フェイトスター☆ファイトクラブ ファイナルマッチ
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【3】北郷先生との腕試し
ステージの一角では、希望者による北郷先生こと北郷瑞己との一対一の真剣勝負が行われていた。
最初に挑むのは、リリィ・エーベルヴァインだ。
「最後って言うなら、全力で。手加減されて、半端に終わりたくはない」
「勿論だ! 全力の相手には俺も全力で戦う」
リリィの意気込みに、瑞己も真剣な表情を見せる。
「それじゃあ……行く!」
力の差は歴然としている。格上の相手にいきなり突っ込むのは、全力を出すと言っても流石に無謀だ。
リリィは瑞己の出方を伺う為【スピード線ブースト】で動きを早め、瑞己の攻撃の回避を試みる。
しかし、本気の瑞己のスピードは、速度アップしたリリィの動きを凌駕している。
「そらそら、どうした? 避けているばかりじゃ俺には勝てんぞ!」
「くっ……」
避け切れずに食らった攻撃で、リリィはその場にうずくまる。
追撃が迫る中、リリィは【フレイアの妄愛】で自身の幻影を生み出した。
「むっ?」
一瞬怯んだ瑞己に、魔弾の攻撃に続いて【ツキマル団子】の眩しい光と爆発をお見舞いする。
そこに【パラノイアノクターン】で黒い翼の幻影を生やしたリリィは、毒性の風を吹きつけた。
しかし幻影も毒も、瑞己の動きを止めるには至らない。
迷わずリリィに攻撃を繰り出して来る北郷先生に、リリィは翼で浮きながら攻撃を避けるのに精一杯だ。
このまま続けても勝つのは愚か、全力を出し切るという目的も果たせない。
覚悟を決めたリリィは、次の攻撃にすべてを賭ける
「いざ、勝負!」
リリィは瑞己の攻撃を受け止める覚悟で、ギリギリまで攻撃を引き付ける。
そして瑞己が限界まで接近した時を狙って、【バスターソード】を思いっきり振り抜き、【ツインスラッシュ】の二連撃を繰り出した。
瑞己は身を翻し、リリィの攻撃を軽くいなすと、代わりに重い拳をカウンターでリリィに叩き込む。
意識を飛ばしたリリィは、たまらず瑞己の腕の中に倒れ込んだ。
***
「ようやく私の番が回って来たね」
千夏 水希は、瑞己と対峙するや否や、瑞己を怒りの形相で睨みつける。
「おーっと、なんだなんだ? 最初っからやる気満々だな!」
対して能天気な瑞己に、水希の苛立ちは増すばかりだ。
「今までの私と思ったら大間違いだよ、北郷センセ!」
「はっはっは。楽しみだ!」
水希は余裕で笑う瑞己に突撃する。瑞己同様、水希も接近戦が主体だ。
自ずと、お互いの拳と拳、蹴りと蹴りでの体を張った戦いになる。
しかし、水希が繰り出すのは、ただの拳ではない。
【crazy idola】と共に瘴気を纏った拳を、小回りのきく体を生かし、不規則に前後左右から叩き込んでくる。
一方の瑞己も、得意の接近戦とあって、早々攻撃を食らいはしない。
圧倒的なスピードと判断力で、水希の攻撃をいなしつつ、確実にダメージを入れて来る。
「ははっ。随分とおてんばさんだな!」
跳んで避けたと思ったら、すぐさま【パラノイアノクターン】で毒を撒いた上から【サディスティックブーツ】で宙を蹴り上げ衝撃波を食らわせ、地上に降りると同時に地を蹴り、針山の影を突き立てる。
足癖の悪さは自分でも認めるところだ。
自身の身体能力の高さに頼り、防御は捨て、果敢に攻撃を繰り返す。
しかし今のところ、攻撃が真正面から瑞己に入ることはなく、瑞己の体力に陰りは見えていない。
「さすが北郷センセ、簡単には倒れてくれないか」
「そうだな。まだ負けてやるには早いかな」
相変らず余裕ぶったその態度に、やはり水希はカチンと来た。
「笑ってられるのも今のうちだよ!」
水希は【ペインフル・ブロウ】で攻撃を緩和しつつ、防御に徹するのではなく蹴りで応戦。
絶対に防御に回らない執念は、瑞己に対する怒りによるものなのか。
(てか、なんでこんなに腹立ってるんだっけ……
本気で相手されてなかったから? 自分の力を認めさせたい?
