【陰陽アイドル大戦】ハレの都にケの巨影
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■プロローグ
華乱葦原、樹京。
大樹『天津御柱』の根元にある劇場には、多くの人々が集っていた。
外の地獄のような惨状に救いを求めるように、その視線は中央の舞台へと注がれている。
その袖には、この国の帝にして地上に降りた天津神の末裔、ミヤビが竦んで立っていた。
傍らにいるのは泉 光凛と、そしてミヤビを守る剣士草一。
ミヤビは、奇跡をもたらす“天照舞”に、命がけで臨むところであった。
「……あなたたちが一緒に舞台に立って、どうなるというのですか」
「なるよ! ミヤビちゃんが楽しいって思えば!」
「ああ。それに、この場の観客たちの明るい感情は、天照舞の大きな力になる」
現人神として生まれ、イドラの呪いによって身体が育たなくなってしまったミヤビ。
舞芸によって母を失い、舞芸を憎み続けてきた彼女は、それでも人々のために舞い散った母の背中を追っていた。
「楽しいなんて、思えるわけがないでしょう!」
ミヤビはわなわなと拳を振るわせ、豪奢な冠を鳴らしながら叫んだ。
しかし、光凛はその手をあくまで優しく握って見つめる。
「そんなの、やってみてのお楽しみだよ!」
「そこは『やってみなくちゃわからない』っていうとこじゃないかルミ?」
ルミマルが珍しく冷静にツッコミを入れ、ミヤビはほのかに表情を和らげた。
光凛はその様子にリラックスした様子で見つめ、ステージへと誘った。
「ほら、ファンが待ってるよ。
――みんなで、奇跡を起こしに行こう!」
◇◆◇
ほの暗く灯かりのないその場所、妖怪王の大霊廟で、夕崎 ゲーテは微笑んでいた。
硬く張られた結界の周りは瘴気に満たされ、恐るべき術が動いていることを如実に語る。
「アルカ・ライム、君の決断を止める理由はない」
はるか地上を揺らす地鳴りは、彼が操る穢ノ神“炎の冠”のものだ。
その天を突く巨体の中には、彼の仲間であるはずのアルカ・ライムがいる。
アルカは自ら犠牲となることを望み、あといくばくかの命であった。
その自殺とも思える暴挙に、ゲーテはあえて口を挟まなかった。
「……君も、最後くらいは笑ってくれよ」
ゲーテは大きく両手を掲げ、地上の穢ノ神に何らかの指示をした。
混乱に陥った樹京で、穢ノ神は雄たけびをあげて大樹オンバシラを破壊しにかかる。
そして、それを止めるべく数多の兵と、そして舞芸者が、“炎の冠”に立ち向かっていった。
――呪わしき夜が、始まる。
1ページ プロローグ・目次
2ページ 【1】最強の穢ノ神“炎の冠”の脅威
3ページ 【1】その頃、大霊廟にて――
4ページ 【1】“炎の冠”の頭部、アルカ救出への橋頭堡を築け!
5ページ 【1】アルカを“炎の冠”の中から救い出せ!
6ページ 【2】【2-1】天照舞はてしなき
7ページ 【2】【2-1】天照舞はてしなき 2
8ページ 【2】【2-2】甘くて、ほろ苦いものの正体
9ページ 【2】【2-2】甘くて、ほろ苦いものの正体 2
10ページ 【2】【2-3】道遠からん~全四幕
11ページ 【2】【2-3】道遠からん~全四幕 2
12ページ 【3】【3-1】オンバシラへ
13ページ 【3】【3-1】オンバシラへ 2
14ページ 【3】【3-2】一会に賭けて
15ページ 【3】【3-2】一会に賭けて 2
16ページ 【3】【3-3】いとしの半妖
17ページ エピローグ
華乱葦原、樹京。
大樹『天津御柱』の根元にある劇場には、多くの人々が集っていた。
外の地獄のような惨状に救いを求めるように、その視線は中央の舞台へと注がれている。
その袖には、この国の帝にして地上に降りた天津神の末裔、ミヤビが竦んで立っていた。
傍らにいるのは泉 光凛と、そしてミヤビを守る剣士草一。
ミヤビは、奇跡をもたらす“天照舞”に、命がけで臨むところであった。
「……あなたたちが一緒に舞台に立って、どうなるというのですか」
「なるよ! ミヤビちゃんが楽しいって思えば!」
「ああ。それに、この場の観客たちの明るい感情は、天照舞の大きな力になる」
現人神として生まれ、イドラの呪いによって身体が育たなくなってしまったミヤビ。
舞芸によって母を失い、舞芸を憎み続けてきた彼女は、それでも人々のために舞い散った母の背中を追っていた。
「楽しいなんて、思えるわけがないでしょう!」
ミヤビはわなわなと拳を振るわせ、豪奢な冠を鳴らしながら叫んだ。
しかし、光凛はその手をあくまで優しく握って見つめる。
「そんなの、やってみてのお楽しみだよ!」
「そこは『やってみなくちゃわからない』っていうとこじゃないかルミ?」
ルミマルが珍しく冷静にツッコミを入れ、ミヤビはほのかに表情を和らげた。
光凛はその様子にリラックスした様子で見つめ、ステージへと誘った。
「ほら、ファンが待ってるよ。
――みんなで、奇跡を起こしに行こう!」
◇◆◇
ほの暗く灯かりのないその場所、妖怪王の大霊廟で、夕崎 ゲーテは微笑んでいた。
硬く張られた結界の周りは瘴気に満たされ、恐るべき術が動いていることを如実に語る。
「アルカ・ライム、君の決断を止める理由はない」
はるか地上を揺らす地鳴りは、彼が操る穢ノ神“炎の冠”のものだ。
その天を突く巨体の中には、彼の仲間であるはずのアルカ・ライムがいる。
アルカは自ら犠牲となることを望み、あといくばくかの命であった。
その自殺とも思える暴挙に、ゲーテはあえて口を挟まなかった。
「……君も、最後くらいは笑ってくれよ」
ゲーテは大きく両手を掲げ、地上の穢ノ神に何らかの指示をした。
混乱に陥った樹京で、穢ノ神は雄たけびをあげて大樹オンバシラを破壊しにかかる。
そして、それを止めるべく数多の兵と、そして舞芸者が、“炎の冠”に立ち向かっていった。
――呪わしき夜が、始まる。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 【1】最強の穢ノ神“炎の冠”の脅威
3ページ 【1】その頃、大霊廟にて――
4ページ 【1】“炎の冠”の頭部、アルカ救出への橋頭堡を築け!
5ページ 【1】アルカを“炎の冠”の中から救い出せ!
6ページ 【2】【2-1】天照舞はてしなき
7ページ 【2】【2-1】天照舞はてしなき 2
8ページ 【2】【2-2】甘くて、ほろ苦いものの正体
9ページ 【2】【2-2】甘くて、ほろ苦いものの正体 2
10ページ 【2】【2-3】道遠からん~全四幕
11ページ 【2】【2-3】道遠からん~全四幕 2
12ページ 【3】【3-1】オンバシラへ
13ページ 【3】【3-1】オンバシラへ 2
14ページ 【3】【3-2】一会に賭けて
15ページ 【3】【3-2】一会に賭けて 2
16ページ 【3】【3-3】いとしの半妖
17ページ エピローグ