イラスト

シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

怪獣大決戦&神様復活ライブ!

リアクション公開中!
怪獣大決戦&神様復活ライブ!

リアクション

【3】大天使の虚栄 3

 「今までの攻撃が効いていないはずはない……僕がミカエルの注意を引きます。ツカサは、死角に回ってください」
 界塚 ツカサにそう声をかけると、加賀 ノイは紅月焔唄の光球をミカエルに向けて放った。
 ミカエルの顔がノイに向く。
 その間に、ツカサは反対側に走り込んだ。
「元より美人でもないし、ボクは光線に当たるくらい構わないけどね……皆迷惑してるから、消えてもらうよ、ミカエル!」
 ツカサは光の翼で空高く舞い上がると、空中に出現させた光の十字架でミカエルの後頭部を狙った。
 しかし、誤ってそれは巨大ミカエルの臀部に命中した。
「お尻に当たっちゃった……でも、痛いのは変わらないよね?」
 ツカサは振り返ったミカエルに向けて闘のクロスを振りかざした。
 ミカエルはそれを光のシールドで阻む。
 だがそれは、攻撃に見せかけたフェイクだった。
「弁慶の泣き所。天使だって弱いでしょ?」
 スネの真ん中に強烈な一撃が叩き込まれる。
 巨大ミカエルはバランスを崩し、屈辱的な表情を浮かべた。
 そしてロッドを振りかざし、ツカサに光線を浴びせかけた。
「よくもツカサを……! そっちがその気なら、こうです!」
 ノイはミカエルを睨みつけると、溶けた熱々のチョコレートをミカエルめがけて浴びせかけた。
 頭からチョコレートを被り、悶絶する巨大ミカエル。
 これは相当なダメージのようだ。
「ミカエルには似合いませんね……チョコレート。やっぱり、チョコ濡れになるのはツカサのほうが」
「ノイ、何か言った?」
「な、なんでもありませんっ!」
 ノイは慌ててそう誤魔化しながら、ミカエルにチョコレートを当て続けた。
 その間に、他のアイドルたちがミカエルへと接近した。
「咬龍の型、準備はいい? ジル!」
「はい! サクラさん、いつでも行けます!」
 八重崎 サクラが巨大ミカエルの右側に回り込み、ジル・コーネリアスがその反対に回る。
 ミカエルの注意がサクラに向くのを見て、ジルはミカエルとの距離を一気に詰めた。
 そして、思い切り飛び上がると、巨大な顔を思いきり殴りつけた。
「このまま行くよ、ジル! 次! 双龍の型!」
「ええ、わたし達のコンビネーション、見せてあげます!」
 今度はお互いの片手を繋いでサクラがジルを支え、そのままぐるりと反対側へ回った。
 そして勢いをつけ、もう一度ミカエルを殴りつける。
 アイドルたちからの立て続けの攻撃を浴び、巨大ミカエルは反撃の機会を失っていた。
「今なら、当たる。そろそろ消えなよね、ミカエル!」
 巨大ミカエルの顎下に回ったツカサはそのまま光の翼で飛び上がり、強烈なアッパーを食らわせる。
 その勢いで、ミカエルは仰向けに転倒した。
「神様がおかしくなっていたら、側近であるキミ達が止めるのが筋でしょう。なのに間違ってる事に従って攻撃するとは何事? 反省しなさい!」
 ミカエルに何か反論はあるのか、否か。
 倒されたミカエルは再び起き上がろうとした。
 だがそこに、サクラとジルが迫っていた。
「これで……決めるッ! 飛龍の型、今ッ!」
「いっけぇぇぇぇぇ!!」
 ジルが、足の上に飛び乗ったサクラをハルモニアの衝撃で飛び出させる。
 サクラはゴッドブラストで勢いをつけ、狙うのは、巨大ミカエルの鼻――。
「これがッ! 私のッ!」
「わたし達の!」
「「”人間”の、力だぁーッッ!!」」
 ゴリッ、という痛そうな音が聞こえた気がした。
 巨大ミカエルの手からロッドが落下した。
 地面に降りたサクラは、上手くジルの腕の中に着地した。
「お疲れ様です……わたし、うまくできましたか?」
「上出来よ、相棒!」
 サクラはジルの胸に軽く拳を当てた。
 このまま、ミカエルが起き上がらなければ……。
 アイドルたちは固唾を呑んで見守った。
「人間の覚悟……たっぷり味わったでしょう? これでもまだやりますか、ミカエル?」
 サクラは巨大ミカエルを見据え、語りかけた。
「命に敬意を払わない、死を笑い飛ばすようなそんな命の軽い世界が正しいとは思いません。それでも、目の前で失われる命も、それを笑うのも見たくないから、わたし達は戦うんですよ」
「私も、自分が純粋な命じゃないのは分かっています。命が消えるのは悲しい事、けれどもそれは自然な事」
 ジルはミカエルをじっと見つめた。
「ミカエルさん、わたしは自分の行く先がどこかは分からないけど、悲しみを止めたいこの気持ちは本物だって、自分に芽生えたこの気持ちを最後まで信じています。それが、わたしがわたしである確かな証拠だから。ミカエルさんは……」
 あなたは、どうなのか。
 アイドルたちが問いかける目の前で、巨大ミカエルの体がすう、と空気に溶けるように見えなくなった。その瞬間の彼の表情は、どこか穏やかなようにも見えた。
 戦いは、終わったのだ。
「自分が一番強いって、どれだけ自意識過剰なんだろうあの天使……そんなわけないのにね」
 ツカサがため息混じりにそう言った。
 大天使の虚栄心は、アイドルたちの総力によってへし折られた形になった。
 だが、その声は届いたのだろうか。
「†タナトス†や天使たちに、私達の声、聞こえてたのよね? 少しくらいは……きっと考えてくれたわよね?」
 不安げな顔でそう言ういろはの顔を見て、迅が「そうだね」と頷いた。
ページの先頭に戻る