決戦の日、スターフォールの奇跡
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星獣たちに想いよ届け! ライブ編 1
理性を失った星獣たちの出現で一時騒然となったコンテストだったが、観客として集まった人々を安全の為ステージから離れた場所へと移動し、ステージ環境は整えられた。
あとは、ステージを見定めようとする星獣たちを相手に、ステージ上でライブパフォーマンスを行うだけである。
やることはいつものライブと同じ――とは言え、やはり人相手と星獣相手では勝手が違うのも事実だ。
暴れている星獣はリスやウサギの姿と言った小型のものから、パンダやシマウマの姿のように比較的大型のものまで多種多様だ。
星獣には星獣を。
アイドルたちは皆、それぞれ相棒の星獣を引きつれ、ライブへと挑む。
最初にステージに立つことになったのは、藍屋 あみかと竜胆 華恋の【あみかれん】だ。
「何が起きているのかわからず驚いていますが……こんなのは見ていられないです」
あみかは、暴れている星獣たちを前に、悲し気に目を伏せる。
「私も同じ気持ちです。早く結晶に戻さないと」
あみかは星獣トランペットイヌの【ウェスペル】と、華恋は星獣クラリネットネコの【エレイル】と、おそろいでつけたリボンを見せ合い、手を取り合ってお互いの想いを確認する。
あみかと華恋は自身の星獣たちと並んでステージにあがると、まずは挨拶からとぺこりと頭を下げた。
あみかが手慣らしに【宵流のメモリーテラー】を弾けば、すぐにウェスペルが応えるように跳ねる。
ウェスペルとのアンサンブルを軽く確認し、あみかは【ミーティアステージ】で本格的なステージの演出に入った。
それに合わせて、華恋も【ミーティアステージ】を展開し、ステージは瞬く間に光のステージとなった。
光に目を奪われた星獣たちがステージの前列に集まり、次第に二人のステージに耳を傾け始める。
あみかの竪琴と華恋の【歌い鳥のピッコロ】の演奏に乗せて、二人は歌声を合わせる。
二人のステージは、星獣たちの荒れた心を落ち着かせることを第一に考えられている。
華恋は【キズナハミング】でエレイルと一緒に、光に興奮を覚えた星獣たちに向けて、落ち着いた歌声を響かせる。
あみかは【フロートアロマ】の歌声による花の香を、【ふわふわの体毛】でウェスペルの毛玉に乗せて星獣たちへと届ける。
「たっぷり触れ合っていってくださいね」
華恋がエレイルに【小さな羽】を生やすと、エレイルはウェスペルの毛玉を追いかけるように、ステージ前の星獣たちのもとへと向かう。
「一つ一つが届くように……」
あみかの祈りと共に、二人のステージが終わる。
暴れる大型の星獣たちを抑え込むことは出来なかったが、二人のステージにリラックスして、毛玉にじゃれついてきたネコの姿の星獣を一部結晶化することに成功した。
「むむ、やはり暴れる星獣たちを全て落ち着かせることは難しいようですね」
舞台袖からステージを見守っていた芹沢 葉月は、最初のステージが終わっても未だ暴れ続けている星獣たちを前に眉を顰める。
そして、安全の為に【アシストリング】に嵌めて結晶のまま連れて来た 星獣クラリネットネコの【くらまる】のウタを流し始める。
くらまるを閉じ込めてしまったことに、心が痛まないではないが、これも【くらまる】を守る為だ。
後のご機嫌取りの為に【ペット☆フレーク】も用意して、葉月は自身がステージに立つことはなく、あくまで舞台袖からステージとステージの間のつなぎ役を買って出た。
星獣がステージの間は攻撃してこないと言うなら、なるだけウタは絶やさずにいた方が良いだろう。
(決して自分の現時点での実力が明らかに足りてないからびびって安全策を取ってるわけじゃないですよ、本当ですよっ!)
