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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

【初夏の大祭典!】フェス×フェス2029

リアクション公開中!
【初夏の大祭典!】フェス×フェス2029
  • 【初夏の大祭典!】フェス×フェス2029

リアクション

■かわいいを、めいっぱい! キュート部門【1】

「……ちょっと待ってください。これ、ステージの照明とか確認するためのリハーサル、のようなものですよね?
 どうして私がこのような格好をしなくちゃいけないんですかー!?」
 開演前、準備の進むステージに、西宮 彩の悲鳴に近い声が響いた。彼女と肉体を共有するイドラの女王の見立てだという衣装は、布面積のきわめて少ない水着だった。必然、彩の豊満と評していいだろう部分が強調される形になり、それをよく知っている死 雲人も、しばし見とれてしまうほどの魅力を秘めていた。
「この場のモデルは彩だからな。流石、彩のことをよく知っているな、女王」
「なんだかんだで長い付き合いになったものね。ほら彩、時間が押してるわ、始めるわよ」
「うぅぅ……」
 二人に流される形で、彩がステージを移動しながら、照明を浴びる。
「ほらほら、ポーズ決めて。胸をもっとアピールして」
「か、勝手にポーズ取らないでくださいー!」
 イドラの女王にセクシーポーズを強要され、彩が恥ずかしさに頬を赤くする。それを見ていた雲人がステージをプール付きの庭園に塗り替えると、大好きな人への想いや感謝の歌に乗って彩の元へ歩み寄り、告げた。
「俺は、彩と女王が好きだ。俺は二人のために出来ることをしたい。そして彩も女王も、俺を支えてほしい」
「……あなたとも、長い付き合いになったわね。あなたには感謝しているわ、彩を見ていながら私のこともしっかり見てくれているのだから。どうするか、については彩に回答を委ねるわね」
「そ、そこで私に話を振ります? 言ってくださった方が楽なんですけど。
 えっと……こんな私たちですが、その……どうぞよろしくお願いしますー」
 ぺこり、と頭を下げた彩をスッ、と抱き寄せたところでステージが元に戻り、照明を浴びた二人に向けてシャッターが切られたのであった。


 にゃあにゃあ、と猫の鳴き声がそこかしこから聞こえ、やがて端から端へたたた、と駆けていく演出が入ったのに合わせ、迫水 晶が今回のステージの主役に選んだうさぎのナビうさオーバークリスマスの上に乗って登場する。クロノスが目をキラキラとさせていることから、もふもふを好む観客にはいいアピールになっただろう。
(さあ、私のプロデュースで皆を魅了する舞台を始めよう)
 観客に一礼した晶が歌声を響かせれば、ナビうさが愛らしいダンスを披露しオーバークリスマスのイルチニケーミルコーが華麗なダンステクニックで観客を魅了する。それぞれが好き勝手に振る舞っているように見えて、ナビうさは晶の、様々な世界へ冒険するワクワク感を思い出させる曲に合わせ晶やオーバークリスマスの身体を移って飛び跳ね観客を楽しませていたし、オーバークリスマスはそれぞれがしっかりとしたダンステクニックを持ちつつも、あくまでメインはナビうさであることを意識した立ち回りを見せ、ステージを演出していた。

 さあ 次の世界への道は もう見えている

 サビに差し掛かったところで、晶が生み出した氷の粒に照明を当て光の道を作り上げる。そこをナビうさがくるくると舞うようにダンスをし、ナビうさ自身もキラキラと光り輝いていた。
(いい輝きだ……ナビうさくん、君もまた私にとっての『シャイニングスター』だ)
 華々しくステージの幕が降りると、クロノスがパチパチ、と彼女にしては大きな動作で拍手をして、出演者を称えてくれた。


「うぅん……この衣装、耳はかわいくて良いんだけど、しっぽが落ち着かない……」
 今日のステージのために用意した衣装に袖を通した日下部 穂波が、ふりふりと揺れるしっぽを気にしていた。
「とってもお似合いですよ、お姉ちゃん。瑠衣も猫さん、かわいいですねー」
「えへへ、やったぁ! にゃんにゃん!」
 そこに白鷺 瑠亜が犬をモチーフにした、夢月 瑠衣が猫をモチーフにしたお揃いの衣装でやって来た。キャッキャとはしゃぐ姉妹に、穂波も気にするのは止めて楽しもう、と決意する。
「みんな、準備はバッチリみたいだな」
 鶏をモチーフにした衣装を身につけ、藤堂 水花が皆を見回す。それぞれの胸元に刺繍された音符は、今日のステージを一緒に奏でる仲間たちのお揃いの証。
「皆とまた、ここに来ることができてとても嬉しいよ。今年こそ優勝しよう、瑠亜、瑠衣、穂波!」
 水花がふわり、と羽ばたくように掲げたタクトへ、呼びかけられた瑠亜、瑠衣、穂波が担当する楽器を合わせた――。

