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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

レジェンドハーモニクス!

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レジェンドハーモニクス!

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■手を取り合って仲直り……?

「神様の方はレイニィたちがなんとかしてくれてるみたいね。
 それじゃ私は、ドラキュラに挑んでくるとしますか! こんな戦い、私が認めないわ!」
 弥久 風花が手にした十字架をドラキュラへ振り向け……おや、と首を傾げる。
「これってこんな形だったかしら? ……あ、こうするのね!」
 手にした十字架に念じ、無事剣の形にすることに成功する。残りの十字架は周囲に展開させておき、遠距離攻撃や攻め込まれた時の盾とする。
「さあ、月さん、ショベルカーさん。ちょっとこの分からず屋を懲らしめて下さいな!」
 空目掛けて風花が問えば、どこからともなくすごくかっこいいショベルカーがドラキュラ女伯爵の頭上に降ってくる。
「何故ショベルカーが!? ――たかが鉄の塊、ぶっ飛ばしてやるわ!」
 突然の出現に驚くも、ドラキュラ女伯爵が不敵に笑ってショベルカーに渾身の一撃を食らわせ、真下から真横に吹き飛ばしてしまう。
「うわー、大した力技ね。それじゃこっちは、手数で勝負!」
 空から隕石を降らせつつ、風花がドラキュラに斬りかかる。
「今度は隕石なんて、あのクソ野郎みたいにメチャクチャね!」
 隕石を弾き飛ばしつつ向かってくるドラキュラ女伯爵と、風花が切り結ぶ。接近戦だけならドラキュラ女伯爵の方が優位に立てたかもしれないが、風花は月から降る隕石と展開させた十字架を駆使し、互角の戦いを演じていた。


「おい✝タナトス✝、俺たちがドラキュラ女伯を止められたら、お前が神の奴を止めろよ?」
「それは神様の呪い次第だよ。呪いが解かれない限りは僕も神様に貸した力を取り戻せない。言っとくけどサボってるわけじゃないからね? ほんとだよ?」

(……まぁあんな風には言ったが、偶には神と✝タナトス✝の立場が逆になるのも面白いと思うがな)
 ✝タナトス✝とのやり取りを思い返しつつ、行坂 貫が真紅の刀身を持つ大剣を振るい、ドラキュラ女伯爵に挑む。
「神の所に行きたそうな顔をしているな。だがそれは叶わない、しばらく相手をしてもらうぞ」
 言葉とともに斬りかかり、神様の元へ行かせないように動く。ドラキュラ女伯爵が接近戦メインであることを見抜き、神様へ射線は通しつつも背を見せれば斬りかかられるという危機感を抱かせるように、殺意のこもった一撃を浴びせていく。
「お前も私の邪魔をするのか!」
「ああ、そうだ。貴女には貴女なりの言い分や思いがあるだろう、だから止めろとは言わない。だが此処で神を殺されるわけにはいかない、だから力づくでも貴女を止める。……たとえそれが、貴女の思いを踏み躙る事になっても
「思いなどと、何も知らないで勝手に!」
「もちろん勝手さ。けれどこうして剣を交え、戦っていればなんとなくはわかる。
 貴女は知らないだろうが、ネヴァーランドも大きく変わった。昔はそれこそ殴り合う仲だっただろう神様も、今じゃずいぶん丸くなった。それを改めて知るといい――大人しくなった後でな!」
 踏み込みからの斬撃が、ドラキュラ女伯爵の身体を掠める。それ自体は大したダメージにはならなかったが、ドラキュラ女伯爵は体力の減少を感じていた。
「この剣はいま、触れたものの体力を奪う力を有している。貴女の体力は底知らずだが、それが決して無限ではないことを教えてやろう」
 苦々しく睨みつけるドラキュラ女伯爵に対し、貫が平然として大剣を構える――。


(元々ネヴァーランドは神様が作った、死の無い優しい世界。
 ……それを、命を弄んだという被害妄想から無益な争いを起こし、その逆恨みを無関係の子孫にまで受け継がせた上、神様への復讐の為に今更、戻ってきただと?)
 アルネヴ・シャホールの中で、怒りがふつふつと沸き起こっていく。
(ふざけるな!! これ以上、理想郷に死を齎されてたまるか!!
 ボクは地球育ちの、元人間の吸血鬼だ。この理想郷を守る為なら、魔王にだってなってやる。お前を倒し、最強の吸血鬼になってやる!!)
 その煮えたぎるような怒りを、しかしそのままぶつけるのではなくむしろ冷え切ったような意識でもって、ドラキュラ女伯爵の前に立つ。そして闇の霧で覆ってから、無数の散弾を浴びせてダメージの蓄積を狙う。
「避けるくらいなら、突っ込むわ!」
 ドラキュラ女伯爵は回避を選ばず、多少のダメージをのんで突っ込んできた。だがその行動はアルネヴに見切られていた。
「そう来るかもしれないと思ったから、はい、どうぞ」
「!?」
 アルネヴの目前に、敵を蝕む闇が生まれる。そこに飛び込む形になってしまったドラキュラ女伯爵は、すぐに離脱するもののそれなりのダメージを負った。
「これで終わりなんて、まさか思っていないよね!」
 白く煌めく刀身を持つ大剣を振るい、アルネヴが追撃を行う。大剣でありながら鋭い斬撃が幾度かドラキュラ女伯爵の身体を捉え、流した血が刀身を黒く染めていった。
「くっ、この……っ!」
 そうして幾度かの交戦を経て、ドラキュラ女伯爵も流石に体力の底が見えてきた。そしてついにアルネヴの一撃を受けて、ドラキュラ女伯爵がぐらり、と身を傾け、地上に落下していく――。


「……んん……」
「おはよー。気分はどう?」
 ドラキュラ女伯爵が目を開けると、すぐ近くに神様の顔があった。
「……死にたいほど最悪よ」
「それは困るな、僕はドラちゃんに死んでほしくないと思ってるよ」
「はぁ……ホントクソ野郎だわ」
 神様の腕からひょい、と飛び降りたドラキュラ女伯爵が、✝タナトス✝の背後にいるグリム兄弟を指して言う。
「お前たちのせいで、せっかくの大舞台が台無しになったわ。
 さぞかし不味いでしょうけど、その喉元を裂いて全身の血を飲み干してあげるわ」
「「ヒッ、ヒイイイイーーーッ!!」」
 ギラリ、と牙を見せて凄んだだけで、グリム兄弟は悲鳴を上げて逃げ出してしまった。
「ふん。芸能界もピンキリね。……さて、邪魔者が居なくなったところで改めて続きを――と言いたいところだけど」
 ゆらり、と殺気を露わにしかけたドラキュラ女伯爵が、スッ、と矛を収める。
「よく見れば、前には無かったはずの『死』が存在している。『死』のない世界こそが理想だと言った貴方が、どうしてこんな真似をしたのか……話を聞いてみてからにするわ」
「オッケー、ドラちゃんにならなんでも話しちゃうよ。それじゃ早速向こうでお茶でもしながら……あっ、とその前に」
 くるりと振り返った神様が、ドラキュラ女伯爵に手を差し出す。
「……何のつもりかしら?」
「仲直りの握手」
「……本当に、いつまでたってもクソ野郎ね
 にっこり笑った神様の手を、不機嫌そうにドラキュラ女伯爵が握った――。
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