【陰陽アイドル大戦】ハレの都にケの巨影
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【2-1】天照舞はてしなき
客席が備え付けられた木のうろでは、舞台状に盛り上がったところで舞芸者たちがミヤビと共に天照舞を行うため、最後の型合わせを行っていた。
「んーとねぇ。舞芸はとりあえず、習うより慣れろって感じかな? 自分で確かめるしかないよ、こればっかりは理屈じゃないからね~」
神妙な顔つきのミヤビを横目に、シャーロット・フルールは体の緊張をほぐすために腕を上げて伸びをした。
「言われなくても分かっています。あまりなれなれしくしないでください。まだあなたたちを完全に認めたわけではありませんので」
そっぽを向いたミヤビだったが、
「ま、そうカタイこと言うなって。こういうのは楽しんだもん勝ちなんだよ」
パキパキと指の骨を鳴らす藤原 陽の背中を見つめて、そのまま口をつぐんでしまう。
実のところ、舞芸者たちが持つ不思議な空気感はそこまで不快ではない。
だが今は、彼らと馴れ合うわけにはいかないのだ。
「今日はとことん楽しませてやるから、覚悟しろよ?」
陽は、よそよそしいミヤビの態度などお構いなしで彼女の手を掴み、ステージへと突き進む。
「私の舞芸は命賭けなのです! 楽しむだなんて、そんな軽い気持ちで臨むようなものでは……」
「はは、命懸けの舞芸か――上等じゃねぇか。ミヤビィ、オメェの命、オレたちが預かったぜ!」
「ワタシたちが一緒に歌って踊るので、ミヤビちゃんはどうかそのまま、自分の務めを果たしてほしいデス!」
ステージ上で陽とミヤビが来るのを待っていたのは日向 千尋だ。
すれ違った陽と手を叩き合わせ、すでに準備万端といったところか。
陽は、目をぱちくりさせるミヤビを自分の方へ引き寄せると、カウントを取り始めた。
「行くぞ、【VOLCÄYO】!」
出だしから全力投球の千尋が歌う【ミヤビにアソベ!】は、【一念通天応援歌】を使うことで少しずつヒートアップしていく。
千尋は【かみなりバチ】を光らせながら、ステージ脇から合流してきたリーニャ・クラフレットと虹村 歌音と一緒に、全身で軽快なリズムを刻み始めた。
「お集まりの皆さ――――ん!! なんとなくでだいじょうぶデス、ノリで一緒に歌ってほしいデス!」
千尋の一声で、更に沸き立つ観客たち。
サビの部分は観客の方へマイクを傾け、手拍子でどんどんステージを盛り上げる千尋に触発されたのか、ミヤビも舞を始めるために呼吸を整える。
「えへへ、もし楽しくなってきたら一緒に舞おうね!」
リーニャはミヤビに笑顔を向けたが、ミヤビはここで舞芸者たちに負けるわけにはいかないと決死の思いでいっぱいだった。
どこかぎこちないミヤビの天照舞は、自分でもはっきりと認識できるくらい、彼らの熱いパフォーマンスに食われてしまっている。
舞えば舞うほど、自分が意図している天照舞ではなくなっていく……そんな気がしてならないミヤビ。
「オレ達は【VOLCÄYO】! 誰よりも熱い舞芸者だオラァ!」
陽が【伊達名乗り】で観客を煽った後、シャーロットは【≪式神≫大折鳥】を空へ放つと、その背にミヤビを乗せて天高く舞い上がらせた。
「きゃあ……っ!!」
ミヤビの叫び声と共に旋風が巻き起こり、上空をを大折鳥が飛び回る。
シャーロット自身も【陽気:妖翼】で飛び立つと、大折鳥の背中にしがみつくミヤビのすぐ近くを編隊飛行する。
千尋はその後方をリーニャと歌音の3人で麒麟に乗って追随し、不安定な場所であっても変わらず揺るぎない歌声を披露し続けていた。
「い、いきなり何を……?!」
「ね。ミヤビちゃんは使命、使命って言うけど……ミヤビちゃんのママがかつて天照舞を踊ったのは、たぶん使命感なんかじゃないと思うよ」
「え……?」
「ただ単に、ミヤビちゃんに生きて欲しかったからだとボクは思う。……って、まぁ、ボクも両親いないから、なんとなくだけどね」
シャーロットは肩をすくめると、小さく笑った。
「だから……死んじゃダメだよミヤビちゃん。 ママの想いと命は、ミヤビちゃんの中でちゃんと生き続けてるんだから」
「あなたに、そんなこと言われなくても……!!」
