【陰陽アイドル大戦】ハレの都にケの巨影
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リアクション
空中を旋回してから颯爽とステージに降り立ったシャーロットは、大兎扇【妖蝶の大扇】を広げた。
そして湧き立つ観客たちの期待に応えようと、【吃驚虎独楽【吃驚化け独楽】】を一気に大兎扇の上へと乗せる。
バランスを取りながら独楽を回転させているところへ、すかさず千尋の【艶美独奏】が流れ込んで来た。
うまくリズムに乗ることができたシャーロットの独楽回しは、観客たちの手拍子も伴って大盛況だ。
次の瞬間、弧を描いて飛び上がった独楽を両手でキャッチした陽とリーニャが互いに頷き合い、歌音、シャーロットと共に【舞神召喚】を発動する。
観客から見れば、にわかには信じがたい光景だった。
召喚した天津神は、思い思いに宙を舞い、空はさながら束の間の演舞場として人々の目を楽しませた。
歌音も【形代の綾扇】を持ったリーニャと一緒に【天津舞】を使い、伸びやかに空で舞っている。
「やっぱり、ライブは楽しくないとね!……あ、ここでは舞芸って言うんだっけ」
「いいよもう、楽しければどっちだって同じ! ミヤビさん、舞で命を落とすなんて絶対ダメだよ! 舞芸は人を楽しませるもの、そして舞芸者自身も楽しむもの! それは天照舞だって同じはずだよ! わたしたちの舞芸で、ミヤビさんにも舞芸の楽しさを教えてあげる」
「楽しさを知ると、どうなるのですか?」
「……楽しさはきっと、ミヤビさんを助けてくれるはず!」
「これがオレらの舞芸だぜ! 客も神も俺たちも最高に楽しんでる。お前はどうよ? 楽しんでるか?」
陽に問われて、ごくりと唾を飲み込んだミヤビは、すぐには自分の思いを言葉にすることはできなかった。
「心ん中で何か疼くモノがあったか? それが楽しいって気持ちだ。少しでもオレらの舞芸で笑えたなら、おめーもなれるさ。自由にな」
「楽しい気持ち? 自由になる……? バカな……そんなもの、今の私には必要ない……でも、この気持ちは……何?」
「使命だけじゃなくて、誇り。持ってんだろ? ここにさァ!」
持っていたマイクを自分の心臓にあて、鼓動の音をマイクに響かせる陽の汗ばんだ表情に、ミヤビはいつの間にか釘付けになっていた。
「もう、限界かも……!」
しばしの間、宙に浮かんでいた歌音だったが、さすがに無理があったようだ。
落ちそうになった体を【麒麟】がすかさず受け止める。
【麒麟】の動きもパフォーマンスの一部に見えたのか、観客は誰も危険だとは思わなかった。
やがて曲が最高潮を迎え、ラストに差し掛かった頃、千尋が【浮遊身転】を決めて麒麟から観客席に飛び降りた。
アクロバティックな動きに観客たちは歓声を上げ、すぐさま振り返って駆け出したシャーロットが舞い降りてきた千尋をしっかりと抱きとめる。
「私も……もう一度……」
「うん! 一緒に踊ろ!!」
リーニャに渡された【形代の綾扇】を手に持ち、ミヤビは再び舞い始める。
ステージに降り立った千尋が、陽と背中合わせになり最後の歌詞を歌い上げた。
舞台に降りて再び態勢を整えた歌音も一緒に踊り、華乱葦原の舞芸の象徴である【新来芸道】を取り入れた斬新な動きは、観る者たちをどこまでも楽しませた。
【傾奇九屠】の愛らしさが舞芸に加わることで、観客たちの「楽しい気持ち」はどんどん増幅していく――。
その思いが伝わったのか、ミヤビの中で何かが弾けた。
一瞬の静寂が訪れ、誰よりも真っ先に手を叩いたのはミヤビだ。
ミヤビにつられて、観客たちも大きな拍手を舞芸者たちに送る。
「……私の負けですね。本当の舞芸というものが何なのか、ほんの少しですが分かった気がします」
照れくさそうに言うミヤビに駆け寄った千尋が、
「ワタシは頑張るミヤビちゃんのファン第一号デスから! かっこいいとこ、もっとみんなに見せてあげてほしいデス!」
「チッヒに先越されたか! んじゃオレはミヤビィファン第二号だな!」
2人が目をきらきらさせながら言うと、ミヤビは耐え切れなくなり、ぷっと笑った。
「……あなたたちといると、調子が狂ってしまいます。私の方こそ……」
その後のミヤビの言葉は、拍手にかき消されてはっきりとは聞こえなかった舞芸者たち。
