母なる神に捧ぐ舞
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【2-4-2】
死 雲人。
彼は常に大胆不敵さがモットーだと言っても、過言ではないだろう。
何のためらいも迷いもなく、いつの間にか自分の懐にスッと歩み寄ってきた雲人を見上げて、イザナミは目を丸くした。
「……な、なんだ?」
【曲:ようこそマリパラ】のフレーズを使った記憶に残りやすいフレーズを口ずさみ、
「イザナミ、俺のハーレムの女になれ」
何の屈託もない笑顔で、雲人が言った。
「……正気の沙汰ではないのう」
「俺はいつでも正気で本気だ。イザナミも輝夜も、まとめて俺の女にしてやる」
「ばっ、ばかじゃないの? 俺の女って……!! 言っときますけどね、あたし、あんたの女になんてなった覚えなんてないし!」
「輝夜。もうとっくに俺に惚れてる癖に、そんなツンデレっぷりも可愛いぞ。流石、俺の女だな」
輝夜は頬をふくらませると、ふいっとそっぽを向いてしまった。
「はは、おまえにそんな表情をさせてしまっているのも、俺のなせる業。怒った顔もまたかわいいぞ」
黄泉醜女たちまでもが顔を赤らめ、何事かをひそひそと呟きながら、雲人に視線を向ける。
雲人に何を言われようと、無視を決め込む輝夜。
「気にしない様にすると言う事は……イザナミも黄泉醜女達もツンデレ属性だな。俺のハーレムの女になりたいと素直に言えばいいのに」
イザナミも雲人のペースに辟易しつつ、さほど悪い気はしてしいないようだった。
【天下御免羅舞存句】で和風の甘いラブソングを、輝夜とイザナミ、黄泉醜女達に送る。
「このわらわが何者か、分かっておるのか? 神様じゃぞ? しかもバツイチの」
「ああ、十分に承知している。俺はお前をハーレムに加えたいだけだ、イザナミ。それに、お前との間に子供なぞいらん」
「侍らせるだけ侍らせて、ややこを抱かす気はなしてか……なんか腹立つのう、こいつ。
輝夜、母として忠告するが、こやつはやめておいた方がいいぞ」
「いや違うって言ってんじゃん!?」
「まあ聞け。実は俺のハーレムの女達は、誰もが俺に一番気に入られようと努力してるぞ。他の女がいる事で互いに切磋琢磨し、より自分を高められる」
「要するにこの私をこれくしょんの一つに加えようというのじゃな?」
「俺にとってハーレムの女たちは、1人1人が必要な存在だからな。ピンチになったら俺が絶対に助ける。そこに輝夜もイザナミも黄泉醜女達も、全員入るという訳だ」
誰も納得したわけではなかったが、妙な説得力があった。
凄まじい気迫と存在感が周囲を圧倒して誰も口をはさめなかったのである。
「じゃあ、このへんでそろそろ俺を楽しませろ。……舞芸でもやってな! 【ARANAMI☆舵燻】だ!」
雲人が【一念通天応援歌】をイザナミに向けて歌う。
美女への愛は本物だと言う事を伝えたかったのだが、果たしてどこまでイザナミと輝夜に届いたのかは本人のみぞ知る。
そこへ、【神威ウズメ】で神様の力を借りたリーニャ・クラフレットが【天津鈴笛の杖】を叩いた。
皆の視線を一気に集めてから、地も、天も、何もかもを巻き込んでしまうような激しい舞を舞う。
「イザナミさん!!」
イザナミの前で止まり、リーニャは彼女を真っ直ぐ見据えた。
「確かにイザナギさんが子供を引き裂いちゃったのは酷いと思うの。なにか事情があったとしても絶対話し合うべきだったの!
それに、大きな子が1人よりも小さな子が8人の方が大変だもんね?」
時折、目を伏せながらイザナミは静かにリーニャの意見に耳を傾ける。
「みんな自由だからあっちこっち行ったりして気が抜けないもん! 私も弟妹みたいな子がいっぱいいたから、ついイザナギさんを恨んじゃう気持ちもわかるの!……でも、ね。イザナギさんを恨み続けて、憎しみを葦原の人達に向けて…それって、恨むイザナミさんも大変だったんじゃないかな?」
そう言われて何も言い返せないイザナミ。
「けど、ずっと恨んでるだけじゃ疲れちゃうし、心も沈んでくばかりなんだよ! だから! ライブして! いっぱい楽しんで! イザナギさんのことなんて忘れてやろーよ!」
持ち前の明るさで語り続けるリーニャ。
自分の思いがすべて届くとは限らない、でもほんの少しでもイザナミに思いが届けば──と。
そんなふうに思っているのだろうか、頬も紅潮している。
「それに、イザナミさんは綺麗だから、きっとライブをしたら皆を虜にしちゃうんだよ! そういうのって、すっごく素敵で!すっごく楽しいと思うの!」
イザナミさんに手を差し伸べるリーニャ。
イザナミはためらっていたが、彼女の方へと歩み寄った。
【神通天幕】で景色を変え、まるで空の上にいるかのようなステージを作り出す。
最初にリーニャが【祈祷:御饌稲成】を舞い始め、イザナミもその後に続いた。
「【幸魂霊舞】!」
まるで魔法にかけられたかのように、穏やかで楽しく、和やかな空気に包まれるイザナミ。
リーニャたちの舞は、まさに癒しそのものだった。
必要不可欠で、なくてはならないもの。
