【陰陽アイドル大戦】ふぇすた座出張ライブ Feat.幽霊!
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勝負! 越後座 5
「これより始まりますわ、あるかもしれないそんな御話。どうぞごゆっくりお楽しみくださいませ」
傾奇碁漆句に身を包んだ蔵樹院 紅玉がクリアボイスで透き通るような声で羽ばたくようなはつらつとしたフラッププロローグを紡いでいく。
隣には同じく傾奇碁漆句に身を包んだ蔵樹院 蒼玉が蒼い月と風に舞い散る花弁、そして【双玉夜光】のエンブレムがプリントされた左利き用の蒼月六絃琴【夜桜六絃琴】で唐紅六訓楼屡を地球のロックと華乱葦原の音楽を昇華した、燃え盛る炎のように猛々しい和風ロックナンバーを演奏し始める。
紅玉も紅い月と風に舞い散る花弁、そして【双玉夜光】のエンブレムがプリントされた右利き用の紅月六絃琴【夜桜六絃琴】で蒼玉に合わせて演奏していく。
双子巫子のような装いで神秘的な雰囲気を醸し出す2人に続いてシャーロット・フルールが登場し、歌いながら中央へと移動していった。
ある所に心優しい妖怪
ボクが居た
ボクは人間が好きだった
人間もボクが好きだった
ある日村が洪水に襲われた
あらゆる人が流された
助けて、助けてと泣いていた
ボクは彼らを助けたかった
彼らを助けるにはボクはあまりにちっぽけだった
だからボクは木になった
彼らが流されないよう掴まれる大木になった
陽気:化け楽で頭を木に変化させるシャーロット。
手には太めの樹の枝を握っている。
ウィリアム・ヘルツハフトが鐘打刀を携えて頭部を木に変化させたシャーロットへと近づく。
村の人々は助かった
それは遠い昔の話……
しかし時が流れ
その記憶は忘れ去る
ボクは人々の邪魔になった
大木は新しい道の邪魔になる
力自慢の侍ちゃん
ボクを切り倒しに現れる
どうして? なんで? おかしいよ
ボクは侍ちゃんを許せない……
シャーロットの持つ木の枝目掛けてウィリアムは鐘打刀を抜きざまに抜刀一閃で枝を切り下ろす。
そしてシャーロットを斬り倒すフリで殺陣を繰り出し大木が切り倒されていく様子を見せつける。
蒼玉もアンプロンプチュも加えシャーロットの大木がいかに重要な存在だったかを示していく。
蒼玉がカットライトで光源を一つ覆い隠し、一瞬だけ暗闇を作り出す舞台演出を施しシャーロットは中央から移動しウィリアムひとりが立っているようにした。
所変わって夜の森の中
侍ちゃんは帰り路を急ぐ
しかし行けども行けども村へは着かぬ
困り果てる侍ちゃん
光る蝶……いや、提灯の明かりに目をつける
これは助かったあそこには人がいる
道を教えてもらおう
暗い中ひとり歩くウィリアム。
そこへ揚羽提灯の灯すとうっすら、蝶の羽ばたきの影が見える提灯が浮かび上がり、七色のあやとり蜘蛛紐【蜘蛛糸の綾取り紐】が帯びる妖気で煌めく七色の糸は多くの観客を魅了していく。
七色のあやとり蜘蛛紐と揚羽提灯を操るのは夢妖の宴技で舞うシャーロットだ。
七色のあやとり蜘蛛紐に揚羽提灯が吊られて流れていく方へと足を向けるウィリアム。
光に誘われ来てみれば
そこには提灯を灯し
しくしくと泣く童女
侍ちゃんはどうしたのかと尋ねる
痛い痛いの
キミに切られた傷が痛いのぉぉぉ!
化け楽で血まみれ口裂け顔になったシャーロットがウィリアムに迫る。
ウィリアムは驚き逃げだした。
驚き逃げる侍ちゃん
だけどボクは逃がさない
陽獣ハナビ【陽魂の幻獣】の陽気を取り込み、陽気:妖翼で翼を生やすと馬の速度で追いかけ始める。
ウィリアムは必死に捕まらないように逃げ惑う。
待て待て、この恩知らず
祟り殺してやるんだよ♪
酒鬼乱舞の炎が舞い、ああ、ここまでかと侍ちゃん
そこに現れる旅の巫女
怪しい炎が乱れ舞えウィリアムに迫ったシャーロット。
そこへ虹村 歌音が神拍子でその場を祓い清め、炎をかき消した。
鎮まり給え荒魂
彼女の話をお聞きください
歌音に呼び出されたすみれが姿を現しシャーロットを見つめる。
ウィリアムは腰を抜かしたようにその場に尻もちをつく。
歌音は華のかんばせを浮かべながらシャーロットの怒りを鎮めるために薪舞いを踊り始めた。
散る火の粉や灰、煙すら舞い手を彩り鬼の形相だったシャーロットの表情も次第に変化していく。
彼女は大昔、ボクが助けた人間だった
そして、侍ちゃんはその子孫だという
ボクは昔を思い出す……
人間が大好きだったかつての日々を
……切られた大木は社となった
心優しき妖怪を祀る社へと
シャーロットの言葉はここで終わり、演目も終わったかと思ったウィリアムが立ち上がると、薪舞いに繋げるようにしてお散歩日和の舞いを踊りだす歌音。
ぽかぽかと晴れやかな調子の舞に近くにいる小動物が引き寄せられるようにしてステージに飛び上がってきた。
歌音が手を上げると集まった動物たちは一斉にウィリアムに飛び掛かった。
「(この前の『Sma★mekiTV』でみんなを騙して驚かせたお返しだよ)」
ここまでがリトルフルールの演出だった。
知らなかったのはウィリアムだけ。
先程まで凛々しい姿を見せていたウィリアムも集まった小動物には抵抗などできない。
動物たちに好きなようにされもみくちゃになったウィリアムに以前驚かされて気絶してしまった失態を挽回することでうっぷんを晴らすのだった。