 水花が指揮する音楽隊がステージに上がると、観客から大きな声援が上がった。それに負けないよう、水花はチューリップたちに指揮を行い、それらが奏でる音楽に森の植物たちが揺れながら合唱を始めた。全体での演奏という場が形成され、力強い音楽が生み出される。

 レッツゴー! 皆準備はいいかい?
 犬はアツく音を奏で 猫はくるりと踊り出すの
 まるでブレーメンのように レッツゴー!


 瑠亜が銀色のサックスで美しく情熱的な音色を奏で、その音色に呼ばれたように犬の幻影が現れ、瑠亜と一緒になって踊る。瑠衣もベースの演奏をこなしながら、歌詞のようにくるりと回って観客にウィンクを送り、かわいいところを存分に見せつけていた。

 ロバは音を刻んで 鳥は歌を指揮する
 まるでパレードのように


 穂波がドラムを叩き、安定したビートを刻む。タクトを振って音楽隊を指揮する水花が皆を見て、頷いて、そして観客に呼びかける。
「さぁ、ついてきて! ライブはまだまだこれからだぞっ」

 どんな雨の日も 暗い夜も この音思い出して!
 いつか見た 虹のように ヒカリ指すあの空目指して!


 水花がタクトを振れば、降り注ぐ照明に氷の粒がきらきらと輝いて、暗い道でもしっかりと導いてくれる日の光が生まれた。
「朝だよ、皆! せーの、おっはよー!!」
 鶏らしく水花が観客に朝の挨拶を呼びかければ、何十倍もの大きな挨拶が返ってきた。観客の反応を心底喜ぶように、水花が瑠亜と瑠衣と、穂波によって命を吹き込まれたぬいぐるみと一緒になってじゃれ合う。
「みんなにも見てもらえるように……それ!」
 穂波がぬいぐるみに力を与え、ふわふわと飛び上がらせる。たくさんのぬいぐるみに囲まれるようにして、音楽隊の行進は続く。

 僕ら森の音楽隊 君に笑顔を届けるよ
 足りない音は補い合って 奏であいましょう
 君とぎゅっと抱き合って 温もりを分かちあおう


 そして歌詞の『ぎゅっと』のところで穂波が水花と、瑠亜が瑠衣とぎゅっ、と抱き合って楽しさを共有する。その全身で楽しんでいる様子は観客にも伝わり、そこかしこでぎゅっ、と抱き合って楽しむ姿が見られた。
「もっともっと、皆に笑顔を届けに行きましょう!」
 衣装をキラキラと光り輝かせ、瑠亜がステージを降りて観客の方へと行進を始める。皆がそれに続き、用意された花道を音楽を奏でながら行進すれば、両脇から絶えず歓声と拍手が押し寄せてきた。観客の誰もが笑顔を浮かべ、ライブを楽しんでいるのを見て、演者である穂波、瑠亜、瑠衣、水花にも笑顔が生まれた。

 僕ら夢見る音楽隊 君に幸せ届けるよ
 想い込めて奏で届け! 未来運ぶメロディ


 幸せを運ぶメロディを会場中に届けた音楽隊が、ステージに戻ってきた。

 幸せぎゅっと抱きしめて 笑いあいましょう
 どんなときも君に愛を届けるよ!


 そして穂波が瑠亜と、瑠衣が水花とぎゅっ、と抱き合い、二度目とあって観客も息の合った掛け声で後押ししてくれた。
「みんなもいっしょに、ぎゅっ、とね!」
 会場にひとつの輪が生まれたところで、瑠亜が最後の一音を奏で、それを合図として皆が決めポーズで締めくくる。
「僕たちのかわいいところ、いっぱい見てくれてありがとうなのだ!」
「見てくれてありがとう! また会おうなっ」
 瑠衣と水花が振る手に、観客はいつまでも応え続けていた。審査員の中でももふもふが好きなクロノスは、ライブの始めから終わりまで拍手と声援を送って楽しんでいたようだった。
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