イザナミはそれをリーニャから教わったような気持ちになっていた。
死 雲人。
彼は常に大胆不敵さがモットーだと言っても、過言ではないだろう。
何のためらいも迷いもなく、いつの間にか自分の懐にスッと歩み寄ってきた雲人を見上げて、イザナミは目を丸くした。
「……な、なんだ?」
【曲:ようこそマリパラ】のフレーズを使った記憶に残りやすいフレーズを口ずさみ、
「イザナミ、俺のハーレムの女になれ」
何の屈託もない笑顔で、雲人が言った。
「……正気の沙汰ではないのう」
「俺はいつでも正気で本気だ。イザナミも輝夜も、まとめて俺の女にしてやる」
「ばっ、ばかじゃないの? 俺の女って……!! 言っときますけどね、あたし、あんたの女になんてなった覚えなんてないし!」
「輝夜。もうとっくに俺に惚れてる癖に、そんなツンデレっぷりも可愛いぞ。流石、俺の女だな」
輝夜は頬をふくらませると、ふいっとそっぽを向いてしまった。
「はは、おまえにそんな表情をさせてしまっているのも、俺のなせる業。怒った顔もまたかわいいぞ」
黄泉醜女たちまでもが顔を赤らめ、何事かをひそひそと呟きながら、雲人に視線を向ける。
雲人に何を言われようと、無視を決め込む輝夜。
「気にしない様にすると言う事は……イザナミも黄泉醜女達もツンデレ属性だな。俺のハーレムの女になりたいと素直に言えばいいのに」
イザナミも雲人のペースに辟易しつつ、さほど悪い気はしてしいないようだった。
【天下御免羅舞存句】で和風の甘いラブソングを、輝夜とイザナミ、黄泉醜女達に送る。
「このわらわが何者か、分かっておるのか? 神様じゃぞ? しかもバツイチの」
「ああ、十分に承知している。俺はお前をハーレムに加えたいだけだ、イザナミ。それに、お前との間に子供なぞいらん」
「侍らせるだけ侍らせて、ややこを抱かす気はなしてか……なんか腹立つのう、こいつ。
輝夜、母として忠告するが、こやつはやめておいた方がいいぞ」
「いや違うって言ってんじゃん!?」
「まあ聞け。実は俺のハーレムの女達は、誰もが俺に一番気に入られようと努力してるぞ。他の女がいる事で互いに切磋琢磨し、より自分を高められる」
「要するにこの私をこれくしょんの一つに加えようというのじゃな?」
「俺にとってハーレムの女たちは、1人1人が必要な存在だからな。ピンチになったら俺が絶対に助ける。そこに輝夜もイザナミも黄泉醜女達も、全員入るという訳だ」
誰も納得したわけではなかったが、妙な説得力があった。
凄まじい気迫と存在感が周囲を圧倒して誰も口をはさめなかったのである。
「じゃあ、このへんでそろそろ俺を楽しませろ。……舞芸でもやってな! 【ARANAMI☆舵燻】だ!」
雲人が【一念通天応援歌】をイザナミに向けて歌う。
美女への愛は本物だと言う事を伝えたかったのだが、果たしてどこまでイザナミと輝夜に届いたのかは本人のみぞ知る。
そこへ、【神威ウズメ】で神様の力を借りたリーニャ・クラフレットが【天津鈴笛の杖】を叩いた。
皆の視線を一気に集めてから、地も、天も、何もかもを巻き込んでしまうような激しい舞を舞う。
「イザナミさん!!」
イザナミの前で止まり、リーニャは彼女を真っ直ぐ見据えた。
「確かにイザナギさんが子供を引き裂いちゃったのは酷いと思うの。なにか事情があったとしても絶対話し合うべきだったの!
それに、大きな子が1人よりも小さな子が8人の方が大変だもんね?」
時折、目を伏せながらイザナミは静かにリーニャの意見に耳を傾ける。
「みんな自由だからあっちこっち行ったりして気が抜けないもん! 私も弟妹みたいな子がいっぱいいたから、ついイザナギさんを恨んじゃう気持ちもわかるの!……でも、ね。イザナギさんを恨み続けて、憎しみを葦原の人達に向けて…それって、恨むイザナミさんも大変だったんじゃないかな?」
そう言われて何も言い返せないイザナミ。
「けど、ずっと恨んでるだけじゃ疲れちゃうし、心も沈んでくばかりなんだよ! だから! ライブして! いっぱい楽しんで! イザナギさんのことなんて忘れてやろーよ!」
持ち前の明るさで語り続けるリーニャ。
自分の思いがすべて届くとは限らない、でもほんの少しでもイザナミに思いが届けば──と。
そんなふうに思っているのだろうか、頬も紅潮している。
「それに、イザナミさんは綺麗だから、きっとライブをしたら皆を虜にしちゃうんだよ! そういうのって、すっごく素敵で!すっごく楽しいと思うの!」
イザナミさんに手を差し伸べるリーニャ。
イザナミはためらっていたが、彼女の方へと歩み寄った。
【神通天幕】で景色を変え、まるで空の上にいるかのようなステージを作り出す。
最初にリーニャが【祈祷:御饌稲成】を舞い始め、イザナミもその後に続いた。
「【幸魂霊舞】!」
まるで魔法にかけられたかのように、穏やかで楽しく、和やかな空気に包まれるイザナミ。
リーニャたちの舞は、まさに癒しそのものだった。
必要不可欠で、なくてはならないもの。
イザナミはそれをリーニャから教わったような気持ちになっていた。