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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

決戦! オーサカ料理コンテスト!

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決戦! オーサカ料理コンテスト!
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「──待てよ」

 と言って、玲花を引き止めたのは死 雲人だった。

「肉についての蘊蓄なんざ今更どうでもいい。どんな手順を踏んだにしろ、食材から最高の味を引き出すのは料理人の腕次第だ」

 雲人はニッと笑って、

「よもぎ。審査員を助けるために力を貸してくれ! 頼む!」

 一連の様子を見守っていたよもぎに距離を詰めていった。

「な、何を──?」

 よもぎは雲人に言われるまま、調理台の上で仰向けにされてしまう。
 雲人は、虹色クリームとオモイデ草、そして禁断のパプリカを【食神の言祝ぎ】で混ぜ合わせたクリームをよもぎの体に塗っていった。
 そのスピードは、胸の谷間や顔であってもためらうことのない手早さだ。

「ウェディングドレス風にメイクしてやる。じっとしていろ」

「あ……っ」

 砂糖菓子のようなデコレーションを雲人に施され、抗うこともできないまま終わるまでじっとしているしかなかった。
 だが、決して乱暴に扱われるようなことはなかったため、よもぎもまんざらではない様子。

「着やせから解放されたよもぎの巨乳も、魅力を出さないとな」

 真っ赤になって頬を膨らませるよもぎをからかった雲人は、
 
「玲花。自慢のその巨乳を、よもぎと同じようにしてやる!」

「──何ですって……!?」

 雲人はクリームを玲花の顔や胸、そしてノイズ料理にもデコレーションするように飛ばしていった。

「こ、この外道! わたしくしにこんなことをして、ただで済むと思っているの……!?」

「外道? 褒め言葉だ。玲花は俺のハーレムに加えるから、俺の嫁確定だ」

 よもぎと玲花にフルーツの飾りつけをすると、虹色クリームのセクシーウェディングケーキが完成した。

「咲夜、SNSにあげまくれ。そして食べろ。でないと、何も分からないぞ?」

 
 咲夜のため息は止まらない。

「よもぎに玲花、これが男の愛情だ。愛情だって料理の一つ──こんな形もある。二人とも俺のハーレムの一員の証拠だ」

 よもぎと玲花が埋もれるほどのクリームを雲人の頭に乗せたのは、すぐ後のことである──。
 大量のクリームは早々に片付けられ、よもぎと玲花も何とか着替えを済ませたようだ。
 その間に次の料理のための食材を用意したウサミ 先輩は、点心盛り合わせ「すまいる☆すなっく」を作るためのレシピを最終確認する。
 点心は、中華料理の中でも軽食やおやつの総称。
 皆で皿を囲み、楽しく気軽に食べられるという親しみやすさが最大の特長だ。

「料理は人を幸せにする物で、食事は楽しい物であるべきだ。その想いを皿に込めるよ──」

 先輩が用意した点心は5種類──まずは、麻婆丼in春巻である。
 太陽コメを米粉にして皮に練り込んでおき、中に固めた麻婆豆腐を入れ、熱い油で揚げる。
 春巻でありながら麻婆豆腐とお米の味が楽しめる。
 続いてひとくちサイズのロシアン焼売は、一つずつ味に変化を付けており、中にデスマロンのトゲスパイスが入った「当たり」を混ぜておく。
 ただ食べるだけでなく、驚きも閉じ込めておくのだ。
 うさぎの形が可愛いうさぎ饅頭は、挽肉にした火焔マトンを野菜と一緒に混ぜ、ジンギスカン風の味付けをして饅頭の中に閉じ込める。
 もう一つ別の味、デスマロンの実と虹色クリームでモンブラン風味も用意してみた。
 ケーキと中華まんの絶妙なコラボレーションは、見た目もかわいらしい。
 そして最後の点心は、チーズバーガーを混ぜるという暴挙に出た。
 料理に挑戦はつきもの、無限の可能性を追求したい先輩の思いは、見事に的を得ていた。

「ええい、どいつもこいつも辛気臭いツラしおって!これでも食べてリフレッシュしたまえ!」

 ずらりと並べられた点心の数々。
 まさにこれこそ、先輩の考える「楽しい食事」を形にした物だった。

 食卓には、楽しさの他に温かみも必要だ。
 羽鳥 唯は心のこもった家庭料理を作るべく、厳選された食材を見定めている。

「レイカは……なぜ私たちの料理を審査員に食べさせないようにしているのでしょうか? 自信がないのでしょうか? 私たちの料理を食べたら自分の料理が見劣りすると思っているのでしょうか?」

 唯の心の声がそのまま口に出てしまっているのだが、唯は気にしていない模様。
 玲花は答える必要もなしとばかりに、彼女は涼しい顔をしているが――しっかりと聞こえていたのは間違いない。
 唯が暗に玲花を煽っているのではと、周囲が思わず心配してしまうほどだった。

「え? 何ですか?」

 しかし肝心の唯は、全く無自覚のようである。

「さて、そろそろ始めますか」

 ついこの間、唯をフェスタに案内し、肉じゃがを作ってくれたユズキのことを思い出す。
 あの時の味をもう一度再現するため、唯は火焔マトンを使った肉じゃがを作ったのだった。

「オモイデ草を使えば、きっとおふくろの味を思い出してもらえるはずです──」

 芹沢ゴギョウは難しい顔をしていたが、料理を口にすると色んなことが一気に彼の頭の中を駆け巡った。

「【伊達名乗り】──どうか、こちらを見てください」

 唯は【スターリーフライヤー】でおまじないもかけながら、

「料理の一番大切な材料は愛情」ですから!」

 とびきりの笑顔をゴギョウに向けた。

「ああ──そうだな。とてもうまいよ」

 ゴギョウの口から出たのは、やさしく、素直な一言だった。
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