【陰陽アイドル大戦】フェスタvs琵琶谷学院 feat.穢ノ神!
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■プロローグ
和の世界、華乱葦原。
樹京のはずれにある鎮守の森からは、おびただしい瘴気が放たれていた。
森にいた神霊たちは瘴気によって暴走を始め、木と岩と土くれを纏ったバケモノへと姿を変えていく。
「この力で、滅ぼすのだ! この腕を奪った、憎き舞芸者どもを!!」
雄叫びを上げた穢ノ神“焔”が、古びた遺跡を砕き、森をかけていく。
その右手はうぞうぞと蠢動する瘴気の塊でできており、握られた剣は注ぎ込まれる膨大な瘴気を受けて本来の色を失い暗くよどんでいた。
かの剣こそ、神剣イツノオハバリ。
神殺しの力をもたらす、神の武具である。
焔にとっては、自分を斬り、自分を生み出した因縁深い剣だ。
そしてふと、焔は直感する。
こちらへ近づくものの気配――自分の腕を消滅させた憎き舞芸者たちの気配を。
「……これは傑作だ! 首級どもが雁首揃えて、そっ首斬られに現れたな!」
焔は、ますます身にまとう瘴気を分厚くして叫ぶ。
――樹京を、そしてふぇすた座を守るため。
舞芸者たちは、この恐るべき復讐鬼に立ち向かう。
◆◇◆
大樹オンバシラの上に建つ八尋殿は、阿鼻叫喚の修羅の巷と化していた。
グランスタ配下の学校、琵琶谷学院のエースバンド“天咬(アマガミ)”が、
その場にいる観客をあおり、殴り合わせ、座席や扉を破壊させていたのだ。
観客たちは誰も彼も取っ組み合っており、その狂気的な興奮によって生まれたエネルギーを穢ノ神“焔”に送っていたのだ。
「俺を見て泣き叫べ! 俺は這いまわるヌタウナギ!!」
生きることに絶望し、排水溝のような声でがなり歌う彼らは、しかし非常にレベルの高い演奏を繰り出し続ける。
さらに術のかかった鈴から放たれる瘴気が、彼らと観客をもろともに狂気のるつぼに陥れているのだ。
だが、このままでは観客たちはどうなってしまうかわからない。
「いや、熊でしょ……」
泉 光凛がツッコミを入れ、それを耳ざとく聞き取った天咬が、飛び込む予定だった観客席から、ステージの真正面に眼をやった。
天咬のいるステージとちょうど向き合うような形で、新たに作り出された特設ステージには
『フェイトスター・アカデミー』と高々に看板が掲げられており、観客たちに舞芸対決が始まることを雄弁に語っていた。
「――何を企んでいるか、知らないけど!
観客のみんなをこれ以上苦しめるなら、私たちが許さないんだから!!」
光凛がプロレスさながらのマイクパフォーマンスを繰り出すと、何人かの観客が光凛の方を見やった。
それを見て、天咬のリーダー、羆がぎらりと目を輝かせる。
かくして、琵琶谷学院とフェスタの、ライブ対決が幕を開けたのだ――。
1ページ プロローグ・目次
2ページ 全ての人へ届くように
3ページ 壊す衝動と払う瘴気
4ページ 気付く想い
5ページ 守護と解放
6ページ 祓い給え
7ページ 神剣奉納
8ページ 燃える火が消える時
9ページ エピローグ
和の世界、華乱葦原。
樹京のはずれにある鎮守の森からは、おびただしい瘴気が放たれていた。
森にいた神霊たちは瘴気によって暴走を始め、木と岩と土くれを纏ったバケモノへと姿を変えていく。
「この力で、滅ぼすのだ! この腕を奪った、憎き舞芸者どもを!!」
雄叫びを上げた穢ノ神“焔”が、古びた遺跡を砕き、森をかけていく。
その右手はうぞうぞと蠢動する瘴気の塊でできており、握られた剣は注ぎ込まれる膨大な瘴気を受けて本来の色を失い暗くよどんでいた。
かの剣こそ、神剣イツノオハバリ。
神殺しの力をもたらす、神の武具である。
焔にとっては、自分を斬り、自分を生み出した因縁深い剣だ。
そしてふと、焔は直感する。
こちらへ近づくものの気配――自分の腕を消滅させた憎き舞芸者たちの気配を。
「……これは傑作だ! 首級どもが雁首揃えて、そっ首斬られに現れたな!」
焔は、ますます身にまとう瘴気を分厚くして叫ぶ。
――樹京を、そしてふぇすた座を守るため。
舞芸者たちは、この恐るべき復讐鬼に立ち向かう。
◆◇◆
大樹オンバシラの上に建つ八尋殿は、阿鼻叫喚の修羅の巷と化していた。
グランスタ配下の学校、琵琶谷学院のエースバンド“天咬(アマガミ)”が、
その場にいる観客をあおり、殴り合わせ、座席や扉を破壊させていたのだ。
観客たちは誰も彼も取っ組み合っており、その狂気的な興奮によって生まれたエネルギーを穢ノ神“焔”に送っていたのだ。
「俺を見て泣き叫べ! 俺は這いまわるヌタウナギ!!」
生きることに絶望し、排水溝のような声でがなり歌う彼らは、しかし非常にレベルの高い演奏を繰り出し続ける。
さらに術のかかった鈴から放たれる瘴気が、彼らと観客をもろともに狂気のるつぼに陥れているのだ。
だが、このままでは観客たちはどうなってしまうかわからない。
「いや、熊でしょ……」
泉 光凛がツッコミを入れ、それを耳ざとく聞き取った天咬が、飛び込む予定だった観客席から、ステージの真正面に眼をやった。
天咬のいるステージとちょうど向き合うような形で、新たに作り出された特設ステージには
『フェイトスター・アカデミー』と高々に看板が掲げられており、観客たちに舞芸対決が始まることを雄弁に語っていた。
「――何を企んでいるか、知らないけど!
観客のみんなをこれ以上苦しめるなら、私たちが許さないんだから!!」
光凛がプロレスさながらのマイクパフォーマンスを繰り出すと、何人かの観客が光凛の方を見やった。
それを見て、天咬のリーダー、羆がぎらりと目を輝かせる。
かくして、琵琶谷学院とフェスタの、ライブ対決が幕を開けたのだ――。
■目次
1ページ プロローグ・目次
2ページ 全ての人へ届くように
3ページ 壊す衝動と払う瘴気
4ページ 気付く想い
5ページ 守護と解放
6ページ 祓い給え
7ページ 神剣奉納
8ページ 燃える火が消える時
9ページ エピローグ