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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

猫神バス=テトの誘い ~芸能界へご招待!?~

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猫神バス=テトの誘い ~芸能界へご招待!?~

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 【ストームエフェクター】を取り付けた【シングシンセサイザー】の音が鳴り響き、雨宮 いつきが【トゥインクルノーツ】で周囲に音符を舞い踊らせた。
 何事かといった様子で、観客たちは一斉にいつきのステージへ注目する。

「急に集めちゃってゴメンなさいねっ。ゴメンついでにお願いがあるんだけど、アタシ達のライブ、見てってくれないかしら!」

 一歩前に出たリリィ・ベルクロイツがマイクスタンドを握ると、軽快な音楽がスタートした。

「血気盛ん大いに結構! けどその熱量、もっと楽しい事に向けてみましょ!」

 リリィは手拍子で観客たちを煽り、ステージ上を飛び跳ねる。
 
「お願い聞いてくれたら…サービスしちゃうゾ☆」

「……さささ、サービスって、何するつもりですかリリィさんっ!?」

 いつきの心配をよそに、リリィは少し前屈みになって両腕で胸をぎゅっと寄せた。

「いつきにはちょっと刺激が強いかな~? ご機嫌なヒップホップをかますわ! アタシのリリックを聴け~!」

 ウィンクを決めると、最前列にかぶりついていた観客たちは鼻の下を伸ばしてリリィに釘付けになっている。

「み、見ていいものかどうなのかーーー!?」

 リリィの胸元が気になって仕方がないいつきだったが、彼女のラップに合わせて【ウェイクフレーズ】で即興曲を演奏する。

「ぷぷぷ、正直なんだからぁ~。心の中の様子がだだもれだよ~!」

 それは観客といつき、どちらに向けての問いかけだったのか?
 リリィはうまく状況を利用して、自分の言葉をラップに乗せていった。

「あ……Are You Ready Guys!?」

「Let’s rock!! It’s awesome~~~!」

 数名の観客をステージに上げて、リリィがマイクを投げ渡す。

「聴いてるだけが音楽じゃないわよ! 罵詈雑言の代わりに、リリックのぶつけ合いと洒落込みましょ!」

 ためらう観客に対し、リリィは自分がリードするようにして、

「まずはアタシからおっぱじめるわよ!」

 【トリッキーフェイク】で自分好みに曲調を調整したリリックをぶつけた。
 最初はうまく曲に乗せられなかった観客だったが、次第に調子をつかんでいったようだ。
 恥ずかしさや照れは演奏でカバーして、いつきもリリィと一緒に【キラーチューン】で最後のフレーズを奏でた。
 何も聴くことだけが音楽の魅力ではない。
 演奏することも、歌うことも、音を楽しむことこそが「音楽」。

「おいねーちゃん、もっとサービスしろぉ♪」

 調子に乗った観客が、リリィの腕を乱暴につかむ。

「え、サービス?こんな可愛い女の子とライブ出来るなんて、とびきりのサービスでしょ?」

 くるっと回転することで観客をうまくかわし、リリィはポーズを決めた。
 即興で自分の気持ち目の前に広がる情景を音や歌詞で表すのは難しいが楽しくて、そして快感だった。
 いつきとリリィのそんな思いは互いに同調し、それが観客にも伝わったのだろう。
 大きなグルーヴとなって、歓声と拍手の渦に飲み込まれていった。

「アイドルと思って甘く見ていたら、とんでもないことになってきたニャ。こやつら全員、音楽の神髄というものが何なのか、自分たちなりに掴みかけてきてるニャ……」

 バス=テトは自分でも気づかないうちに、それぞれの音楽に合わせて尻尾を揺らしている。
 もはや、あえて教えることは何もない──そんなふうに思っているのか、時折、目を細めたりして鼻を鳴らした。
 次のステージで行われるライブを観るため、再び耳をピンと立てる。

「観客の皆! 私の歌に耳を貸して!」

 一方的に演奏するだけでは、誰もついて来ない。
 ライブをどう進めればいいのか体感で分かっているのだろうか、渋谷 柚姫は【NAOYA’sビート】の荒々しい歌で悪態づく観客たちを一気に引き込もうとする。
 【U.パッションハーモニー】を使って観客たちの怒りや不満さえもライブへの興奮に生かそうとしつつ、柚姫の背後で演奏をしていた羽鳥 唯の方を振り返った。

「唯、ユニゾンお願い!」

 頷いた唯は、【DF.ハーモナイズギターver2.0】にユニゾンする。
 その瞬間、激しい炎が周囲を包み、観客たちを驚かせた。
 ロック調の音楽は一気に観客の心をつかむ。

「届いて──私たちの思い!!」

 唯の【傾奇帆符】で、どこか懐かしい昔の童謡をポップにアレンジして歌ってみせた。
 誰もが聴いたことのあるフレーズはすぐに受け入れられ、いつの間にか観客たちも小さな声で歌詞を口ずさみ始める。
 過去に何度も歌った曲は、何年たっても不思議と記憶に刷り込まれているものだ。
 全く見知らぬ者同士がいきなりこの場に集い、同じ曲を歌えるという奇跡。
 やがて歌声は大きくなり──それは決して音程が正確なものではなかったが──柚姫と唯が思い描いた理想のステージに近づくものとなっていた。

「もっと──もっと、音を感じていこう!!」

 柚姫が【クラリティクライマックス】を発動させると、ステージと観客は更に一体感を増す。
 唯は【ハルモニウム】を使ってから【サウンドヘイズ】を発動させる。

「ひょっとしたら、ガラの悪い皆さんたち……悪役のように思われていますが昔はヒーローになりたかったかも知れませんね」

 ロックが流れる中、どこか和風を感じさせるリズムも忍ばせて──。
 ユニゾンを解除するまで、観客たちの紅潮した顔を柚姫と唯はずっと見つめていた。

「どんな人でも、音楽の前では素直になれるものなんですね」

 唯がふっと笑みを浮かべて言った。

「そう──だから、やめられないんだよね!!」

 柚姫はおどけた表情を見せたが、それもライブのパフォーマンスのように見えたのか、観客たちからは笑い声が起こる。
 今日この場にいられたことを感謝して、柚姫と唯はそっとマイクをステージの上に置いた。
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