時を超えるために
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リアクション
プロローグ
フェスタの校門を挟んで対峙する二人の女性――イドラの女王とイドラのジャンヌ・ダルクは、
イドラ教団の団員たちとフェスタのアイドルたちの間で、剣呑な視線をかわしていた。
「あんた、その身体……」
「どうしました? 何か未練でも?」
見目麗しいそのかんばせをにいっと歪めて、イドラのジャンヌは二振りの黒い細剣で独特の構えをとった。
細剣の柄頭に当たる位置には白い眼と口、かわいらしい耳が覗いている。
それは、イドラの女王やイドラの騎士より鋭く磨き上げられたブラックルミマルだったのだ。
「女王、やはりあの身体はあなたの――」
「それ以上あの貧乳について一言でも続けてごらんなさい。
オタ芸の打てない身体にするわよ」
イドラの騎士は女王の放つ気迫にピタリと止まる。
それほどジャンヌに――正確にはその身体に、強い感情を抱いているのだろう。
「……ああ、なるほど! 未練ではなくコンプレックスでしたか!
たしかにここがこーんなにささやかでは、思うところもあるでしょうね」
「やっっっかましい!!! 絶対ぶちのめして芸能界に突っ返す!!!」
■目次■
1ページ プロローグ・目次
2ページ ■1 聖女の威を借るもの
3ページ ■2 意地
4ページ ■3 かくて宿木は散る
5ページ ■今日のライブは『最高』であり、『最後』ではない――1
6ページ ■今日のライブは『最高』であり、『最後』ではない――2
7ページ ■今日のライブは『最高』であり、『最後』ではない――3
8ページ ■今日のライブは『最高』であり、『最後』ではない――4
9ページ ■今日のライブは『最高』であり、『最後』ではない――5
10ページ ■今日のライブは『最高』であり、『最後』ではない――6
11ページ ■今日のライブは『最高』であり、『最後』ではない――7
12ページ エピローグ