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「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

ラスト・メドレー! ~オルトアース&ビーストラリア~

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ラスト・メドレー! ~オルトアース&ビーストラリア~

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■2-1.ラビリンス&エンカウント!

 一方で、トーキョーラビリンスではあくまが破竹の快進撃を繰り広げていた。胸にいだいたわくわくを武器に、アイドルたちの妨害もなんのそのと力ずくで突破していく。

 その報せを聞いた火野 アラタと乃地 はくまはゴールとなるエレベーターを目指すまでの一時的な共闘関係を築いていた。

「突破方法は思いつかないけど……」

「それでも力を合わせりゃなんとかなるってな!」

 Dマテリアルの使い手であるアラタと、星獣と心を通わすはくま。方向性は違えど“相棒”に対する想いは同じぐらいに強い。優勝候補の一角として彼らもまたラビリンスを突破していた。

 ……しかし。

「!?」

 エレベーターに向かって疾走するアラタの足になにかの影がからみついた。

「っ! ホワイト!」

 はくまがそれをフォローしようとパートナーであるオカリナネズミ、ホワイトに指示を飛ばすが、アラタとホワイトの間に雷が迸る。

「うふふ。はくま様はわたくしが抑えますので、愛菜様は存分にアラタ様と楽しんでくださいませ」

 茂みから飛び出すような形でロレッタ・ファーレンハイナーが現れる。彼女の視線の先を見れば、影を操りアラタを捉えた剣堂 愛菜が待ち伏せしていたことが分かるだろう。

「あたしは強い相手と戦いたい……手加減はなし。やってくれるよね?」

「ああ! 望むところだ、愛菜! そういうわけで悪い、そっちは頼んだぜ!」

 アラタの持つデバイスから炎が巻き上がり愛菜へと放たれる。彼女はこれを転がりながら回避し、自らの優位である影の鞭を離さない。そのまま闇の鎖の描写をペンによって重ね、アラタの拘束を強めていく。

「今……デッドエンド……フィクション!」

「負けるかぁ! キャスト……スマァッシュ!」

 強烈な死のイメージと、アラタの烈火の如き衝撃波が衝突する。そのとっさの判断と、アラタの不屈の闘志。その2つが組み合わさって、アラタはかろうじて踏みとどまる。

「やるね……!」

「そっちこそ!」

 はくまとロレッタ、愛菜とアラタ。両者の戦いは最早脱出という最終目標を忘れ、互いに全力をぶつけ合うのだった。

 彼女たちの猛攻はやはり遠くからであっても感じるものだ。着々と実力者たちが集いつつあることに、ある一団は気づいていた。その名も【魔王パーティー!】……お供や星獣の力をフルで活用していち早くエレベーター前までたどり着いた彼らは、ノリノリで“壁”として立ちふさがるつもりであった。

 彼らの待ち受ける広場に誰かの気配が迫る。

 ――さあ、来たぞゆーしゃ……否、まおー! 胸を張ってマントをばさーっとやって、高らかに名乗りを上げるのだ!

 魔王アーヴェント・ゾネンウンターガングの持つ巨大な剣にユニゾンしたアウロラ・メタモルフォーゼスは実にいきいきとした声で指示を飛ばす。

「よく来たな、勇者よ!」

 翻るマント、木々をざわつかせるようなアーヴェントの威厳ある声。それに相対するのは――。

「あくまです」

「……あくまか!」

 あくまだった。

「そちらはどちらさまですか?」

「ふっ、我は魔王アーヴェント!」

「わたしは魔王様の側近、狛込 めじろ!」

「同じくリーニャ・クラフレット! 魔王様に挑みたかったら、まずは私たちを倒していくの!」

「さあ、ガンガンいこうぜ」

 ペースを乱されたものの、彼ら魔王パーティはすぐに調子を取り戻す。何事も振り切ったほうが楽しめるものだ。アーヴェントの号令を皮切りに状況は動き出す。

「まずは小手調べと行かせてもらうのですよ!」

 めじろが指を鳴らすと彼女の影から立ち上がるように“果てなき終焉”の幻影があくまへ向かって飛びかかる。

 しかしそれは囮。本命は、

 ――ここで決めてみせる!

