母なる神に捧ぐ舞
リアクション公開中!
リアクション
【2-3】
穏やかになりつつあるイザナミたちを見ても、当初からの怒りを抑えられない弥久 風花にとっては、それが一時的なものにしか見えなかった。
平 平平が風花の背後に陣取り、広げた【摩訶乱傘】を回して視覚効果を出す。
一枚の絵のように印象的で、まわりで様子を見つめていた黄泉醜女たちが思わず目をこすっているのが窺える。
風花は最初は感情的になっていたが、だんだん【下町喜色】のおかげで落ち着いた様子へ変化していった。
「こんなに拗れて長く経ってしまったんだもの、てるよる(輝夜)との望みとは違うかも知れないけど、すっぱり忘れるなんて……今までの人生と、決して軽くは無い想いにかけて、絶対出来っこないわ」
イザナミに向かって言う風花に歩み寄った輝夜は、複雑な思いでその場に佇む。
風花はそんなイザナミの耳元にそっと、
「……でも変える事は出来る、きっと出来る──私のこの場からの最終目標は、貴女達の一家団欒よ。てるよる……」
そう言って、輝夜にウィンクをして見せた。
平平が【忍法彩雲隠れ】を使った後、【煙玉】を駆使して姿を見え隠れさせる。
傘の影へと出来るだけ身を隠し、体の一部分が見えそうで見えない芸を披露し、イザナミたちの笑いを誘った。
「ふん。そなたのしたいようにしてみよ。……聞く耳を持たんでもないでな」
イザナミを完全な説得できたわけではないかも知れないが、とりあえず聞き耳は持ってくれたようだ。
一か八か。
風花は平平と協力して、イザナミとイザナギの夫婦喧嘩を風刺した舞芸を披露する。
ナレーションを担当するのは、なんとミヤビだ。
リアリティを出すため、アドリブで黄泉醜女たちにも出演をお願いしたのだが、どう見ても現実そのものにしか見えなかった。
イザナギ役を演じていた風花は、
「ぶげぁ……」
「おぬし、名演も大概にしておくのじゃぞ。
――ついうっかりリキが入ってしまうゆえな」
風刺と言いつつもつい本気になってしまったイザナミに度突かれ、決してアイドルが出してはいけない悲鳴を上げ、周囲の笑いを誘う。
「うーん、無茶したで御座るなぁ……」
全力でイザナミを演じる風花を見て、思わず平平はそう言ってしまったのだが、このくらいの荒業を見せた方が逆に自分たちを客観視できていいのではないだろうかという気にさえなっていた。
イザナミは再び厳しい表情に戻って、武芸者たちに背を向ける。
自分の真実の姿を見るのは、なかなか耐え難いものなのだ。
穏やかになりつつあるイザナミたちを見ても、当初からの怒りを抑えられない弥久 風花にとっては、それが一時的なものにしか見えなかった。
平 平平が風花の背後に陣取り、広げた【摩訶乱傘】を回して視覚効果を出す。
一枚の絵のように印象的で、まわりで様子を見つめていた黄泉醜女たちが思わず目をこすっているのが窺える。
風花は最初は感情的になっていたが、だんだん【下町喜色】のおかげで落ち着いた様子へ変化していった。
「こんなに拗れて長く経ってしまったんだもの、てるよる(輝夜)との望みとは違うかも知れないけど、すっぱり忘れるなんて……今までの人生と、決して軽くは無い想いにかけて、絶対出来っこないわ」
イザナミに向かって言う風花に歩み寄った輝夜は、複雑な思いでその場に佇む。
風花はそんなイザナミの耳元にそっと、
「……でも変える事は出来る、きっと出来る──私のこの場からの最終目標は、貴女達の一家団欒よ。てるよる……」
そう言って、輝夜にウィンクをして見せた。
平平が【忍法彩雲隠れ】を使った後、【煙玉】を駆使して姿を見え隠れさせる。
傘の影へと出来るだけ身を隠し、体の一部分が見えそうで見えない芸を披露し、イザナミたちの笑いを誘った。
「ふん。そなたのしたいようにしてみよ。……聞く耳を持たんでもないでな」
イザナミを完全な説得できたわけではないかも知れないが、とりあえず聞き耳は持ってくれたようだ。
一か八か。
風花は平平と協力して、イザナミとイザナギの夫婦喧嘩を風刺した舞芸を披露する。
ナレーションを担当するのは、なんとミヤビだ。
リアリティを出すため、アドリブで黄泉醜女たちにも出演をお願いしたのだが、どう見ても現実そのものにしか見えなかった。
イザナギ役を演じていた風花は、
「ぶげぁ……」
「おぬし、名演も大概にしておくのじゃぞ。
――ついうっかりリキが入ってしまうゆえな」
風刺と言いつつもつい本気になってしまったイザナミに度突かれ、決してアイドルが出してはいけない悲鳴を上げ、周囲の笑いを誘う。
「うーん、無茶したで御座るなぁ……」
全力でイザナミを演じる風花を見て、思わず平平はそう言ってしまったのだが、このくらいの荒業を見せた方が逆に自分たちを客観視できていいのではないだろうかという気にさえなっていた。
イザナミは再び厳しい表情に戻って、武芸者たちに背を向ける。
自分の真実の姿を見るのは、なかなか耐え難いものなのだ。