【陰陽アイドル大戦】ハレの都にケの巨影
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【3-2】一会に賭けて
同じ頃、町の中では避難場所が臨時に設置されていた。
陰陽師によってオンバシラの根が伸びた加護の強い場所「竜穴」を教えてもらった筒見内 小明は、その場所で加護を強めるための【天津舞い】を執り行う準備を進めていた。
「まさか小明さんが「竜穴」を知ってるなんて、びっくりしたよ」
同じく舞の準備を進めていた橘 樹は、まだ落ち着いていないこの場所で人々の注目を集めるため、【奔放な風】を使って【桜餅】の甘い香りを辺りに拡散させた。
ほんのりと優しい香りが立ち込めると、避難して来た人々はほっとした表情になる。
【蛍火舞い】の光で避難誘導をしていた薄氷 鬼月は、更に【宵ノ微醺】を使って軽い酩酊感を含ませる。
ほろ酔い状態になった人々は、徐々に落ち着きを取り戻し始める。
「竜穴か。初めて聞いたが……覚えておこう。巫なのに陰陽師の知識も持ち合わせているとは、大したものだ」
樹と鬼月にほめられて、小明は照れくさそうに後ずさった。
「えっと……風水に詳しい理由は……たまたまなんですけど……そ、その、私も女の子ですから、占いとか、縁起物とか、大好き、なんです……」
顔を真っ赤にしてぼそぼそと言う小明を見て、樹はふっと頬を緩ませた。
「おかげでみんなが助かったんだから、すごい知識だと思う。……そろそろいいかな?」
殺伐としていたこの場所は、【桜餅】の香りと酔い加減を伴って少しずつ明るい雰囲気に変わりつつあった。
「さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!……なんてね。大変なところごめんなさい、ちょっとだけ僕の話を聞いてくれたら嬉しいです」
立ち上がった樹は深く息を吸い込み、【遊び人の前口上】で一気にまくし立てる。
「今、オンバシラではミヤビさん……帝によって天照舞が行われています。無事に成功するかどうかは、皆さん次第」
「……どういうことだ?」
人々が首を傾げて、口々に不思議そうな声を上げた。
「皆さんが観客としてオンバシラに集まることが、天照舞を成功させる助けになるんです! 天照舞が成功すれば、必ず樹京は守られます。だから、全員でオンバシラを目指しましょう!」
樹の言葉を聞き、互いに顔を見合わせる人々。
「全員で安全な場所に避難して、舞芸を見て楽しんでください。それが樹京を救うことに繋がるんです。どうか僕を信じてついて来てください。……なーんて、こんなお得な話、聞いちゃって行かない手はないですよね?」
ちょっとおどけて見せた樹だったが、人々は彼を信じてみようと思ってくれたようだ。
同じ頃、町の中では避難場所が臨時に設置されていた。
陰陽師によってオンバシラの根が伸びた加護の強い場所「竜穴」を教えてもらった筒見内 小明は、その場所で加護を強めるための【天津舞い】を執り行う準備を進めていた。
「まさか小明さんが「竜穴」を知ってるなんて、びっくりしたよ」
同じく舞の準備を進めていた橘 樹は、まだ落ち着いていないこの場所で人々の注目を集めるため、【奔放な風】を使って【桜餅】の甘い香りを辺りに拡散させた。
ほんのりと優しい香りが立ち込めると、避難して来た人々はほっとした表情になる。
【蛍火舞い】の光で避難誘導をしていた薄氷 鬼月は、更に【宵ノ微醺】を使って軽い酩酊感を含ませる。
ほろ酔い状態になった人々は、徐々に落ち着きを取り戻し始める。
「竜穴か。初めて聞いたが……覚えておこう。巫なのに陰陽師の知識も持ち合わせているとは、大したものだ」
樹と鬼月にほめられて、小明は照れくさそうに後ずさった。
「えっと……風水に詳しい理由は……たまたまなんですけど……そ、その、私も女の子ですから、占いとか、縁起物とか、大好き、なんです……」
顔を真っ赤にしてぼそぼそと言う小明を見て、樹はふっと頬を緩ませた。
「おかげでみんなが助かったんだから、すごい知識だと思う。……そろそろいいかな?」
殺伐としていたこの場所は、【桜餅】の香りと酔い加減を伴って少しずつ明るい雰囲気に変わりつつあった。
「さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい!……なんてね。大変なところごめんなさい、ちょっとだけ僕の話を聞いてくれたら嬉しいです」
立ち上がった樹は深く息を吸い込み、【遊び人の前口上】で一気にまくし立てる。
「今、オンバシラではミヤビさん……帝によって天照舞が行われています。無事に成功するかどうかは、皆さん次第」
「……どういうことだ?」
人々が首を傾げて、口々に不思議そうな声を上げた。
「皆さんが観客としてオンバシラに集まることが、天照舞を成功させる助けになるんです! 天照舞が成功すれば、必ず樹京は守られます。だから、全員でオンバシラを目指しましょう!」
樹の言葉を聞き、互いに顔を見合わせる人々。
「全員で安全な場所に避難して、舞芸を見て楽しんでください。それが樹京を救うことに繋がるんです。どうか僕を信じてついて来てください。……なーんて、こんなお得な話、聞いちゃって行かない手はないですよね?」
ちょっとおどけて見せた樹だったが、人々は彼を信じてみようと思ってくれたようだ。