【陰陽アイドル大戦】ふぇすた座出張ライブ Feat.幽霊!
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プロローグ
墓に囲まれた廃寺の周りには、黄泉の瘴気に冒された、無数の骸がさまよっている。
その中心、もっとも瘴気の濃い廃寺の中には、一人の男が恐ろしげな祝詞をあげて、儀式を行っていた。
「古き神、高天原の忌み子よ、汝がはらから、真蛇がこいねがわん――
我が悲願を聞き届けたらば、目覚めよ!」
禍々しい瘴気に満たされた、土蔵のような宝物庫の中には、いくつかの蝋燭が、床に走る紋様を映し出す。
般若の面をつけたその男、真蛇が祈りをささげると、紋様の中心にある木像がガタガタとふるえて瘴気を吸い上げた。
そして瘴気が木像を廃寺の外へとさらい、巨大な――そう、巨大な腕へと、姿を変えた。
腕は声なき声をあげ、復活させた真蛇にさえ、ビリビリとした殺気を放って猛った。
「身を断たれたいたわしき神のかいなよ!
汝が身体は桜稜郭にこそありき!
かの地にて、汝が身体を取り戻したもう――それこそが、我が望みなり!」
真蛇が告げるや、怒りに打ち震える穢ノ神は、自らの身体が眠る場所――桜稜郭を目指し、風のように驀進を始めたのであった。
◆◇◆
――ところ変わって、桜稜郭。
穢ノ神とは別に、またひとつ、街には危機が訪れていた。
「ガキの言い分に肩を持つたぁ、チャチな座がやりそうなことだぜ」
「あら、子供ってどっちのことです?」
「フン……言ってろ!」
ギラギラの衣装に身を包んだ山吹は、ギラギラの衣装に身を包み、
同じくきらびやかな衣装や芸器を身に着けた舞芸者たちを背中にはべらせて
ふぇすた座の舞芸者と対峙していた。
元神楽座という触れ込みと、見るからに金のかかった装いと言うこともあり、
観客からは、越後座の勝利がぼんやりと見込まれていた。
しかしボロボロの神社と幽霊少女、そしてそれを守る少年というドラマを背負ったふぇすた座は、
「何かを魅せてくれるのではないか」という期待感を、観客たちにもたらしていた。
まもなく、運命の勝負が幕を開ける。
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ 片割れを求めて 1
3ページ 黄泉の瘴気と陰陽師 1
4ページ 黄泉の瘴気と陰陽師 2
5ページ 黄泉の瘴気と陰陽師 3
6ページ 片割れを求めて 2
7ページ 勝負! 越後座 1
8ページ 勝負! 越後座 2
9ページ 勝負! 越後座 3
10ページ 勝負! 越後座 4
11ページ 勝負! 越後座 5
12ページ 勝負! 越後座 6
13ページ エピローグ