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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

決戦! オーサカ料理コンテスト!

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決戦! オーサカ料理コンテスト!
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【2-4-3】

 一方、【割烹着姿】で登場した世良 延寿は、『火焔マトンの焼き肉丼』の調理に取りかかっていた。

「ノイズ料理で洗脳されたままなんて……このままじゃ、審査員さんたちもかわいそうだよね」

 洗脳されている審査員を何とか正気に戻してあげたい──そう思いながら、火焔マトンを【薫香七輪】でじっくりと炭火焼きにする。
 【オープングリル】が更なる迫力の炎を演出してくれた。
 焼き上がってから【お米マスタリー】で炊いた太陽コメの上にたっぷりと乗せ、【オフクロテイスト】とオモイデ草で作った特製ハーブだれをかければ絶妙な甘辛味が食欲をそそった。

「これで、まずは十五郎さんの胃袋をつかむよ!! はい、甘辛の焼き肉でごはんが進む、火焔マトンの焼き肉丼だよ。焼きたて炊きたてだから、あったかいうちにいっぱい食べてね!」」

 どこか懐かしい感じがする延寿にそう言われて、誰が断れようか。
 目の前に置かれた延寿の料理は、どこかなつかしく、ほかほかと漂う湯気までも堪能したいと思ってしまう十五郎。

「炭火は……やはり違う」

 必死に食べ進めながら言葉を発したせいか、思わず十五郎はむせてしまった。
 かたくならないよう、延寿が丁寧に焼いてくれた肉を細かな繊維の一つ一つまでしっかりと味わう。
 自分の中に眠っていた何かが、ゆっくりと目を覚ますかのように、全身に味がしみわたっていくのを感じる十五郎は、

「すまない。おかわりはあるか?」

 延寿の料理の味が、いつまでも忘れられないものとなったのである。

「んー、肉料理が続くと、箸休め的な副菜があればメインもより美味しく食べられると思うんだよね」

 橘 樹は添え物として、料理本来の美味しさを引き立てる漬物を作ろうとしているようだ。
 漬物なら保存食ゆえにずっと置いたままにしていても、さほど問題はないはずだ。
 
「好きな時に自由につまんでもらえるし、余っても持ち帰って自分で食べればいいしちょうどいいよね」

 樹は【ジュエルベジ】と普通の野菜をきれいに洗って、一口大に切っていく。
 塩を適量に混ぜ込み、バットで挟んで重しをする。
 本来であれば漬け込むのに数時間は必要なのだが、そこは【スープストック】を使った時短テクニックで早々に仕上げてしまう。
 テーマは「縁起の良い紅白」だ。
 人参や大根といった色鮮やかな野菜がしっかり引き立つように、【盛り付けテクニック】を使って上品に器へ並べる。
 誰もが好きな時に食べられるよう、手軽につまめるサイズに分けて配膳すると、審査員たちも口直しにやって来ては口の中へと漬物を放り込むのだった。

「みんなと違う発想がいい」

 審査員たちにそう絶賛され、樹は照れ笑いをする。
 どんな料理にも合うようにと、存在感を出しつつも控えめな塩加減は見事としか言いようがなかった。

「メインを引き立てる存在はどんな時も欠かせない」

 芹沢ゴギョウやグルメ仙人からお墨付きをもらい、樹は大いに自信をつけたことだろう。

「今度はメインも食べてみたい。また機会があれば、何か作ってくれ」

 ゴギョウが樹にそんなリクエストをするのは、めずらしいことなのだった。
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