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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

猫神バス=テトの誘い ~芸能界へご招待!?~

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猫神バス=テトの誘い ~芸能界へご招待!?~

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 最後のステージには、セットも何も用意されていなかった。
 ここで一体何が行われるのか?
 ごくりと唾を飲み込み、彼らはただ静かに開演を待つ──。
 スポットライトがステージを照らすと、そこにいたのは槍沢 兵一郎小羽根 ふゆだった。
 ふゆは【アパレルパフューム】で体操着姿に変身している。
 最前列にいた男たちが、その姿を見てごくりと喉を鳴らした。

「ようこそ。ここが最後の砦だ──なんつって。そんじゃまぁ、始めるか! 行くぜ、【ブレイクウォール】!」

 序盤は、歌をメインにした軽めのダンスでスタートする。
 ふゆも一緒に格闘技風のエクササイズ体操を披露し、二人のアンバランスさは不思議とステージでよく映えた。
 兵一郎のダンスは少しずつ、激しく、攻撃的になっていく。

「ほらよ、出番だぜ!」

 【雑魚戦闘員】が現れたかと思うと、兵一郎は歌いながら【大殺陣回し】で次々と彼らをなぎ倒す。
 【マーシャルダンス】を組み込んだステップで、まるでダンスのような殺陣。
 全て倒しきってから、一人一人をゆっくりと起こしてやり、全員で歌いながら再び踊り出す。
 ふゆも兵一郎をサポートするようなかわいらしい動きでくるくるとステージを駆け回った。
 兵一郎は、ソロで演じる時は激しいダンスを組み込むのだが、全員で一堂に介するとなると、平易な動きを繰り返す方が見た目もきれいだろう。

「──来いよ!」

 ついには【ロールアクト】で観客であるアーティストたちも巻き込み、よりステージとの一体感を強くしていった。
 スペシャルなゲストとしてUltra Rayのメンバーたち、そしてレイニィ・イザヨイも登場して、華やかになるステージ。

「エクササイズ体操~、もっかいいってみよう~♪」

 ふゆが手拍子でアーティストたちを誘い込み、後に続いて同じ動きをしてもらうように促した。

「はいっ、両手を上げて~ワンツーワンツー♪」

 恥ずかしそうにしてためらわれた場合には、【ワンタイムバズワード】の力で掛け声をかけるふゆ。
 彼女はこのステージの後、特に体操服好きの男性たちから「体操のおねえさん」と呼ばれてサインを求められるのだが、この時はまだ知る由もなかった。

「さぁ、皆で体動かして、楽しんでいこうぜ!」

 兵一郎も盛り上げてくれて、音楽もステージも最高潮になっている。

「やっぱステージは勢いがねーとなっ!」

 桐島泰河が、即興で兵一郎との殺陣を披露した。
 見事な剣さばきを見せるが、表情は少しおどけている。

「あなたの場合は、少し勢いをセーブした方がちょうどいいんじゃない?」

 レイニィ・イザヨイがステージ華を添えるように刀を振り回すと、興味がなかったはずのアーティストたちからは大きな声援が送られた。
 彼らの心を、少し動かすことができたらしい。

「待たせたです!」

 と≪星獣≫ゲイルワイバーンで竜になったディくんと共に登場したのはリュウェル・フリードマン行坂 貫、そして竹似草 暘だ。
 殺陣のイメージは、巌流島での宮本武蔵と佐々木小次郎の戦い。
 暘は器用に足で鍵盤を操作して、リュウェルと貫が用意した曲【Push forward】を【極光のクラヴィコード】で演奏し始めた。
 音色が変わったタイミングで、リュウェルは【カオスメタモルフォーゼ】でディくんとの心と心を一体化させる。
 ディくんと協力することで貫との実力差を埋め、対等な殺陣ができるようにするためだ。

「遅い!」

 貫はそう答えて、【火焔白鳥】を構えた。
 リュウェルはゆっくりと【箒星のサーベル】を構えると、暘の演奏に合せて【フラッププロローグ】で【Push forward】を歌い出した。
 【ブレイドステップ】を使い、貫と激しく打ち合う。
 貫は【奉歌高唱】で歌いつつ、【舞忍の踊踏】で【童子跳び】、【地踏みの動き】を華麗に再現していく。
 そんな貫に負けたくないと、リュウェルは全力で歌いながらも殺陣は疎かにしないよう、真剣な表情で貫に挑んだ。
 そして自身と一体化したディくんの力も借りて、ステージを縦横無尽に駆ける。
 リュウェルの本気に応えるために、貫も全力で【火焔白鳥】を振るった。

「ますます面白くなってきたな……」

 トランペットイヌの月狼と一緒に踊っていた暘は、【ペタル・アンサンブル】で二人の殺陣をサポートする。
 月狼はウタを響かせながら、≪星獣≫小さな羽で暘の踊りに合わせて飛んだり跳ねたるしていた。

「さぁて、そろそろいいかな」

 暘が≪星獣≫シュテルンヴォルフを発動させると、辺りが夜のように暗くなる。
 リュウェルと貫は互いの武器を激しくぶつけ合わせた。
 【箒星のサーベル】の星屑のような光が飛び散り、【火焔白鳥】の燐光と合せて会場中に星空のような空間を演出する。
 暘のイメージどおりに、二人の戦いが夜まで続いたかのように見えた。
 どのくらいの時間が経過しただろうか。
 ついに貫と視線を合わせて、
 
「勝負はお預けですね……!!」

 【オルトポテンシャル】を使った繊細な動きで、リュウェルが【箒星のサーベル】をそっと下げた。

「そうだな」

 と笑って応えた貫も、【火焔白鳥】を静かに仕舞う。
 
「──次は勝つです」

「ああ、楽しみにしてる」

 そう応えて背を向け、それぞれ順番に退場した。

「あー楽しかった。……なあ月狼、次はオレ達もとーる達みたいにメイン張りたいな?」

 月狼を撫でてやった暘は、振り返って拍手が鳴りやまない観客席をじっと見つめていた。
 ステージの横で力尽きたリュウェルは、その場に倒れ込んでしまう。

「おいっ、大丈夫か……?」

 貫が歩み寄るとリュウェルは小さな声でぽつりと、

「……おなか、すいたです──」

 そう言ったのだった。
 ぷっ、と思わず笑いを隠せなかった貫は、ひそかに「こいつにはかなわない」と思ったような表情を見せた。
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