熱戦! 火焔ヒツジ!
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リアクション
【2-1】
「あの体のデカさから判断して──胃袋を満たしてやるためには相当パンチの効いた料理じゃないと追いつかないだろうな」
龍造寺 八玖斗は残っていた燃える羊毛と【鋼のまな板】を利用して簡易グリルにする。
「よし、火加減は……こんなものか」
適度に調節したところへ、鍋の中に【フルーツ鵺の肉】と鶏がらスープ、そしてラー油な中華山椒入りの激辛ゴマタレを入れた。
「龍造寺八玖斗、調理開始するっ!」
威勢よく【伊達名乗り】で宣言すると、調理の開始だ。
野菜を手早く【料理包丁】で切り、よく熱した油を入れた鉄板で【フルーツ鵺の肉】を炒める。
そして先ほど仕込んだラーメンスープと激辛ゴマダレを投入し、激辛の【インビジブルスチーマー】で煽ると香ばしい香りが辺りに漂い始めた。
「うーん、まずは一口……」
味見として【食レポマイク】で美味しそうな音が拡散されるよう、ズズッと一気に麺をすすった。
「んーーーーーこれは、我ながら言葉にできない味の深み!!」
八玖斗は、辛味と熱さ、そして美味しさのトリオを火焔ヒツジに伝えるため、感情を込めた【吠舞子】で雄たけびを上げた。
鼻をひくひくさせた火焔ヒツジの口からは、だらだらと大量の唾液が止まらない。
「さぁ、究極の皿を心ゆくまで味わうといい」
【スターリーフライヤー】を使って仕上げた【鉄板焼き担々麺】を、静かに火焔ヒツジの前に置いた。
レタスが器状に盛り付けられ、その上には金色の担々麺が輝いている。
「これはサイドディッシュとして楽しんでくれ」
八玖斗がスープの出汁として煮込んだ【フルーツ鵺の肉】を引き上げ、それをざっくり切った上から激辛のゴマダレとスープの残りをかける。
それを熱々の【鋼のまな板】の上で合わせると、ジューッという音がより一層食欲をそそる。
激辛鵺チャーシューは火焔ヒツジを虜にし、八玖斗はわずかな時間で舌を唸らせる皿を二品も出すことに成功したのだった。
同じ頃、グランスタの備蓄トラックをあさる何者かの影──。
小羽根 ふゆだ。
トラックの中に備蓄されているた中で、一番大ぶりの肉を引っ張り出す。
「ほんとは豚がよかったけど……まぁこの際、牛カツとか鳥カツってのも乙なものだよね」
一瞬、羊カツなんていうものも頭によぎったが、さすがにそれはやめておいた。
ふゆはまな板の上に肉を寝かせ、あえて大判になるよう切っていく。
余分な脂身もそのままに、小麦粉をはたいて卵液に浸し、パン粉をたっぷりとつける。
「とくとご覧あれ~♪」
ふゆは、火焔ヒツジの目の前で巨大な肉をこれでもとゆっくり見せ付けるようにしてから、そっと油の中にカツを投入した。
熱い油で一定時間揚げれば、奥までしっかりと火も通るだろう。
「さてさてここからはお楽しみ……スペクタクルショーだよ!」
【インビジブルスチーマー】を使って、視界が遮られるほど辺りは真っ白になる。
カツを揚げる音だけが、かすかに聞こえていた。
衣が油の中ではねる軽快な音は、まさに前菜そのもの──。
もうこれ以上は待てなくなった火焔ヒツジが雄叫びを上げると、ふゆ特製の【超弩級草鞋カツ】がそっと目の前に置かれた。
「はい、どうぞ!」
SNS映えも狙ったふゆのガッツリレシピは、火焔ヒツジの涎をいつまでも垂らし続けた。
ジル・コーネリアスはというと、白のチャイナ風ウェイトレス姿にエプロンを身に着けて、八重崎 サクラと共に手早く調理を開始しようとしていた。
「ディーヴァの自分にも出来るか心配だった料理──後押ししてくれる人たちの優しさがあって、今わたしはここにいる。自分に出来る最大のおもてなしを提供できるように、精一杯、調理します!」
ジルはサクラが持ち込んだ【スパイスターキー】の下処理を始める。
詰め物をするため、少し大きめに腹を切り開いた。
そしてシソをフードプロセッサーに入れ、ペースト状にしてからターキーの腹の内側に満遍なく塗る。
「塗ったシソペーストの表面をクッキングバーナーで炙ると、香ばしくなるんですよ」
「そうなんですね!」
ジルの器用な手つきに、サクラは興味津々の様子。
