■プロローグ■

　――フェスタの講堂。

　広々としたステージに置かれた大鏡を前に、講師たちは息を呑んでいた。
　アイデアル・ミラー……『理想の自分』と対峙する試練の鏡。
　覚悟もなくうっかり入ってしまえば最後、記憶まで失ってしまう危険なものだ。

　講師陣はそんなもしもの時に備え、こうして控えているのである。

「本当に大丈夫でしょうか……やっぱり、まだ少し早いのでは……？」

『本当に心配性だな！　自分の教え子だろ、信じてやれよ！』

　心配そうに見つめるなな先生に、パペット……もといパートナーのぴょん太が叱責する。
　ぴょん太の言葉に継美先生と北郷先生も頷いて、鏡を見つめなおした。

「大丈夫だ！　パフォーマーは当たって砕けて強くなる！」

「それには少し同意しかねますけど――心配は無用です」

「そうですとも！
　何故なら、我々はいつだって、生徒たちのファンなのですから！」

　校長先生はそう高らかに言って、誇らしげに胸を張った。
　そして――鏡の試練が、始まる。

■目次■

1ページ　プロローグ・目次

2ページ　【１】鏡の中へ――
3ページ　【１】鏡の世界
4ページ　【１】鏡の中で見る夢、見せる夢（１）
5ページ　【１】鏡の中で響く歌
6ページ　【１】鏡の中で見る夢、見せる夢（２）
7ページ　【１】鏡の中で、見たものは。

8ページ　【２】鏡の中の闘い（１）
9ページ　【２】鏡の中の闘い（１）

10ページ　エピローグ