「私、もっと舞ってみたいです……あなたたちと一緒に」
火照ったミヤビの顔には、爽やかな汗が光っていた。
そして湧き立つ観客たちの期待に応えようと、【吃驚虎独楽【吃驚化け独楽】】を一気に大兎扇の上へと乗せる。
バランスを取りながら独楽を回転させているところへ、すかさず千尋の【艶美独奏】が流れ込んで来た。
うまくリズムに乗ることができたシャーロットの独楽回しは、観客たちの手拍子も伴って大盛況だ。
次の瞬間、弧を描いて飛び上がった独楽を両手でキャッチした陽とリーニャが互いに頷き合い、歌音、シャーロットと共に【舞神召喚】を発動する。
観客から見れば、にわかには信じがたい光景だった。
召喚した天津神は、思い思いに宙を舞い、空はさながら束の間の演舞場として人々の目を楽しませた。
歌音も【形代の綾扇】を持ったリーニャと一緒に【天津舞】を使い、伸びやかに空で舞っている。
「やっぱり、ライブは楽しくないとね!……あ、ここでは舞芸って言うんだっけ」
「いいよもう、楽しければどっちだって同じ! ミヤビさん、舞で命を落とすなんて絶対ダメだよ! 舞芸は人を楽しませるもの、そして舞芸者自身も楽しむもの! それは天照舞だって同じはずだよ! わたしたちの舞芸で、ミヤビさんにも舞芸の楽しさを教えてあげる」
「楽しさを知ると、どうなるのですか?」
「……楽しさはきっと、ミヤビさんを助けてくれるはず!」
「これがオレらの舞芸だぜ! 客も神も俺たちも最高に楽しんでる。お前はどうよ? 楽しんでるか?」
陽に問われて、ごくりと唾を飲み込んだミヤビは、すぐには自分の思いを言葉にすることはできなかった。
「心ん中で何か疼くモノがあったか? それが楽しいって気持ちだ。少しでもオレらの舞芸で笑えたなら、おめーもなれるさ。自由にな」
「楽しい気持ち? 自由になる……? バカな……そんなもの、今の私には必要ない……でも、この気持ちは……何?」
「使命だけじゃなくて、誇り。持ってんだろ? ここにさァ!」
持っていたマイクを自分の心臓にあて、鼓動の音をマイクに響かせる陽の汗ばんだ表情に、ミヤビはいつの間にか釘付けになっていた。
「もう、限界かも……!」
しばしの間、宙に浮かんでいた歌音だったが、さすがに無理があったようだ。
落ちそうになった体を【麒麟】がすかさず受け止める。
【麒麟】の動きもパフォーマンスの一部に見えたのか、観客は誰も危険だとは思わなかった。
やがて曲が最高潮を迎え、ラストに差し掛かった頃、千尋が【浮遊身転】を決めて麒麟から観客席に飛び降りた。
アクロバティックな動きに観客たちは歓声を上げ、すぐさま振り返って駆け出したシャーロットが舞い降りてきた千尋をしっかりと抱きとめる。
「私も……もう一度……」
「うん! 一緒に踊ろ!!」
リーニャに渡された【形代の綾扇】を手に持ち、ミヤビは再び舞い始める。
ステージに降り立った千尋が、陽と背中合わせになり最後の歌詞を歌い上げた。
舞台に降りて再び態勢を整えた歌音も一緒に踊り、華乱葦原の舞芸の象徴である【新来芸道】を取り入れた斬新な動きは、観る者たちをどこまでも楽しませた。
【傾奇九屠】の愛らしさが舞芸に加わることで、観客たちの「楽しい気持ち」はどんどん増幅していく――。
その思いが伝わったのか、ミヤビの中で何かが弾けた。
一瞬の静寂が訪れ、誰よりも真っ先に手を叩いたのはミヤビだ。
ミヤビにつられて、観客たちも大きな拍手を舞芸者たちに送る。
「……私の負けですね。本当の舞芸というものが何なのか、ほんの少しですが分かった気がします」
照れくさそうに言うミヤビに駆け寄った千尋が、
「ワタシは頑張るミヤビちゃんのファン第一号デスから! かっこいいとこ、もっとみんなに見せてあげてほしいデス!」
「チッヒに先越されたか! んじゃオレはミヤビィファン第二号だな!」
2人が目をきらきらさせながら言うと、ミヤビは耐え切れなくなり、ぷっと笑った。
「……あなたたちといると、調子が狂ってしまいます。私の方こそ……」
その後のミヤビの言葉は、拍手にかき消されてはっきりとは聞こえなかった舞芸者たち。
「私、もっと舞ってみたいです……あなたたちと一緒に」
火照ったミヤビの顔には、爽やかな汗が光っていた。