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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

大規模オーバーラップ“ラ・フォレ・リヴァイブ”

リアクション公開中!
大規模オーバーラップ“ラ・フォレ・リヴァイブ”
  • 大規模オーバーラップ“ラ・フォレ・リヴァイブ”

リアクション

――2――


「ここアンデッド出るんでしょ? 怖~い♪」
リリィがアメちゃんを舐めていた頃。
アルネヴ・シャホール行坂 貫が宝探しに来たカップルらしく振る舞いながら、洞窟内を歩いていた。
見た目は美女なので、言われない限り誰もアルネヴが男の娘だとは気付かないだろう。
「大丈夫、ネヴは俺が守るよ」
貫の言葉にアルネヴは嬉しそうに笑顔を浮かべ、貫にくっついて歩く。
2人とも、明かりを用意してきていたので、薄暗い洞窟内でも周囲がはっきり見える。
ただ、アンデッドにも気付かれやすく、途中で何度かアンデッドに襲われた。
もちろん、アンデッドは経験を積んだ2人の敵ではない。
宣言通り貫に蹴散らされていた。
しばらく2人で洞窟内を歩いていると、走って逃げるレキを見かけたので、レキがやってきた方へ向かってみる。
すると、そこにはリリィの攻撃を全て羽根ペンでトレスし、数倍にして返す左脳がいた。
「まって、左脳さん! ボク達、宝探しに来たんだよ」
アルネヴ達に気付いた左脳が何か言う前に、アルネヴがそう言って敵意はないのだと伝える。
「そうそう、選考なんて興味ないしな」
貫もアルネヴの言葉に嘘はないと大きく頷きつつ言う。
「では、君達は俺と戦うつもりはない、ということだね?」
左脳が確認するように問いかける。
「そういうこと」
貫がアルネヴと共にゆっくり左脳と花儀に近づきながら答える。
「うんうん。じゃ、宝も見つかったことだし、確保しよっか」
左脳の目の前まで来ると、アルネヴが貫にとびきりの笑顔を向けた。
「確保」という言葉に反応した貫が、無慈悲なる霧弾でいきなり左脳に攻撃する。
ほぼ同時に、アルネヴもU.チリングハーモニーを放ち、熱泉銃【ボイルドウォーターガン】で援護射撃を行う。
さらに貫は氷炎の爪で連続攻撃を行う。
しかし、左脳は慌てずリリィのときと同様に羽根ペンを使ってトレスし、貫とアルネヴの攻撃を全て数倍にして返してしまう。
至近距離での素早い攻撃には、羽根ペンで空中に素早く盾を描いて防いでいた。
「今の俺はそう、ゲームで言うところのチートキャラだからね。この程度の攻撃じゃ、負けてあげられないなぁ」
左脳はそう言って、羽根ペンをプラプラ揺らしている。
「さ、左脳さん! 『不死のラ・フォレ』の魔王様である嘘さん、どう思います?」
それまでハラハラしながら見守っていた花儀が、左脳に声をかける。
「どう、って?」
左脳は羽根ペンを揺らすのを止めて聞き返す。
「嘘さんの言動見てると、何か諦め入っちゃってるなぁ、って感じしません?」
口を尖らせる花儀を見て、左脳が目を細める。
「ああ、そういうことか」
「左脳さんお願いです、皆がどんな想いで戦っているのか、直接その目で見届けてくれませんか」
花儀が左脳を説得しようとしているのに気付き、アルネヴと貫が顔を見合わせる。
「見なくても少しは分かってるつもりだけどね。
ただ、簡単にハッピーエンドにたどり着いちゃうなんて、勿体ないと思わないかい?」
左脳の返答に、アルネヴや貫、リリィだけでなく花儀も驚いて目を丸くする。
どうやら左脳は、悪気があってやっているわけではないようなのだ。
もちろん、悪意はひしひしと感じる。
おもむろに貫がエンディングラッシュで左脳に攻撃を繰り出し、ナグルファルのテーマ【アニソン:話題沸騰のポップ】が辺りに流れる。
アルネヴは、冷気と熱湯を使い分けてヒートショックも狙っていた。
もちろん、左脳はまた羽根ペンで2人の攻撃を返してしまう。
「お前にとってのハッピーエンドは何だ?
天歌院にとってのハッピーエンドなんかを描いてるだけで、本当にお前は満足なのか?
お前は魔王すら虜にする漫画家、姫宮ぶるぅべりぃなんだろ」
アルネヴと貫も花儀に助け舟を出すことにしたのか、攻撃しながらも説得し始める。
「数々の苦難を乗り越えた先にあるハッピーエンドこそ、真のハッピーエンドだよ」
貫が援軍として呼び出した二次元キャラ:森を往く勇者からの攻撃も返しながら、左脳が答える。
「自分で悲劇を起こして解決する、玲花のやらせ番組など言語道断ッ!!」
アルネヴも左脳にその想いをぶつける。
「ボクの望むハッピーエンドは、悲しみのない理想郷。
争いを凍らせるこの冷気も、悲劇を焼き尽くすこの焔も、それを叶える為の力にすぎない」
アルネヴは二次元キャラ:蝉殺しのフィギュアを取り出し、大事そうに抱き締める。
「俺にとって、死はハッピーエンドだ」
貫の言葉に左脳が目を瞬かせる。
左脳にとっては、意外な意見だったのかもしれない。
貫もアルネヴも、左脳に攻撃を数倍返しにされているので、かなり傷ついてボロボロになっている。
途中、アルネヴが回復も行っていたが、完全ではない。
特に貫の怪我はひどいようだ。
「そうすると、あんたにとってはこのまま負けてもハッピーエンドなのかな?」
そんな風に言う左脳は少し、油断しているようだ。
貫はそれを見逃さず、「お前も道連れだ」を使おうとして、アルネヴにアイコンタクトを送る。
ここまで防御をほとんどせず、攻撃を受けていたのはこのためだ。
「おっと、もう十分だろ? そこまでにしておいた方がいい」
しかし、左脳の羽根ペンで止められてしまう。
貫とアルネヴに緊張が走ったが、次の瞬間、左脳が大きくため息を吐いた。
「ここまで言われると、さすがにちょっと困ったな。仕方ない、か。
こんなところまで単行本持ってくるファンの子までいたし」
そんなことを言いながら、左脳は花儀の方をちらっと見て、苦笑いしている。
「でも、少しだけだよ。面白くなくなるからね」
どうやら、左脳は玲花の強化を少し弱めてくれるようだ。
ついでにリリィやアルネヴ、貫の傷まで羽根ペンを走らせて治してくれた。
「怪我したままだと、魔王城まで大変だろ?」
羽根ペンの羽根の部分を撫でながら、左脳はそう言ってウインクするのだった。


