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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

猫神バス=テトの誘い ~芸能界へご招待!?~

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猫神バス=テトの誘い ~芸能界へご招待!?~

リアクション

【1-3】
 宇津塚 夢佳がステージに登場した時、それまで思い思いに騒いでいた観客ーー特に
荒くれ者たちは一瞬、息を呑んだ。
 一糸乱れぬ真っ白な死装束に裸足、そして手に楽器を携えた夢佳の姿は、ここが現実であるということを
忘れてしまうほどの衝撃を与えている。

「……ふふ。まるで魂を抜かれた骸のような顔をしていますね」

 観客席をちら、と見た夢佳は涼やかな笑みを浮かべ、【オルトゴースト】で周囲にぼんやりと霊体を浮かべる。
 夢佳の視線の先にいたのは、 【ライブガードスーツ】を着用して会場の雰囲気を壊さないように細心の注意を払う
橘 樹だ。
 樹は夢佳のライブが始まる前から特に気が立っていそうな観客にフォローを入れ、ステージが台無しにならない
よう人知れず奔走していたのだった。
 ある時は客席を回ってお茶を提供し、

「不良海軍って、やっぱり俗に言う海賊みたいな感じなんですか? 今までに入手したすごいお宝とか武勇伝とか、
聞きたくなっちゃうなあ」

 と、気さくに話しかけたりとなかなか勇気が必要ではあったが、樹のこうしたサポートのおかげで夢佳のステー
ジは誰にも邪魔されることがなかった。

「あ、次のライブ始まるみたいですね。急に呼ばれてご迷惑だとは思うんですけど、よかったら見て行ってください。
きっと楽しいですよ!……っていうか、ちゃんと見ないと、祟られるかも知れないとか……」

 含みを持たせた樹の言い方は、観客たちの好奇心を大いに煽ったことだろう。

「さあ、ショータイムの始まりです」

 【オルトノーム】を発動させると、まるでポルターガイストが起こったかのごとく、荒くれ者たちをたちまち
震え上がらせた。

「ようこそ……わたくしが紡ぎ出す世界への入口へ」

 【無弦幻夢】と【インストゥルメント・ランゲージ】が生み出す、夢佳の世界。
 束の間の静寂を断ち切ったのは、弦をかき鳴らすギターの音色。
 突然の切り替わりに衝撃を覚えた観客たちは、少しずつスライドしていくメタル調の音に合わせて体を揺らし始めた。
 ギターと三味線、そして琴の音を交えた和テイストのロックならぬ和メタル。
 夢佳の超絶技巧が、聴く者たちの耳を捉えて離さない。
 魔物に魅入られたとでも表現すればよいだろうか、そんな不思議な感覚を観客たちも楽しんでいるようだ。
 ラストにさしかかる頃、ストリングスの美しく幻想的な音色は、荒くれ者たちの涙さえ誘った。

 「好きな音を、好きに奏でることがとても楽しくございますゆえ……せめてその気持ちだけでも伝わりますれば幸いでございます」

 何枚か忍ばせていたギターピックを観客席に投げた夢佳に足元には、多くの観客たちが彼に触れようとして押し寄せていた。
 樹もつい駆け寄りたくなるが、ぐっと我慢する。

「わたくしの作り出す幻想[おんがく]の世界が伝わりますれば、重畳でございます」

 丁寧に礼をすると、割れんばかりの拍手が夢佳を包み込んだ。

「樹さま……お疲れ様でした」

「いやいや、それはこっちの台詞!! 機会があれば今度は、観客の一人としてライブを見たいかなって」

「……はい、これ」

 夢佳に手をつかまれ、樹は何かを握らされる。
 それは、夢佳が観客席に投げ込んだはずのギターピックだった。

「えっ、もらっていいの!? このピックって、みんなが喉から手が出るほど欲しがってたやつだよぉ!」

「最初からあげるつもりでしたので」

「ありがとう!!」

 樹はピックをぎゅっと握り締め、夢佳のこういうところも人を惹きつける魅力の一つなのだと、改めて実感したの
だった。
 夢現なステージとは打って変わって、観客たちが次に集まっていたのは【フリースタイラー】である 永見 音萌香龍造寺 八玖斗
が繰り広げるラップバトルだ。
 観客席に向かって挨拶をした八玖斗は、【アクションゲームメイカー】の電子音を操作して歌おうとしたのだが……

「舐めてんのかよー! これでいいと想ってんのかよー!」

 すかさず、他の観客たちに紛れていた音萌香が即興でラップを入れ始めた。
 威勢のいい姿、【ファンキー学ラン】もパリッと着こなしている。

「おいおいこれじゃわたしの方がいけてるんじゃねえの? なぁみんな!」

 ちょうど歌詞に入る直前に、【熱情のクロスコード】で客席を煽りつつステージに上っていく音萌香。
 音萌香のラップにアンサーをかぶせた八玖斗は、共に掛け合いながらテンションを高めていった。
 【アクションゲームメイカー】のゲーム音をループさせたトラックが流れる中、【ディスコフライヤー】の
後に【ME.ニンバスライトニング】でバトルの雰囲気を効果的に演出し、

「ヘイ、批評家さん、舞台に上がってご苦労さん! 上がった以上はあるよな覚悟? または自信過剰からくる錯誤?
なら紡げよライムを おかわりくれよ ネタ切れでも泣くなよ手前よ!」

 と、八玖斗が返す。
 ニッと笑みを浮かべてから【リミックスアプローチ】を使えば、観客のボルテージはすでに最高潮だ。

「いいねこの緊張感 ステージに上がったいい女 ラップで築く一夜城 かかって来いよチキン野郎 ここがお前の登竜門
今から貴様を急降下 これで終わりだご苦労さん!」

 音萌香は【プラスアドリブ】を使って、どんなアンサーが返ってきても即座に対応できるようにしていた。
 真剣勝負が繰り広げられる中、自分の【ヴィークルライザー】で曲を【リミックスアプローチ】する。

「こんな長髪の挑発に乗ってるポニーテール そんなんで沸かせるのオーディエンス やってることいわゆる同人ゲーム
こっちがやるのは高次元風 ここいらで貯金全部はき出してマイクをそこらに置いてけ わたしは上る頂点へ!」

「同人? 言われても動じるか こっちは元はストリート そんな聞き飽きたヤジは すぐさま記憶からデリート
踏台になる気はねえし 口先だけで最初にキレた理由忘れんな ムリヤリ猫に拉致られた事だろ」

 八玖斗のアンサーを【プラスアドリブ】で切り替えし、真剣でありながらもその場の空気を大切にしようとする音萌香
に、観客席からは拍手が沸き起こった。
 八玖斗は【ME.バクハツ☆エモーション】で 出来た爆弾を最前列の観客に渡して、二人の勝敗を決めてもらうことにした。

「お前等も言葉を吐き出したいだろ? さー、皆さんご一緒に」

 爆弾の結果は、果たして……。

「結局、あっちの猫が悪いっ!」

 バス=テトに向かって、大きな声を上げる。

「ニャニャニャニャ?!」

 まさか自分に振りかかってくるとは思っていなかったバス=テトは、アドリブをきかせて

「ニャ~と猫が鳴いたニャ 勝負の行方は……どうなったニャ!?」

 観客たちによる爆笑の渦の中、

「いやー、良かったねぇ」

 八玖斗から差し出された手を握り、音萌香は満面の笑みを浮かべた。
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