■プロローグ

　東京某所のヘリポート。
　キャリーバッグを引きながら、サングラスをかけた金髪の美女――天歌院　玲花がヘリに乗り込んだ。
　その後ろに続く二人――泉　光凛と戦戯　嘘は玲花に比べればいくらか所帯じみていたが、アイドルとしての格でいえば、とうにこちらの方が上である。

　トップモデルも今は昔。プロミネンスとして君臨したREIKAは、ここにはいない。
　だがそれでも、アイドルとして返り咲こうと足掻く少女は、ここにいる。

「……まったく、勝手に何から何まで用意して……」

「てんかりん、これくらいしないと逃げちゃいそうなのよ。
　それに――」

「せっかくセレブをお迎えするんだもん。
　フェスタとしてもこれくらいは、ね！」

　けたたましいローター音とともにヘリが上昇し、そして西へ向けて飛んでいく。

　フェスタ主催、天歌院玲花反省ツアーの開幕である。
　――最初の行先は、食神都市オーサカだ。



1ページ　目次・プロローグ

2ページ　■１－１．おふくろの味を求めて
3ページ　■１－２．笑顔の料理

4ページ　■２－１．つかの間のふれあい
5ページ　■２－２．自由と脱出

6ページ　■３－１．ここから始めよう
7ページ　■３－２．自分らしくあるために
8ページ　■３－３．自分自身と向き合って

9ページ　■４－１．想い交錯する場所で
10ページ　■４－２．星に願いを

11ページ　■エピローグ