 あくまの背後。相棒の金鵄とともに空と陸の二方向から奇襲する戌 千鳥渾身の一撃であった。

「ぐっ……なんて硬さだ! まるで刃が通らねえ!」

 あくまのしっかりしたけがわは鉈による一撃を完全に無効化していた。仕込針が刺さっていることを願うばかりであるが、皮膚の厚み、硬さを考えれば必ずとはいえない。

 鉈を引き抜こうとして、しかしあくまはそれを逃さなかった。

「まだまだですね」

「ぬ、ぬわぁーッ!」

 幻影ともども、あくまの一薙で吹き飛ばされてしまう千鳥。それを見る、めじろの冷ややかな視線が千鳥に突き刺さった。

「しんでしまうとはなにごとですか?」

「いやあれは無茶……って、なんだその手は? ……待てめじろ、確かに不覚を取ったがその指示は後でキツイからヤダって言っゥヮァァアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア!!゙」

 にこやかに放たれたバーサークモードの指示。千鳥は己の中に眠る獣性を解き放たれ、餓狼へと姿を変える。理性を失ったかのように振る舞う千鳥は、再びあくまへと突進した。

 リーニャやめじろもこの機を見計らい一斉に攻撃を仕掛ける。あくまそっくりの幻影やあくまよりも巨大な魔神を呼び出しての、反撃を許さぬ一斉攻撃。

 リーニャはそのド派手なラッシュの中で密かにあくまの身体に種を植え込む。少しずつではあるが、戦いが長引けば長引くほどあくまの力を奪っていくものだ。

 だが長期戦など知ったことかと餓狼と化した千鳥は大地ごとあくまに食らいつく。今度こそ鉈の一撃が叩き込まれたか、千鳥の手に肉へ食い込む感触が返る。

「おいしいですか?」

 それでもあくまはずんずんと前へ前へと進んでいく。並み居るアイドルたちを押しのけ力ずくの構え。その一撃は歴戦の魔王パーティを追い詰めていくのだった。

「もういい、めいれいさせろ」

 ――なっ、おい! 我を置いていくなーっ!

 その光景に居ても立ってもいられなくなったか、アウロラの憑依した剣を地面に突き刺した魔王アーヴェントが、もう一振りの剣で躍りかかった。

 リーニャの持つシルクハットから飛び出した鳩に見とれていたあくまを袈裟斬りにするが、やはりその手応えは悪い。

「ありがとうなの、魔王様!」

 感謝の言葉に視線だけで答えながら、アーヴェントは正面からあくまとぶつかりあった。めじろの翼に包まれ攻撃力をあげた連撃は、あくまの身体にじわじわと傷をつけていくのだ。

「たのしいですね」

 しかし野生の力を解放したあくまの一撃は、直撃すればまさに必殺の威力を持つ。幻影では押し留めておくことすらできないあくまのパワーに一同は一気に吹き飛ばされてしまう。

「せめて、最後にーっ!」

「ただではやられないのっ!」

 しかし。リーニャとめじろはその最後の振り絞り最大の一撃を叩き込む。リーニャは吹き飛ばされる前に大爆発を起こし、めじろは自分の持ちうる“死”のイメージをあくまに叩き込んだ。

 二人は最早戦闘不能。そしてアーヴェントの体力もあと僅か、というところであったが、しかし、あくまがここでようやく後ずさった。

「あとは……“じぶんにまかせろ”!」

 爆煙を吹き飛ばすようにアーヴェントは天高く舞い上がっていた。炎の翼を広げ、アウロラの剣を掲げる彼はまさに魔王第二形態といったところだろう。

 ――おお! これぞ粋なはからい。さあ、我も力を貸すぞ。ともに勇者あくまを打ち倒そう!

「喰らうがいい! 自分だけの……統裁のスピリッツノヴァ!」

 浮遊する剣の群れを降らせ、そこで足を止めたあくまに風の一閃を加える。そこから風によって膨れ上がったかのように炎を纏った逆袈裟を放ち、畳み掛けるように冷気によって凍てつくような突きを放つ。完全に足を止めたあくまを押し込むようにして、彼は飛び上がりながらその刃を切り上げた。

 怒涛の連撃を加えると、あくまはそのままゆっくりと前のめりに倒れ伏す。

「力の危険性を忘れた時、この剣の主こそが真の巨悪となる……ふっ、誰の言葉だったか」

 最終的に、あくまは立ち上がることはなかった。勇者あくまとして楽しみ尽くした彼はそのまま(文字通りに)疲労から眠りについたのだ。

 仲間たちも倒れ伏し、またエレベーターへと辿り着くアイドルたちは他に居なかった。即ちこの迷宮を突破したことになったのは“魔王”アーヴェントと相成ったわけである。
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