「ミヤビちゃんには、舞芸の楽しさを心から感じてもらわないと。まずは空からしっかり見てて……ボクたちの舞芸を!」
客席が備え付けられた木のうろでは、舞台状に盛り上がったところで舞芸者たちがミヤビと共に天照舞を行うため、最後の型合わせを行っていた。
「んーとねぇ。舞芸はとりあえず、習うより慣れろって感じかな? 自分で確かめるしかないよ、こればっかりは理屈じゃないからね~」
神妙な顔つきのミヤビを横目に、シャーロット・フルールは体の緊張をほぐすために腕を上げて伸びをした。
「言われなくても分かっています。あまりなれなれしくしないでください。まだあなたたちを完全に認めたわけではありませんので」
そっぽを向いたミヤビだったが、
「ま、そうカタイこと言うなって。こういうのは楽しんだもん勝ちなんだよ」
パキパキと指の骨を鳴らす藤原 陽の背中を見つめて、そのまま口をつぐんでしまう。
実のところ、舞芸者たちが持つ不思議な空気感はそこまで不快ではない。
だが今は、彼らと馴れ合うわけにはいかないのだ。
「今日はとことん楽しませてやるから、覚悟しろよ?」
陽は、よそよそしいミヤビの態度などお構いなしで彼女の手を掴み、ステージへと突き進む。
「私の舞芸は命賭けなのです! 楽しむだなんて、そんな軽い気持ちで臨むようなものでは……」
「はは、命懸けの舞芸か――上等じゃねぇか。ミヤビィ、オメェの命、オレたちが預かったぜ!」
「ワタシたちが一緒に歌って踊るので、ミヤビちゃんはどうかそのまま、自分の務めを果たしてほしいデス!」
ステージ上で陽とミヤビが来るのを待っていたのは日向 千尋だ。
すれ違った陽と手を叩き合わせ、すでに準備万端といったところか。
陽は、目をぱちくりさせるミヤビを自分の方へ引き寄せると、カウントを取り始めた。
「行くぞ、【VOLCÄYO】!」
出だしから全力投球の千尋が歌う【ミヤビにアソベ!】は、【一念通天応援歌】を使うことで少しずつヒートアップしていく。
千尋は【かみなりバチ】を光らせながら、ステージ脇から合流してきたリーニャ・クラフレットと虹村 歌音と一緒に、全身で軽快なリズムを刻み始めた。
「お集まりの皆さ――――ん!! なんとなくでだいじょうぶデス、ノリで一緒に歌ってほしいデス!」
千尋の一声で、更に沸き立つ観客たち。
サビの部分は観客の方へマイクを傾け、手拍子でどんどんステージを盛り上げる千尋に触発されたのか、ミヤビも舞を始めるために呼吸を整える。
「えへへ、もし楽しくなってきたら一緒に舞おうね!」
リーニャはミヤビに笑顔を向けたが、ミヤビはここで舞芸者たちに負けるわけにはいかないと決死の思いでいっぱいだった。
どこかぎこちないミヤビの天照舞は、自分でもはっきりと認識できるくらい、彼らの熱いパフォーマンスに食われてしまっている。
舞えば舞うほど、自分が意図している天照舞ではなくなっていく……そんな気がしてならないミヤビ。
「オレ達は【VOLCÄYO】! 誰よりも熱い舞芸者だオラァ!」
陽が【伊達名乗り】で観客を煽った後、シャーロットは【≪式神≫大折鳥】を空へ放つと、その背にミヤビを乗せて天高く舞い上がらせた。
「きゃあ……っ!!」
ミヤビの叫び声と共に旋風が巻き起こり、上空をを大折鳥が飛び回る。
シャーロット自身も【陽気:妖翼】で飛び立つと、大折鳥の背中にしがみつくミヤビのすぐ近くを編隊飛行する。
千尋はその後方をリーニャと歌音の3人で麒麟に乗って追随し、不安定な場所であっても変わらず揺るぎない歌声を披露し続けていた。
「い、いきなり何を……?!」
「ね。ミヤビちゃんは使命、使命って言うけど……ミヤビちゃんのママがかつて天照舞を踊ったのは、たぶん使命感なんかじゃないと思うよ」
「え……?」
「ただ単に、ミヤビちゃんに生きて欲しかったからだとボクは思う。……って、まぁ、ボクも両親いないから、なんとなくだけどね」
シャーロットは肩をすくめると、小さく笑った。
「だから……死んじゃダメだよミヤビちゃん。 ママの想いと命は、ミヤビちゃんの中でちゃんと生き続けてるんだから」
「あなたに、そんなこと言われなくても……!!」
「ミヤビちゃんには、舞芸の楽しさを心から感じてもらわないと。まずは空からしっかり見てて……ボクたちの舞芸を!」