■プロローグ■

　瓦礫の転がる荒廃した世界に、気高く佇むREIKAは満足げに微笑む。
　如何なる時も美しくあれと、由緒正しき天歌院家で幼い頃から教育されてきた。
　例えどんな苦境に立たされたとしても、負けずに凛々しくある姿は美しいのだと。

　裏を返すならば、美しさは恐ろしい絶望の中でこそ磨きがかかるのだと彼女はナゴヤの文化に触れて確信した。
　全てはこの天歌院　玲花（てんかいん　れいか）が美しくあるために。

「それに余興として、選考会にはびこる有象無象も潰せれば重畳ですものね」

　既に始まっている戦闘音の方へ歩き出すREIKAの背中へ、
　彼女に追いついた戦戯　嘘（そよぎ　うそ）が叫んだ。

「あなたに聞きたいことはたくさんあるのよ！
　オーバーラップを起こしているのは本当にあなたなのか、とか……！」

「……わたくしは、別に何も。
　ただ、わたくしのファンが“勝手に”行っていることはわたくしにも止められませんけれどね」

「あなた、やっぱりなのよ……！
　そうやって自分の手は汚さずに酷いことをしてきたのね！」

　REIKAは小さくぞっとするような嘲笑を残すと、嘘に背を向けた。

「でも――今は一緒に戦ってくれるってことで、いいのよね！？」

「……」

　REIKAは振り返りもせず、土煙を払って戦場へと向かったのだった。

■目次■

1ページ　プロローグ・目次

2ページ　【１】『果てなき終焉』の軍勢から、ナゴヤを護れ！
3ページ　【１】『蝉殺し』の熱さに負けない戦いを魅せよう！
4ページ　【１】『果てなき終焉』の無慈悲な暴力に立ち向かえ！

5ページ　【３】もうひとつの戦い――そこに目当ての作品はあるか

6ページ　【１】『蝉殺し』との決着――激しくも儚く散り逝く
7ページ　【１】『果てなき終焉』との決着――その存在に『果て』はなく

8ページ　【２】絶望の大聖堂（１）
9ページ　【２】絶望の大聖堂（２）
10ページ　【２】絶望の大聖堂（３）
11ページ　【２】絶望の大聖堂（４）
12ページ　【２】希望の大聖堂（１）
13ページ　【２】希望の大聖堂（２）

14ページ　エピローグ