母なる神に捧ぐ舞
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【2-4】
清楚な【緋袴】を着用して現れた 空花 凛菜は、イザナミの前で凛とした佇まいを見せる。
後方からミヤビも現れ、少し距離を開けて並んだ二人。
「他の皆さんのような凝った趣向の演目は出来ませんが、今宵、イザナミ様だけに舞を捧げます。
誠心誠意を込めて、舞芸に励みますので……どうかよろしくお願いします」
【朧芸者の符】で呼び出した“幻の舞芸者”たちに演奏を依頼し、清らかな【天意の舞】をミヤビと一緒に舞い
始める。
元々、舞いとは神に捧げるものだ。
凛菜は巫として、芸能神であるイザナミを崇め奉る思いを抱き、フェスタ生徒として、ミヤビや様々な友人、
華乱葦原創世の感謝の気持ちを込めて、ひたすらに舞う。
ミヤビも凛菜と舞うことでお互いに共鳴し合い、不思議な一体感を感じていた。
決して難解な動作ではない、基本的な動きを何度も組み合わせた舞いだったが、丁寧で好感が持てる。
凛菜は【やんごとなき足運び】で軽やかに進んではまた止まり、【舞神の輝気】の風格を纏って、誠心誠意を尽くした
精一杯の舞いを見せた。
ミヤビは凛菜が引き立つように、凛菜はミヤビを引き立てるようにお互いが譲り、それがかえって舞いの完成度を高めていく。
イザナミが満足そうな表情を浮かべて、初めて、武芸者たちに対して拍手を送った。
舞いの後は、渋谷 柚姫と羽鳥 唯によるがらりと雰囲気が違うロックのライブステージだ。
「黄泉と葦原とフェスタの皆さーん! ロックンロールは知ってるかなー!? ロックンロールを知ってる人も
知らない鬼も、今日は盛り上がっていってくださーい!」
柚姫の元気な声が響く中、先ほどから機嫌がいいイザナミは、普段は聞き慣れないロックもまんざらではなさそうな様子。
黄泉醜女たちでさえリズムに乗って体を揺らしたりしており、それを見てイザナミが特に咎めることもなかった。
柚姫が初めて奏でる琵琶を持って【祭囃子とロックンロール】を歌い、それに合わせて唯はギターをかき鳴らす。
「私も地球でロックンロールが好きになりましたし、カグヤとロックが好きな者同士、仲良くなれますか?」
本番前、唯にそう言われて二つ返事で頷いた輝夜は、ロックついて唯とたっぷり語り合えたこともあり、
テンションも上がって最高のパフォーマンスを披露するため自信に満ちているのだろう。
晴れやかな表情で、まだ練習中だというギターで演奏に参加する。
イザナミなら、琵琶の弾き方のコツを知っているのだろうか。
不意にそんなことが頭をよぎった柚姫は、演奏に合わせて無意識にイザナミの手が動いていたのを決して見逃さない。
唯が【唐紅六訓楼屡】のスキルを生かすため、曲に本格的なロックアレンジを加えていく。
ディスカディアから旅立ち、ロックのリズムを覚えてから今に至るまで、自分のすべてを【天下御免羅舞存句】
に込めて歌う。
「ロックを好きな想いも、カグヤの母親であるイザナミを想う気持ちも、みんな……届いて……!!」
曲が抜群の盛り上がりを見せたところへ、全員で【≪式神≫舞芸:日華鳳凰】に乗って観客たちの頭上を飛び回る。
唯ももう一方の鳳凰に乗り、力強い演奏を続けた。
輝夜と柚姫が並んで滑空し、唯とすれ違いざまにセッションを決める。
「楽しい? 唯」
「うん……最高だね……!!」
柚姫と微笑み合った唯は輝夜ともくるくる回り合い、もはやここで黄泉であることはすっかり抜け落ちていた。
「……貸しなさい。琵琶の弾き方の手本を見せましょう」
見るにみかねたのか、柚姫に近づいてきたイザナミがついに琵琶をその手に取った。
たった一音を奏でるだけで、武芸者たちが全員身震いするほどの音色が黄泉の世界に響き渡る。
和とロックの融合はやがて音のグルーブを生み出し、ほんのわずかな時ではあったが皆の心がひとつになった
ような、懐かしくやさしい思いがそれぞれの胸に押し寄せていた。
「仮にも芸能神のはしくれがこれとは。
ウズメにも笑われてしまうのう」
「そんなことないよ。イザナミ……あなたは紛れもなく神様だ」
