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シナリオは、複数のユーザーが参加した結果を描写される小説形式のコンテンツです。
「ヒロイックソングス!」の世界で起こった事件やイベントに関わることができます。

スピンオフ“戦戯嘘はどこにも存在しないと私だけが知っている”

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スピンオフ“戦戯嘘はどこにも存在しないと私だけが知っている”

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■それぞれの影(4)

「人生なんて後悔の連続ではありませんか?
 あの時あそこを間違えなければ、こうしていれば、って思うことはいくらでもありますし。
 そうできなかった自分の過去を恥じる心こそ、この「影」なのでしょうね」

 とりとめなく話しつつ、狛込 めじろは心臓の高鳴りを抑えるのに苦労している。
「ふう! オーバーラップって暑いですね」
「そんなに暑くはないと思うが……」
 アーヴェント・ゾネンウンターガングは首をかしげ、
「それはきっと、冷や汗なの。めじろさん」
 リーニャ・クラフレットが心配そうにめじろに声をかける。
 
 いつもの3人。いつもの【勇者パーティー!】。
 だがいつもと違い、めじろだけでなく3人とも、少しだけピリリと緊張している。
 これから現れるだろう影のことを、それぞれの胸に秘めているからだろう。

***

 彼らには十分な力があったので、変動する足場をしっかりと制御しながら歩いていた。
 そんな3人の前。
 にょっきりと地面が盛り上がり、それぞれの前に、それぞれの影が出現した。

 3人は迷うことなく一番手近にいた真ん中のめじろの影をロックオン。
 リーニャとアーヴェントはいったん自分の影から離れめじろの援護にまわる。
 ――各個撃破。相手は近い影から。
 それが作戦前に3人で話し合った戦い方だった。

 めじろは影にじっと見つめられている。
 めくるめく後悔の記憶が、まざまざとリアルに鮮烈に思い出されていく。
「かはぁっ」
 悶えのたうちまわり、その辺の壁に頭をガンガンしてしまいそうになるほどの恥ずかしさと闘いながらめじろは影をにらむ。 
「私達がついてるから大丈夫なの」
 リーニャの白い手が、そっとめじろの袖に触れてきた。
 めじろは我に返ると冷静さを取り戻し、自作キャラの【創作物:サクラさん】と【創作物:ラ・ベット】を呼び出した。
 
 涼やかでクールなトラ耳イケメンの【創作物:サクラさん】は、射程距離に入ってきた影たちに打撃系の攻撃を開始。
 タイプの異なる野獣王子系の【創作物:ラ・ベット】は、めじろを守る盾となった。
「常にわたしは前進し続けてるのです。過去なんてゴミ箱に捨てて、いちばん綺麗なわたしだけを見ててもらうの!」
 めじろが影に【デットエンド・フィクション】をかけようと身構えた。
「危ない!」
 すかさずリーニャが【ハートイェーガーの弓矢】を放つ。
 影もまた、めじろに【デットエンド・フィクション】で死を見せようとしていたのだ。
 
 リーニャの攻撃のおかげで影に隙が出来た。
「ゴースト達! 手伝って! あいつを全方向から吹き飛ばして、跡形もなく葬り去るのっ!」
 めじろが全速力で【ゴーストライダー】のオルトゴースト達を呼びだす。

 連帯意識があるのか、他の2体の影は、めじろの影を助けようとしてきた。
 しかしいくら能力や見た目が本人そっくりでも、経験によって培われた【勇者パーティー】の連携プレイまでは真似できない。
 ただバラバラに攻撃をしてくるだけで結局効果的な結果は得られぬまま、めじろの準備は整った。

「跡形もなく永遠に消滅するがいい。私の後悔、黒歴史!!!!! くらえ、【≪戦礼≫爆葬】!」 ……ひい! わたし今、全部口に出してますか!?」
「いいんだ狛込」
「カッコいいの! めじろさん!」
「いやぁぁぁぁ!!」

 こうしてめじろの影はカラフルな色となって散っていき、後にはめじろのイラストが残った。

***

 余韻に浸る暇もなく、パーティーの3人は、残りの2体の影を見比べる。
 ――各個撃破。相手は近い影から。
 3人は一斉に、リーニャの影を見た。
 それを察知したアーヴェントの影が攻撃を仕掛けてきたが、めじろお抱えの2人のイケメンがそれを足止めする。
 