詰め物にするためのガーリックバターライスの準備に取りかかったジルは、フライパンにたっぷりのバターを弱火で溶かし、細かく潰したにんにくを入れた。
「ん、いい香り──」
程よく炒まったのを確認してから、別に刻んでおいたフライドガーリックとバターを入れる。
そこへ、少し固めに炊いておいたライスを混ぜ、しっかりとしたバターライスに仕上げていった。
刻んだ梅干を混ぜ込み、酸味を追加する。
こうすると、バターのしつこさが少し緩和されるのだ。
「シソとバター。和洋折衷ですね」
仕上がったバターライスを皿にいったん盛り、ジルは微笑んだ。
「ふふふ……」
火焔ヒツジにちょっとしたサプライズを仕込むため、サクラはマジックの要領で手元を見えないように調整しながら作業を進めていた。
チキンの丸鳥をそっと用意して手早く切り開き、自家製ガラムマサラを内側にたっぷりとすり込んでから味をなじませるため、しばらく寝かせる。
その間に、サクラはドライカレーを作り始めた。
湯剥きして種の部分をきれいに取り除いた新鮮なトマトをベースに、皮を剥いて刻んだナスと混ぜ合わせる。
肉はあえて入れずに、カレー粉を入れてしっかりと水分を飛ばし、コクと苦味を追加するための隠し味として少量のチョコレートをを削り入れた。
「ライスはもちもちです♪」
少量のもち米を混ぜて炊いたライスと混ぜ合わせれば、ドライカレーが完成した。
それをチキンに詰め込み、さっきのサプライズをガーリックライスに何食わぬ顔で混ぜてジルに手渡した。
ジルはにっこりと微笑み、ターキーの中にライスを詰め込む。
更にウズラの丸鳥を用意したサクラは、フレッシュバジルを刻み込んだチーズを詰め込み、チキンの芯に詰む。
サクラがしっかりとターキーを押さえて、ジルが全体をタコ糸で縛り上げた。
ホイルで包み、余熱しておいたオーブンでじっくりと蒸し焼きにする。
ターキーの中まで十分に火が通った頃合を見計い、そっと取り出すと──
「はい、できたよ! 後はジル次第…最後まで全力の笑顔で頑張れ!」
「……これが、今のわたしとサクラにできる全力です……」
火焔ヒツジの前に、肉汁がジュワジュワと音を立てた皿が置かれる。
ジルは目の前でターキーをゆっくり切り開き、サーブする。
ターキーの中からこぼれるように出てきたバターライスとチキン。
チキンの中からしドライカレーとウズラが。
ウズラの中からはとろけたチーズとバジルが姿を現し、まさに三段構えのサプライズだ。
「どうぞ、お召し上がりください! 『丸鳥のスパイシーマトリョーシカ』です!」
視覚と嗅覚を刺激する料理に、周囲からは歓声が上がった。
数々の皿をたいらげてしまった火焔ヒツジの食欲はとどまることを知らない。
「さてさて、お食事の後は♪ いったんデザートをお出しいたしまーす♪」
火焔ヒツジの前に出されていた数々の皿が下げられ、宝庭 シェプストがひょっこりと現れる。
【傾奇舞句】をスタンドに立て、そっと歌い始めた。
「こっちの飴は甘ーいよ。こっちの飴は辛ーいよ。ふふ………ねぇ、どんな飴ちゃんになると思うー?」
まるでコマーシャルを見ているような気になるシェプストのポージングは、流石と言えよう。
「なつのかおりキャンディ、制作開始!」
ここまで辛さが続いており、シェプストとしても辛味を楽しめるデザートを用意したかったが、さすがにそれは難しい。
まずは柚子やかぼすなどの柑橘類を切り分け、絞っていく。
生姜と茗荷のエキスを量って混ぜ、隠し味として唐辛子エキスを忍ばせた。
「こっちの飴はとっても辛ーい♪」
砂糖と水飴を合わせて焦げ付かないように鍋で溶かすと、それをクッキングシートの上に広げて形成できるようになるまで自然に冷ました。
事前に仕込んでおいた薄荷ラムネを取り出すと、
「これは食べてのお楽しみー!」
と言って飴生地に包み、千切って丸めていくシェプスト。
飴はすぐに固まった。
お盆に懐紙を乗せ、羊の形に並べた雨を火焔ヒツジに出す。
「お腹いっぱいになった後は、箸休めの飴ちゃんをどーぞ♪」
強めに入れた薄荷は、外側の果汁と唐辛子の飴よりも刺激的だったらしい。
口に放り込んだ途端、思わず飛び上がった火焔ヒツジは、羊毛を吐いて上空を旋回したのだった。