誰に言うでもなく心の中で訴えながら、葉月は場の空気に合わせて慎重に音を選ぶ。
次のステージに響かぬよう、ワンフレーズだけ同じメロディを繰り返す様な短いウタに、前の曲が明るい曲なら【小鳥のピッコロ】の音を重ね、しっとりとした曲調であれば【キズナハミング】でくらまるのウタに合わせる。
(役に立つかというと分からないですけど、星獣さんを落ち着かせる役には立たなくてもライブの彩りにはなりますよね)
自身の出来ることを信じて、葉月はウタを途切れることなく流し続けた。
「一緒に頑張ろうね、グレイス」
甘味 恋歌は、星獣チェンバロウマの【グレイス】とおそろいのリボンを結び、【スタープリンセス】を身に纏い、おしゃれに着飾っている。
恋歌たちのステージのテーマは、『星の輝き』だ。
恋歌は星のお姫様、グレイスは星の精霊をイメージしたパフォーマンスを行う。
自身の星獣との信頼関係をしっかりとステージ前の暴れる星獣たちに示すため、恋歌はグレイスの背に乗ってステージに現れた。
ステージ中央でグレイスの背から降り、ステージに立った恋歌は、顔を擦り寄せて来るグレイスの体を優しく撫でる。
「集いし星たちへ輝きを。私たちで導きましょう」
恋歌が観客である星獣たちへと語りかけ、グレイスに【ハミングウィング】で翼を生やせば、グレイスの姿は幻想的なペガサスへと姿を変える。
続いて【ミーティアステージ】で音響効果を狙うと共に、光で星の瞬きを演出する。
恋歌のステージに引き込まれるように、パンダの姿の星獣がその巨体を静かにステージ前に落ち着けた。
【ピュアリファイア】を通して、ゆったりと穏やかなメロディーをハミングし、恋歌はグレイスに気持ちよく“ウタ”を奏でてもらえるよう先導し、息のあったアンサンブル奏でて行く。
恋歌は、【オルトウィング】の翼を羽ばたかせ、【ハミングウィング】で飛ぶグレイスと一緒に空を舞う。
恋歌の衣装と、グレイスの羽の軌跡から、零れ落ちる光の粒が、まるで星の輝きとなって荒れる星獣たちの上へと降り注ぐ。
「さあ、皆さんもご一緒に」
恋歌は星獣たちの上をゆっくりと飛びながら、【ハミングウィング】の光の粒で星獣たちの唄を誘う。
ステージに聞き入っていたクマとオウムの星獣が、これに応えて合唱を始めた。
観客の星獣を巻き込んだアンサンブルを奏で終わると、再びステージ中央に降り立った恋歌は恭しくお辞儀をして、ステージを終えた。
そこには、共に歌った星獣たちの結晶が多く残されていた。
【シュテルンビルトの宝衣】を纏った弥久 風花は、【ヘキサスター・トライアングル】をリズミカルに鳴らしながら、ステージへと走る。
その横には、【重奏クリスタルホーン】で生やした角から光の粒子を振り撒きながら、メロディを奏でて走る、星獣トランペットイヌの【ルゥ】がいる。
トライアングルの奏でる珍しい物音に興味を引かれ、暴れるのをやめた星獣たちの視線が、風花とルゥに集まってくる。
しかしそれで怯む風花では無かった。
(星獣達がどんな風に相手を認めるのかは知らないけど、
ライブを通して星獣とパートナーの仲を見せれば良いんでしょ。じゃあ、簡単よ!)
風花には暴れる星獣たちを抑え込める自信があった。
何故なら、強力な助っ人を呼んだからだ。
リンアレルと泉 光凛――以前見かけた時、二人共星獣ととても仲良くなれそうだった。
今回も、リンアレルはベルラビットと、光凛はヒヒちゃんと、星獣と一緒にコンテストに参加している。
二人と協力してステージに立つことで、きっとこの場をおさめることは出来るはずだ。
「まずはこっちに、星獣の注目を集めるわよ!」
登場の勢いのまま、ルゥは【ハミングウィング】で空を飛び、観客である星獣たちの”ウタ”を引きだし、合唱へと誘う。
ルゥの翼から零れた光の粒子に触れたウシの姿の星獣が、のんびりとしたウタを重ねる。
ステージに耳を傾ける星獣たちの頭の上を思う存分飛び回ったルゥは、再び風花の待つステージへと戻る。
「さあ、ルゥ! 仕上げに満天の星空を!」
【シュテルンヴォルフ】で星獣たちの視界いっぱいに星空を映し出し、風花は星を操り、大きく渦巻く銀河を演出する。
「これで前座は完了よ! 後は頼んだわ!」
