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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

大規模オーバーラップ“ラ・フォレ・リヴァイブ”

リアクション公開中!
大規模オーバーラップ“ラ・フォレ・リヴァイブ”
  • 大規模オーバーラップ“ラ・フォレ・リヴァイブ”

リアクション

――2――


夢佳と一緒に村に入った樹は、村人が皆うさ耳をつけているのを興味深く見ていた。
「この村には兎信仰があるのかな? 興味深い文化だ。耳については後で話を聞くとして、まずは全員助けなきゃね!」
村のあちこちでアイドルがゴーレムを始めとする魔物達と戦い始め、逃げ遅れて隠れていた村人達も少しずつ隠れていた場所から出てより安全な場所へ移動している。
樹はそういった村人達の避難を誘導し始める。
「先生、モンスターは任せましたよ! さあ皆さん、先生は民俗学者だけど戦闘力もあるから安心してください。
僕も足止めくらいならできますから、もし襲ってきても大丈夫です!」
そう言って村人達を先導し、避難場所になっていた広場脇の家まで急ぐ。
そこで暴れていたゴーレムは、アイドル達に倒され今では安全が確保されている。
途中、村人達を安心させるように声をかけるのも忘れない。
「任されてしまいましたね。どのみち、この状況では研究は後回しですし、ライブを行う皆様へのお力添えとして、ひとまずは戦闘に集中するといたしましょう」
夢佳はどこか飄々とした様子でそう言い、妖しく微笑むと霊を呼び出す。
村までの道中で、ゴーストライターズによって樹海をさ迷っていた霊と契約しておいたのだ。
「樹海の霊、というものは世を儚んでいるというのが定石でしょう? その怨みの力、見せていただくとしますか」
夢佳と契約した霊が、怨恨砕牙で近くにいたゴーレムに攻撃する。
物理的なダメージはそれほどではなさそうだが、呪いにかかってゴーレムの動きが止まっていた。
夢佳自身は月下香のニブ・ランスを振るい、チューベローズの花と妖艶な香りを辺りに振りまきながら、モンスター達を惑わせるとその隙をついて攻撃していく。


相沢 涼剣堂 愛菜は、村の中でゴーレムを探していた。
すると、数体のゴーレムの集団を見つけ、涼はすぐさま仮想体に変身してヒーローの姿になり、聖具:約束されし平和の剣を召喚する。
「あたし達がゴーレムを倒すから、他の人は先へ」
そう言いながら、愛菜が他のアイドル達に向かってペンを回し合図する。
大きな声が出せないので、普段ホワイトボードで筆談するために持ち歩いているペンだ。
他のアイドル達は、そんな愛菜に頷いて見せると他の場所で暴れている魔物を探しに先へと急ぐ。
2人は、互いにクリエイションして普段よりパワーアップしているが、油断は禁物だ。
愛菜がゴーレムの背後に回り込み、涼と挟み撃ちする形へと持っていく。
その間、涼は二次元キャラ:森を往く勇者の幻影を呼び出してゴーレム達の注意を引くため、何度も斬りつける。
「出てきて、あたしのしもべ達」
ゴーレムの背後を取った愛菜がそう呟いて空中に名前を記すと、ゴーストライターズで契約を交わしていたゴーストが3体現れた。
ゴーストと言いつつ、その見た目は緑や水色のどこか可愛さを感じさせるものだ。
現れたゴースト達は灼熱ショコラを放ち、ゴーレムの体に溶けて熱々のチョコレートを吹きかけた。
しかし、ゴーレムの体は石で出来ているせいか、あまり効果がないようだ。
涼は失楽園のパージフォースでゴーレム達を一掃してしまいたいのだが、村の中には木造の建物が多く使いづらい。
ゴーレムはそこまで多いわけでもなく、仕方がないので必殺のフリー・グノーシスでトドメを刺すことにする。
「アップル・ディストピア」
涼がゴーレムに斬りつける間、愛菜はそう呟いては原罪の焔でリンゴを空中に描き出し、ゴーレムに攻撃し続けていた。
「ファイナルグリーンストラッシュ!」
涼が必殺技の名前を叫び、ゴーレムに必殺のフリー・グノーシスで強烈な一撃を食らわせると、ゴーレムが倒れて動かないただの石へと変わっていく。
援護している愛菜から合図を受け、涼が弱ったゴーレムから順にトドメを刺していく。
クリエイションのお陰で、涼が必殺のフリー・グノーシスを使うとゴーレムは避けずにそのまま攻撃を受けてしまう。
こうして、順調にゴーレム達を倒した2人は村人達を守るため、さらに村の中を走り回るのだった。


「これ以上の暴力は……私達が許しません!」
そう言ってかっこよくポーズを決めたのは、白金髪の乙女【ヒューマンボーン】にダイブして一体化している笹鳴 風花だ。
ゴーレムは特に返事もせずに風花を掴もうと手を伸ばし、近くにいたスライムやゴブリンも寄って来て体当たりや棍棒での攻撃を当てようとするが、風花は避けてしまう。
小柄な体を上手く活かし、ゴーレムの股下を潜ったり、ゴーレムが壊した建物の瓦礫などの障害物を避けたり、ダンスでも踊っているかのように華麗な身のこなしでゴーレムを翻弄している。
その間に、他のアイドルが隙をついてゴーレムに激しい攻撃を加えていた。
かと思えば、棍棒を避けてゴブリンの顔面をPレンチハンマー 【ニッパーバット】で力いっぱい殴り、昏倒させる。
そして、残った魔物達とアイドル達の攻撃でボロボロになったゴーレムに、ME.フラッシュストラグルで強力な突撃をかける。
「私の力を受けて見なさい、フラッシュストラグル!」
エネルギー光をまとった風花の突撃を受けた魔物達は、一掃された。
「勇者さま、すごーい!」
物陰で風花の活躍を見ていたのか、村の子供が駆け寄ってくる。
村に入り込んでいた魔物達はかなり倒され、事態の収束まであと少しのようだった。
だからこそ、この子も出てきたのだろう。
風花は子供に笑いかけ、安心させようと頭を撫でてやると、念のために避難場所へ連れて行くことにした。
途中、気になっていたうさ耳のことを尋ねてみると、どうやら前の大規模オーバーラップの際に、老若男女問わずに誰にでもうさ耳をつけさせて楽しむという恐怖の魔王が現れたのだという。
その後、あらかじめうさ耳をつけて襲われないようにしているということで、いわば魔除けのような意味合いがあるのだそうだ。


