■プロローグ■

　アイドル達が伝説食材の調達やそれぞれの調理に向かうのを見送ってから、
　グルメ仙人は再び土蔵へ戻ってキノコマニアに語りかけていた。

「……可哀相にのう。おぬしもただキノコを純粋に愛する少年だったろうに」

「違う、吾輩が愛しているのはあの方だけだ！」

　グルメ仙人はその頑なな態度に考え深げに「ふむ」とだけ零すと、
　キノコマニアをひょいと持ち上げて彼を目覚めさせてくれるであろうアイドル達の元へ足を向けた。

「食神都市と化したオーサカ……それに、遠方ではオキナワやナゴヤ、ハコダテ。
　……オルトアース現象そのものに、何らかの意味があるのかもしれん」

　本人にとっても年寄りの勘でしかないが、不思議と確信めいたものをグルメ仙人は感じていた。
　それを若いアイドル達が同じように感じるかどうか――
　今は静かに見守ろうと、彼はいい香りの漂い始めた方へキノコマニアを連れて行ったのだった。

■目次■

1ページ　プロローグ・目次

2ページ　【1-1-1】
3ページ　【1-1-2】
4ページ　【1-2】
5ページ　【1-3】

6ページ　【2-1-1】
7ページ　【2-1-2】
8ページ　【2-1-3】
9ページ　【2-2】
10ページ　【2-3】

11ページ　エピローグ