風花の声に、リンアレルと光凛がステージ上に姿を現す。
「わかりました。私にとっても良いアピールの機会になりそうです」
コンテストでの優勝も意識するリンアレルにとっては、風花がお膳立てしてくれたこの舞台は悪いものではない。
やる気も充分に、リンアレルはベルラビットとステージパフォーマンスを行う。
「困ってる時はお互い様だよねぇ」
光凛も、ヒヒちゃんと共に力強いステージを魅せる。
風花はルゥと一緒に二人のバックダンサーとして踊り、ウタを盛り上げた。
三人のステージを見届けた星獣たちは、感動したように鳴き、結晶へと姿を変えた。
理性を失った星獣たちの出現で一時騒然となったコンテストだったが、観客として集まった人々を安全の為ステージから離れた場所へと移動し、ステージ環境は整えられた。
あとは、ステージを見定めようとする星獣たちを相手に、ステージ上でライブパフォーマンスを行うだけである。
やることはいつものライブと同じ――とは言え、やはり人相手と星獣相手では勝手が違うのも事実だ。
暴れている星獣はリスやウサギの姿と言った小型のものから、パンダやシマウマの姿のように比較的大型のものまで多種多様だ。
星獣には星獣を。
アイドルたちは皆、それぞれ相棒の星獣を引きつれ、ライブへと挑む。
最初にステージに立つことになったのは、藍屋 あみかと竜胆 華恋の【あみかれん】だ。
「何が起きているのかわからず驚いていますが……こんなのは見ていられないです」
あみかは、暴れている星獣たちを前に、悲し気に目を伏せる。
「私も同じ気持ちです。早く結晶に戻さないと」
あみかは星獣トランペットイヌの【ウェスペル】と、華恋は星獣クラリネットネコの【エレイル】と、おそろいでつけたリボンを見せ合い、手を取り合ってお互いの想いを確認する。
あみかと華恋は自身の星獣たちと並んでステージにあがると、まずは挨拶からとぺこりと頭を下げた。
あみかが手慣らしに【宵流のメモリーテラー】を弾けば、すぐにウェスペルが応えるように跳ねる。
ウェスペルとのアンサンブルを軽く確認し、あみかは【ミーティアステージ】で本格的なステージの演出に入った。
それに合わせて、華恋も【ミーティアステージ】を展開し、ステージは瞬く間に光のステージとなった。
光に目を奪われた星獣たちがステージの前列に集まり、次第に二人のステージに耳を傾け始める。
あみかの竪琴と華恋の【歌い鳥のピッコロ】の演奏に乗せて、二人は歌声を合わせる。
二人のステージは、星獣たちの荒れた心を落ち着かせることを第一に考えられている。
華恋は【キズナハミング】でエレイルと一緒に、光に興奮を覚えた星獣たちに向けて、落ち着いた歌声を響かせる。
あみかは【フロートアロマ】の歌声による花の香を、【ふわふわの体毛】でウェスペルの毛玉に乗せて星獣たちへと届ける。
「たっぷり触れ合っていってくださいね」
華恋がエレイルに【小さな羽】を生やすと、エレイルはウェスペルの毛玉を追いかけるように、ステージ前の星獣たちのもとへと向かう。
「一つ一つが届くように……」
あみかの祈りと共に、二人のステージが終わる。
暴れる大型の星獣たちを抑え込むことは出来なかったが、二人のステージにリラックスして、毛玉にじゃれついてきたネコの姿の星獣を一部結晶化することに成功した。
「むむ、やはり暴れる星獣たちを全て落ち着かせることは難しいようですね」
舞台袖からステージを見守っていた芹沢 葉月は、最初のステージが終わっても未だ暴れ続けている星獣たちを前に眉を顰める。
そして、安全の為に【アシストリング】に嵌めて結晶のまま連れて来た 星獣クラリネットネコの【くらまる】のウタを流し始める。
くらまるを閉じ込めてしまったことに、心が痛まないではないが、これも【くらまる】を守る為だ。
後のご機嫌取りの為に【ペット☆フレーク】も用意して、葉月は自身がステージに立つことはなく、あくまで舞台袖からステージとステージの間のつなぎ役を買って出た。
星獣がステージの間は攻撃してこないと言うなら、なるだけウタは絶やさずにいた方が良いだろう。
(決して自分の現時点での実力が明らかに足りてないからびびって安全策を取ってるわけじゃないですよ、本当ですよっ!)
