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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【陰陽アイドル大戦】ふぇすた座出張ライブ Feat.幽霊!

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【陰陽アイドル大戦】ふぇすた座出張ライブ Feat.幽霊!

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勝負! 越後座 3


 ふぇすた座のステージが暗くなるが、越後座のステージは相変わらずの煌びやかさだ。
 成金趣味の派手さに辟易してきた観客はふぇすた座の方へ流れていく。
 それでも軍配がどちらに上がるかはまだ分からない。

 ふぇすた座のステージに明かりが戻るとそこには渋谷 柚姫が立っていた。

「(社長に西宮さんを介してすみれさんに演出を頼めって言われたけど……別に直接頼めばよくなかったかな? まぁ、ちゃんとOK出たから良いんだけど。もしかして、ぼ、私が幽霊とか苦手だから? いやいやすみれさんも自称幽霊だけど幽霊なんているわけないし、いるわけのないもの。怖くなんてないってば!)」

 自分に言い聞かせるようにして柚姫はクリアボイスで歌いあげいつつ、ステージを歩き回ってときどき観客に妖の色目であやしい色目を使って蠱惑的なアピールしていく。
 すみれも柚姫の歌に合わせて踊っていき、他のお盆で帰ってきた幽霊たちも一緒に隠れて舞台にあるものを浮かせたりして楽しんでいる。
 柚姫の歌にバックコーラスを入れる幽霊がいたり、柚姫の後ろに立って驚かそうとする幽霊がいたりと幽霊たちも面白おかしくいたずらをしていた。
 どれもすみれほどの霊力がないのか姿を見せることはできないが一緒のステージに立てて嬉しそうである。
 気配はするのに誰もいない、ひとりのはずのステージにびくびくしつつも最後まで歌いあげた柚姫はすみれと向かい合って笑いあった。
 その頃には怪奇現象も静まり返っている。

「なんだ。やっぱりライブでの怪奇現象はすみれさんの演出だったんじゃないか……」

 ほっとしつつステージを降りていく柚姫。
 ふとすみれの姿が透けていたように思い返す。

「いや、きっと気のせいだよね」

 幽霊なんているわけない! と気を強く持って柚姫のライブは終了した。

 次の黒瀬 心美のライブはかつての大戦-華叢大戦をイメージさせる、暗い雰囲気の曲から始まる。
 飛炎で小さな炎を飛ばし、そよ風のような奔放な風を吹かせ、焼け野原をイメージする演出の中で心美は言葉を乗せていく。

「数えきれないほどの犠牲を出した戦は、天照舞によって戦いは幕を引いた。戦で失ったものは多い。けど新たに得られたものもある」

 炎の演出の中から慎太とすみれが登場し、お互いを気遣うように身を寄せ合って歩いている。

「それは例え種族が違えど、お互いを思いやることが出来る心。その想いを秘めている限り、かつての悲劇が繰り返されることは無い」

 炎天劫火で炎が巻き起こり、輝きと共にパッと炎が弾けていく中、炎を避けるように慎太とすみれは歩き続けた。
 曲調も暗い雰囲気のものから荘厳で胸が熱くなるような曲へと変転し場が盛り上がっていく。

「人は時に愚かな選択をする。しかし、心の奥底にある大切なものを忘れない限り、次へ進んでいける」

 炎を手前に燃え上がらせ、その後ろを通り過ぎることで次へ向かって進む様を演出してみせ、心美の芸は静かに幕を下ろす。
 幽霊と人間という種族の壁を乗り越え共に歩む2人の姿に観客からは拍手が聴こえてくる。
 その数は先程の拍手よりも多かった。
 そう。越後座に視線が集まっていた観客もしだいにふぇすた座のアイドルたちも見ていて楽しい、見ていると怖い、様々な感情を抱いてふぇすた座の方へ人が集まってきていたのだ。
 それでも人を取られた越後座がこのまま取られたままという訳ではない。
 今まで以上に華美な演出、名のある舞芸者をステージに立たせ巻き返しを図っていく。
 まだ勝負の行方は分からない。

 負けられない戦いに挑むふぇすた座次の舞芸者は男装しての登場である。
 空花 凛菜が夫役となり、妻のすみれと共に戯曲が始まった。


とある夫婦の幽玄の恋の物語

仲睦まじい夫婦
ある日、妻が突然の事件で亡くなります

夫は妻を喪って嘆き伏し
妻も黄泉の国で夫と離ればなれになったことに悲しみ続けます


 横になっているすみれに覆いかぶさるように凛菜は泣き叫ぶ演技をする。
 そこでふっと照明が落ちすみれと凛菜は離れた場所でピンスポットを浴びた。


やがて黄泉の国に赴いて妻を現世に連れ戻す決意をする夫
黄泉の国で、夫のことを想い焦がれる日々を過ごす妻


 苦しそうに前へゆっくり進む凛菜。
 すみれはその場から動かず涙で裾を濡らす演技をしていく。


幾度かの苦難を乗り越えて、妻の元に辿り着いた夫
目の前に夫が現われて驚き喜ぶ妻

夫婦は愛情深くお互いをしっかりと抱きしめ合います


 しっかりときつく抱きしめる凛菜。
 すみれもそれに寄り添うように身を預けている。


その後、夫婦で現世に戻ったのか、はたまた黄泉の国で一緒に暮らしたのか、それはまた別の物語にて……


 ナレーションが終わり、抱きしめあっていた凛菜とすみれは観客に向かって礼儀正しくお辞儀をした。
 観客からは惜しみない拍手が飛んできて凛菜とすみれも視線を交わらせて笑いあう。

 すみれはこの場に残り、凛菜は次の舞芸者である天導寺 朱と交代する。
 琴と三味線の音楽に合わせて朱は夢妖の宴技で二つの芸器のひとたび仰げば無数の青い炎で舞台を彩る宵鬼の扇子と薄紅色の花が骨から垂れ下がっている傘枝垂彼岸をどちらも駆使できるようにして両手を上げた。
 音楽に合わせるように酒鬼乱舞で怪しい炎や扇を乱れ回しながら舞っていくと、すみれも番傘を手に衣を捌いて堂々と踊っていく。
 観客たちが酒鬼乱舞の効果で軽く酩酊状態になってきたところで太鼓と鈴も入ってきてクライマックスへと盛り上がりをみせる。

 すみれは妖艶に微笑んで朱を誘い込む仕草をすると、朱はそれに誘われるように番傘の中へと入り込む。
 床に置かれる番傘の後ろに2人が隠れると、朱は隠れ身の術で舞台装置の裏へ隠れるように忍び足で舞台の後ろの物陰まで急いで向かった。
 すみれも傘の後ろで消えたのを確認し、舞台袖から手裏剣を投げて傘に当てて転がす。
 鈴の音を最後に転がった傘の裏には朱とすみれの姿はない。
 それには観客も驚きを隠せなかった。
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