラバスフィッシュの【ソルフェさん】にそう語りかけると、燧は【響弦ステラメモリー】の演奏に【スムースバラディア】の歌声を合わせる。
 優しい音色に、ヒツジやヤギの姿の星獣たちが膝を折ってステージ前に大人しく座る。
 燧が【ミーティアステージ】の光でステージを照らせば、風華が星獣メロディカオオヘビの【アルナさん】と共にステージに登場した。
 【ネムキエルの祝星天衣】の裾を広げ、【冷然のクロスコード】の落ち着きをもって、風華は荒れた星獣たちの心に語りかける。

「望む全ての命が心安らかに眠れるよう。迷い子達にウタを――」

 風華の声に呼応するように、周囲に浮かべた【ネムキエルの深響浮星】が星のように瞬く。
「安らぎのウタを。ウタの翼を。アルナーリフィール……!」
 お揃いのリボンを触れ合わせ、アルナさんのフルネームを告げた風華は、覚醒を促すかのように【ハミングウィング】をアルナさんに施す。
 そして、その翼にそっと触れた風華も【オルトウィング】を生やす。
 共に空へと誘うように、風華がリンアレルに手を伸ばせば、意図を察したリンアレルとベルラビットも宙に浮く。
 そこに、ソルフェさんの飛ばす水泡が、飛び立ちと夢を運ぶ象徴としての演出を加える。
 
 風華の飛び立ちを見送り、アーヴェントは友である星獣メロディカカオヘビの【ダイナ】の尻尾を手に取り、軽いキスを送る。
「さあ、歌おうか」
 呼び掛けと同時に、【ドラゴンソング】によってダイナの姿は四足のドラゴンへと一変する。
 風華が空からそそぐウタに燧が【スムースバラディア】で副旋律重ね、そこに更にアーヴェントのウタも重なる。
 燧の飛ばす水泡と風華のハミングウェイの光が、観客である星獣たちを巻き込み、星獣たちの合唱と重なり、空から地上から、大きなハーモニーが生まれてステージ全体を包み込む。

「翼よはこべ 光をはこべ 夢へとはこべ うたいみちびけ声合わせ」

 風華は燧が探し当てた暴れるレア星獣の恐竜の居る場所を意識しながら、その頭上でハミングウィングによる光とウタを届ける。
 しかしそれでもまだ、恐竜の星獣の心を鎮めるには至らない。
「さあ、響け、広がれ、この場の全てに」
 多くの星獣たちが自分たちの歌声に合わせて合唱してくれるようになった頃合いを見計らって、アーヴェントは【ドラゴンソング】の重厚な音律に、【アンプ・コーラス】で更に風華の主旋律を引き立たせていく。
 それぞれがそれぞれの旋律を、美しく重ねあわせた複雑なハーモニーは、多くの星獣たちの心を鎮め、複数の結晶がステージに落ちたが、荒れ狂うレア星獣の結晶化は出来ず、ステージが終わると同時に恐竜姿の星獣は荒々しい鳴き声を響かせながら牙を剥き、身を隠すように走り去って行った。
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