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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

邪神と妖狐と桜の城

リアクション公開中!
邪神と妖狐と桜の城

リアクション

◆エピローグ

「兄上? ここにいる多くの人間が、あたしと兄上が仲直りすればいいのに……って思ってるのよ」

「たわけたことを!」

「まあ、兄上はそう言うとは思ってたけどね。もう打つ手はないでしょ? どう? へびこーの居所を教える気には、ならない?」

「誰が教えるものか。人間などに、命乞いもせぬぞ」

 身一つになろうとも、不死不滅の力が片鱗となろうとも、この黄泉神は決して止まらない。
 この場にいる何人かでも道連れに――その覚悟は、誰の目にも明らかであった。

「兄上の馬鹿!」

「馬鹿はお前だ。人間なんぞに感化されおってからに!」

 激昂――あるいは、失望をあらわにするクロツミ。
 輝夜に代わって、行坂 貫は灼火鬼灯・影打ちをもって応じた。

「いいからさっさと吐けよ。
 首をはねても口を聞けるか、試してやってもいいんだぞ?」

「それはいい――そうなれば、首一つになって、貴様の喉笛を食い千切ってやろう」

「……貫さん。目的を間違えてはなりません」

「そうですよっ! ――まあ、気持ちは、正直わかりますけど!」

 眼をぎらつかせた貫とクロツミの間に、合歓季 風華狛込 めじろが割って入り――
 その瞬間、凛と張り詰めた空気がその場に満ち満ちてゆくのを、全員が感じ取った。
 背後から歩んできたのは、銀狐とよく似た髪と耳の女性――絢狐であった。

「……黄泉神クロツミ」

「妖狐――御饌稲荷の眷属か」

 偉大な陰陽師たる彼女は、札を差し出してクロツミに告げた。

「私に満ちたハレの気で、あなたの属性を反転させましょう。
 あなたを天津神々の一柱として、桜稜郭の隅に祀って差し上げても良い。
 そうすれば、あなたは在り方を変えて長らえることができます」

「ちょ、あんたそれって……」

 それは、輝夜に施された術。
 真蛇とふぇすた座の舞芸者たちが起こした、奇跡のようなそれを、絢狐は再現してみせようというのだ。
 しかし――クロツミにとって、それが何を意味するかは、想像に難くない。

「貴様、この黄泉神たるクロツミを愚弄するつもりか!」

「クロツミ――闇に在るいと畏き神よ。
 しかし我々葦原のモノは、あなたの誇りを踏みにじり、ありさまさえ変える力をも持っているのです。
 黄泉神として潔く散りたくば、我らの言葉をきこしめせと――かしこみかしこみ申す」

 慇懃無礼に祝詞の端を脅し文句に使う。
 そして、輝夜をちらりと見やって、その言葉を促した。
 言いたいこと言っちゃいなさい――そんないたずらっぽい笑い。

 それに応えて、輝夜はうなずいた。

「……はなっからバカバカしい話だったのよ、こんなの。
 殺すだの生むだの、別れ話に何千年も固執して――あたしたちの親がまずバカだったって、どうしてそれに気づかないわけ?

 ママに教えられた憎しみが、あたしたちを縛って、穢ノ神にした。
 そうして戦いの中に投じられて、そういうものだって自分を決めつけて考えないようにして。
 本当にママを愛しているなら、ほんとうにすべきだったのは、パパへの復讐や当てつけじゃなくて――
 ママ自身を幸せにしてあげることじゃない!

