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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

ラスト・メドレー! ~オルトアース&ビーストラリア~

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ラスト・メドレー! ~オルトアース&ビーストラリア~

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■1-1.スターライト&ハングリー!

 暗い会場にほのかな光が灯る。不気味な表情を浮かべた木々が照らし出される中、静けさからにじむように透き通った弦の音が響き渡る。

 演奏が進行しサビへ入るその直前、星が弾けるようにして光が乱舞した。

奏梅 詩杏、いっくのですー!!」

 一転して曲調の変わった演奏に、星の瞬くかのようなきらめく演出。詩杏の理想とする“星屑の歌姫”の姿が夜闇のようなステージを軽やかに彩る。

 ライトニングと視線がかち合えば、彼女はその心臓を射抜くように指鉄砲を弾いた。互いの笑顔に釣られるように会場は賑わった。

 それを引き継ぐようにして現れたのはナレッジ・ディアだった。星々瞬く夜空のようなステージに指を走らせトーキョーのシンボルであった真っ赤なタワーを生み出すと、その下を歩くようにしてクロティア・ライハの仮想体であるプライを召喚してみせる。

 その登場に合わせて飛び出したクロティアは踊り始めるプライに合わせるように一緒にステップを踏み、そしてプライの踊りを補強するように光を加えていく。

 このパフォーマンスにおける主役はあくまでもプライだ。彼女の身体能力は他のアイドルに劣るものであったが、ナレッジとクロティアという二人のサポートを受けることでその魅力を大きく引き出された形となっているだろう。

「――プライが全力なら、私だって全力でついていくよ!」

「よーし、いきますよっ!」

 トーキョーのシンボルたるもう一つのタワーが生み出されると同時、その存在に紛れるようにしてクロティアの姿もまたプライに変わる。息を合わせた踊りがステージを彩り、一層ステージを輝かせるのであった。

 ゲームから飛び出してきたかのような彼女たちのパフォーマンスは幻想的な夜を演出していた。

 気づけば観客たちの意識は散漫だ。ライブに熱中していないかといえばその逆。ライブの空気に引き込まれ、二次元と三次元――夢と現実の境目を曖昧にしていった。

「眠りの先へご案内を。
 やわらかな夢。溶けゆく一時。どうかゆるりと」

 だからこそ、そんな挨拶から始まった【DreamerS】の演奏は、観客や審査員たちをより意識の深みへと引き込んでいったのかもしれない。

 ノーラ・レツェルアニー・ミルミーンの二人による『まどろみのワルツ』は、会場内に現れていた精霊たちが刻む三拍子によって、音と振動でよりその深みを増していた。

『星の 明かり またたき
 鳥も 木の巣 眠るよ

 夜の しじま ひそかに
 風も 声を 潜める

 君も 寝床 まどろみ
 そして 夢で 続きを

 しばし 体 休めて
 君の 心 安らぐ

 やがて 夢の 旅路へ……』

 アニーたちの蕩かすような歌声は静けさを伴いながらも会場の端まで届くようであった。はしゃぐ心を揺らすような歌声に、人々の瞼もわずかに揺れるようだ。

 ワルツのデュエットが終わると、そこから入れ替わるようにしてアニーが下がる。ノーラの新たなパートナーとして現れたのは、伝説のアイドル――咲田 茉莉花のような幻影。

 彼女が幻影とともに紡ぐ歌声は情感を奮い立たせるようでいて、その一方で安らかな眠りに誘う、包み込むような暖かさ。

 その温もりを邪魔しないように努め、むしろそれを強く感じさせるようにコーラスを加えていたのは天草 燧の手腕だ。天使人形の姿をとった彼の歌声は、観客の意識に指を添えるかのように、その淵へと導いていた。