「辛いと火が出るってホントだったんだねー」
シェプストは、その様子を全員で眺めていた。
「あの体のデカさから判断して──胃袋を満たしてやるためには相当パンチの効いた料理じゃないと追いつかないだろうな」
龍造寺 八玖斗は残っていた燃える羊毛と【鋼のまな板】を利用して簡易グリルにする。
「よし、火加減は……こんなものか」
適度に調節したところへ、鍋の中に【フルーツ鵺の肉】と鶏がらスープ、そしてラー油な中華山椒入りの激辛ゴマタレを入れた。
「龍造寺八玖斗、調理開始するっ!」
威勢よく【伊達名乗り】で宣言すると、調理の開始だ。
野菜を手早く【料理包丁】で切り、よく熱した油を入れた鉄板で【フルーツ鵺の肉】を炒める。
そして先ほど仕込んだラーメンスープと激辛ゴマダレを投入し、激辛の【インビジブルスチーマー】で煽ると香ばしい香りが辺りに漂い始めた。
「うーん、まずは一口……」
味見として【食レポマイク】で美味しそうな音が拡散されるよう、ズズッと一気に麺をすすった。
「んーーーーーこれは、我ながら言葉にできない味の深み!!」
八玖斗は、辛味と熱さ、そして美味しさのトリオを火焔ヒツジに伝えるため、感情を込めた【吠舞子】で雄たけびを上げた。
鼻をひくひくさせた火焔ヒツジの口からは、だらだらと大量の唾液が止まらない。
「さぁ、究極の皿を心ゆくまで味わうといい」
【スターリーフライヤー】を使って仕上げた【鉄板焼き担々麺】を、静かに火焔ヒツジの前に置いた。
レタスが器状に盛り付けられ、その上には金色の担々麺が輝いている。
「これはサイドディッシュとして楽しんでくれ」
八玖斗がスープの出汁として煮込んだ【フルーツ鵺の肉】を引き上げ、それをざっくり切った上から激辛のゴマダレとスープの残りをかける。
それを熱々の【鋼のまな板】の上で合わせると、ジューッという音がより一層食欲をそそる。
激辛鵺チャーシューは火焔ヒツジを虜にし、八玖斗はわずかな時間で舌を唸らせる皿を二品も出すことに成功したのだった。
同じ頃、グランスタの備蓄トラックをあさる何者かの影──。
小羽根 ふゆだ。
トラックの中に備蓄されているた中で、一番大ぶりの肉を引っ張り出す。
「ほんとは豚がよかったけど……まぁこの際、牛カツとか鳥カツってのも乙なものだよね」
一瞬、羊カツなんていうものも頭によぎったが、さすがにそれはやめておいた。
ふゆはまな板の上に肉を寝かせ、あえて大判になるよう切っていく。
余分な脂身もそのままに、小麦粉をはたいて卵液に浸し、パン粉をたっぷりとつける。
「とくとご覧あれ~♪」
ふゆは、火焔ヒツジの目の前で巨大な肉をこれでもとゆっくり見せ付けるようにしてから、そっと油の中にカツを投入した。
熱い油で一定時間揚げれば、奥までしっかりと火も通るだろう。
「さてさてここからはお楽しみ……スペクタクルショーだよ!」
【インビジブルスチーマー】を使って、視界が遮られるほど辺りは真っ白になる。
カツを揚げる音だけが、かすかに聞こえていた。
衣が油の中ではねる軽快な音は、まさに前菜そのもの──。
もうこれ以上は待てなくなった火焔ヒツジが雄叫びを上げると、ふゆ特製の【超弩級草鞋カツ】がそっと目の前に置かれた。
「はい、どうぞ!」
SNS映えも狙ったふゆのガッツリレシピは、火焔ヒツジの涎をいつまでも垂らし続けた。
ジル・コーネリアスはというと、白のチャイナ風ウェイトレス姿にエプロンを身に着けて、八重崎 サクラと共に手早く調理を開始しようとしていた。
「ディーヴァの自分にも出来るか心配だった料理──後押ししてくれる人たちの優しさがあって、今わたしはここにいる。自分に出来る最大のおもてなしを提供できるように、精一杯、調理します!」
ジルはサクラが持ち込んだ【スパイスターキー】の下処理を始める。
詰め物をするため、少し大きめに腹を切り開いた。
そしてシソをフードプロセッサーに入れ、ペースト状にしてからターキーの腹の内側に満遍なく塗る。
「塗ったシソペーストの表面をクッキングバーナーで炙ると、香ばしくなるんですよ」
「そうなんですね!」
ジルの器用な手つきに、サクラは興味津々の様子。
詰め物にするためのガーリックバターライスの準備に取りかかったジルは、フライパンにたっぷりのバターを弱火で溶かし、細かく潰したにんにくを入れた。