「輝夜、貴様――母上をどうこうしようなどと、驕り昂るも大概にせよ!」

「あたしたちは知らなかったのよ、葦原に生きる者たちの強さを!
 奢っていたのは、あたしたち神々のほうってこと――
 だから吐きなさいよ、ヘビ公のやつがどこにいるのか!」

 輝夜は小さな体で、クロツミの鎧の胸倉を掴んでそう啖呵を切った。
 愛憎、諦観、あらゆる感情が入り混じった表情をするクロツミ――
 そして、おもむろに口を開いた。

「あの半妖は……母上のもとだ。天津神宮に、黄泉に通じる裂け目を開いてある。
 瘴気に穢れた神剣イツノオハバリと魔剣ヒラサカを通じて、母上が開いたものだ。
 行く先は輝夜、貴様ならばわかるはずだ」

 言うや、クロツミは自ら、身の内の瘴気をあたりへばら撒き始めた。
 無論その自滅行為さえ、絢狐の結界に防がれるのだが――
 瘴気を吐き切った彼は、自らの身体を小さな木像にまで封じてしまった。

「……クソ兄貴。
 わかったわよ。やりゃあいいのよね」

 それが最後の抵抗だったのか、あるいは輝夜に何かを見出してのことなのか、もはや知る手段はない。
 しかしいずれにせよ、桜稜郭に迫る危機は回避され、真蛇の居所は割れた。

「ふふ、親孝行なのね」

「うっさい」

「あらあら。――じゃあ、私も孝行されてきましょうか」

 かくて、華乱葦原の神々の争いは、大いなる親子喧嘩へと形を変え――
 舞台を黄泉へと移すのだった。

担当マスター:ヒロイックソングス!運営チーム

担当マスターより
『ヒロイックソングス!』運営チームです。
スペシャルシナリオ「邪神と妖狐と桜の城」のリアクションをお届けいたします。

スペシャルシナリオは、アクションを投稿しているか、
アクションを投稿していなくても「・アクション投稿しなくても登場を希望」の項目にチェックを入れた場合、基本的にリアクションに登場しています。
基本的にPCは1シーンに登場していますが、シーン分割の関係で数ページに渡って名前がある場合もございますので、リアクションを読み進めてご確認頂ければと思います。

称号やマスターからのコメントがある場合、最終ページ下にお知らせが表示されますので、併せてご確認下さい。

また、華乱葦原の物語の締めくくりとなるシナリオが
【12月30日(日)】に公開予定です!
是非奮ってご参加ください!

今回のリアクションを受け、【芸格】が昇段した方につきましては、
以下の名簿のほか、個別にコメントにてご案内させていただいております。

また、今回のリアクションの結果を反映し、芸格所持者一覧の更新を行います。
【12月14日(金)15時】時点で、芸格アイテムをポケットかライブアイテムに装備している方が対象となりますので、
一覧掲載をご希望の方は芸格アイテムの装備をお忘れなく!


【今回昇段されたプレイヤー様】

二ツ目→下立
アーヴェント・ゾネンウンターガング(HSM0001901)様

下立→相中
合歓季 風華(HSM0002545)様
龍造寺 八玖斗(HSM0004342)様


上分→名題前
狛込 めじろ(HSL0005015)様

名題前→名題越
界塚 ツカサ(HSM0000556)様
千夏 水希(HSM0000938)様
渋谷 柚姫(HSM0002384)様
行坂 貫(HSM0005424)様


名題越→看板
弥久 風花(HSM0000038)様
シャーロット・フルール(HSM0002441)様


名題越→千両
堀田 小十郎(HSM0000749)様

それでは最後に、今回担当したマスターからのコメントをお送りいたします。

担当:蒼井卯月
皆さま大変お疲れさまでした。
蒼井はこれまで華乱葦原についての知識はほぼほぼ白紙だったのですが、
これを機に勉強させて頂きました。活かせているといんですが……。

そんなわけで、
章タイトルは「大幕・葦原華乱舞!」へのオマージュです……。

普段は極力避けているのですが、
今回のバトルパートにつきましては、相手がクロツミ一人だったため、
展開の都合上出番が分散しているPC様がいらっしゃいます。

いつも書いてしまいますが、お一人お一人の動きと感情が、
一つ一つ、布石になって、そして大きな波紋を呼んでいる……
そのイメージでコツコツと1人ずつ、順番に執筆しております。

それではまたどこかでm(__)m
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