対等でありたい?
マジでよくわからなくなってきた……)
自問自答しながらも、水希は攻撃の手を緩めない。
応じる瑞己も、流石に額に汗が滲み始める。
「どうした? これで終わりか?」
「まだまだ!!」
水希は【ペインフル・ブロウ】によって内側に溜めた力で、毒性の高いノイズの混じるカリスマを纏わせた一撃を放つ。
瑞己が体勢を崩したところにすかさず、水希は【罰待つ罪】で、絶対に勝ちたいという執念の宿る黒いヘドロのごとき怪物を生み出し、瑞己を攻撃対象として攻撃させる。
瑞己の攻撃がその怪物を破る瞬間を狙って、瑞己の懐まで間合いを詰めた水希は【坤ノ極点】で渾身のとび蹴りを瑞己の腹に叩き込んだ。
「ぐっ……良い蹴りだ……なら、俺も本気のお返しだ!!!」
「くっ―――」
元より防御する気はないが、間合いを詰めたことで殊更無防備になった水希のボディにも瑞己の本気の一撃が入る。
その威力はすさまじく、水希の意識が揺らぐ。
瑞己の本気の一撃と、水希はようやく自身の問いかけに答えが出た気がした。
(ああ、そうか――ここに居場所を作りたくなった、のかも知れない)
そして水希にとっては本気の瑞己に認めてもらうことが、それに必要なことだったのだろう。
「強くなったな」
ようやく認めてもらえた瑞己の言葉を受けて、水希は安心して意識を手放した。
ステージの一角では、希望者による北郷先生こと北郷瑞己との一対一の真剣勝負が行われていた。
最初に挑むのは、リリィ・エーベルヴァインだ。
「最後って言うなら、全力で。手加減されて、半端に終わりたくはない」
「勿論だ! 全力の相手には俺も全力で戦う」
リリィの意気込みに、瑞己も真剣な表情を見せる。
「それじゃあ……行く!」
力の差は歴然としている。格上の相手にいきなり突っ込むのは、全力を出すと言っても流石に無謀だ。
リリィは瑞己の出方を伺う為【スピード線ブースト】で動きを早め、瑞己の攻撃の回避を試みる。
しかし、本気の瑞己のスピードは、速度アップしたリリィの動きを凌駕している。
「そらそら、どうした? 避けているばかりじゃ俺には勝てんぞ!」
「くっ……」
避け切れずに食らった攻撃で、リリィはその場にうずくまる。
追撃が迫る中、リリィは【フレイアの妄愛】で自身の幻影を生み出した。
「むっ?」
一瞬怯んだ瑞己に、魔弾の攻撃に続いて【ツキマル団子】の眩しい光と爆発をお見舞いする。
そこに【パラノイアノクターン】で黒い翼の幻影を生やしたリリィは、毒性の風を吹きつけた。
しかし幻影も毒も、瑞己の動きを止めるには至らない。
迷わずリリィに攻撃を繰り出して来る北郷先生に、リリィは翼で浮きながら攻撃を避けるのに精一杯だ。
このまま続けても勝つのは愚か、全力を出し切るという目的も果たせない。
覚悟を決めたリリィは、次の攻撃にすべてを賭ける
「いざ、勝負!」
リリィは瑞己の攻撃を受け止める覚悟で、ギリギリまで攻撃を引き付ける。
そして瑞己が限界まで接近した時を狙って、【バスターソード】を思いっきり振り抜き、【ツインスラッシュ】の二連撃を繰り出した。
瑞己は身を翻し、リリィの攻撃を軽くいなすと、代わりに重い拳をカウンターでリリィに叩き込む。
意識を飛ばしたリリィは、たまらず瑞己の腕の中に倒れ込んだ。
