【陰陽アイドル大戦】ハレの都にケの巨影
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【3-1】オンバシラへ
穏やかなオンバシラとは打って変わって、ここ樹京では、そこかしこで得体の知れない破壊音が繰り返され、禍々しい空気が満ち溢れていた。
古い建物が建ち並ぶ一角では、奇妙な動きをした鎧武者が剣を振り回し、今にも崩れ落ちそうな土壁へと人々をじわじわと追い込む。
鎧武者――土人形に怯えきった子供たちが、とうとう耐えきれずに叫び声を上げかけた瞬間。
「――早く逃げて下さい!」
人々の頭上を【麒麟】が駆け巡り、小鈴木 あえかが子供たちを抱きかかえて【麒麟】の背中へと避難させる。
土壁の上からは、リリィ・エーベルヴァインが飛び降りてきた。
リリィは【エスクワイアソード】と【小刀】を構え、土人形達に襲われている老人や子供たちを【ブロッキング】で守ったかと思うと、すぐさま【忍び二刀流】を使って土人形の鎧の隙間を狙い、あっという間に体を破壊してしまった。
飛び散った残骸はしばらく動かなかったが、やがてもぞもぞと動きを取り戻し、元の姿を求めて彷徨い始める。
「わ、わああーっっ、こいつら不死身だ……!」
慌てふためき逃げ遅れた人をかばうようにして、界塚 ツカサは咄嗟に土人形の体当たり攻撃を【開門手裏剣】で受け流し、【足払い】を仕掛けた。
「落ち着いて! 振り返らずにそのまま走って!!」
逃げ道を確保したツカサは人々を誘導しつつ、迫ってきた土人形たちの足元を積極的に狙って攻撃を仕掛けた。
【一角鬼のツノ】を頭に装備して、ツカサに加勢しようと走り込んできたのは加賀 ノイだった。
「土人形……妖怪の王と共に副葬された者だと聞きます。とすれば、元は妖怪だったのでしょう。妖怪とあらば、手加減は必要ありませんね」
美しい半妖の姿は人々の目を惹きつけて離さない。
それに気づいているのかいないのか、ノイは襲いかかってきた土人形たちに【紅月焔唄】を繰り出した。
紅く燃えさかる光球は次々と土人形たちを攻撃していく。
ツカサと共に人々を順番に避難させ、襲い掛かってきた土人形は【鬼火】で振り払った。
「街道付近に出没した敵は火系の術に弱かったですが、こちらはどの属性が効果的なんでしょう?……【氷丸招来】!!」
振り返りざま、背後から向かってきた土人形に氷のつぶてを撒き散らすノイ。
「……氷の属性でもまずまずの結果ですね。でも火系の方が殲滅するには手っ取り早いかも知れません」
ノイの戦闘力を持ってすれば、複数体の土人形をたった1人で攻撃してもまだ余りある。
誘導の邪魔をする土人形は、ツカサが【灼火鬼灯】と【開門手裏剣】を使った【極火二刀】で華麗に破壊していった。
「まだまだ湧いてくる……」
リリィは建造物を破壊しようとする土人形を【影縫い】でその場に留めた。
そして【エスクワイアステップ】で凛々しいステップを刻む。
「しつこいのは……嫌われる」
次の瞬間、【忍び二刀流】で土人形を切り裂いた。
「この前見つけた美味しいお茶屋や、お昼寝スポットは無事?」
かろうじて破壊を免れた建造物に近づき、転がっていた看板を壁に立てかけてやると、汚れを払ってまじまじと見つめるリリィ。
「ここの餡蜜は絶品なんだから……理由もなく破壊するなんて許さない」
リリィは襲いかかってきた土人形たちを再び【影縫い】で固定し、他の土人形目がけて容赦なく蹴り飛ばす。
どこからともなく湧いてくる土人形の数は、無限にも思われた。
「遠距離攻撃なら任せてください!」
小高い塔の上から遠距離攻撃に備えていた天鹿児 神子が土人形の手足を狙って【マナ・バレット】を発動する。
衝撃波を食らった土人形が次々と弾け飛ぶが、気がつけばまた押し寄せてくる。
「神子さん、下、気をつけて」
塔を揺さぶろうとしている土人形に気づいたリリィが声を上げた。
「ありがとう!」
すぐさま移動を開始した神子は、もう一度【マナバレット】を地面に飛ばして砂埃を巻き起こした。
一時的に土人形たちの目くらましになればと思ったが、本当にわずか数秒で突破されてしまった。
だが、神子自身が別の場所へと移動するための時間くらいは十分に稼ぐことができたと言える。
「おねーちゃんのおかげで助かったよ!!」
思いがけない所で、砂埃は子供たちが逃げる時間稼ぎもしていたようだ。
「うーん……全て、地球様からのお告げがあったので」
さらっと返すと、神子はとめどなく現れる土人形たちをかわすべく、次の攻撃に備えようとする。
「あはは……で、でも、なんか……腰……抜けちゃったみたい……」
動けなくなった子供たちを見て、神子は「ふう」と息をついた。
「今日は特別……」
