決戦! オーサカ料理コンテスト!
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リアクション
【2-3】
キッチンで食材を選定していた睡蓮寺 小夜が、急に何かを思い立ったかのように堀田 小十郎の腕をつかむ。
「──どうした?」
「十くん、わたしは……天歌院さんのノイズ料理には、負けたくないな……」
「奴の料理には決定的に想いが欠けている……料理は心だよ。ノイズ料理で心までは奪えない。月並みな言葉かも知れないが、気持ちのこもったおいしい料理──小夜なら、きっと作れるよ」
「そうだね──最高の調味料は愛情だって、わたしは知っているから……」
「気持ちのこもったおいしい料理──小夜なら、きっと作れるよ」
小夜はこくんと頷き、早速、【薫香七輪】と【スープストック】を使って、調理を開始する。
冷やし化けキノコとオモイデ草を使ったお浸しは、グルメ仙人の口に合うようやさしい味に仕上げた。
小十郎が【インセンスオブビースト】を使って、小夜の一皿に香りづけを施す。
味噌汁は出汁をきかせて、塩分は小十郎の【クリスタルソルト】を使ってやや控えめに。
炊き立てのご飯を八分目によそい、【オフクロテイスト】で小夜が精一杯の真心をこめる。
「どうか、みんなに笑顔が戻りますように──」
【食神の言祝ぎ】を仕上げに使うと、【料理:母親印の精進料理】が完成した。
「何だか……」
言いかけて、小十郎が口をつぐむ。
「え? 失敗──だったかな……?」
「いや、そうじゃない」
この料理を、一番最初に口にすることができるグルメ仙人に、小十郎はほんの少し嫉妬をしかけていた。
だが、本人にはそこまではっきりとは自覚がないらしい。
ただもやもやとした何かを抱えて、じっと皿を見つめる小十郎。
「後で、一緒にいただきましょうね」
「お、おう……」
小夜は小十郎と共におそるおそる料理をグルメ仙人の元へと運ぶ。
「お口に合うかどうか、分かりませんが……」
小夜がグルメ仙人の前にそっと皿を置く。
グルメ仙人は無言のまま箸を使って、一口ずつ食べていった。
「……やさしい思いがこもっておるな。味つけはまだまだ未熟じゃが……ぬしら、こんな技法をどこで身につけた? 料理とは食べる相手の体調に合わせて調節できるものでもある。それが見事に表現されておる」
最高の誉め言葉と言っていいだろう。
小夜は思わず、小十郎の腕をつかんでこぼれるような笑みを見せた。
キッチンで食材を選定していた睡蓮寺 小夜が、急に何かを思い立ったかのように堀田 小十郎の腕をつかむ。
「──どうした?」
「十くん、わたしは……天歌院さんのノイズ料理には、負けたくないな……」
「奴の料理には決定的に想いが欠けている……料理は心だよ。ノイズ料理で心までは奪えない。月並みな言葉かも知れないが、気持ちのこもったおいしい料理──小夜なら、きっと作れるよ」
「そうだね──最高の調味料は愛情だって、わたしは知っているから……」
「気持ちのこもったおいしい料理──小夜なら、きっと作れるよ」
小夜はこくんと頷き、早速、【薫香七輪】と【スープストック】を使って、調理を開始する。
冷やし化けキノコとオモイデ草を使ったお浸しは、グルメ仙人の口に合うようやさしい味に仕上げた。
小十郎が【インセンスオブビースト】を使って、小夜の一皿に香りづけを施す。
味噌汁は出汁をきかせて、塩分は小十郎の【クリスタルソルト】を使ってやや控えめに。
炊き立てのご飯を八分目によそい、【オフクロテイスト】で小夜が精一杯の真心をこめる。
「どうか、みんなに笑顔が戻りますように──」
【食神の言祝ぎ】を仕上げに使うと、【料理:母親印の精進料理】が完成した。
「何だか……」
言いかけて、小十郎が口をつぐむ。
「え? 失敗──だったかな……?」
「いや、そうじゃない」
この料理を、一番最初に口にすることができるグルメ仙人に、小十郎はほんの少し嫉妬をしかけていた。
だが、本人にはそこまではっきりとは自覚がないらしい。
ただもやもやとした何かを抱えて、じっと皿を見つめる小十郎。
「後で、一緒にいただきましょうね」
「お、おう……」
小夜は小十郎と共におそるおそる料理をグルメ仙人の元へと運ぶ。
「お口に合うかどうか、分かりませんが……」
小夜がグルメ仙人の前にそっと皿を置く。
グルメ仙人は無言のまま箸を使って、一口ずつ食べていった。
「……やさしい思いがこもっておるな。味つけはまだまだ未熟じゃが……ぬしら、こんな技法をどこで身につけた? 料理とは食べる相手の体調に合わせて調節できるものでもある。それが見事に表現されておる」
最高の誉め言葉と言っていいだろう。
小夜は思わず、小十郎の腕をつかんでこぼれるような笑みを見せた。