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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【陰陽アイドル大戦】ふぇすた座出張ライブ Feat.幽霊!

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【陰陽アイドル大戦】ふぇすた座出張ライブ Feat.幽霊!

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黄泉の瘴気と陰陽師 1


 闇が濃くなる一方、廃寺の宝物庫では陰陽師の真蛇が穢ノ神の腕を桜稜郭へと導くための祈祷を続けていた。
 祈祷の影響で廃寺の周囲一帯が強すぎる黄泉の瘴気に冒された影響で廃寺周囲の墓地が黄泉の瘴気に冒され、黄泉憑きとなった骸たちが溢れるように人里へ降りて行こうと進軍している。

 桜稜郭へ続く防衛ラインが次々に突破されていく中、宝物庫で祈祷している真蛇を止めるべく墓地を横切るように廃寺へと伝馬を走らせる加宮 深冬がいた。

「(陰陽師『真蛇』……ちょっと、気になるなぁ……。わざわざ仮面で顔を隠してるってことは、素顔が暴かれるとまずい理由があるってことよね?)」

 仮面を付けていれば剥がしたくなるのが人情というもの。
 期を見計らって仮面を割ってやろうと黄泉憑きたちを伝馬で蹴り飛ばしながら廃寺の宝物庫を目指す。

「そのまま穢ノ神を桜稜郭へ向かわせるなんてだめだよ。そんなの、たくさんの人が傷つくよ……。ねぇ、何故こんなことをするの? 桜稜郭に恨んでいる相手がいるのだとしても、こんなやり方はだめ。もし……大勢のひとを巻き込むことを目的とするなら、尚更とめないと」
「死体を操るって、随分罰当たりな事すんなぁその陰陽師……。取り敢えず、宝物庫に向かうやつらの道作って、さっさと止めてもらわねーとな。……倒す方もいい気しねーし」

 瘴気は中心部になるにつれ濃くなり、咽るような瘴気とおびただしい黄泉憑きの骸が蔓延る廃寺へと侵入した日辻 瑶が神拍子の厳かながらも華のある舞を穏やかに心静めて、清らに、破魔の鉄輪を持って奏上し、周囲を祓い清める。
 ゆったりと、それでいて力強い遥の舞を邪魔しようと墓地から蘇った黄泉憑きが遥に向かって手を伸ばすのを春瀬 那智が打刀を手に足を狙って峰打ちをして足を崩すことで身動きが取れないようにしていく。

「元は墓に埋められてたやつを倒すのは、やっぱり気分いいもんじゃねーな」

 紅葉の目付で山の紅葉を眺めるようにして、一部分を注視しない視線遣いに黄泉憑きの骸は那智の剣筋を見失い戸惑った様に動きが固まり、その隙を見逃さず手早く倒していく。
 遥を守るように立ち回る那智は終わりが見えない無限に湧き出るような黄泉憑きたちの身体をできるだけ綺麗な状態で倒すように努める。

「こーら、俺をスルーして行くんじゃねーよ。踊り子にはお手を触れてはいけません、って子供の頃習わなかったか?」

 祝詞を刻まれた二つひと組の鉄輪をすり合わせるようにして音を鳴らしながら遥は踊り続ける。
 那智が己をしっかり守ってくれると信頼し、安心して背中を預け一手一手を丁寧に神に捧げていく。
 廃寺の中心部のわずかな範囲は次第に浄化され、骸の海に穴が開き広がっていった。
 神聖な空気を嫌う黄泉憑きたちはその穴を埋めようと遥と那智に群がる。
 集中的に集まるその隙に伝馬から降りた深冬は忍びの心得で縁の下に潜り込んだ。

「真蛇さん、なんで人を傷つけるようなことをするんだろ……どんな理由があっても、無差別に人を傷つけていいなんてわけがないよ……なんとしても真蛇さんを止めなくちゃ!」

 藤原 明日香は真蛇を止めるべく桜樹の木刀を手に黄泉憑きたちを殴っていく。
 少しでも自分の方へ引き付けることが出来たらその分、真蛇がいる宝物庫へと向かう仲間が進みやすくなると信じて。

 明日香からそんなに離れていない場所ではウィルフリード・ジロットが黄泉憑きたちに峰打ちを食らわせ動きを止めていく。
 真蛇の意図が分からなくても桜稜郭へ害成すものを放ってはおけないからと明日香と協力して宝物庫への道を切り開かんと数打刀を振るい続けた。

「動く屍さん達も本当はお墓の中に戻りたいんじゃないかな? だったら私が手伝ってあげるよ♪」
「疾れ、我が雷!」

 地上での奮闘を受け、空莉・ヴィルトールは屋根の上まで敵を無視して一直線に走っていく中、アルドラ・カリオストロは雷丸招来で雷の玉を放ち空莉をサポート。
 空莉が走り去る背後では明日香が奮闘しているが、背中から壊死した爪を振り下ろす骸には気付かなかった。
 アルドラは即座に氷刃乱舞で無数の小さな氷の刃を生み出し、周囲を攻撃し明日香を守る。