 それはまるで夢先案内人のようだ。彼の歌声はトゲを感じさせることなく、力を感じさせることもなく、ただ夢に暖かな色をつけるかのようだった。

 合歓季 風華はその暖かな色に形を与えるように、自らの衣装を変化させていく。観客たちの安らぎから生み出された小さなハートたちを懐くように、ふわふわとした柔らかさを伴ったロリィタファッションは、見るものを一層惹きつける。

「ふふ。私たちまで眠くなっちゃいそうね」

「あら。眠っていたらいつの間にか彼女たちに追い越されるかもしれませんわよ?」

「……これは明日への一歩を踏み出すための歌だもの。これで眠ってしまっても、きっと大きな力になっているわ」

 鮮やかに色づく【DreamerS】の夢は夜と溶け合うようにして幻想的な光景を映し出す。天歌院 玲花と茉莉花は、彼女たちの紡ぐ歌を確かに聞きながら、穏やかな笑みを浮かべるのだった。

「夢へのひととき。お心に響きましたら何よりに思います。
 皆様によき夢よき眠りを。ねむねむの加護を……」

 観客たちがはっと目を覚ませば、風華らの一礼がそこにあった。どこからが夢でどこからが現実だったのか。気づけば湧き上がるような熱を感じた観客たちは、彼女たちに大きな拍手を送るのだった。

 これまでは夜を彩るような雰囲気のパフォーマンスが多かった。しかしそこから、ライブの空気ががらりと変わる。その契機となったのは、死 雲人によるリュンと大葉 よもぎの応援アピールだった。

「リュンもよもぎも巨乳を活かしてないと思わないか!?」

 玲花と茉莉花というトップアイドルに比べ実力差を感じていたリュンたち。そこに対する雲人なりの結論が、熱烈なビートとなって観客へ響き渡った。

「なら、ビキニ姿になって欲しいかー! 海でバカンスしたいかー!?」

 曲がりなりにも先程まで夢と現実の間を行き来していた観客たちは、雲人の言葉に載せられるようにしていつの間にか水着姿へ変わっていた。

 それは当然リュンやよもぎ、他のアイドルも同じであり――そこに宇治金時を降らせて喜ぶ雲人には、顔を真赤にした女性アイドル陣のビンタが突き刺さるのであった。

 ――女性陣には不評だったパフォーマンスであったが、しかしライブの空気そのものは弛緩していた。なんでもあり、という空気が出来上がったのである。

「はい! いつも歌って踊ってしてるフェスタのアメリカンマシュマロ体型デブドル、深郷 由希菜ですが! 今日は趣向を変えて、朗読します!」

 そんな彼女の誘いを面白そうだと乗っかった戦戯 嘘を主役に、【霊の妹(仮)】という作品の朗読が始まった。

 “妹”である嘘をゴーストライターズによる“お兄ちゃん”たちが取り巻いている。彼らは文字通りの死者であったが、拙いながらも自分たちのもつスキルを駆使してただ一人の生者である妹を慰めていく。

 こうして、死んだ兄たちの悲しみから立ち直った妹が巣立っていく様を描いた演目であったが、

「あっはは! 面白い切り口の朗読劇なのよ!」

 由希菜の用意したセダンに乗ってステージを退出していく嘘の反応と同様に、観客やモコマルブラザーズもそのユニークな朗読劇に拍手を送っていた。

 こうして演目の自由度が広げられていく中で、一際輝くパフォーマンスを行なっていたのは龍造寺 八玖斗だ。彼は言葉少なく、相棒のオルガンゾウ、大王とともに演武を行なっていた。

「――行くぜ、相棒」

 力強い大王と、素早い動きの八玖斗のコントラスト。言葉も合図もなく繋がり合う彼らの演武は怪我もありうる危険なものであったが、八玖斗は臆することなくその身を大王へ預けていた。

 だからであろう。演武を終え大王の額を撫でてやれば、そこには確かな信頼と親愛を感じることができた。終わる頃にはライトニングや観客たちは涙を流しながら拍手を彼らに送るのであった。