「ん、いい香り──」
程よく炒まったのを確認してから、別に刻んでおいたフライドガーリックとバターを入れる。
そこへ、少し固めに炊いておいたライスを混ぜ、しっかりとしたバターライスに仕上げていった。
刻んだ梅干を混ぜ込み、酸味を追加する。
こうすると、バターのしつこさが少し緩和されるのだ。
「シソとバター。和洋折衷ですね」
仕上がったバターライスを皿にいったん盛り、ジルは微笑んだ。
「ふふふ……」
火焔ヒツジにちょっとしたサプライズを仕込むため、サクラはマジックの要領で手元を見えないように調整しながら作業を進めていた。
チキンの丸鳥をそっと用意して手早く切り開き、自家製ガラムマサラを内側にたっぷりとすり込んでから味をなじませるため、しばらく寝かせる。
その間に、サクラはドライカレーを作り始めた。
湯剥きして種の部分をきれいに取り除いた新鮮なトマトをベースに、皮を剥いて刻んだナスと混ぜ合わせる。
肉はあえて入れずに、カレー粉を入れてしっかりと水分を飛ばし、コクと苦味を追加するための隠し味として少量のチョコレートをを削り入れた。
「ライスはもちもちです♪」
少量のもち米を混ぜて炊いたライスと混ぜ合わせれば、ドライカレーが完成した。
それをチキンに詰め込み、さっきのサプライズをガーリックライスに何食わぬ顔で混ぜてジルに手渡した。
ジルはにっこりと微笑み、ターキーの中にライスを詰め込む。
更にウズラの丸鳥を用意したサクラは、フレッシュバジルを刻み込んだチーズを詰め込み、チキンの芯に詰む。
サクラがしっかりとターキーを押さえて、ジルが全体をタコ糸で縛り上げた。
ホイルで包み、余熱しておいたオーブンでじっくりと蒸し焼きにする。
ターキーの中まで十分に火が通った頃合を見計い、そっと取り出すと──
「はい、できたよ! 後はジル次第…最後まで全力の笑顔で頑張れ!」
「……これが、今のわたしとサクラにできる全力です……」
火焔ヒツジの前に、肉汁がジュワジュワと音を立てた皿が置かれる。
ジルは目の前でターキーをゆっくり切り開き、サーブする。
ターキーの中からこぼれるように出てきたバターライスとチキン。
チキンの中からしドライカレーとウズラが。
ウズラの中からはとろけたチーズとバジルが姿を現し、まさに三段構えのサプライズだ。
「どうぞ、お召し上がりください! 『丸鳥のスパイシーマトリョーシカ』です!」
視覚と嗅覚を刺激する料理に、周囲からは歓声が上がった。
数々の皿をたいらげてしまった火焔ヒツジの食欲はとどまることを知らない。
「さてさて、お食事の後は♪ いったんデザートをお出しいたしまーす♪」
火焔ヒツジの前に出されていた数々の皿が下げられ、宝庭 シェプストがひょっこりと現れる。
【傾奇舞句】をスタンドに立て、そっと歌い始めた。
「こっちの飴は甘ーいよ。こっちの飴は辛ーいよ。ふふ………ねぇ、どんな飴ちゃんになると思うー?」
まるでコマーシャルを見ているような気になるシェプストのポージングは、流石と言えよう。
「なつのかおりキャンディ、制作開始!」
ここまで辛さが続いており、シェプストとしても辛味を楽しめるデザートを用意したかったが、さすがにそれは難しい。
まずは柚子やかぼすなどの柑橘類を切り分け、絞っていく。
生姜と茗荷のエキスを量って混ぜ、隠し味として唐辛子エキスを忍ばせた。
「こっちの飴はとっても辛ーい♪」
砂糖と水飴を合わせて焦げ付かないように鍋で溶かすと、それをクッキングシートの上に広げて形成できるようになるまで自然に冷ました。
事前に仕込んでおいた薄荷ラムネを取り出すと、
「これは食べてのお楽しみー!」
と言って飴生地に包み、千切って丸めていくシェプスト。
飴はすぐに固まった。
お盆に懐紙を乗せ、羊の形に並べた雨を火焔ヒツジに出す。
「お腹いっぱいになった後は、箸休めの飴ちゃんをどーぞ♪」
強めに入れた薄荷は、外側の果汁と唐辛子の飴よりも刺激的だったらしい。
口に放り込んだ途端、思わず飛び上がった火焔ヒツジは、羊毛を吐いて上空を旋回したのだった。
「辛いと火が出るってホントだったんだねー」
シェプストは、その様子を全員で眺めていた。