誰に言うでもなく心の中で訴えながら、葉月は場の空気に合わせて慎重に音を選ぶ。
次のステージに響かぬよう、ワンフレーズだけ同じメロディを繰り返す様な短いウタに、前の曲が明るい曲なら【小鳥のピッコロ】の音を重ね、しっとりとした曲調であれば【キズナハミング】でくらまるのウタに合わせる。
(役に立つかというと分からないですけど、星獣さんを落ち着かせる役には立たなくてもライブの彩りにはなりますよね)
自身の出来ることを信じて、葉月はウタを途切れることなく流し続けた。
「一緒に頑張ろうね、グレイス」
甘味 恋歌は、星獣チェンバロウマの【グレイス】とおそろいのリボンを結び、【スタープリンセス】を身に纏い、おしゃれに着飾っている。
恋歌たちのステージのテーマは、『星の輝き』だ。
恋歌は星のお姫様、グレイスは星の精霊をイメージしたパフォーマンスを行う。
自身の星獣との信頼関係をしっかりとステージ前の暴れる星獣たちに示すため、恋歌はグレイスの背に乗ってステージに現れた。
ステージ中央でグレイスの背から降り、ステージに立った恋歌は、顔を擦り寄せて来るグレイスの体を優しく撫でる。
「集いし星たちへ輝きを。私たちで導きましょう」
恋歌が観客である星獣たちへと語りかけ、グレイスに【ハミングウィング】で翼を生やせば、グレイスの姿は幻想的なペガサスへと姿を変える。
続いて【ミーティアステージ】で音響効果を狙うと共に、光で星の瞬きを演出する。
恋歌のステージに引き込まれるように、パンダの姿の星獣がその巨体を静かにステージ前に落ち着けた。
【ピュアリファイア】を通して、ゆったりと穏やかなメロディーをハミングし、恋歌はグレイスに気持ちよく“ウタ”を奏でてもらえるよう先導し、息のあったアンサンブル奏でて行く。
恋歌は、【オルトウィング】の翼を羽ばたかせ、【ハミングウィング】で飛ぶグレイスと一緒に空を舞う。
恋歌の衣装と、グレイスの羽の軌跡から、零れ落ちる光の粒が、まるで星の輝きとなって荒れる星獣たちの上へと降り注ぐ。
「さあ、皆さんもご一緒に」
恋歌は星獣たちの上をゆっくりと飛びながら、【ハミングウィング】の光の粒で星獣たちの唄を誘う。
ステージに聞き入っていたクマとオウムの星獣が、これに応えて合唱を始めた。
観客の星獣を巻き込んだアンサンブルを奏で終わると、再びステージ中央に降り立った恋歌は恭しくお辞儀をして、ステージを終えた。
そこには、共に歌った星獣たちの結晶が多く残されていた。
【シュテルンビルトの宝衣】を纏った弥久 風花は、【ヘキサスター・トライアングル】をリズミカルに鳴らしながら、ステージへと走る。
その横には、【重奏クリスタルホーン】で生やした角から光の粒子を振り撒きながら、メロディを奏でて走る、星獣トランペットイヌの【ルゥ】がいる。
トライアングルの奏でる珍しい物音に興味を引かれ、暴れるのをやめた星獣たちの視線が、風花とルゥに集まってくる。
しかしそれで怯む風花では無かった。
(星獣達がどんな風に相手を認めるのかは知らないけど、
ライブを通して星獣とパートナーの仲を見せれば良いんでしょ。じゃあ、簡単よ!)
風花には暴れる星獣たちを抑え込める自信があった。
何故なら、強力な助っ人を呼んだからだ。
リンアレルと泉 光凛――以前見かけた時、二人共星獣ととても仲良くなれそうだった。
今回も、リンアレルはベルラビットと、光凛はヒヒちゃんと、星獣と一緒にコンテストに参加している。
二人と協力してステージに立つことで、きっとこの場をおさめることは出来るはずだ。
「まずはこっちに、星獣の注目を集めるわよ!」
登場の勢いのまま、ルゥは【ハミングウィング】で空を飛び、観客である星獣たちの”ウタ”を引きだし、合唱へと誘う。
ルゥの翼から零れた光の粒子に触れたウシの姿の星獣が、のんびりとしたウタを重ねる。
ステージに耳を傾ける星獣たちの頭の上を思う存分飛び回ったルゥは、再び風花の待つステージへと戻る。
「さあ、ルゥ! 仕上げに満天の星空を!」
【シュテルンヴォルフ】で星獣たちの視界いっぱいに星空を映し出し、風花は星を操り、大きく渦巻く銀河を演出する。
「これで前座は完了よ! 後は頼んだわ!」
風花の声に、リンアレルと光凛がステージ上に姿を現す。
「わかりました。私にとっても良いアピールの機会になりそうです」
コンテストでの優勝も意識するリンアレルにとっては、風花がお膳立てしてくれたこの舞台は悪いものではない。
やる気も充分に、リンアレルはベルラビットとステージパフォーマンスを行う。
「困ってる時はお互い様だよねぇ」
光凛も、ヒヒちゃんと共に力強いステージを魅せる。
風花はルゥと一緒に二人のバックダンサーとして踊り、ウタを盛り上げた。
三人のステージを見届けた星獣たちは、感動したように鳴き、結晶へと姿を変えた。