 狩屋 恋歌はこの流れに乗じるようにして別方向からのアプローチを試みる。メロディカオオヘビの抹茶とともにステージに上がった彼女は、星獣の親しみやすさを重点においたアピールを行なったのだ。

 和やかな歌でリラックスを訴えかけると共に、トゥインクルフープによる輪くぐりを披露していく。サーカスめいた演目は演武よりも親しみやすさを感じさせるが、なにより彼女は、観客たちにフープを手渡しそこを抹茶にくぐらせた。

 そうして星の結晶の力によってまるでドラゴンのような姿になった抹茶は、その見た目とは裏腹に人懐こく観客たちと触れ合ったのだった。

 そして当然、星獣たちによるパフォーマンスを行なおうとしたのは彼女たちだけではない。

「あみか。あなたの想い、再び見せていただきますわ」

「はい。玲花さんにも……もちろん観客の人たちにも。いえ、ハコダテのみんなにも届くぐらいにがんばりますね」

 かつて玲花のために歌った藍屋 あみか藍屋 華恋が意気込み新たに絆を紡ぐ。それは彼女たちの星獣、ウェスペルとエレイルによる“演劇”であった。

「「あなたの夜への、架け橋になれますように」」

 二人が演奏するのは彼女たちの絆をテーマにしたもの。流れ星を通じて想いを寄せていく二人の暖かな交流、それをそれぞれの星獣に投影し演劇へと変えていく。

 愛らしくもいじらしく、互いに支え合いながら夜空の星を楽しむ二匹が情緒豊かに描かれることで、審査員たちの感動を呼ぶ演目となるのであった。

「ふふ、なんだか昔を思い出すみたいですねー」

 なんて華恋の言葉と共に、成功を収めた二人と二匹が仲睦まじくチョコンフェッティをつまみ合う姿はまた微笑ましい。これを眺める玲花も、ほのかに笑みを浮かべながら自身の相棒となる星獣を撫でてやるのだった。

 こうして、和やかな空気のまま三者三様の星獣によるアプローチは終わりを告げた。一連のライブにライトニングは大いに満足したようで、熱く審査内容を語るのだった。

 そうしてライブの前半パートが終わりを告げライブも熱気に包まれたところで、モコマルブラザーズがマイク片手に声を上げる。

「さあ、盛り上がってきたモコルミ! ナゴヤやハコダテ由来のアイドルが前半は優勢みたいだけど、それじゃミーは満足してもヴェロシティが満足しないモコルミ!」

「ミーはオーサカやオキナワのアイドルたちのガッツも見たいモコルミ~! ユーたちもいろんなアイドルを見てみたいモコルミ~!?」

 観客たちもノリ良く賛同し歓声を響かせる。そうした“期待”を背負った状態で、後半パートの先鋒を務めたのは――。

 とんとん。ぐつぐつ。

 スポットライトに照らし出されていくつもの調理器具と羽鳥 唯がステージに浮かび上がる。小器用に材料を刻みながら、どうやらスープを煮込んでいるらしい。鍋の煮込まれていく音をベースに敷いて、そこへ包丁の音を“載せ”ていく。

 アップテンポで耳心地のいい音とともにまたたく間に前菜、スープと出来上がり、サビのような盛り上がりで肉を焼く炎がごう、と舞った。

 彼女の演出は見て楽しく、聞いて楽しい。その上匂いを嗅げば腹も空く。ヴェロシティの豪快な“腹の音”が最後に伴奏の如く鳴り響く有様であった。

 食欲誘うそのパフォーマンスに観客たちもずいぶんお腹を空かせたようだ。そこを狙い撃ちにしたのは行坂 貫だった。

「どうだ、腹も減ってきた頃合いだ。ここらで俺の地元……オーサカらしい料理もつまんでいってくれ」

 移動料亭でまたたく間に作られていった品々は、お好み焼きにたこ焼き、串カツといったオーソドックスなメニューから、まさにオーサカならではのB級グルメ、ウソ焼きといったものまで様々だ。

