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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

レジェンドハーモニクス!

リアクション公開中!
レジェンドハーモニクス!

リアクション

■エピローグ

 Mr.ウィンターを退けたライブの後、彼らはD.D.の社長室に戻っていた。

「はいっ、いきんで!」

「んんん~~~~!!

「大丈夫、大丈夫だママ、オレたちがついてるからな……!」

 ベッドに横になって真っ赤な顔をしているD.D.を、アンバーダイヤモンドが手を握って励ましている。
 その傍らで彼女のソウルドロップをさすり、タイミングよくいきませているのはなぜか白衣を着たハルである。

「素晴らしヒィ――!! 実に素晴らしいッ!
 D.D.システムのミステリが次々に解き明かされていくぞ!!

 解析率は80パーセント……もう一息だ!」

「頭まで出てきてるって! 頑張って、D.D.!」

 ソウルドロップにつながったコンピュータをガタガタと叩きつつ奇声を上げるドクタークルーク
 彼は今D.D.の出産を手伝っている――わけではない。彼は助産師でも医者でもなく、れっきとしたエンジニアである。

 では彼らは、いったい何をしているのか。
 ドクはD.D.たっての希望で、スターチャイルドの人格をD.D.からスキャンし、その存在をコピーしようというのである!
 いきんでいるのは処理速度のブーストの演出――本人曰く「気分の問題」らしい。
 しかしそれでも、尋常でない熱を放つソウルドロップが、D.D.のはじめて味わう生みの苦しみを物語っていた。

「吸ってぇ――はいっ!」

「んんん~~~~っ!!」

 ――バチバチッ!
 ソウルドロップが火花を散らし、オーバーフローを警告する。
 しかし、あと一息……娘たちも、固唾をのんで見守るしかない。
 そして次の瞬間、ドクのコンピュータから軽快なジングルが鳴り響いた。

「キタ――――!!」

 だがドクが絶叫すると同時に、ドクのコンピュータがひときわ眩い輝き……
 否、極太のU.ハルモニアデリュージが放たれ、ビルの天上をぶち抜いた!

「きゃあああっ!?」

 本社ビルの頂上に巨大な穴を空けたビームが消えると、何事もなかったかのように、白い球体がコンピュータのモニタ上に表示された。
 ベッドでぐったりしたD.D.はそれを涙ぐんで見つめ、アンバーやダイヤモンドもまた、母の手を固く握りしめていた。

『――なんということだ。満天の星空じゃないか』

 そして、誕生した芸能神スターチャイルドは、自分が空けた穴の外に広がる空を見つめてそうつぶやいた。
 のちにその出来事は、「D.D.シンギュラリティ」として後世のディスカディアに語り継がれることとなるが――それはまた、別のお話。


◆ ◇ ◆


「……んん……」
「おはよー。気分はどう?」

 ドラキュラ女伯爵が目を開けると、すぐ近くに神様の顔があった。
 
「……死にたいほど最悪よ」
「それは困るな、僕はドラちゃんに死んでほしくないと思ってるよ」
「はぁ……ホントクソ野郎だわ」

 神様の腕からひょい、と飛び降りたドラキュラ女伯爵が、✝タナトス✝の背後にいるグリム兄弟を指して言う。

「興覚めだわ。お前たちのせいで、せっかくの大舞台が台無しになったわ。
 さぞかし不味いでしょうけど、その喉元を裂いて全身の血を飲み干してあげるわ」
 
「「ヒッ、ヒイイイイーーーッ!!」」

 ギラリ、と牙を見せて凄んだだけで、グリム兄弟は悲鳴を上げて逃げ出してしまった。

「ふん。芸能界もピンキリね。……さて、邪魔者が居なくなったところで改めて続きを――と言いたいところだけど」

 ゆらり、と殺気を露わにしかけたドラキュラ女伯爵が、スッ、と矛を収める。

「よく見れば、前には無かったはずの『死』が存在している。
『死』のない世界こそが理想だと言った貴方が、どうしてこんな真似をしたのか……話を聞いてみてからにするわ」
「オッケー、ドラちゃんにならなんでも話しちゃうよ。それじゃ早速向こうでお茶でもしながら……あっ、とその前に」

 くるりと振り返った神様が、ドラキュラ女伯爵に手を差し出す。

「……何のつもりかしら?」
「仲直りの握手」
「……本当に、いつまでたってもクソ野郎ね

 にっこり笑った神様の手を、不機嫌そうにドラキュラ女伯爵が握った――かのように思えたが。

「それでも、吸血鬼(わたし)の存在意義は変わらない。
 それはふざけた神の創る予定調和とご都合主義に、我々は自由意志を持って抗えるのだと――
 ネヴァーランドの住民は箱庭に囚われた貴方の玩具じゃないのだと、証明していくことよ」