***
「ようやく私の番が回って来たね」
千夏 水希は、瑞己と対峙するや否や、瑞己を怒りの形相で睨みつける。
「おーっと、なんだなんだ? 最初っからやる気満々だな!」
対して能天気な瑞己に、水希の苛立ちは増すばかりだ。
「今までの私と思ったら大間違いだよ、北郷センセ!」
「はっはっは。楽しみだ!」
水希は余裕で笑う瑞己に突撃する。瑞己同様、水希も接近戦が主体だ。
自ずと、お互いの拳と拳、蹴りと蹴りでの体を張った戦いになる。
しかし、水希が繰り出すのは、ただの拳ではない。
【crazy idola】と共に瘴気を纏った拳を、小回りのきく体を生かし、不規則に前後左右から叩き込んでくる。
一方の瑞己も、得意の接近戦とあって、早々攻撃を食らいはしない。
圧倒的なスピードと判断力で、水希の攻撃をいなしつつ、確実にダメージを入れて来る。
「ははっ。随分とおてんばさんだな!」
跳んで避けたと思ったら、すぐさま【パラノイアノクターン】で毒を撒いた上から【サディスティックブーツ】で宙を蹴り上げ衝撃波を食らわせ、地上に降りると同時に地を蹴り、針山の影を突き立てる。
足癖の悪さは自分でも認めるところだ。
自身の身体能力の高さに頼り、防御は捨て、果敢に攻撃を繰り返す。
しかし今のところ、攻撃が真正面から瑞己に入ることはなく、瑞己の体力に陰りは見えていない。
「さすが北郷センセ、簡単には倒れてくれないか」
「そうだな。まだ負けてやるには早いかな」
相変らず余裕ぶったその態度に、やはり水希はカチンと来た。
「笑ってられるのも今のうちだよ!」
水希は【ペインフル・ブロウ】で攻撃を緩和しつつ、防御に徹するのではなく蹴りで応戦。
絶対に防御に回らない執念は、瑞己に対する怒りによるものなのか。
(てか、なんでこんなに腹立ってるんだっけ……
本気で相手されてなかったから? 自分の力を認めさせたい?
対等でありたい?
マジでよくわからなくなってきた……)
自問自答しながらも、水希は攻撃の手を緩めない。
応じる瑞己も、流石に額に汗が滲み始める。
「どうした? これで終わりか?」
「まだまだ!!」
水希は【ペインフル・ブロウ】によって内側に溜めた力で、毒性の高いノイズの混じるカリスマを纏わせた一撃を放つ。
瑞己が体勢を崩したところにすかさず、水希は【罰待つ罪】で、絶対に勝ちたいという執念の宿る黒いヘドロのごとき怪物を生み出し、瑞己を攻撃対象として攻撃させる。
瑞己の攻撃がその怪物を破る瞬間を狙って、瑞己の懐まで間合いを詰めた水希は【坤ノ極点】で渾身のとび蹴りを瑞己の腹に叩き込んだ。
「ぐっ……良い蹴りだ……なら、俺も本気のお返しだ!!!」
「くっ―――」
元より防御する気はないが、間合いを詰めたことで殊更無防備になった水希のボディにも瑞己の本気の一撃が入る。
その威力はすさまじく、水希の意識が揺らぐ。
瑞己の本気の一撃と、水希はようやく自身の問いかけに答えが出た気がした。
(ああ、そうか――ここに居場所を作りたくなった、のかも知れない)
そして水希にとっては本気の瑞己に認めてもらうことが、それに必要なことだったのだろう。
「強くなったな」
ようやく認めてもらえた瑞己の言葉を受けて、水希は安心して意識を手放した。