柚姫はイザナミから琵琶を受け取り、その手がかすかに震えているのを唯と二人でじっと見つめたのだった。
清楚な【緋袴】を着用して現れた 空花 凛菜は、イザナミの前で凛とした佇まいを見せる。
後方からミヤビも現れ、少し距離を開けて並んだ二人。
「他の皆さんのような凝った趣向の演目は出来ませんが、今宵、イザナミ様だけに舞を捧げます。
誠心誠意を込めて、舞芸に励みますので……どうかよろしくお願いします」
【朧芸者の符】で呼び出した“幻の舞芸者”たちに演奏を依頼し、清らかな【天意の舞】をミヤビと一緒に舞い
始める。
元々、舞いとは神に捧げるものだ。
凛菜は巫として、芸能神であるイザナミを崇め奉る思いを抱き、フェスタ生徒として、ミヤビや様々な友人、
華乱葦原創世の感謝の気持ちを込めて、ひたすらに舞う。
ミヤビも凛菜と舞うことでお互いに共鳴し合い、不思議な一体感を感じていた。
決して難解な動作ではない、基本的な動きを何度も組み合わせた舞いだったが、丁寧で好感が持てる。
凛菜は【やんごとなき足運び】で軽やかに進んではまた止まり、【舞神の輝気】の風格を纏って、誠心誠意を尽くした
精一杯の舞いを見せた。
ミヤビは凛菜が引き立つように、凛菜はミヤビを引き立てるようにお互いが譲り、それがかえって舞いの完成度を高めていく。
イザナミが満足そうな表情を浮かべて、初めて、武芸者たちに対して拍手を送った。
舞いの後は、渋谷 柚姫と羽鳥 唯によるがらりと雰囲気が違うロックのライブステージだ。
「黄泉と葦原とフェスタの皆さーん! ロックンロールは知ってるかなー!? ロックンロールを知ってる人も
知らない鬼も、今日は盛り上がっていってくださーい!」
柚姫の元気な声が響く中、先ほどから機嫌がいいイザナミは、普段は聞き慣れないロックもまんざらではなさそうな様子。
黄泉醜女たちでさえリズムに乗って体を揺らしたりしており、それを見てイザナミが特に咎めることもなかった。
柚姫が初めて奏でる琵琶を持って【祭囃子とロックンロール】を歌い、それに合わせて唯はギターをかき鳴らす。
「私も地球でロックンロールが好きになりましたし、カグヤとロックが好きな者同士、仲良くなれますか?」
本番前、唯にそう言われて二つ返事で頷いた輝夜は、ロックついて唯とたっぷり語り合えたこともあり、
テンションも上がって最高のパフォーマンスを披露するため自信に満ちているのだろう。
晴れやかな表情で、まだ練習中だというギターで演奏に参加する。
イザナミなら、琵琶の弾き方のコツを知っているのだろうか。
不意にそんなことが頭をよぎった柚姫は、演奏に合わせて無意識にイザナミの手が動いていたのを決して見逃さない。
唯が【唐紅六訓楼屡】のスキルを生かすため、曲に本格的なロックアレンジを加えていく。
ディスカディアから旅立ち、ロックのリズムを覚えてから今に至るまで、自分のすべてを【天下御免羅舞存句】
に込めて歌う。
「ロックを好きな想いも、カグヤの母親であるイザナミを想う気持ちも、みんな……届いて……!!」
曲が抜群の盛り上がりを見せたところへ、全員で【≪式神≫舞芸:日華鳳凰】に乗って観客たちの頭上を飛び回る。
唯ももう一方の鳳凰に乗り、力強い演奏を続けた。
輝夜と柚姫が並んで滑空し、唯とすれ違いざまにセッションを決める。
「楽しい? 唯」
「うん……最高だね……!!」
柚姫と微笑み合った唯は輝夜ともくるくる回り合い、もはやここで黄泉であることはすっかり抜け落ちていた。
「……貸しなさい。琵琶の弾き方の手本を見せましょう」
見るにみかねたのか、柚姫に近づいてきたイザナミがついに琵琶をその手に取った。
たった一音を奏でるだけで、武芸者たちが全員身震いするほどの音色が黄泉の世界に響き渡る。
和とロックの融合はやがて音のグルーブを生み出し、ほんのわずかな時ではあったが皆の心がひとつになった
ような、懐かしくやさしい思いがそれぞれの胸に押し寄せていた。
「仮にも芸能神のはしくれがこれとは。
ウズメにも笑われてしまうのう」
「そんなことないよ。イザナミ……あなたは紛れもなく神様だ」
柚姫はイザナミから琵琶を受け取り、その手がかすかに震えているのを唯と二人でじっと見つめたのだった。