 スルーされた手を神様は肩をすくめて見送り、自分も手を引っ込めた。何だかいつもより真面目な顔をしている……ような気もする。

「じゃあ、僕の手は取れないと……永遠に?」
「そうね。貴方がどんな善人だったとしても、この先永遠に勝てなくても……
 貴方が神である限り私は私は吸血鬼として――いいえ、ひとりのちっぽけな人間として、何度でも牙を剥いてやるわ!」

「で、も! ……それなら、他にももっとやり方があると思わない?」

 二人の間にレイニィが割って入った。
 彼女もネヴァーランドで生まれ育った一員として、ドラキュラ女伯爵の言葉に思うところはあるのだろう。

「そうそう、僕に勝てないって分かってて挑むのなんてつまらないじゃん。
 この白いの、ボドゲは地獄みたいに弱いよ! 今度神塔で一緒にどう?」
「あ、神様はお料理もすごく下手です!」
「ちょっと、†タナトス†!? ラファエル!?」

 次々と挙げられる神様の弱点に、ドラキュラ女伯爵はふっと表情を緩めたように見えた。
 しかし次の瞬間には、その瞳にメラメラと闘志が燃え上がっていた!

「あははははっ、なるほどね! 今日の借りを返す日は近いかしらァ!」
「あーあ、負けず嫌いなんだからもー! そっちがその気なら何度だって神として受けて立つし!」

 その時はまたみんなも一緒に騒ごうよ、と神様は逃げるように輝く翼を広げて大空へ舞い上がった。
 この世界のどたばた劇は、まだまだ永遠に続いていくのだろう――アイドル達はそう予感するのだった。

担当マスター:ヒロイックソングス!運営チーム

担当マスターより
「ヒロイックソングス!」運営チームです。
「レジェンドハーモニクス!」リアクションをお送りいたします。

スペシャルシナリオは、アクションを投稿しているか、
アクションを投稿していなくても「・アクション投稿しなくても登場を希望」の項目にチェックを入れた場合、基本的にリアクションに登場しています。
基本的にPCは1シーンに登場していますが、シーン分割の関係で数ページに渡って名前がある場合もございますので、リアクションを読み進めてご確認頂ければと思います。

また、称号やマスターからのコメントがある場合、最終ページ下にお知らせが表示されますので、併せてご確認下さい。

また、本シナリオにご参加いただいた方全員にヒロイックポイントが付与されます。
さらにシナリオ中活躍された方には、追加でヒロイックポイントが付与されます!
※付与するポイントはキャラクターによって異なります。

■ヒロイックポイント追加付与対象者一覧
クロティア・ライハ(HSM0000043)様
ナレッジ・ディア(HSL0007432)様
橘 樹(HSM0000836)様
黒瀬 心美(HSM0001329)様
アーヴェント・ゾネンウンターガング(HSM0001901)様
合歓季 風華(HSM0002545)様
天草 燧(HSL0007287)様
死 雲人(HSM0002579)様
龍造寺 八玖斗(HSM0004342)様
ノーラ・レツェル(HSM0000117)様
狛込 めじろ(HSL0005015)様
虹村 歌音(HSM0000488)様
ウィリアム・ヘルツハフト(HSL0003567)様
睡蓮寺 小夜(HSL0003252)様
千夏 水希(HSM0000938)様
アルネヴ・シャホール(HSM0001275)様
天地 和(HSM0001323)様
辿 左右左(HSL0007523)様
空花 凛菜(HSM0001977)様
シャーロット・フルール(HSM0002441)様
リーニャ・クラフレット(HSM0003427)様
行坂 貫(HSM0005424)様



最後に今回のリアクションを執筆したマスターからのコメントをお送りします。

担当:猫宮 烈
 『レジェンドハーモニクス!』【1】【2】パートを担当しました、猫宮 烈です。
 皆さま、ご参加いただきどうもありがとうございました(ぺこり

 ディスカディアは何度かシナリオを担当しましたが、なかなか、ディスカディアらしさというのを表現できていませんでした。
 今回も出せているかといえば疑問符がつくのですが、D.D.のバブみ力で押し切りました。謎のワード『天バブ』。

 ネヴァーランドはこの前のシナリオが本格的に書いた初だったような気がしますが、こちらは割りと出せているんじゃないかなと自画自賛です。
 ただ、神様(本気)とドラキュラ始祖(本気)がガチンコしてるところにライブしようとしたらこれマジで命の危険だわ……と思ってしまったので、その辺りちょっといじってあります。

 皆さまの活躍があり、ディスカディアもネヴァーランドも犠牲を出すことなく、危機を乗り切ることができました。
 ありがとうございました(ぺこり

 皆さまにとって少しでも、楽しかった、と思ってもらえるリアクションであったなら、とても嬉しく思います。
 それでは、また。
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