 伝説の食材もふんだんに使ったこれらはいずれも彼の想い出のこもった一品で、品切れ続出、涙を流して食べる者もいればいきなりオーサカに帰る! と飛び出したものも居るほどだった。

 観客もモコマルブラザーズも料理を次々に口にし、お腹も満たされてきた頃合いか……といったところで、しかし、ふわりと更に食欲のそそる甘い香りが漂ってきた。

 満を持して現れたのはオーサカを賑わせた――。

「ようこそっ!
 リトルフルールの公演に♪
 皆の妖精シャロちゃん
 虹の歌姫かのんちゃん
 夢幻からの来訪者、嘘ちゃん
 ボク達で皆を持てなしちゃうよ☆」

 シャーロット・フルール率いるリトルフルール。それぞれ動物に扮した彼女たちが、嘘の描く鮮やかな虹と共に姿を現したのであった。

「忘れられない一時をアナタにっ!」

 その言葉とともに彼女たちの象徴とも言える、生命の木々がステージに生い茂った。次々と実る果実や野菜をもいでは、メンバーへと放り投げていく。

「今日のわたしたちは、嘘ちゃんをゲストに呼んでのお料理ライブ! かつてのトーキョー……野生都市にちなんだ動物パイをみなさんにごちそうするよっ」

 シャロと共に現れた虹村 歌音によるMC。彼女が作るのはチョコパイだ。メロウ・ショコラの香りが濃密に漂い、観客たちの“別腹”をうならせる。

「まだまだ食い足りないってヤツは俺のところに来な。ワイルドにかじりつける最高のミートパイを食べさせてやるぜ」

 ウィリアム・ヘルツハフトが歯を見せるようにして笑みを浮かべ、豪快に炎を巻き上げていく。そこであぶられた二種類の肉が得も言えぬ輝きを見せて煌めいた。

「味は私の保証付きなのよ! あまぁいチョコパイも、がっつり行きたいミートパイも! 来て見て食べて、要チェック!」

 目で鼻で観客たちの心を楽しませるリトルフルールの料理ライブ。嘘もステージを駆け回りながら、遠くで眺める観客たちを楽しませようと筆を走らせた。

「さあ、ミートパイが上がったぜ!」

 ウィリアムたちの作り上げたパイは焼き上げる前に一つの場所へと放り投げられる。飛び込んだ先はステージの中央、そこには意識を集中させたアレクス・エメロードが座して待っていた。

 ――さあ、俺たちフルールの想い出を……見せてやろうぜ!

 飛来するパイにさながら嵐のような包丁捌きで動物モチーフの飾りを刻み込む。即ち、歌音のチョコパイならば愛らしい猫を。ウィリアムであれば勇敢な犬を。シャロや嘘、アレクスが作ったパイにも当然、同じように飾り切りを施した。

「さあ、最後の焼きを決めるのはシャロお前だ。受け取りやがれっ!」

 そのまま返す刀でシャロのもとへとパイを弾き返す。想い出の詰まったパイたちは木々の間を駆け巡るシャロが一つ残らず受け取っては焼き上げられていく。

「最後は嘘ちゃん!」

「任せるのよ!」

 嘘の腕が走れば次々と動物の描かれた皿が観客たちの手の中に生み出されていく。シャロはそこに狙いすましたようにパイを飛ばしていき、観客たちのすぐ目の前に“十人十色のフルールパイ”が届けられるのであった。

 実にアクロバティックな料理演目。色とりどり、様々な動物が象られたパイたちが観客たちの五感の全てを楽しませるのだ。

「まるでパイで作られた、“おもいでのカンヅメ”モコルミ~!」

 ヴェロシティもご満悦。口いっぱいにパイを頬張りながら飛び跳ねる。彼女たちの演目はまさに大盛り上がりの一時であった。
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