【陰陽アイドル大戦】ふぇすた座出張ライブ Feat.幽霊!
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勝負! 越後座 4
歌に劇に舞踊にとそれぞれの持ち前の武器を手にふぇすた座は幅広い座を披露していく。
観客たちも次はどんな演目が待っているのかと楽しみにしていた。
越後座もふぇすた座に流れていった観客を引き戻そうとついに桜稜郭一と名高い座に所属していた山吹がステージに上がった。
越後座を応援していた観客たちは歓声を上げ山吹を見上げ山吹の演目に注目する。
ふぇすた座も観客の関心が越後座に引き戻されそうな勢いに飲まれないように芯を強く持って演目に挑む。
山吹が舞台に上がったのと同時に神谷 姫も舞台に上がり山吹の演目に対抗する。
真っ暗なステージに炎天刧火で燃え盛る炎をぽっぽと出現させ光を灯した後、ポーズを決めた。
「みんな♪ 私から目を離さないでね☆」
スタッフに水鉄砲を撃ってもらい、振ってきた水で納涼婆娑羅を濡らして少しの色気を出してみせる。
小さい身体に似つかわない色気に観客も目を見張った。
炎天刧火の炎を人魂に見立てて傾奇帆符に合わせて踊りだす。
回転技を取り入れた幽霊みたいな軽やかな躍りで観客の目を引き付けると、最後に華のかんばせで観客たちを魅了させ姫の演目は終了した。
山吹の演目を見るかふぇすた座の演目を見るか観客たちの心は揺れ動く。
姫の引き寄せを無駄にしないように夢月 瑠亜が蛍火の衣を纏ってステージに上がる。
妖怪『蓑火』の蓑が織り込まれている衣は周辺に常に温度の無い蛍火が漂っている。
桜稜郭の家屋の中で見られる鈴の中に大極図の形をしている玉が入っている陰陽鈴をシャンと一回鳴らし、蛍火の衣で少し明るくなったステージの上で体をくるりと空中で一回転させる浮遊身転で客目を引く。
すみれもぼうっと姿を現し、宙に浮いている。
もう一度、瑠亜が鈴の音を響かせるとすみれと一緒ににゃんにゃんころりの歌【曲:旗揚げ囃子】を歌いながら舞い始めた。
猫又の物語を謳った可愛らしくも少し不気味な囃子に合わせて瑠亜は言葉を紡いでいく。
これは飼い主に愛された猫のお話
天寿を全うした猫は 他界すると
猫又として現世に戻ってきた
ご主人様。私は帰ってきましたよ
でもご主人様は私のことが見えていない
かなしい かなしいよ
私はここにいるのに
どんどん謳っていくにつれて蛍火舞いで舞い手の動きに合わせ、蛍火のような仄かな光がぽつりぽつりと浮かび上がって更にステージの光を明るくなる。
瑠亜が舞う度に広がっていくその蛍火。
7割ほど蛍火がステージを埋め尽くしたところで、桜花招来で桜の花びらを舞い散らせた。
気付いてくれた!
気付いてくれた!
ご主人様が天へ登る時に
あぁ、やっと会えた!
名前を呼んでくれた
それだけで幸せだよ
再び出会うことができた私たち
一目だけでも出会うことができた
幸せです
幸せです
ご主人様、愛していますよ
粗削りな葦原伝統の囃子を元にした曲ではあるが可愛らしい猫の仕草を取り入れた瑠亜とすみれの舞は十分に一目を惹く演目であった。
十分に温まった舞台へ上がるのは『同志達からの支え』というグループの死 雲人とシャーレ・ビグリューカラムにすみれと彩を入れた4人だ。
題材は『荒ぶる神を鎮める健気な幽霊』。
ライトを全体的に照らし昼を表現すると、雲人は暴れる荒ぶる神らしく、唐紅六訓楼屡で地球のロックと華乱葦原の音楽を昇華した、燃え盛る炎のように猛々しい和風ロックナンバーを奏でる。
シャーレ・ビグリューカラムと彩は共に舞を披露。
半妖の特徴は花魁の大羽織で隠し激しく舞っていくシャーレ。
荒々しい神の雲人、シャーレ、彩に怯えるすみれを守るように慎太がステージに上がり、顔を見合わせ荒ぶる神に挑む決心をみせる。
荒ぶる神に慎太とすみれが向き合うと、やがてライトが消え夜になった。
花魁の大羽織を脱ぎ、半妖の姿になったシャーレは飛火で蝋燭に蝶が停まる表現。
奔放な風が突如吹き出し観客の背筋が凍り、シャーレは妖の色目で観客の目を舞台へ引き込む。
すみれが中央に立ち舞を始めると、雲人がロック調の曲から傾奇九屠のキュートな曲を曲:十八番ポップに乗せて奏で始めた。
シャーレも絆の糸【蜘蛛糸の綾取り紐】を操り、激しい舞から静けさが漂う舞を披露。
彩も動きがゆったりとし、すみれの舞に合わせて踊りだす。
キュートでポップな曲は観客たちもノリやすく、合いの手もたくさん飛んできた。
観客もひとつになって風はこちらに向いているのを感じる雲人たち。
波はこちらにきている。
山吹も出せる力を全力で出してくるため、気を抜けば越後座に全て取られてしまうのは目に見えていた。
さぁ、勝負は終盤。
観客はどちらに軍配を上げるのだろうか。