 リーニャの影が【ハイライト・ブレイク】を打って出てきた。
 ヒットさせてしまっては、攻撃を受けるだけではなく、自分たちの次の攻撃がひどく不利になる。

「させない!」

 アーヴェントが【フォルクの剣(ナナイロ☆ソード)】を振りながらの【暁と黄昏のディンメルグ】。
 今の【ハイライト・ブレイク】を無効化。
 くらいそうになった一撃から仲間を守り、さらには次に出るであろうリーニャの大技をも守る。

 アーヴェントとめじろが、リーニャを見てうなずいた。
 あとはこちらに託せ、そう、視線で合図する。
「ありがとうなの!」
 お礼を言うリーニャは【ハングリーバズーカ】を担いでいる。
 このバズーカは、弾の代わりに熱い想いを込める必要がある。

 リーニャは目を閉じ、意識を集中する。


 私の後悔。いっぱいあるけど、やっぱり……を、助けれなかったことかな
 私がもっと強くて勇気があれば、助けられた
 今も元気でいてくれたって、時々考えちゃうの


 仲間たちが技と機転を駆使して援護してくれる。
 だから心から安心して集中できた。


 …………後悔の記憶は、とっても辛いの
 でもずっと引きずってたら……に怒られちゃう
「俺の事ばっか考えてたら他の大切なものを守れなくなっちゃうぞ」って

 まだ、私はこの記憶を乗り越えるのも難しくて
 あの子について思い出そうとしたらノイズが掛かっちゃうけど、大切な……だから
 絶対に、忘れれないから、忘れたくはないから
 ……少しずつ背負って、もうこの手から大切なものを取りこぼしたくないなって、そう思うの


 ぱっと目を開いてリーニャが【ハングリーバズーカ】を構えた。

 
 大切な人を守りたい気持ち、弟妹を、そしてあの子を大切に思う気持ち

 
「全部の気持ちをこの弾に込めて。影さん、あなたを倒させてもらうの!」
 どおん!
 巨大なバズーカから熱い炎が噴出された。

 後に残ったリーニャのイラストを背に、アーヴェントの影が敵意をむき出しにして向かってきた。
 影について研究済みの3人は、アーヴェントの弱点を熟知している。
 3人が連続攻撃を叩きこみ、影に剣を振る隙を与えない。

 仲間の援護を信じながらアーヴェントは【フェイタルストライク】。
 大きな隙が生まれるのも恐れず、満身の力を込めて絶大な一撃を見舞う。
 そして最後に、【必殺のフリー・グノーシス】。
「お前もすぐに、仲間の元へ行ける」
 持てる全ての力を込めて、アーヴェントは超必殺の一撃を繰り出した。
 パチン!
 アーヴェントの影が弾け、カラフルな色となり、そこにはアーヴェントのイラストが残った。

 その時、そそり立つ壁のすぐ向こうから、
「いててっ!」
 男の声が聞こえてきた。
「フェスタ生にしては情けない声だな」
 3人は合わせて力を使い、その壁に隙間を作ると……

「わああああっ!」

 駆け込んできたのは、ボロボロかつヨレヨレになった左脳。
 そのすぐあとからは、どこかクールでしゅっとした雰囲気の左脳が入って来た。
 もしやゆうによる『お兄ちゃん大好き補正』でもかかっているのだろうか。
 左脳がいつになく真顔で訴える。
「助太刀は不要。俺は決めたんだ。自分で片を付けると」
「判っている。頑張れ」
 アーヴェントが、心から左脳を応援する。
 彼も今さっき、自分の後悔と対峙し、それを一人静かに克服していた。
「左脳さん、頑張るの!」
「左脳さんもやっぱり、後悔はアレですかっ?」
 めじろもリーニャも同じ想いをした。
 だからこそ3人は、この影を倒すのは左脳自身の役割だと痛感している。

 そうは言っても……
「はわわっ!」
 左脳は左脳は相当苦戦を強いられている。
「うわわあ」
 圧倒的に貧弱で負けそうになっているところに、アーヴェントが静かに告げた。

君なら絶対に勝てる

 不思議な何かが漂ってくるのを、そこにいた全員が感じる。
「なんかあべさん……」
「勇者っぽいの!」
 これは、アーヴェントのオリジナルスタイル、ダインヘルトの【勇者補正】だろうか。
「うぅ! 力が……勇気がみなぎってきたぞ。影め、覚悟しろーーーっ!!」
 左脳は影に突進し、
 パチン!
 あっけなく勝利した。  
 左脳が弱すぎなのか、【勇者補正】の威力がすさまじいのか、それはまだまだ謎である。
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