「ふふ。危ないところだったわね。背中にも注意しておきなさい」
「あ、ありがと……」
「貴方も彼女のサポートを頼もうかしら。上からの援護もあればきっと楽になるわよ」
「わかった」

 明日香も空莉のサポートに回り、無事屋根に上ることができた空莉は離れた敵も見逃さないように、ホークアイを使ってしっかりと狙いを付けて破魔弓で射抜いていく。

「左目が見えないからって甘く見ないでよね~♪ その分、集中力はすごいんだから!」

 今、真蛇によって黄泉替えさせられた骸たちも元々は誰かの家族だったり、恋人だったり、友達だった人たちであることには違いない。
 空莉は思う。『大切な人が死んじゃった時にはたくさん泣いて、それから長い時間を掛けてゆっくりと痛みを和らげて……皆そうやって悲しみを乗り越えてるんだから」と。
 それを無理やり起こされてしまっては残された人たちの心を揺さぶってしまうだろう。
 それはいけないこと。今の姿を生きている者が見たら皆悲しむ未来が待っている。
 そんなしんみりとした考えを抱くが、黄泉憑きたちも好きで暴れてるわけでもない。
 それなら私がお墓の中に戻してあげようと破魔弓の矢を飛ばしていった。

「これだけたくさん敵がいるんだもん! どこに飛ばしても当たるよねっ!!」

 狙撃ポジションを定期的に変更し、出来るだけ広範囲をカバーしようと心がける空莉の心にふと今射撃している破魔弓は戦神の加護により、魔には破滅を、射手には福をもたらすと言われていることを思い出す。

「もしかして、射れば射るほど良い事がある……? ちょっとワクワクしちゃうかも♪」

 イイことがあると良いなと思いつつ弓を引いていると、ウィルフリードが囲まれていることに気付く。
 味方と敵との距離が近すぎると誤射しちゃいそうだと思いながらも敵の動きをよく観察し……黄泉憑きの骸がウィルフリードとの距離が詰まる時、破魔弓の矢を射った。

「んふふ。助けてあげたら私のファンになってくれるかもだし~♪」

 ほんの少し戦場にいるとは思えない意識の中で空莉は地上で戦う仲間たちのフォローをしていく。
 アルドラも仲間たちの死角を補うなどして陰でサポートに回り、戦場に慣れていない仲間を助けていった。



◇          ◇          ◇





“かの腕は神代に封じられし、裏切りの天津神が一部である”
“裏切りの天津神を止めよ”


「乙女電波……キャッチしました!」

 ヲトメコンダクター アリアは祈祷:道祖神の警句を受けて真面目な顔で内容を反復。
 だが、美少年とは関係ない内容にやる気が駄々下がりであった。
 それでも冷徹なプロデューサー脳の方はフル回転で思考を続ける。

「そもそもこの警句発した巫、誰よ……敵? 味方?」

 巫だったら誰でもいいのだろうか? それにタイミングが良すぎる。つまり、これは罠である可能性がある。
 自分が真蛇だったら、一人で籠らないし、ちゃんとした護衛も付ける。

「何より面倒くさいから天河君にやらせて、自分は安全な場所で遊んでるわ!」

 つまり、越後座で踊る山吹が真犯人なのではないだろうか?
 祈祷なんてめんどくさいことなど下っ端にやらせて自分は好きなことをする。
 それが一番楽なことなんだから。
 だが、この思考が正しいかどうかは分からない。
 分からないことがもどかしく頭を悩ませる。

「はっきりさせて、山吹にBL演目させなきゃ気が済まない!」

 そうアリアは美少年大好き。BLはもっと大好きなプロデューサー。
 隙があればBLに持っていこうとするのは息をするのに等しい。

「天河! さっさと下っ端なんて倒して山吹のBL演目を見に行くわよ!」
「んで、そう思った経緯は? というか真犯人の決め手は?」
「もともと『真蛇』自体が式神の類の傀儡で、宝物庫の扉が祈祷中止の行動トリガーになっているのよ。演目を行うこと自体が祈祷に繋がっていて、自分は廃寺にはいないことで安全に祈祷を続けることができるというわけ」
「逆に腕ドローン操縦中は外がどうあれ祈祷をやめられない……」
「そういうこと」
「ならば俺様に任せろ。越後座の公演時間までに、ど派手に道を切り開いてやるぜ!」

 サイバネティック 天河は先陣切って道を切り開くと宣言。
 天河を筆頭に彼ら『死屍累々』は廃寺の宝物庫へと走り出した。
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