子供たちを元気づけようと、【旅巫の舞い】を披露してやると、彼らは何とか立てるようになったのだった。
穏やかなオンバシラとは打って変わって、ここ樹京では、そこかしこで得体の知れない破壊音が繰り返され、禍々しい空気が満ち溢れていた。
古い建物が建ち並ぶ一角では、奇妙な動きをした鎧武者が剣を振り回し、今にも崩れ落ちそうな土壁へと人々をじわじわと追い込む。
鎧武者――土人形に怯えきった子供たちが、とうとう耐えきれずに叫び声を上げかけた瞬間。
「――早く逃げて下さい!」
人々の頭上を【麒麟】が駆け巡り、小鈴木 あえかが子供たちを抱きかかえて【麒麟】の背中へと避難させる。
土壁の上からは、リリィ・エーベルヴァインが飛び降りてきた。
リリィは【エスクワイアソード】と【小刀】を構え、土人形達に襲われている老人や子供たちを【ブロッキング】で守ったかと思うと、すぐさま【忍び二刀流】を使って土人形の鎧の隙間を狙い、あっという間に体を破壊してしまった。
飛び散った残骸はしばらく動かなかったが、やがてもぞもぞと動きを取り戻し、元の姿を求めて彷徨い始める。
「わ、わああーっっ、こいつら不死身だ……!」
慌てふためき逃げ遅れた人をかばうようにして、界塚 ツカサは咄嗟に土人形の体当たり攻撃を【開門手裏剣】で受け流し、【足払い】を仕掛けた。
「落ち着いて! 振り返らずにそのまま走って!!」
逃げ道を確保したツカサは人々を誘導しつつ、迫ってきた土人形たちの足元を積極的に狙って攻撃を仕掛けた。
【一角鬼のツノ】を頭に装備して、ツカサに加勢しようと走り込んできたのは加賀 ノイだった。
「土人形……妖怪の王と共に副葬された者だと聞きます。とすれば、元は妖怪だったのでしょう。妖怪とあらば、手加減は必要ありませんね」
美しい半妖の姿は人々の目を惹きつけて離さない。
それに気づいているのかいないのか、ノイは襲いかかってきた土人形たちに【紅月焔唄】を繰り出した。
紅く燃えさかる光球は次々と土人形たちを攻撃していく。
ツカサと共に人々を順番に避難させ、襲い掛かってきた土人形は【鬼火】で振り払った。
「街道付近に出没した敵は火系の術に弱かったですが、こちらはどの属性が効果的なんでしょう?……【氷丸招来】!!」
振り返りざま、背後から向かってきた土人形に氷のつぶてを撒き散らすノイ。
「……氷の属性でもまずまずの結果ですね。でも火系の方が殲滅するには手っ取り早いかも知れません」
ノイの戦闘力を持ってすれば、複数体の土人形をたった1人で攻撃してもまだ余りある。
誘導の邪魔をする土人形は、ツカサが【灼火鬼灯】と【開門手裏剣】を使った【極火二刀】で華麗に破壊していった。
「まだまだ湧いてくる……」
リリィは建造物を破壊しようとする土人形を【影縫い】でその場に留めた。
そして【エスクワイアステップ】で凛々しいステップを刻む。
「しつこいのは……嫌われる」
次の瞬間、【忍び二刀流】で土人形を切り裂いた。
「この前見つけた美味しいお茶屋や、お昼寝スポットは無事?」
かろうじて破壊を免れた建造物に近づき、転がっていた看板を壁に立てかけてやると、汚れを払ってまじまじと見つめるリリィ。
「ここの餡蜜は絶品なんだから……理由もなく破壊するなんて許さない」
リリィは襲いかかってきた土人形たちを再び【影縫い】で固定し、他の土人形目がけて容赦なく蹴り飛ばす。
どこからともなく湧いてくる土人形の数は、無限にも思われた。
「遠距離攻撃なら任せてください!」
小高い塔の上から遠距離攻撃に備えていた天鹿児 神子が土人形の手足を狙って【マナ・バレット】を発動する。
衝撃波を食らった土人形が次々と弾け飛ぶが、気がつけばまた押し寄せてくる。
「神子さん、下、気をつけて」
塔を揺さぶろうとしている土人形に気づいたリリィが声を上げた。
「ありがとう!」
すぐさま移動を開始した神子は、もう一度【マナバレット】を地面に飛ばして砂埃を巻き起こした。
一時的に土人形たちの目くらましになればと思ったが、本当にわずか数秒で突破されてしまった。
だが、神子自身が別の場所へと移動するための時間くらいは十分に稼ぐことができたと言える。
「おねーちゃんのおかげで助かったよ!!」
思いがけない所で、砂埃は子供たちが逃げる時間稼ぎもしていたようだ。
「うーん……全て、地球様からのお告げがあったので」
さらっと返すと、神子はとめどなく現れる土人形たちをかわすべく、次の攻撃に備えようとする。
「あはは……で、でも、なんか……腰……抜けちゃったみたい……」
動けなくなった子供たちを見て、神子は「ふう」と息をついた。
「今日は特別……」
子供たちを元気づけようと、【旅巫の舞い】を披露してやると、彼らは何とか立てるようになったのだった。