一方、完全に選考を無視しているだけでなく、左脳さえも無視して洞窟内で宝探しに励む千夏 水希は、スピネル・サウザントサマーと2人で探索を進めていた。
「アルネヴ、闇鍋くん、左脳は任せたよ」
水希はふと洞窟の入口を振り返り、そう呟く。
「なんか死者の怨念がものすごいんですけど、本当にこんなところにお宝あるの?」
アンデッドがうろついているだけでなく、空気まで重く感じてスピネルは不安そうにきょろきょろしている。
しかし、水希はうろつくアンデッドにも注目して観察し、左脳がわざわざアンデッドを強化した理由を推理し、宝が隠されている場所を特定しようと考え込んでいた。
「ストーリーテラーの力を使うアンデッド……左脳が強化した理由は多分……だから、きっとこれは私達を遠ざけようとして……」
考えていることがところどころ口に出ているが、水希はどうやらアンデッドが多い方へ進むことに決めたようだ。
アンデッドと遭遇したら、よほど数が多くない限りはベレス・フィーア【≪星獣≫クラリネットネコ】と水希で倒していく。
1度だけ、アンデッドがみっしり詰まった部屋に入り込んでしまった。
いわゆるモンスターハウスというやつだ。
その時は、アストラルグローブでひと撫でして合図し、ベレスにブレイズレオンの能力を全解放させて焼き尽くしてやった。
スピネルは戦闘力が低いから、とマッピングに専念している。
水希とベレスが戦っている間も、部屋の大きさや通路の角度を慎重に鉛筆で上に書き込んでいく。
洞窟内の探索でマッピングが重要なのは確かであり、宝の探索のために何日もここに滞在できるわけでもない。
限られた時間で探索を終えるには、効率良く全てをこなすしかないのだ。
順調に進んでいくうち、水希はソアレクイエムを歌っていた。
歌いながら進み、マッピングだけでなく怪しいところを探すこともスピネルに任せきりになっていく。
スピネルは途中から、水希の目的が当初のそれとずれてきているのに気付いたが、特に何か言うわけでもなく宝探しに没頭している。
肉眼で探すだけでなく、ホークアイやコアチェックといったスキルも活用し、僅かな手がかりも見逃さないようにと気合も充分だ。
ベレスが先頭を歩き、水希がその後を歌いながら進み、スピネルが最後尾でマッピングしつつ宝の手がかりを探す。
気付いてみれば、倒したアンデッドを水希がソアレクイエムで浄化し、その歌声をベレスが聞いて喜んでいた。
水希はこの洞窟内にいるアンデッド達の想い、その物語を自分が引き継ごうとしていた。
そして、いつまでも終われないままの存在にならないように、浄化することで彼らの物語を終わらせてやっているのだ。
彼らが生前、目指していたものに思いを馳せながら。
宝は本当にあるのか、あるとしたら一体何なのか。
最初はそれが1番気になっていたはずだが、今の水希にとってはそうでもないようだ。
それからしばらくして水希達が洞窟を出た時、子供の描いた落書きや玩具といったガラクタのようなものを持っていたという。
結局、お宝と聞いて誰もが想像したような宝を持って出た者は、誰もいなかったらしい。


「ああ、どうして見覚えがあるような気がしていたのか分かった。この洞窟、昔妹と一緒に描いた迷路とそっくりなんだ……」
アイドル達の説得を受けた後、左脳がポンと手を叩いてそう呟いた。
さらに、何かに気付いて腕を組む。
「待てよ。だとすると、もしかしてラ・フォレは俺の妹と何か関係があるのか……?」
左脳はしばらく、そうして考え込んだ後、アイドル達と共に魔王城へ向かうことにしたのだった。
中継でこの様子を見ていた観客達がざわめいたのは、言うまでもない。
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