「こんなところにまでゴーレムが! 勇者様に知らせないと……」
クロウも村の中を走り回り、民家の横の畑を荒らすゴーレムを見つけて慌てていた。
ゴーレムを倒してもらうため、アイドル達に知らせようとその場を離れかけたのだが、木造の民家の中に人影を見つけて固まる。
どうやら腰が抜けてしまったらしい老女が、取り残されているのが窓から見えたのだ。
もしも、ゴーレムが民家を壊し始めたらひとたまりもないだろう。
あれこれ考えるより先に、クロウの体が動いた。
民家の中へ、できるだけ静かに急いで入ると、腰が抜けたまま座り込んでいる老女に肩を貸し、家から出て離れようとする。
だが、ドアを出てすぐにゴーレムに見つかってしまった。
クロウもそれに気づく。
ゴーレムが今にもクロウと老女に向かって拳を振り下ろそうとしていた。
クロウはとっさに老女を庇うようにゴーレムの方へ一歩踏み出すが、クロウ一人ではどうにもならない。
ボクはこのまま、こんな風にやられてしまうんだ──。
クロウがそう観念しかけた時、ゴーレムの動きを集中線闘術で止めた者がいた。
ライアーズツインソードを持った黒瀬 心美だ。
ゴーレムを何度も斬りつけ、まずその最大の武器である両腕を狙う。
「クロウ、下がってな!」
危うく助かったクロウは呆然としていたが、心美のその声で我に返ると老女を連れてその場を離れていく。
ゴーレムはクロウ達を追おうとするが、心美がそうはさせない。
容赦なく攻撃を繰り返し、その両腕をついに落とすと、紅の誓い・BGM.Ver【アニソン:注目のロック】の流れる中、エンディングラッシュでトドメを刺す。
怒涛のラッシュを繰り出すと高く跳躍してツインソードを振り下ろし、ゴーレムを真っ二つにしてしまう。
クロウ達が気になり、すぐに心美も後を追う。
心美の倒したゴーレムが最後の一体らしかったが、ゴブリンやスライムはまだ少し残っている。
避難場所になっている広場脇の家まで来ると、残ったゴブリン達が一斉に向かってきているのが見えた。
そこで心美は自分の腕を剣で斬り、無慈悲なる霧弾で一掃してしまう。


避難場所まで老女を連れて行く間、クロウはゴーレムにやられそうになった瞬間のことを考えていた。
(どうせ物語の登場人物なんだからって思ってたのに。なのに、あんなに怖いなんて。
ボクは確かに生きていて、生きたいと思ってるんだ。じゃなきゃ、あんな気持ちになるわけない……)
クロウは、自分達は物語の登場人物なのではないか、と薄々気づき始めていたのだ。
しかし、たとえそうだとしても自分は生きているのだと実感し、今更ながら恐怖で手足が震えていることにも気付いた。
老女の不安そうな顔を間近で見て、笑顔で元気づけていたクロウだが、急に涙が止まらず泣き始めてしまった。
びっくりした老女にずっと背中を擦ってもらいながら、老女に肩を貸して泣きじゃくりつつ避難場所まで歩いた。
何故泣いているのか、クロウ自身にも分からない。
広場に着いた頃、クロウはようやく泣き止んで、照れ笑いを浮かべていた。


その後、アイドル達が全員で手分けして村の中に魔物が残っていないことを確認した。
村人達は、避難場所にしていた石造りの家から出てくると、アイドル達を勇者様、勇者様と呼んでしばらくの間、取り囲んでいた。
一部の村人達は、ゴーレムが壊してしまった柵の修理に取り掛かっていた。
あれだけの騒ぎが起こった直後なので、弱い魔物達は近づかないだろうが、早く直しておかないとまた侵入されてしまう。
アイドル達が魔王城へ向かわなければならないことを村人達に伝えると、村人達は不安そうにしていた。
その時、心美がドラゴンの呼び笛でドラゴンを召喚すると、子ども達が心美をキラキラした瞳で見つめていた。
「また会ったね。アタシらが帰ってくるまで、村の護りは任せたよ!」
心美はそう言って、ドラゴンを村の用心棒役にしたのだった。
これで村人達もようやく安心し、アイドル達を見送ることができた。


クロウも村人達の様子、そしてゴーレム達を蹴散らしてくれたアイドル達を見ていて、さらに何か思うところがあったのだろう。
再び魔王城へ向かうアイドル達に同行するその表情は、先程までと違ってどこか晴れやかになっていた。
「勇者様、本当にありがとう! ボクの村を助けてくれて。今度は、ボクが勇者様を助ける番だね。
ここからの道案内も任せて!」
中継でこの様子を見ていた選考委員や観客たちも、何となくクロウが元気になったのは感じ取ったようだった。
実況の声が響く中、アイドル達が村を後にして魔王城を目指し、再び樹海へと歩きだす様子が映し出されていた。
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